2019年1月31日 (木)

キネマ航空CEO 「歴史と哲学と人口を考える」、「アメリカ Part1」自由主義の勃興の巻

 「資本論」の予言性を確かめるとなると「共産革命」を論じることと等価と思えるのだが、「革命」とは何か、が分からない。
 便利な言葉でテキトーに頭に「名詞」を付けたり、お尻に「的」を付けて形容詞にすれば何にでも使える。 ただし、「形容詞」を頭につけていたら情緒に流れていると思ったほうが良いようだ。 例えば「美しい」とか、「汚い」とか。

 歴史や思想や哲学で使われる「革命」はつぎのようにまとめられるように思える。

 ① 「同じ地域(国)の中で、同じ言語を話す集団の一部が、既存のヒエラルキーを破壊
   すること。  時として暴力を伴うことが多い」
 ② 「成功した革命は、革命行動に加わらなかった民衆を新体制に従属できた場合」
 ③ 「失敗した革命行動は反乱と呼ばれる」

 したがい、革命は思想や哲学の理念や理屈の外にいた民衆を、共感であれ、恐怖であれ、新体制に組み込むことができたかどうかで決まる。

 革命の理念や理屈に与しない、あるいはそうでなくても、社会の中ので反抗し、さらには混乱の中で殺されても、同じ地域や同じ言語集団に残るのか、あるいは逃げ出すのか、の選択を自分や家族に強いる社会現象でもある。

 現実は外国からの干渉や地域の歴史的な経緯など社会現象としては複雑なのだが ② となる場合は民衆の味方(Ally)、敵(Foe)、中立(Neutral)のモーメンタムもしくはベクトルの認識が重要となる。

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 人間の歴史を遡ると、現在、現代、近代、近世、中世、古代、神話時代と区分される。

 歴史を学ぶときに惑わされてはならないのは、『代』や『世』を民心の在り方と捉えれば世界が同時に時代を変えたことはない。 おそらく、これからもないだろう。

 その時代区分の中で、マルクスらの「資本論」の世界である共産革命は資本主義の、すなわち、現在の、「成れの果て」、として定義されている。

 共産革命の幻想は世界で最初に近世から近代に変わった、アメリカの成立から始まることになる。
 ただし、メイフラワー号によるプリマス(1620)到着から始めるつもりはない。 それ以前にイギリスはバージニア(後の州、もちろん勝手に命名)に植民を始めており、メイフラワー号本来の目的地であった。

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 つまり、現代につづく近代の始まりはアメリカの独立戦争(1775‐1783)といえる。
 アメリカではこの戦争を独立革命あるいは革命戦争と呼ぶ。

 なぜ独立戦争を近代の幕開けとなるのか、は、現在につづく「人間の平等の権利」が国家としての独立宣言に盛り込まれ、近世の血統による王権の継承から離れた選挙による大統領制度が確立したことにある。

 さて、当時の独立派の拠点は北米大陸の東海岸にへばり付いていた、いずれは13本の線となる英植民地であった。 そして、のちに星となって加わる地域は欧州列強の植民地が周囲を囲んでいた。

 フランス は、五大湖の一つオンタリオ湖から大西洋にそそぐセントローレンス川の流域、と、現在のミネソタ州を源流として30余の支流を集めてメキシコ湾にそそぐミシシッピ川の流域すなわち北米大陸の中部に勢力を伸ばしていた。
 スペイン は、ミシシッピ川河口のセントルイス以西のロッキー山脈の西側の南半分を制していた。
 ロシア は、アラスカから西海岸の北部にかけて進出をしていた。
 イギリス は、セントローレンス川の北側(現カナダ)とスペインから奪ったフロリダ半島を抑えていた。

 ここで上げた国名は現在と同じだが形態は帝国、王国であった。しかし、今ではイギリスと現代になってフランコ独裁後に復活したスペインを除き皇帝も国王もいない国となった。

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 ここで、本国と植民地の人口や職業構成比などを挿入したいのだが、確たる資料が見つかり次第追記することにして、なぜ圧倒的に少ない人口の植民地の独立が可能だったのか、を考えてみる。

 一つは英本国はヨーロッパの勢力図やアジアにおける植民地経営で補給線が手薄であったこと、さらにはそれに基づく新興の北米植民地に対する課税強化を行ったこと。 一つは独立側は自発的入植者や流刑者であったことから本国に対する忠誠心は薄かったこと、が上げられる。

 さらに、米国独立戦争時の国際情勢は植民地軍に有利な状況が上げられる。

 劣勢の植民地軍に対しフランスポーランドの義勇軍やプロイセンの義勇兵(将校)が参加し劣勢を挽回し、フランクリンの遊説によりフランスが対英参戦、続いてスペイン、アメリカ大陸にはあまり関係のないオランダも参戦。

 いっぽうではロシア(エカテリーナ2世)の主導によりプロイセンスウェーデンデンマークポルトガルの武装中立同盟の結成。 かくしてイギリスの周りは敵国と中立国で包囲され孤立した。これはアジア、アフリカ植民地の覇権抗争の一角でもあった。 

 軍事的に見ればイギリス側には植民地内の王党派、ドイツ諸侯公国からの傭兵部隊、皮肉なことに植民地の拡大を嫌う原住民(ネイティヴ・アメリカン)がいた。 英国政府はアメリカ大陸の分割売却をもくろみ植民地の西進を禁じていたが現地では無視されていた。 ついでながら、イギリス本国内でも野党は独立軍を支持していた。

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 とにもかくにもアメリカは 1783年【M -35、E -33、L -87、S -151 】にパリ条約で独立を果たした。

 年号【 】内は主要人物の数え年。 例えばマルクスの生年では、1818年【M 1、E -2、L -52、S -104 】
アルファベットは M : マルクス、E :エンゲルス、L : レーニン、S : スターリン。
(マルクスとエンゲルスは同年代、
レーニンは半世紀、スターリンは1世紀の年代差がある)

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 こうして「自由主義」を掲げた国家が誕生した。

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 次回は「アメリカ」資本主義の勃興編「南北戦争」に飛ぶ。 この間に同様に自由主義の旗を掲げた革命がフランスに起こるのだが、それはそのあとに、

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チラ見せ!!

 しかし、本来の現代の革命と呼べるのは南北戦争(The Civil War 1861-1865)であり、資本主義の幕開けといえる。

 その前に、・・・

 以下、追記予定です。

2018年12月29日 (土)

キネマ航空CEO 「歴史と哲学と人口を考える」 の巻 (朦朧編)

 (妄想編)では「哲学や歴史は未来を予言するか、できるか」を考えるために、外れた予言としてマルクスの「資本論」を槍玉に挙げた・・・とは言いながら明治5年の戸籍を中心に前後の調査結果から身分別と職業別の人口を確認したところで終わった。 
  出典 「近世日本の人口構造」 関山直太朗 1958 吉川弘文館

 明治2年から3年にかけて行われた身分別の人口を含む藩籍調査は旧藩の組織を通して行われた。 その2年後の明治5年に新政府が行った戸籍法による人口調査と比較してもある程度の正確度で実施されていたようだ。

 明治政府は旧藩の組織を極めて従順に、もしくはシステム的に、活用できていたと考えられる。(薩長土肥の行政督励官が派遣されていただろうけど)

 明治維新は革命(レボリューション)というより、乗っ取り(テイクオーバー)と名称変更(リネーム)をしたともいえる。 そしてそのあとに仏教をスクラップ、そして、神道をビルドするイノベーションを行ない新しい起業文化(スターティング・ビジネス・アイデンティティ)を加えたと言えそうだ。

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 さて明治維新は200万人の支配層に3,000万人の被支配層の平民が従うことで成立したといえる。 もちろん支配層の人数には家族が含まれるが実質的な指導層であることには変わりはない。

 のちに平民とされた身分でも積極的にかかわった人々もいる。 しかし、先ほどの実質的な数に大差はない前提が成立すると考える。

 その支配層の中でも大政奉還後の錦の御旗に対して味方(Ally)、敵(Foe)、内実は複雑であろうが中立(Neutral)の大略三つの立場の選択を強いられる。

 旧勢力(Foe)の掃討には具体的な戦闘行動を伴う。 その軍隊に対応する立場の選択には藩の思想(空気ないし雰囲気)や経済に加えて地政学的な要因で藩主と側近となる家老などの決断が下されて、あるいは放置されて、のちの平民となる農民、町人の運命は決まったと思われる。

 藩の行動の制約は一応は武士の数で決まる。 ちなみに下表は同じ出典の明治3年の各藩の身分別人口比率を算出し各々の最低と最高の比率を比較したものである。

明治3年藩政録の身分比較(%)
身分   最低    最高        
武士(華士族、卒) 3.92 26.54
百姓(農民) 52.42 89.55
町人(商・工) 2.55 23.40
神官 僧侶 0.75 2.47
エタ・非人 0.05 3.02

 数値を縦に足しても100%にはならない。 各藩の数値の最高と最低を拾ってを並べただけである。  さて、・・・

 ① 武士階級が3.92%の藩はどこだろう-薩長土肥に抵抗しで多くの戦死者を出した藩なのだろうか。
 ② 逆に農民が54.42%の藩はどこだろう・・・町人や武士が多い藩となるが江戸や大阪の幕府直轄地は入っていない統計だからなー。
 ③ 農民が89.55%の藩となると①の裏返しなのか、それともかなりの貧乏藩でユートピアには違いないのだろうが明治維新は渡りに船とも言えそうだ。 あるいは数値をテキトーに作成して、せめてもの抵抗をしたのか・・・(歴史はこんなデータの解読から始まるんだろうな)

 想像できるのは幕府の止(とど)めを刺したのは武士階級の比率より絶対数が多い藩であることは間違いないであろう。

 特に薩摩藩の例では多くは(外城)農地に展開している郷士と呼ばれる層の存在と思われる。

 長州藩では薩摩藩ほどの層の厚さはなかったが下士官クラスを兼ねて農民組織を兵として統率指揮できるクラスの下級武士がいたと思われる。 加えて農村医だった村田蔵六(大村益次郎)という軍事の逸材を抱えていた。

(当CEO の余談)
 では幕府はというと、お膝元に御家人と呼ばれる下級武士はいたが職制は旗本(騎兵)の配下(歩兵)にすぎない。 時代劇で描かれるお江戸は八百八町の治安を預かる八丁堀の与力(旗本)と配下の同心(御家人)で知られる組織形態でありました。 奉行所の出役には与力は騎乗だが同心は徒歩(かち)早駆けであります。

 人数上は1722年(享保7)の資料では5,205人の旗本1人に(17,399人の)御家人が2-3人の割合であって、御家人株の売買は公然化されており、組織上でも討幕軍に対抗するための兵となる旗本知行地の農民や市中の町人の組織化や指揮統率ができるような社会構造ではなかったと考えられる。 むしろ、天領や関東以北の豪農の中から佐幕派の浪士が生まれている。 上野戦争における彰義隊の兵力は4,000名とあり町人、博徒、侠客が加わったようだが正確な人数や役割は歴史から消えている。(余談終り)

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 上で述べた疑問は佐幕派討伐軍の東征北伐ルートにあった藩ごとの記録の中の人口の動向と藩の記録や農民・町民(未来の平民)が残した記録をたどって五稜郭までの庶民史を描く研究があってもよさそうだがマスメディアに取り上げられることはなさそうだ。

 当CEO の幕末や明治初頭史の知識は、史実かどうかの疑問を含めて歴史書に名を遺した人物が活躍する映画やTV などを窓口としており、幕末明治庶民史とは程遠い。 どなたかが解き明かしてくださることを願っている。 

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 世の中を大括りに表す言葉に、「平時、乱世、大乱世」、がある。 時【じ】と世【せい】の違いは続いた期間と思われる。 もちろん「時」は短く「世」は長い。

 徳川幕府の終わり方を見ると、渡辺京二氏の描くパックス・トクガワーナを平時【へいじ】ではなく平世【へいせい】と読者に錯覚させたい気持ちも分からなくはないな、とも思えては来る。

 「資本論」の予言性は年を越えて「朦朧編 Part 2」につづくのこころだ!

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いや「朦老編かな」?

へ続く

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2018年12月26日 (水)

キネマ航空CEO 「歴史と哲学と人口を考える」 の巻 (妄想編)

ふっと、19世紀後半のプロイセン王国、ドイツ帝国の首相オットー・フォン・ビスマルクの名言とされる「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、が当CEO の頭をよぎった。

「愚者」と「賢者」はともかくとして「経験」と「歴史」の並列、もしくは対比、は何とも収まりが悪いように感じられる。 「してそのこころは?!」とか「その異や如何?」、「そもさん !」と続くような日本人独特の謎掛け、もとい、禅問答風の和風意訳ではなかろうか。

 「什麼生【そもさん】」、当CEO の場合は・・・??「説破【せっぱ】・・・せっぱ・・・せっぱ・・・っぱ」と切羽詰【せっぱつ】まるのであります。

たぶんこれが、(常に鋭いコメントを下さる武兵衛さんをまねて)当CEO の海馬に「哲学や歴史は未来を予言するか?」として残っちゃったのだろう。

渡辺京二氏の「勝手に命名」三部作をまとめる間に、当CEO の灰色に濁った頭脳に脈絡なく浮かんだ事柄を整理してみる回です。 したがい、渡辺京二氏とはほとんど関係はありません 

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 ギリシャ、ローマそれにインド、中国、オリエントなど大まかに宗教がらみの哲学では人間は変わらないためか説教や箴言として歴史の中では予言の機能はあったと思えるし考えられる。

 だが、近代に入ると人間より個人が多くなり哲学の百家争鳴、宗教迷走の時代となったようだ。

 予言が外れた哲学なり思想としては、その筆頭にマルクスの「資本論」が上げられる。

 資本論の示すプロレタリアート革命は資本主義社会の成熟による過程を経て成立するものである。 たとえ、傑出した指導者が導いたとしても資本主義など経験していない社会から成立した自称共産主義国家がマルクスの言う共産主義革命が成功した、とは言えないのではないか。

 主だった(マルクス・レーニン主義の)共産主義国家を列挙すると、旧ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国、中華人民共和国、キューバ共和国、ベトナム社会主義共和国などである。

 少なくとも資本主義経済の労働者や生産物から生み出されたプロレタリアートが起こした革命ではない。

 突き詰めれば中世、近世の封建主義経済から発生したのでありマルクスの近代共産主義ではなさそうだ。

 不勉強な当CEO はエンゲルスやレーニンはいざ知らず、マルクスの「資本論」に、搾取者と被搾取者、富者と貧者、加虐者と被虐者がいれば直ちに革命が成立すると書いてある、のかさえも知らない。

 しかし、あろうが、なかろうが、自称、他称の共産革命はできたのである。それも含めて考えてみる。

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 思想に掲げる旗は作れ、指導者も生まれる。 しかし、革命から国家となるとフォロワーとなる人がいなければ成立もしないし動きもしない。 その人とか人民とかがどう行動したのかは歴史でははっきりとしていない。 はっきりしないのならせめて国家となった国民の数だけでもと思いつくがこれもはっきりしない。
 というより外国語で調べる気力もない。以下の展開でほかの国の検証をやってみてね。

 日本語となると明治維新はレボリューションだかイノベーションだか分からぬが日本の近世から近代に変わる時点での基本資料となりそうな文献がある。

近世日本の人口構造」 関山直太朗 1958 吉川弘文館

 近世末期の人口構成は近代の入り口である明治2から3年にかけて版籍奉還のために旧藩に命じて行われた重要統計の中の人別調べから推測できる。 ただし、既に明治政府直轄地となっていた幕府領と旗本知行地の実態は含まれていない。

 この時の人口は 32,794,807人だった。 そこからいくつかの藩を除いて集計した身分別人口は 30,089,401人と集計されており 2,705,496人の欠落が見られる。

 次に政府が明治5年に新戸籍法により調査した結果では人口は 33,131,525人となっている。 前回の2年前の記録より 336,718人増えている。

 これらを大まかな身分別に整理したのが下表となる。ちなみに、この身分別人口統計には家族も含まれている。

 明治維新直後の人口統計(推計)比較(人)
身分 明治3年 明治5年 増減
支配層 1,839,064 1,927,848 88,784
宗門 374,398 292,926 -81,472
平民 27,787,155 30,999,535 3,212,380

・ 支配層には皇族、華族、士族、卒、地士をまとめた。
   明治5年では旧藩大名は華族に参入されたと思われ、521人増えている(大名華族と堂上華族)。
   増加した人口は幕府管轄地の武士階級が繰り入れられたと考えられる。
   卒は仲間、小者等士族の下級家臣や一代限りの士族でのちに士族と平民に分化する。
   明治3年分では皇族(28人)と地士(3,380人)の項はない。地士は名字帯刀を許された有力者。   

・ 宗門には神官・僧尼がある。
   この層のみ人数が減っている。 特に神官の減少が大きく -70,941人となる。おそらく各農村にある小さい神社では兼業や副業で生計を立てており新戸籍法では平民へ移されたのだろう。
  
 ちなみに神仏分離は明治元年と同じ慶應4年からから始まり廃仏毀釈の混乱は明治4年まで続いた。
・ 平民では明治3年分にはエタ、非人、死刑がある。
   大幅な増加分は江戸など幕府直轄の町人、農民の人口を繰り入れられたと考えられる。
   死刑は獄中なのか、処刑済なのか、は分からないが1,066人いた。
   
明治5年の統計では、エタ、非人は平民になり、死刑はない。

 さて、江戸時代の農、工、商の身分は平民となったが、業種別人口ははっきりしない。

明治維新直後の就業人口統計比較(人)
業 種 明治5年 明治6年 増減
15,206,938 15,153,098 -53,840
671,692 688,429 16,737
1,267,401 1,276,864 9,463
1,751,301 1,766,685 15,384
雇 人 300,414 292,885 -7,529
合 計 19,197,746 19,167,961 -29,785

 明治5年の平民の人口に比べて 11,801,789人が消えている。 

 業種別人口は15歳以上の就業人数、戸主は15歳未満でも数えている。家族は含まれていないようだ 。 また、雑(業)や雇人が江戸時代から存在した職種なのか、明治に発生したのかは分からない(後者のように思える)。

 たった1年の違いではあるが農業就業人口の減少が比率順では工、雑、商業への、直接、または玉突き、での職種移動をもたらしている。 漸減していく農業人口からは江戸末期の農業人口はさらに多かったと考えられる。

 いずれにせよ渡辺京二氏が示唆するユートピア人口は 30,999,535人いたはずである、とあげつらうつもりではない。

 身分や職種の人口単位をパーセントで示さなかったのは歴史や統計の中で一人と数える個人には、消えている人や数えられていない人、がいることを示して次の話題に入る。

 徳川幕府の人口調査には除外対象もあり、方法も各藩への委託であり必ずしも統一された方法ではないこと、各藩の意図的な過少、過大報告があることは明治に入っての調査との突合せで解明されている。

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 イノベーションと思える明治維新はどのようにできたのか、を考えて資本論の予言性を考えてみる。

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続く

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2018年12月 9日 (日)

キネマ航空CEO 「渡辺京二氏の(勝手に命名)ミステリー三部作を解説する」 の巻(解決編)

キネマ航空CEO 「渡辺京二氏の(勝手に命名)ミステリー三部作を解説する」 の巻(挑戦編) 2018.12.07

を読んでからの「解決編」のココロだー!

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Photo_2③ さらば政治よ 旅の仲間へ 晶文社 2016.6

 内容は①、②の執筆や刊行の時期に週刊誌や新聞などに掲載された記事やコラムである。

 その中に渡辺京二氏の反マルクス主義のバックボーンとして、1956年(第二次世界大戦終結から11年目)にハンガリーの自立を目指す蜂起に対するソビエト連邦が反革命として大量の戦車と歩兵を投入し鎮圧したハンガリー動乱が契機だったとしている一文がある。

 以下当CEO の余談。 ハンガリーはオーストリア・ハンガリー帝国という歴史上の経緯もあり日独伊の枢軸国側にいたが、国境を接するソビエトの進攻を回避するため連合国側との停戦を図ったがナチス・ドイツ軍に占領されてソビエトとの戦闘を行った。 しかし敗北し、そのまま共産圏の周辺国家に組み込まれた。

 いっぽう第三共和国の一翼であったオーストリアはベルリン陥落後に巧妙な政治外交運営でソビエトの影響を排除して自由主義陣営に組み入れられた。

 いろいろな見方はあるがハンガリーはオーストリアのような自由主義国家への離脱を試みたようだ。 これをソビエトは反革命として進攻したのだが日本国内のリベラル思想にも大きな影響を与えた。 ある意味では日本のコミュニズム、リベラリズム、ナショナリズムの、またそれぞれのイズムの中での、左右の乖離が拡大する契機となったともいえる事件。

 渡辺京二氏は特に日本の共産主義の思想上の浅薄さに気がついたのだろう。氏はこれに対抗できる思想として、日本あるいは東洋の思想ではなくポラン二ーの著書から展開する。

 カール・ポランニー(1886 - 1964)オーストリア・ハンガリー帝国(ウィーン生まれ)、出自はハンガリー系のユダヤ人、カナダで死去。 イギリスやアメリカの大学で教鞭をとるがアカデミズムとは距離を置いていた。 「経済人類学」の創始者として知られる。(ようだ)

 ポランニーの説については②に概要、③の最終章に渡辺京二氏自身が行った大学での講義のテキストが掲載されている。

 恥ずかしながら当CEO はポランニーの著作を読んだことはない。 以下は当CEO が勝手に渡辺京二氏の講義録を解釈して展開するミステリー三部作の解決編であります。

 したがい、誤解、曲解があれば、すべて当CEO の責任であります。

 ポランニーは「近世の絶対主義国家が形成する重商主義市場」と「近代の自由主義国家の形態である資本主義市場」の違い、を「労働力」と「土地」の経済的取引の自由度の度合とみる。

 この説で②ひいては①を顧みると日本は豪農(庄屋、名主)が所有し差配する農民付き土地で成立しており商人の台頭による一次産物の移動で成立する鎖国重商主義といえる国家形態のもとでの大衆のモラルであった。

 近世と呼ばれるこの当時の欧州の重商主義市場は植民地の支配を伴っていたが資本の移動はなく物品の収奪による移送であった。

 資本主義と自由主義の萌芽は歴史的にはさらに遡れるが前者は18世紀半ばのイギリスで蒸気機関の活用から始まった産業革命、後者は広範囲に広がる社会、経済にかかわる古典的自由主義として同時期に普遍化した。

 ちなみに近世から近代への社会的、経済的な大転換とされるフランス革命は18世紀末の1789年からの10年間とされている。 また1848年のパリ2月革命ではいわゆるプロレタリアート革命と称されるが実質は都市労働者と開放農民の抗争でもあった。 政治体制としては失敗に終わっている。 マルクスらの共産党宣言が出されたのもこの年である。

 共産党宣言が最も高揚したのは1871年のパリ・コミューンの時代と思われる。普仏戦争の敗北の中で始まった初めての(資本主義というより自由主義の精神的な)プロレタリアート独裁による自治国家の模索の時代が、国際情勢と国家としてのフランスの中で生じる組織の内紛と国家内体制の覇権抗争で多くの血を流し、流され、て潰(つい)える。(当CEO は大仏次郎の「パリ燃ゆ」の抜粋を読んだだけですが)  

 19世紀に入り資本主義は中世のしがらみがないアメリカで奴隷労働力による国内の一次産業から二次、三次産業へ、さらには金融資本主義へと国内外の市場経済に拡大変容して行き、付随並行するもういっぽうの自由主義の変容は20世紀半ばで日本ではリベラリズムと名を変える。

 部外者には分別も難しい共産主義と社会主義も概念の起源は古いが直接の系譜はフランス革命の申し子であり19世紀半ばのマルクスとエンゲルスの「共産党宣言」による共産主義が資本主義、自由主義の対抗軸となる。

 ちなみにマルクスの学者としての業績は「資本論」であるが1867年の第一巻、1885年第二巻 1894年の第三巻からなる。 ただし二巻以降はマルクスの死(1883享年64)後に草稿をエンゲルスらによって編集されて刊行された。 共産主義革命への考察は第三巻にある。(以上当CEO の余談)

 さて19世紀半ば、世界が近世から近代へと潮目が変わる時空(とき)に日本は政治のイノベーション(維新)を行った。

 この明治維新で農地に縛られた「労働力」の取引自由化が行われた。 解放された労働力は近代の二次産業と軍事力に向かい出遅れた植民地重商主義国家を目指すことになる。

 その結果として先行する自由主義の申し子である列強資本主義と対立し昭和の敗戦となる。

 そしてとどめの転換点として、この敗戦により、米国が主導する占領軍総司令部(GHQ)はポランニーを意識したのかどうか、小作人付農地を庄屋・名主から解放し「土地」の取引自由化が行われた。

 渡辺京二氏の言う「平和と安息の世界」となる二つの基盤がここで途絶えて「逝きし世の面影」を懐かしむのみとなった。

 すなわち①の世界の再現などない、・・・と。

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 渡辺京二氏は狷介不屈なリアリストでありニヒリストのようであります。

  ニヒリズムというと虚無主義として日本や西洋では反社会的なイメージ(日本では現人神としての天皇への不敬、特にカソリックではキリストへの侮辱)が強いが、ニーチェの目指す本質は生き方の規範として消極的(なりゆき任せに)に生きるか、積極的(主体性をもって)に生きるか、のどちらのニヒリズムを選ぶかの問題であります。

 その根底にある虚無とは宗教の束縛から離れた(日本人には輪廻転生でなじみ易そうな)永劫回帰(であるがそれとは違うような)のもとで創造的に生きることで超人(「悟りを開く」のかいな)を目指す前提であります。(と、まとめた当CEO 自身は「ツァラトストラ(超人)がかく語った」のを聴いても良く分からないのではありますが・・・映画「2001年宇宙の旅(2001: a space odyssey)1968」で暗闇だった画面に映像が始まり太陽、月、地球が直列、つまり皆既日食のシーンに流れるアレであります)

 渡部京二氏の宗教観はさておき、水俣病公害に積極的にかかわり、厚生省への座り込みを行い、教条主義に傾く運動から離れ、気難しそうな石牟礼道子氏の活動を最後までサポートしている。

 考えようによってはいずれもニヒリストだからできるといえます。 これがモラリストだと八方美人となって途中で投げ出すか、何もできなくなるか、原理主義者(ファンダメンタリスト)となって周りを見なくなるか、になってしまいそうだ。

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 渡辺京二氏の著作①②③をピックアップし三部作のミステリー仕立てにして解説してみた。 氏の書物の構成は主旨や読み解きのヒント(ミステリーで言えば伏線)は前書きや後書きに現われている。 つまり章立ての内容は氏の思考の過程あるいは読者や学生への文書の読み取り力の知的教育テキストとして読む文章であります。

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 特に③は①②に比べて読む人は少ないようだがミステリー三部作のレジュメは③の前書きにある。 大所高所の歴史がどうの、哲学がどうの、ではなく変遷する時代という歴史の中で個人としてどう生きるか、の指針であり、三部作はビルドゥングス・ミステリーと読めます。

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 とは言え、まだミステリーは残るなー by キネマ航空CEO

2018年12月 7日 (金)

キネマ航空CEO 「渡辺京二氏の(勝手に命名)ミステリー三部作を解説する」 の巻(挑戦編)

10月半ばより11月にかけてキネマ航空CEOオフィスを飛び出して市井の歴史学者渡辺京二氏の著作3冊を読み通した。

結構な時間を費やしたのは何を書いているのか、なぜ書いているか、が分からなかったからであります。

つまりは、三作を通して必読の上中下巻のミステリーだったのです。

で、・・・まず当CEOが渡辺氏の労作を多少逸脱しておちょくります。

つまり読者各位は、長いけれど当CEOに対し異議異論を挿み込めば分厚い書物も読み易くなるのではないかと希望を抱きながら。

なお三冊中の①②は中山間地に住む篤学の士から課題図書として、③は市立図書館から借用しました。

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Photo① 逝きし世の面影 平凡社ライブラリー 2005.9 (初出 葦書房 1998.9)

 徳川政権の末期から明治時代前期にかけて来訪した異邦人の宣教師、外交官、商人、軍人、医師、教師、冒険家が記した報告書、旅行記、日記、関連する著作などから彼らが観察した同時代の日本人の美点を分析し十四章に分けて独特の文体で列挙する。

 異邦人(とつくにびと)がここまで日本を「平和と安息の世界」と言ってくれるのだから日本人なら悪い気はしない。

 しかし、幕末から明治であっても異邦人が自由に行動できたわけでもあるまい。 言ってしまえば中国、北朝鮮に限らずどこかの国に招待される記者たちと同じだろう。

 もちろん文献の中には彼らから見た負の印象も記録されている。 これに対しては著者の文体に取り込まれた別の異邦人の記録の解釈を展開して否定される。 明治に入ると外国の知識を得た日本人の文章も提示され補強される。

 でも、このままでは外国人に「ニッポン スゴイデスネー」と語らせ日本人に「日本! 最高ー!」と信じ込ませる今日(こんにち)全盛のTVプログラムのひな型でありますね。

 それに、対象となった間にも「平和と安息の世界」らしからぬ飢饉、一揆、騒動、擾乱(変)があったはずだがこれらは著者に軽くいなされる。 

 著者からは「たとえ一側面にすぎぬとしても・・・このような幸福と安息」の時代を「忘れたくない」。 「暗い側面をあげつらうのは批判者にゆだねよう」、「なぜなら、もはや滅び去った文明なのだから」、と批判者となりそうな読者を封殺し・・・いや、むしろ挑発し、誘導して本質に向かわせている・・・と思いたい。

 当CEO オフィスご常連の各位には、まずこの本を買ってでも、借りてでも、ぜひとも当CEOのこのレジュメに反論してください。待っています。なお、当CEO に同意するコメントは一切不要です。

  さて、「たとえ一側面」、だとしてもなぜこのように総括できる時代が成立したのかはミステリーのままです。

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Photo② 日本近世の起源 洋泉社新書 2008.2 (初出 弓立社 2004.2)

 「戦国乱世から徳川の平和パックス・トクガワーナ」と副題が付いており、謎を解くことができるかもしれません。

 本書では①で提示された著者の定義する「文明」への過程が十章にわたって展開される。

 第二章「乱妨狼藉の実相」 ここでは、①では描かれなかった実相が述べられている。

 戦闘状態とその前後について回る大量虐殺、殺人、傷害、略奪、放火、稲難・麦難(収穫阻止の戦略上の破壊工作)に加えて日本の内のみならず大陸や半島の婦女も含む人身捕獲、移送、売買、輸出、などが付随していた。 婦女に対する強姦も当然含まれている。

 弱者が強者から受ける仕打ちの列挙であるが、同時に弱者が強者にまた逆にオセロゲームのように入れ変わる強弱の相対関係の実態も指摘している。

 当CEO の余談ではあるが、今を生きている我々は、この時代より遅れた渡来人でなければ、生き残ったこれらの強者か弱者かあるいは両方を経験した子孫として日本人を名乗っていることになる。

 (乱)妨【(らん)ぼう 】は乱暴と同義である。 中国において「妨」の原義の《さまたげる》から《そこなう、害をあたえる》と転意したようだが、なぜ「女」偏なのかは不明。

 一例として本書の中で「(中世においては)従者を伴わない(あるいははぐれた)女性の旅は「性」の提供を伴っている(女捕り【めとり】という普通名詞で表されている)」と言及されている。 森鴎外の『山椒大夫』は物語ではなく事実が前提となっている。 

 これが①のなかの異邦人の記録では女性の一人旅が可能な国と驚かれている。

 なぜこのような「ユートピア」が成立したのか、しえたのか、を全十章に序章、終章、二つの後書きを加えて考察されている。 

 そして「ユートピア」が成立した①の時代は、立法、行政、を司るための警察権、司法権は藩(幕府)にあります。 何かの法令に違反した場合には農村から藩へ犯罪者として差し出すあらかじめの人選が行われていたり、一揆や騒動には藩として要求を忖度するが一揆側の代表者数人を死罪として決着することで社会が維持される時代でもありました。

 もちろん、現代の制度からは人権団体がいきり立つでしょうが、これが多数の平穏のために受け入れられている社会でもありました。

 ではどんな国だったかを要約をすると、幕藩体制、士農工商の身分制度なのだが・・・ 土地を所有する名主、庄屋と土地着きの農民による農村の制度の成り立ち、特に名主や庄屋の成立過程、そこから生ずる徴税権を行使する立法と行政の官僚集団である幕藩と農村との関係を含む身分制度の融通性が指摘されます。

 そして①で描かれるのはその官僚集団が担う必要がなかった外交と国防に苦闘する中で「ユートピア」が消えていく時代の挽歌である、とまとめられます。

 さて、ミステリーのネタバレはご法度であります。 ただ、あとがきや解説を読んでから本編に取り掛かる読者もいるようですので・・・

  渡辺京二氏は中世から近世への過渡期の武士集団である守護大名や群雄と農民を含む宗教集団との戦闘を農民蜂起とする唯物史観を徹底的に否定します。

 戦国時代の資料から得た多くの二次文献では虐げられた弱者(敗者)が挑んだ「農民蜂起」として解釈して、敗北までの束の間の平和を農民大衆の勝利として共産主義的な唯物論に沿って解釈している。

 しかし著者は、敗者の内部にも勝者と同様な分化された階級層は存在しており、資本家と労働者といった一対一の階級闘争ではなく 270年に及ぶ「パックス・トクガワーナ」の成立に集約される勝者と敗者の合意形成過程と解釈すべきである。 いわゆる共産主義的階級闘争では決してないと主張します。 

 なぜこのような「ユートピア」ができたのか、①に続けて、この②を読んでいただきたい。

 さて②でも別のミステリーが浮かび上がります。

 「ユートピア」の成立過程に深く語られなかった(実際は終章で語られているのだが)工や商にかかわる人々は?

 そして、なぜ渡辺京二氏はマルクス主義を嫌うのか?

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Photo_2③ さらば政治よ 旅の仲間へ 晶文社 2016.6

キネマ航空CEO 「渡辺京二氏の(勝手に命名)ミステリー三部作を解説する」 の巻(解決編) 2018.12.09

に、つづくのココロだー!

 

2018年10月 8日 (月)

キネマ航空CEO 『ミゾーユー』内閣を考えた ついでに「時の流れに身を任せ」る日本人を考えるの巻(その 1 )

 2018年の夏休み明けには「3.11」のカテゴリーを拡充しようと資料を集めていたのだったが、その出鼻に二つの天災が襲い、時限爆弾として潜んでいた人災をも誘発し多くの犠牲者や被害者を出しました。

 亡くなられた犠牲者、ご家族の方々にご冥福とお悔やみを申し上げます。また被害に遭われた方々の日々の生活への復旧の早からんことをお祈りいたします。 

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 この一次、二次・・・この内閣になってから数々の天災が日本国を襲ったのだが、政府もほとんどの国民も犠牲者の数、失った資産の合計金額の大きさに囚われてしまって、本来の天災の意味を考える力を蓄える気力を失っているように見える。

 『大天災は忘れた(やっと立ち直れた)ころに、中・小の天災は忘れる間もなくやってくる』

 つまりは慣れてくるのだろう。

 人間の文明による「温暖化の時代」という言葉は、変わらぬ治世を誇(ほこ「」じゃなくてほこ「りたい」)政治家や一家言がある評論家には嫌われているようである。

 しかし、「気候変動の時代」であることは長寿命となった世代の日本人には実感できる。

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 さて、2018年9月6日の未明に起きた道央南部の地震の前後の空中写真を見比べた当CEO 愕然とした。 当CEO は広大な北海道は土地の使い方は違うはず、と漠然と思い込んでいたようだ。

 しかし、写真が示したのはまったく江戸時代と同じ土地利用の形態のままであった。 山際の住居、その前の道路、そして広げた農地・・・

 さらには地滑りの有様は地質の形態が全くことなることも示していた。

 また、2019年7月7日に入った深夜に岡山県倉敷市真備町に発生した高梁川の支流域の水害は河川改修計画があったようだが間に合わなかった。

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 まず、倉敷市で発生した浸水地域を含めた地形は高梁川とその支流が形成した三角州に近い扇状地の上にできた平地であった。 扇状地は峡谷を削った川の出口から始まり広範囲に造られたなだらかな平地である。

 ただし、扇状地や三角州が造られるのは土砂を運ぶ河川が自然の法則に従って高きより低きに流れる経路を選び低きを高きに変えて、ヒトが手を加えずとも平らにするからである。

 しかし、住み易いなだらかな傾斜地にヒトが住み着くと川は自然の法則に従って自由に流れてもらっては困るのである。

 そこで、堤防を造り川の流れを規制する。 しかし川は土砂を運び続けて川底に沈殿する。 相対的に低くなった堤防はかさ上げされる。 この繰り返しで川底は平地より高くなって天井川となる。

 こうした河川には氾濫時に遊水地や川となる放水路が設けられる。 治水である。 ただし、土地利用の効率を重視すると遊休地とされて多少の土地改良を加えて居住地となり旧に復することは難しくなる。

 多くの浸水可能性のある地域はこうした支流域に広がる。 支流は本流に流れ込む合流点では本流の水位より高くなければならない。 合流点が河口に近づいても支流の堤防は許容水位が低いままで整備は遅れているようだ。

 本流となる河川では発電や上水源としての生活圏から離れた上流域のダム、下流域の堅牢な堤防、そこにダムの予防放水、高潮による河口の潮位上昇のみならず水門の開閉という人為によっても支流の水位は影響を受ける。

 また、海岸では遠浅の海岸を埋め立てて同様の河川や用水路を通し農地に使われたが防波堤と水門の追加で工業用地や住宅地に転用したり、最初から帆の目的で造成を始める。

 ついには海面の上の空中に鋼管や鋼杭で補強されたコンクリートの桁で支えられた飛行場まで出現する。 しかも、完成後の初期歪の確認の余裕もなく、嵩上げの改修もできない状態で。

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 気候変動により今はどこにでも起こる気象変動の時代である。 日本が避けることなどできない台風が巨大化する。暴風を伴う大量の雨が短時間に集中的に襲い駆け抜けるのである。

 また、爆弾低気圧とも、マルチセルとも、スーパーセルとも呼ばれる局地的な豪雨や竜巻も発生する。

 こうした豪雨や強風が都会を襲い停電、断水、交通麻痺などの災害が起こればほとんどが人災のはずであるが、「ミゾーユー」の一言で人災は免罪される。

 もちろん、ヒトが生活のために手を加えて住み着いた、より自然に近い地形にも雨は降り、風も襲い、昔と変わらぬ自然の法則でヒトを襲う。

 大臣や官僚は「ミゾーユー」ですむが「みぞう または みぞお未曾有】」としてどう納得するのか。

 新明解国語辞典 第四版 み・ぞう)【未曾有】 それに類する事件が今までに一度もなかったこと。「古今 ― の出来事」(最近は歴史を忘れ ミ・ゾ・ウと音読みすることが多い「ミゾユウ」も誤り) 

 新装改訂 新潮国語辞典 ミ ゾウ未(曾有】 (「未だかつてあらず」の意) 一、今までに一度もないこと。空前。 二、(梵語 adbhuta)〔仏〕 めずらしいこと。めったにないこと。 以下の出典等省略

   先の大臣(おとど)はどちらの意味でつかったのやら。 そして下々はどう解釈するのやら。 被災者は解釈ではすまないはずだ。

 『気候変動の時代』 とは少なくとも文学系辞書「新潮」の梵語からの解釈が当てはまり、良きにつけ(本義)悪しきにつけ(転意)、【めったにない】 けれど【しかし、ある!】 ことに対応することを考える時代でもあるようだ。

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 さて、大気の自然変動は「気象」だが海洋の自然変動は「海象」となる。 その一つに津波もあるが、ここでは水温の変化について考える。

 水の重さは温度によって変わる。 最も重くなるのは摂氏で 4℃ であるとされるのだが、比重の定義は結構難しい。

  比重 = 物質の質量 / 同一の体積を有する水の質量
       質量比なので単位は無次元となる。 その基準となる以下の項目にはいろんな注釈が付くのだが詳細はウィキペディアに任せて・・・

  1. 基準となる物質は水のみである。
  2. 水の温度を指定するときと指定しないときがある。
    1. 温度を指定しないときは四セルシウス度におけるものである。
    2. 温度を指定したときはその指定の温度を比重と共に示すことになる。
  3. 水の体積は、101 325 Paの圧力下(標準気圧を意味する。)におけるものである。
  4. 物質と水の密度を比較するのではなく、物質の体積と同一の体積の水の質量を直接に比較する。

      常識では水は純水、また温度は 4 ℃ であるが厳密には間違い。

 純水の雨は海にも降る。 いや、海に降るほうがずっと多い。 そして雨水のほうが塩分などのミネラルの溶けこんだ海水よりずっと軽い。

 気候変動による多雨と海水の高温化は、日本が乗っかる大陸系のプレートが海洋系プレートに向かって張り出す大陸棚の上で重しとなっている海水の重さを軽くする。

 言うまでもなく海洋系プレートは大陸系プレートの下側に潜り込み、大陸系プレートの裾である大陸棚を巻き込みながら深い海溝を形成する。

 次回(その 2 )に続く・・・

プレート・テクトニクス理論の予習を少し。

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  比較的新しい理論である。 説自体は古くからあるが1912年の「大陸移動説」からの発展といえる。 工学上の機器の進歩に合わせて観察と傍証による理論化が大局的にはほぼ実証されており、その局地解析に近づける努力が始まっている。

  プレートとは融けた鉄が主体のマントルに浮かぶ外殻である。 ヒトの住めるのはその殻の上に盛り上がり海面から空中に出ている陸地や島であります。

  その殻はひび割れており、上にあるもので大陸系のプレートと海洋系のプレートに分けられる。 火山島は海洋系プレートの上にあって移動している。

  基本的に海洋系プレートが大陸系プレートの下側に潜り込む形で大陸系プレート押し上げている。 その端境が海溝となる。

  それに抗しているのが大陸側のプレートの端つまり大陸棚であり、現在では大陸棚の上の海水の重さも含めて陸地は一応は安定している・・・と思っている。

  現実には海洋プレートがマントルに触れて融け始めるあたりに火山帯ができ火山性地震が多発する。 また海溝付近では側面の崩壊により津波を誘発する地震が発生する。

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ひるがえって日本は・・・(つづく)

2018年8月24日 (金)

過去の記事のアップデートについて

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キネマ航空CEOからのお願い


当オフィスでは時事的な技術記事のアップデートを心がけています
アップデートの告知情報は行った記事のできるだけ上の部分に赤字で記入しています
しかしながら、遡(さかのぼ)っての修正や加筆ができていない記事も多くあります

同じ「カテゴリー」の系統的な読込みをお願いいたします


では、ごゆるりとお楽しみください


当オフィスは『お気に入り』などのサイド・ペインを除いた実質横幅が1,000ピクセル以上の画面とブラウザの
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2018年7月20日 (金)

キネマ航空CEO 『GTF のまとめにかかる』の巻(その 2) と 夏季特集 2 題

公開校正および校閲中です。 キネマ航空CEO (2018/07/20)

 「キネマ航空CEO 『GTF のまとめにかかる』の巻(その 2)」 は、末尾に
 キネマ航空CEO 『GTF をまとめちゃった』の巻を挿入して全三巻で終わりとします。

 巻末に夏季特集として『Honda HF120 とそのライバルたち』 と 『ロールス・ロイスの高バイパス比化について』、 の 2 本を追加しました。後者に訂正加筆を行いました。2018.08.25

 ずいぶん長くなりましたのでクーラーを効かせた部屋でゆっくりとお読みください。

 当CEO は 上記の作業 を除き夏休みに入ります。なお、コメントはお受けいたします。
 皆様もご健勝でお過ごしくださいますよう。
 秋口に当オフィスでまたお会いいたしましょう。

 なお当オフィスが運営する KINEMA AIRLINS はオン・デマンドで終日運行しています。
 皆様の ご搭乗 をお待ちしております。

                                       キネマ航空 CEO  敬白

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(承前)
キネマ航空CEO 『GTF のまとめにかかる』の巻(その 2)

 ターボ・ファンの使命は亜音速の上限を効率よく運行する航空機に最適化または特化したエンジンであります。

 いくらバイパス比を大きくしても低速域ではプロペラの推進効率にはかなわない。

 そこに高速になるほどダクトの抵抗が大きくなるターボ・ファンほどの高速を求めなければターボ・プロップの出番がある・・・のであるが、それはまた別の機会に。

 まず、前回のようにファンとジェットの独立した効率の数値あるいはグラフがあれば、ターボ・ファンの効率の試算は四則演算(加減乗除)の法則で、できる。

 中でも主要なのは加算であります。 ジェット・ブラストの速度比 1 (効率のピーク)をファンの速度比 1 より小さくすることで低速側の効率を改善できそうです。

 下のグラフ上ではグリーンの点線がそれです。 (左クリックでポップアップします)

 どうせやるなら、ブルーの点線で示すファンの効率のピークとなる速度比にまでずらせばいいじゃないか、 と言われても、そうもできない理由もあるのです。

Turbofan_w_staggered_speed

 ターボ・ファンの性能はファンの性能で決まる。そのファンの限界速度はマッハM0.9 程度であります。 つまりファンの効率曲線の速度比 1M 0.9 と読み替えるのです。
 限界速度とはファン、プロペラ、ジェット・ブラストとそれを搭載した機体の速度が一致した状態を示す速度。 現実の最高速度は限界速度より(ちょっと)低く、機体の抵抗と推進力が釣り合う速度です。

 その限界速度を実際に出せるのか、となると重力による緩降下で、あとは機体強度次第の引き起しとなります。 ファンで出せる(地球に沿った)水平速度はせいぜい M 0.8 から M 0.9 の間となる。

 同様に効率のピークを使う巡航速度は M 0.72 あたりを中心にほぼフラットな部分が使え、パイロットは追い風、向かい風でのエンジンの運転状態で対地速度を選べます。 だめなら高度を変えて風の影響を加減することになります。

あっ! ファンの効率曲線はダクトの効果を見込んでいないプロペラの効率曲線です。 もちろんこのグラフのままでの解釈ですから前回に示した「脳内補正手順」を忖度してくださいね。

 となればコア・エンジンとなるジェットの限界速度比「1」をファンの限界速度比の「0.9」にずらせばよい。

 計算はグラフ上の Pure Turbo Jet で基準とした速度比にずらした後の速度比「0.9」をとって係数として乗じて効率はそのままに横にずらすだけです。

 これは 前々回 のターボ・ファンにある二種類の流れ速度の食い違い比(Staggered Speed Ratio 正式の用語じゃない)はファン側の流速を大きくとるので s = 1.1111(=1/0.9) に相当します。グラフでは同じ用語なのに定義が異なりますがご容赦ください。

 前々回の考察ではこの程度の s 値だとコア・エンジンに対する出力の影響はほとんど無視できる・・・詳しくは前々回へのリンクでジャンプしてご確認を。

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 上掲のグラフでは今回の計算結果を実線で、前回の計算結果は破線で示している。

 新しいジェットの効率曲線とファンの効率曲線の交点がずれて、その新しい交点を境に前回と同じ結果がでている。 なんてたって足し算だからね。

 特徴は低速側で改善されてはいるが「どれだけー!」といった程度であり、高速側ではまあね」といった程度の向上が見られる

 さて、グラフ上でターボ・ファンの速度比 0.9 (= M 0.81) を越えたジェット・ブラストはどうなるのか、気になりませんか。

 機体に反力を与えているので速度は維持できますが加速には寄与できません。 あとはファンの性能次第であります。

 さて、前回の結論、「ファンの流速を速くする食い違い速度比は高バイパス比がのほうが安定して作動する範囲が広くなるとはいえそうだ」だった。

 つまりこの程度の食い違い速度はコンベンショナルなターボ・ファンでも技術的に、あるいは機速の速度比によってはバイパス比 q の変動も含めて必然的に生じて、使われているかもしれない。

 ここで本題に立ち返ると、ここまでのニュートン物理の解析と検討は GTF とはまったく何の因果関係も意図的な関連性もない。

 あるのは高バイパス比化はコア・エンジンの高出力化を伴う・・・であります。

 以下、風が吹けば桶屋が儲かる論法で高出力化のための高圧縮・希薄燃焼(リーンバーン)の新世代ターボ・ファン・エンジンが 「GTF」 と 「Non-GTF」 へ分岐する展開を並べて今回のお題に決着をつける。

・ 「GTF」の場合
 ▼バイパス比を大きくするにはファンの直径を大きくする
 ▼ファンの直径が大きくなればより多くのエネルギーの投入が必要
 ▼まず、ファンにつながる低圧段圧縮機を駆動する低圧段駆動タービンの回転数 N1 を大きくする
 ▼回転数を大きくすればより熱エネルギーを回収してより大きい回転エネルギーに変換できる
 ▼より大きな熱エネルギーが回収されるとジェット・ブラストの温度が下がる
 ▼温度が下がるとジェット・ブラストのエネルギーは減少する
 ▼エネルギーが減少すると推力となる流速が下がる。(音速以下にする)

 上記の流れは、▼で分岐される。

 ▼高回転になった N1の回転エネルギーはより高バイパス比のファンを駆動できる
 ▼高バイパス比のファンは直径が大きくなる
 ▼大きくなったファン直径は先端の速度がより超音速になる
 ▼せめて普通の遷音速レベルにするには減速機(Gear Box)を入れてファンの回転数を下げることになる。

 これが 「GTF」 の流れであります。

 ちなみにファンの回転数は何で決まるかというとエンジン側の軸駆動力とファンに掛かる回転抵抗のバランス(釣合い)で決まります。

 効率グラフの 1 未満での釣合いは、ファンはしっかり軸駆動力を受け止めて(吸収して)いますが (1 - 効率)の部分はファンが推進力に変換できていない状態になります。

 動力を吸収できないファンは入力容量が不足している状態で、抑えが利かないファンの回転は(もちろんコア・エンジンの回転も)暴走してしまいます。

 いずれにせよファンの直径がいくら大きくてもファンの諸容量、諸性能がターボ・ファンの性能を左右しています。

 GTFこの釣合いの整合性に関係するのが間に挿入したギヤボックスに設定された減速比 であります。その GTF のデメリットは重くなる、発熱損失が加わる(効率が落ちる)、故障の可能性が増える、騒音源が増える、などがあります。 ギヤボックスはなければないほうが良いのではありますが・・・

 さて、この流れの分岐点はもう一つあります。 むしろ、こちらの▼ほうが重要です。

 ▼ファンに分割したエネルギーである増加した低圧タービン回転数 N1 は上流の低圧段圧縮機の仕事にもつかえる
 ▼低圧段(N1)で圧縮を強化して高圧段(N2)でもさらに圧縮して燃焼効率の改善をする
 ▼燃焼効率の改善ためには高圧段(N2)の回転数も増加させている

 この条件から代替案を得ると・・・

・ 「Non-GTF」 の場合
 簡単に言えば高圧段タービンの回転数 N2 を速くして低圧段タービンの回転数 N1 を低くするバランスの中で燃焼効率を改善させる、のであります。

 ▼バイパス比を大きくするにはファンの直径を大きくする
 ▼そのエネルギーは高圧段圧縮機の駆動回転数となる高圧段タービンの回転数 N2 を速くして燃焼効率を改善する
 ▼改善された燃焼効率は N2 回転数にも使われ圧縮を強化する(これは GTF も同じ)
 ▼N2 回転数を速くすることで N1 回転数に渡す流速(温度)を下げる
 ▼ファンを駆動する N1 回転数はかなう限り小さくする。
 ▼ N1 回転数をかなう限り小さくしてもファン直径に制限ができバイパス比が制限されるその回転数とファン直径のバランスと限界に挑戦する

・ 新世代ターボ・ファン・エンジンで公表されている最大バイパス比は GTF の「P&W PurePower」で 12.5 :1Non-GTF の 「CMF LEAP」で 11 :1 であります。

・  CMF (GE-スネクマ) は「LEAP」で MRJ が採用する下位のクラスには参入する気配はない。そこでエンブラエルの新旧で比較すると GTF の「P&W PurePower」で 12 :1、と 9 :1、これに対する CMF の従来型では  5.4 :1、と 5.1 :1 であります。

・ ちなみに MRJ が採用する出力の異なる 2 種類の GTF はいずれも 9 :1であります。なお MRJ のエンジンの選び方にはエンブラエルとは異なる特徴があります。「MRJ」のカテゴリーの中に詳述してあります。

 ▼ ニュートン力学で機械効率を解析する限りではバイパス比が大きくなるとほとんど仕事効率は変わらない。
 少なくともバイパス比 8:112:1 とでは 1% の差があるかないかである。
 ▼ バイパス比 4:18:1 で比較するとかろうじて 1% あるかな、といったところであります。

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キネマ航空CEO 『GTF をまとめちゃった』 の巻

 『飛行速度を同じとすれば』高バイパス比化はファンを回す追加の燃料投入分だけ出力エネルギーの絶対値は増えている。

 ジェットライナーの『高バイパス比化は機体の重量を含む機体抵抗の絶対値に対応するため』、と考えたほうが理解しやすい。

 ・ 既存の機体によっては増えた分だけエンジンの構造自体をシュリンクさせて投入燃料を減らしエンジンの軽量化もできる。

 ・ エンジン・メーカーはそこまでの個別な忖度はしないが、航空業界の平均的な機体サイズ(クラス)に合わせた出力のラインアップをそろえたシリーズ化を実施せざるを得ない。

 ・ 機体の設計者から見ればシリーズの中のピンポイントでの企画を強いられることにもなる。
(両方やろうとしたのが ホンダ・エアクラフト・カンパニー。 成功してよかった。 エンジンは GE・ホンダ・エアロ・エンジンズ となったが、下記の夏季特集で・・・)

 ・ 新開発のエンジンの選定には機体メーカー側にエンジンに鑑識眼のあるチーフ・エンジニアの存在が必要になる。
(今のところ MRJ-90 で先陣を切る低圧段圧縮機が 3 段から 2 段構成となる 17l bs 以下の GTF については MAC から の具体的な飛行評価は発表されていない) 

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 新世代エンジンでアピールされる燃費性能の向上のポイントは圧縮機とタービンの燃焼系の更新による燃焼効率の改善とデフューザーやノズルと一体のファン効率の改善とを相乗した結果であります。

 PurePowerGTF) と LEAP の違いはファンを駆動する N1 回転数の考え方の差、高・低段圧縮機の回転数 N2N1 の使い分けの考え方の差です。

 GTF の効果については LEAP エンジンのコンセプトがリージョナル・ジェットの下位のクラスにまで影響力を持てるかどうかで見極めることになる。

 つまり、CMFP&W はリージョナル・ジェットの分野で重なる部分を持ちながら棲み分けを模索しているとも言えそうである。

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 では、なぜより小型のビジネス・ジェットで GTF が成功しているのかは簡単であります。

 小型のターボ・ジェットを効率よく安定して作動させるとジェット・ブラストは音速を大きく超える性能が得られる。

 そのエンジンを使うターボ・ファンはジェット・ブラストとファンのモーメンタム・フローの速度を音速以下で等しくさせる技術的である。

 ところがジェット・ブラストを音速以下に下げるにはかなりの高速で N1 回転数を取り出して軸出力に変えてファンにつなげる必要がある。

 そして必然的にファンの先端周速を下げるために減速ギヤ・ボックスを間に入れる必要がある。

 《初歩的な補足》 2018.08.01 追記
   ファンの駆動力として分岐する軸出力は P = 2π・n・T で表し回転数 n を含んでいる  ▼同じ軸出力 P のままでファンを回す軸力(トルク) T を大きくするには回転数 n を小さくすることで可能になる ▼ところが n を小さくするとターボ・エンジンの圧縮機の性能ひいてはエンジン自体の性能が悪化する ▼そこで n を適正に保つ為に間に入れるのがファンの回転数を小さくする減速機で GTF と呼ばれる。
   逆に見れば
▼ 減速機でファンを駆動する n を小さくすることで同じ P でも T を大きくできる ▼結果として大きなファンを回し高バイパス比化が可能になるのだが・・・そうは上手くいかないことを説明したのが当CEO の結論です ▼初期の GTF はこの理屈以前の問題のほうが大きいようです。

 簡単でしょ!減速(機)比は無きゃ無くていいんです。
 ファンが余剰出力を効率よく推力に変えてくれさえすれば。

 初期の GTF はターボ・ファンの創成期に小型のコア・ジェット・エンジンが作れなかったためです。

 現在の GTF 747A380 クラスを双発で飛ばすため ? (これはたぶん無理です)
  (推進力はファンの回転面積に比例するので現行のファン直径の1.41倍の直径が必要。)

 現在の GTF が掲げる旗印は中小型ジェット・ライナーの消費燃料削減と環境対応です。ところが・・・!

 バイパス比の増加は燃料消費の絶対量の増加を伴います。

 GTF は、コア・エンジンの小型化か、機体の大型化か、という二項問題の狭間でエンジン主導の機体を設計することになります。

 また、機体主導で GTF ではない新世代エンジンも選べるか?の問題でもあります。

  従来型を含めた三者択一で選ばざるを得ないのではありますが、この選択が機体の命運を分かつことにもなります。

 でも、先行試作機であっても、コンベンショナル・タイプと言いかえても、従来型は選べないよなぁ、圧力もあるのだろうなぁ。・・・と、当CEO の思う「ゼロの呪い」であります。

 日本だと民間主導とは言え経営陣はともかく、管轄省や外郭団体も口をだすだろうし、先決め丸投げ、だったりして・・・『チーフ・エンジニアはつらいよ』、でありましょうね。

 日本では「チーフ・エンジニア」という見識を問われる職責の権威はないようだ。 ましてや継続して研鑽を積める企業ではない業界ではね。

 一般紙で「チーフ・エンジニア 何某」 と報道されることはまずない。 社内においては重量配分、予算配分の調整役でしかないのかもしれない。

 本田技術研究所が航空機の開発具体化の初期にホンダ・エアクラフト・カンパニーをアメリカで立ち上げたのは経営者の慧眼、見識として、「チーフ・エンジニア」としてプロジェクトをけん引した藤野 道格氏と同格の敬意を払うべきと考えます。

 以上を結論として GTF の巻 の完結です。

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Honda HF120 とそのライバルたち 

  ちなみに Honda HF120 ターボ・ファン・ジェットは GTF ではなく、ファン・ブレードの前縁は新世代エンジンの定番である逆 S 字のワイドコード翼であります。

 バイパス比は 2.9 、ファン直径は公開されていないがエンジン本体の最大直径は 52.8cm となっている。 このバイパス比からは高速性能に優れていると想定できる。

 53cm弱の直径の中にターボ・プロップ・エンジンで採用されることが多い遠心式高圧段圧縮機と反転式の燃焼室を収めているコア・エンジンは極めて小さく、汎用性を目指すことなく自社開発の機体に特化したエンジンのようです。

 GTF 側のベンチマークとしてビジネス・ジェット向けで最も成功しているハネウェル TFE731 ではバイパス比は 2.28から2.8、エンジンの直径は 100cm となっています。
(大きい割にはバイパス比は低い二世代ほど古いコア・エンジン)

 このエンジンは1978年にリリースが開始され、HF120 と同様に高圧段に遠心式圧縮機を採用し反転式燃焼室など全長を詰める小型のジェット・エンジンのデファクトのレイアウトを採用しています。

  しかし、HF120 の事実上の筆頭ライバルは、やはり GTF ではないウィリアムズ FJ44 になる。 外形寸法は若干大きいがシリーズ化は進み 9 型式を数え(ファン直径で52.6cmから64cm、バイパス比 3,28: 1以上)、自家用軽量ジェットや無人機の動力源としてシェアを拡げている。
(バイパス比は 3: 1以上で現在の自家用機市場でのオルタナティブ(更新用)には使い勝手が良いエンジン。ホンダ・ジェットより大きいサイズの機体に合わせている)

 この下位シリーズには FJ33 (ファン直径 43.9cm、バイパス比 3.5: 1)もラインアップされているが採用は今のところ自家用軽量ジェットでは シーラス Vision SF50 の 1機種のみ。

 次に、このクラスで実績がある プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW600 (ファン直径 36.83cm から 44.7cm、バイパス比 1.83 から 2.8)が セスナ サイテーション・マスタング など小型機メーカーに喰い込んでいる。
(ほぼ HF120FJ33 と同等のサイズのエンジン。 三つ巴のライバルとなるか ?)

 Honda HF120 は正確には GE Honda HF120 で製造は GE Honda Aero Engines です。

 GE HF120 に手を伸ばしたのは P&W カナダウィリアムズ・インターナショナルには RR と大手のエンジン・メーカーの息がかかっていることによると考えられる。

 乗っ取るか、乗っ取られるか、それとも Win-Win の関係を築けるか、ホンダは唯一日本で真の航空ビジネスに参入を果たした企業といえるようです。

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ロールス・ロイスの高バイパス比化について

 基本はライバル各社と同じ高温高圧下のリーンバーン技術です。でもターゲットのバイパス比は 15:1 だそうです。

 共通するコンセプトはウルトラ・ファンと呼ぶブレードのチップ側から前進角、後退角・後退角といったいわゆる逆 S 字の前縁をもつ他社と共通する形状のファンを使用して・・・(形状は同じでも材料、工法、などに各社の特徴はあります)

1. 2軸のエンジンでは N1 で回る低圧段の新設計と燃焼系の高温高圧化の新技術を採用(大型のプライベート・ジェット向け)

2. 3軸のエンジン(圧縮段の回転数は前より低・中・高の N1N2N3)では低圧段 N1 を受け持つ軽量化材料の開発と燃焼系の高温高圧化の新技術(N1 回転数の高速化)

3. (2.)の3軸のエンジン(タービン回転数は後ろより低・中・高の N1N2N3)のうち中圧段回転数 N2 とファンの間にギヤ・ボックスを入れた GTF の採用と燃焼系の高温高圧化の新技術に加えて構造的にはよくわからないがファンが低圧段圧縮機回転数 N1 を受け持っているのかもしれない。 RR のサイトにカットアウェイ図のポスターがありダウンロードできます。

遊星ギヤボックスの構造は N1 を太陽歯車 N2 を遊星歯車キャリヤに入力し、リングギヤの合成出力回転数をファン駆動回転数 NF とする動力合成を行っていると思われる。

なお動力循環を避けるため N1N2 の回転方向は同じで NF も同じ方向となる。回転数は N2N1> NF

減速比は P&W より大きくとれるはずで、したがい歯車の負担も大きくなる。

ポスターの歯車は歯丈の低い歯型と特殊な形状の歯筋を採用しているようだ。

 2018.08.26 訂正加筆 

 RR は手堅く両方のコンセプトで段階的に開発を進めるようだ。

 これで、低(中かもしれない圧段圧縮機に可動式静止ベーンを追加すればジェット・ブラストの速度制御も可能になるのかも知れない。

 ここまでくれば既存のジェットエンジン技術のてんこ盛りになるのだが、 MMPMan Money Power:人金力 【ひとかねりょく】 企業評価に使えないかな・・・造語です)は大丈夫かな。

 なお、これらの評価にはエンジンの出口対入り口の圧力比である全圧比Overall Pressure Ratio)が使われるようだ。

 当CEO はとばしてきちゃったな。機会があればね・・・

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 RR に限らず新世代エンジンの課題は構造設計に加えて材料・素材の開発と見極めに掛かっている。

 逆に見れば他の業界(材料、素材、製法 等)の開発力と製造品質管理レベルに掛かっているリスクの多いコンセプトともとれる。

 「エンジン総合メーカーはつらいよ!」だけど、 いまは、蝶よ花よとおだてられているけれど、量産に移ると責任転嫁もされかねない「材料・部品メーカーもつらいよ!」です。

 少なくとも工学にかかわる官民の将来を預かるはずの若い学生諸子は「日本はすごい」のフェイクに近い文脈の報道に迷わされず「すごいのは自分だ」を世界の中で実証してくださるように祈っています。

2018年7月15日 (日)

キネマ航空CEO 『GTF のまとめにかかる』の巻(その 1)

 (承前)

 ターボ・ファンは、『工学的には、本質的に発生の原理が異なる「運動量理論」による流速と「翼素理論」の範疇にある空力機械としてのファンの流速を限りなく音速に近づけることで得られる亜音速の上限をカバーする空力推進技術の相互補完メカニズム』とまとめられる。

 GTF を考えてみると、結局のところ一段の減速比しか無い減速機の追加ではあるがエンジンの回転数を最適化することで燃焼状態を改善する自動車のマニュアル・トランスミッションと同じ機能が使われている。

 推進技術に限らないがエネルギーにかかわるメカニズムの評価には効率の良否(よしあし)が関係する。民生用ならなおさらである。

 当ブログでもターボ・ジェットの運動量理論とファン(プロペラ)の翼素理論の推進効率の解析から 比較の可視化 を行っている。

 その記事から左クリックでポップ・アップできる比較グラフを再掲する。

Efficiency_of_propulsion ターボ・ジェットではどんなエンジンでも同じ数式で同じ曲線になる。

 いっぽう、プロペラでは寸法からは直径、翼型からは揚抗比、エンジンからでは回転数、さらにエンジンの出力と機体で決まる機速等々で大きく変わる。

 グラフの曲線は中(あた)らずとも遠からずといったレベルではあるが一応はどちらも理論から誘導している。しかし、アンダクテッド・プロペラである。

 当CEO は残念ながらターボ・ファン・エンジンのダクトを理論的に解説をした参考書には出会えていない。

 出会っていても断熱圧縮を伴うため、まともな解説はできそうにないので、下の参考書からダクテッド・プロペラの概説を強引に引用して納得してもらうしかない。
(ただし参考書のダクトファンとターボ・ファンのダクトとは設計意図が異なっており、デフューザー効果を伴わないダクテッド・プロペラの範疇に入る) 

飛行機設計論」山名正夫、中口 博  養賢堂 (1968)  pp388 、(5) ダクトファンより引用

・・・筒がない場合に比べて
   (a) 同じ直径のとき静止推力および吸収馬力が大きい
   (b) プロペラ先端と円筒内面との隙間を小さくすると、先端渦による誘導馬力損失が
       少ない
   (c) v/nD の大きな変化に対しプロペラ効率の変化が少ないなどの利点がある。

(以下)理論計算式の展開のあと
・・・ 飛行速度とともに筒の効果が減少する。
・・・ 実際には筒の摩擦抵抗が加わるから v0 (飛行速度)が大きいときには筒の存在がかえって有害となってくる。
・・・ (筒の)前縁推力を出すためには・・・ v0 によって(筒の)最適の形、とくに前縁部の形が違(う)
・・・ もともと、低速時の推力を増すために曳船用の推進装置として考案された
・・・ 筒の形については(参考文献を列記)・・・と続く。
   ( )内は当CEO の加筆。 以上、参考書では V/STOL の章にあります。民生用ドローンの設計者必読かな ?

 以上の所見からは、当CEOが可視化したプロペラのグラフは、速度比 0 から 1 にかけて漸減して 1 になるような係数を乗じる補正が必要と考えられる。

 また、速度比 0 の場合の補正係数はいくつかの実験式や理論計算式で 1 以上であることは間違いない。

 ターボ・ファンのダクトでも同様の補正が必要と考えられるが参考書の数値はそのまま使えそうにない。

 したがいプロペラの効率のカーブは次のような想像力で、しかも読者にもカバーしていただくしかない。

  (イ) 二つの効率の曲線の交点より左側(速度比 0 の側)では速度比 0 の効率は 0 のままで膨らみ逆立ちした放物線が傾いた形になる。
  (ロ) 効率のピーク値はより 1 に近づくかもしれない
(でもダクトの形状抵抗で実装状態では相殺されるかも)。さらにピークは速度比の小さい側に僅かだろうが移動するかもしれない。

 以下、上記の予測される補正はしないで先に挙げたターボ・ファンの効率のグラフを元に下式を使って加工した結果に上記の所見を加味して考察する。いや、してもらう!

 なお、基にするグラフの設定条件は機体の抵抗も含めてファンのモーメンタム・フローとコア・ジェットのジェット・ブラストの速度とが等しいこと、かつ基準としたエネルギーも等しいという前提です。

 ターボ・ファンのバイパス比 q : 1 、推進効率 ηTF 、プロペラの推進効率 ηP 、コア・エンジンの推進効率 ηJ とする。

       ηTF = {q/(q + 1)}* ηP + { 1/(q + 1)}*ηJ = (ηP * q+ ηJ )/(q + 1)

 つまり、一つのエンジンを同じ最高速で飛べるファンとジェットの二つの独立したエンジンにして一つの機体に搭載し、それぞれのエンジンが分担する効率をバイパス比で分割してさらに合計した値です。

 ターボ・プロップとターボ・ジェットの組み合わせでは 川崎 P2-J がありました。
 モーメンタム・フローとのジェット・ブラストの速度とが等しいかどうかは分かりません。
 たしか緊急時加速用補助エンジンのはずでジェット・ブラストのほうが速いと思われる。
 効率は悪いだろうけど民生用ではないからなー。しかもパートタイマーだし。
 そんなにメジャーなブログでもないけど間違っていれば炎上するだろうなー。
Turbofan_w_samespeed

 当たり前のことながら、両効率曲線の交点より右側(高速)では ηJ > ηTF > ηPq が小さいほどターボ・ファンの効率は良い。

 逆に、交点より左側(低速)では ηP > ηTF > ηJ でバイパス比 q が大きいほどターボ・ファンの効率は良い。

 ただ、どちらの場合でも q が大きくなるほど ηTF の差がほとんどなくなる。

 ただし、プロペラのダクトとターボ・ファンのダクトは機能構造が異なりバイパス比  q の関数で効率がよくなる可能性はあるかも知れない。

 あったとしてもエネルギーの分配という面では差は小さいのではないかと思える。

 バイパス比  q といえば速度比によって変化するのではないかとの疑問は当CEO の中でも解消されていない。

 呼称値である q の定義自体は明確だが実態は定かではない。

 当CEO の当面の進行は、個別の型式間の呼称値としての q の影響は型式間の比較の上では類似または近似するとの前提であります。

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 さて、次回は モーメンタム・フロー > ジェット・ブラスト となる速度差の影響は、について考えるのココロだー!

2018年7月11日 (水)

キネマ航空CEO 「高バイパス比化に意味があるの ?」 について考えるの巻(再掲)

・ 式の表現方法を修正後の再掲です。(2018/07/11)
・ 修正についての説明は本件のお詫びの記事に追記いたします。
・ 細部の修正を含めて校正、校閲を継続中です。

キネマ航空CEO 『GTF はターボ・ファン・ジェットかダクテッド・ターボ・プロップか、を考える』 の巻 (その 2)  (2018.04.29)の回をご一読の上お進みください。

 なお、使用した図は こちら から。まず、今回必要な数式部分の復習から始めます。 今回も運動量理論での解析です。

 ターボファンはコアエンジンの持っているターボ・ジェットとしてのエネルギーから
k (0≦k1) の分割比でファンに分割する。

 ただし分割に伴う効率ψ0<ψ<1)が発生し実際に分割されるエネルギーは (k/ψ)となり、コアエンジンに残るエネルギーは分割された割合を除いた{1-(k/ψ)}となる。

 コア・エンジンに残ったエネルギー KC のジェット・ブラストの速度は VC 、質量は m
 ファンが受け取るエネルギー KF  が作るモーメンタム・フローの速度は VF、質量は q・mq はバイパス比)。
 コア・エンジンが単体のターボ・ジェットとして持つエネルギー KJ が発生させるジェット・ブラストは VJ 、質量は m のままでコア・ジェットと同じです。以上を数式に移すと・・・

 J = (1/2)・mVJ2   

 C = {1- (k/ψ)}・KJ = (1/2)・{1-(k/ψ)}・mVJ2 = (1/2)・mVC2  より

 VC/VJ = √{1-(k/ψ)} ・・・  (1)

 KF = (k/ψ)・KJ = (1/2)・(k/ψ)・mVJ2 = (1/2)・q・mVF2  より

 VF/VJ = √{(k/ψ)/q}} ・・・ (2)

 ターボファン・ジェット・エンジンに求めるものはピュア・ターボ・ジェットの出す一定のエネルギー KJ で得ることのできる仕事 WTF の増加であります。

 ターボファンとしての等価速度を VTF と置き、その速度を持つ質量は (q+1)・m となる。

 WTF = (q+1)・m・V1(VTF-V1) = m・V1 ・ (VC - V1 ) + q・m・V1 ・(VF - V1 )
                  = m・V1 ・[ [ √{1-(k/ψ)}+ q・√{(k/ψ)/q} ]・VJ -(q+1)V1 ] ]
より、

 VTF = [ [ √{1- (k/ψ)}+ q・√{(k/ψ)/q}]/(q+1) ]VJ ・・・  (3)

 分子は 0≦k/ψ)≦10 < q のため VJ≧VTF となる。VTFk/ψ)q の関数であるが k/ψ)q の関数でもある。

  [ √{1- (k/ψ)}+ q・√{(k/ψ)/q}]/(q+1)  = A と置き dA/dk = 0 と微分して A の極値(最大値)を求めると VC = VF つまりコア・エンジンのジェット・ブラストとファンのモーメンタム・フローの速度が等しい場合となりファンが受け取るエネルギーの割合は
(k/ψ) = q/(q+1) なのだが計算過程は省略します。

 したがい、ターボファン・ジェットのエネルギー速度 VTF とコア・エンジン単体のジェットブラスト VJ の比は、

 VTF/VJ = 1/√(q+1) ・・・ (a) 

--------------以上が復習--------------

 なお、(a)式は次のように逆比として書き直します。

 VJ/VTF = √(1+q ・・・ (4)

 理由はファンのモーメンタム・フローとコア・エンジンとしてのジェット・ブラストが合成されたターボ・ファンの推進噴流の等価速度 VTF は機体の出せる限界速度に相当します。

 このエンジンが採用された機種もしくはクラスの中ではほぼ一定値ですので既知の基準値として扱えるからです。

 さて、ここからは VCVF の場合の検討です。(2)式を(1)式で割るとファンのモーメンタム・フロー VF とコア・エンジンのジェット・ブラスト VC との速度比 s が求められる。

 s = VF / VC = √[{(k/ψ)/q} /{1- (k/ψ)} ]  より

 (k/ψ) = 1/{1/(qs2 )+ 1}

 を(3)式へ代入し整理すると

 VJ/VTF = (1+q)・√(1+q・s2)/(1+q・s) ・・・ (4'

 ここで、「見える化」をしてみる。

 (4')式は s=1 の場合に VC = VF すなわち速度と引き換えに最大の仕事を引き出せる、ひいてはコア・エンジン単体に要求される推力が最小となる(4)式と同じになります。

 この関係を s=1 でバイパス比 qVJ/VTF の関数としてグラフにしてみました。Vjvsvtf 値を表にすると

BPR 0 : 1 1 : 1 2 : 1 3 : 1 4 : 1 5 : 1 6 : 1 7 : 1 8 : 1 9: 1 10 : 1 11 : 1 12 : 1
VJ/VTF 1.00 1.41 1.73 2.00 2.24 2.45 2.65 2.83 3.00 3.16 3.32 3.46 3.61

     (BPR 0 : 1 はピュア・ターボ・ジェットを指しています。)

 BPR 0:1を除く表の値に一般的なジェットライナーの最高速 VTF = M 0.8 を掛けるとその エンジンの BPR でコア・エンジンに必要な単体エンジンに要求されるジェット・ブラストの速度が出ます。

 例えば BPR が 8:1の場合は M 2.4 となります。もちろん伝達効率 100% の運動量理論上で、の結果ですからファン側に翼素理論を適用すればもっと上回るはずです。
(「すりゃーいいじゃないか」、と言われても 当CEOには無理 なのよね)

 参考までに、 M 1.00 で飛べるターボ・エンジンをコア・ジェットにする BPR 12 : 1 のターボ・ファンの場合の VTF はこの表の逆比となり、 M 0.277 で飛ぶことになっちゃいます。

 本筋の(4')式に戻ってバイパス比 q をパラメータとして、ターボ・ファンのファンとコア・ジェットの流速比 s が変化する場合の VJ/VTF を計算してみます。

Incriment_of_vj_vs_vtf_table_rev1 ここでは計算結果の整理に、次式を用いて各 BPR ごとに VJ/VTFs = x の値から VJ/VTFs = 1(上記の表)を引いた差分を⊿VJ/VTF として表示します。

   ⊿VJ/VTFs = x = VJ/VTFs = x - VJ/VTFs = 1

 目的はこれにより BPR の系列ごとに s の影響を分かりやすく相対化するためです。

 左のアイコン・レベルまで縮小した差分表は左ボタン(ワン)クリックでポップアップします。

 小数点以下の第 3 位を四捨五入してあります。 差が0.005未満で差分が 0 となる範囲は広い。 これではよく分からないのでグラフ化してみましょう。

Incriment_of_vj_vs_vtf_graph

 (すみません)グラフ内に書きそこなったけれど横軸が s = VF / VC )です。縦軸は s の増減で変化するコアとなるターボ・ジェットが単体で増減する⊿VJ/VTF の値です。

 s < 1VF < VCs = 1VF = VCs > 1VF > VC

 s = 1VJ/VTF が最低値となることはこのグラフからでも間違いない。
つまり採用したコア・エンジンがターボ・ファンとして働く最大の仕事の元となる速度 VTF が得られる比 [VTF/VJ ]のポイントです。(くどいようですがモーメンタム(運動量)理論で、です)

 s > 1 の側、つまりファンによる流速のほうがジェット・ブラストの流速より速い側ではバイパス比 q が大きくなるほど VJ/VTF の変化の傾斜が小さくなることが分かる。
BPR の増加によるベースとなる出力の増加に比べて s の変化による出力の増加が小さくなる範囲です)

 ついでに、s < 1 の側、つまりファンによる流速のほうがジェット・ブラストの流速より遅い側では q0:1で示したピュア・ターボの状態を除きバイパス比 q とは関係なく VJ/VTF は撚った縄の状態で急激に傾斜がきつくなっている。 

 比を変数として扱ったグラフの視覚的な理解には注意が必要です▼「1 」を挟んでグラフの左側では「0」に近づき、右では「∞」に及ぶ▼比は逆立ちできる▼逆立ちしたら左の「0.5」は右では「2」▼左の「0」は右の「∞」に相当している▼s' = 1/s として s' を横軸にすると別の様相が見えるはず▼やってみてね。(閑話休題)

 さて、ターボ・ファンやターボ・プロップにおいてはアイドリング時から 100%以上の過負荷運転時において常に一定のバイパス比 q を維持しているとも思えないのだが、これは後に回して、・・・

 相当バイパス比(Equiv. BPR)が  50-100:1 と言われるターボプロップでは VJ/VTF の増分の傾斜はもっと緩やかになり VF > VC となる速度差をつけることは効果が大きいのではないだろうか。

 では、現在の GTF で計画されているターボ・ファン最大の BPR 12.5:1で実施されば効果はどうか、と問われると、いささか心もとないのだが差分表からは s = 1.25 辺りまではコア・エンジンに対してほとんど影響なくファンの流速を早められそうなのだが・・・

 漠然とではありますが、亜音速の上限を棲み処(か)とするターボ・ファンの原理から言えばジェット・ブラストの流速を遅くすることでファンによる質量の多い冷気の流速を多少は速くすることができそうであります。

 バイパス比 qs に連動して変化することはないと仮定すれば仕事 WTF の向上も多少の期待が持てるのでは、とも思えてきます。

 つまり、ジェット・ブラストのエネルギーをファンにさらに分割し、ファンには空回りせずに仕事をしてくれる容量があるならばです。

 計算式を構成する複数の要因の関係は、現在の技術ではファンの推力係数および入力係数と燃料投入量で変わる出力(飛行速度)を介した成り行きで決まってしまうので特定の速度域ではすでに使われている既知の技術かもしれません。

 ターボ・プロップではプロペラに可変ピッチ機構が採用されてプロペラ側からでも係数を変える制御ができる。ターボ・エンジンでは低圧段圧縮機の静止翼の迎え角を可変にして出力を制御する技術もあるけど・・・こちらは微妙な制御に使えるのかな。

 まあ、このグラフも見方を変えれば二つの流速を常に等しくするようなピン・ポイントの制御をするほどのものではない、と消極的な見方もできそうですね。

 とは言え、条件付きではありますが高バイパス比になるほど僅かな燃料の持ち出しで仕事 WTF の向上の可能性があるのでは、と推測も可能です。

 もっともその前に、前回考察した N1N2 回転数の増加による燃焼効率の改善のほうが必須の条件と考えられます。

 それらをひっくるめてバイパス比は大きいほうが運用上の余裕度はありそうです。 まずはターボ・ファンの吐出する二つの流れの速度比 s はどれくらい大きくあるいは小さくできるのだろう。

 次回からは別の方向から考えることにしてみる・・・か。

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