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カテゴリー「フライト011」の4件の記事

2014年8月14日 (木)

キネマ航空 011便拾遺 その1 『アロー』編 ベターメントとイノベーション

2014/07/15 22:30 キネマ航空 011便 が就航いたしました
ご搭乗をお待ちしております

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011便の筆頭はアブロ・カナダ CF-105 アローがアメリカの圧力で開発中止に追い込まれた経緯を描くカナダのTV作品でしたが日本にも似たような例があります。

JSDAFの三菱 F-1 およびMD(現ボーイング) F-4J の更新機種は、『日本独自の戦闘機』を開発しようとする計画に対するアメリカ政府(もちろん軍需産業)のロッキード・マーチン F-16 を調達させる横やり工作をかわし、そのF-16 をベースに高いライセンス料と部品の購入を強いられながらも日本独自の仕様を盛り込んだ三菱 F-2として 開発された。(背景はもっと複雑なようですが要約すると・・・です)

アローとは違い正式採用となり、本来ならゼロ戦の再来だったはずという片鱗を残しているということでか、 F-2 をけなすと、とんでもないことになるようです。

WEBで『駄っ作機 f2 』とか『最悪航空機 f2 』で検索するとあまたの反論が出てきて、「筆者が訂正、謝罪した」とか、翻訳本には「訳者に訂正させろ」、とか賑やかです。まあ、軍用機ですから実際に交戦しなければ本当のところは分かりません。

日本が既成機種のF-16 ではなく、 F-2 の開発にこだわったのか、といえば、次の三点のようだ。何となくアローの仕様に似ていませんか?

 ・ 戦闘行動半径480km以上
 ・ 射程100km以上の空対艦ミサイルを4発搭載できること
 ・ 目標探知性能の高いフェイズドアレイ・レーダーの実装

行動半径は排他的経済水域の200海里(370km)線内をカバーする前提と思われる。110kmもオーバーしている、と言われても海岸線のいたるところに発進基地があるわけでもないからね。いっぽうでは陸の間が200海里もない国もあるので某政党では憲法解釈の根拠にしていたようでもありますが・・・後者は議論としては幼稚なような・・・

F-2 の仕様決定時(1985)と F-16 の仕様策定時(1972)の比較では明らかに F-2 のほうが進んでいたのは間違いない。

その仕様の差は1983年3月から6月にかけてのフォークランド海空戦闘の戦訓であろう。

すなわち、丸い地球の水平線下に隠れての攻撃を基本として、島嶼の陰に入ったり、または背としたりすることで、ルックダウンの探知能力の低い艦隊には航空優位に立てる。

その結果、英軍の艦隊や船団は空対艦の戦闘では多くの損害を出した。また攻撃用弾薬においても空対艦誘導ミサイルばかりではなく旧来の投弾方法でも命中が得られる結果となった。(信管設定での不発も多かったようだけど)

当然、米国も戦訓は取り入れる。 F-16 のほうは生産数が多いためマイナー・バージョンアップである生産ブロックごとに仕様のステップ・アップを進めており、空対艦ミサイル ハープーンの装着時点での差では( F-2 フリークからは反論がでるだろうけど)対艦ミサイルの搭載数が2基少ない程度であろう。

日本海軍の大艦巨砲主義のような、逆トラウマ的な重い対艦ミサイル搭載数が1機当たりで多いほうが 戦術的に優位とする仕様には疑問はある。

4基のミサイルといっても発射は機体のバランス上から左右の2基を同時に発射し、続く2基の発射で奥にいる艦を狙うには同じ高度のままの直進が必要だろうし、高速で敵のピケット・ラインに近づいていくことになる。

まあ、母機から目標をロックオンしなくても、撃ちっぱなしで衛星やその他の戦術統制機からの遠隔誘導でミサイル自体が自己誘導のできる目標の近くまで飛ばせるのかもしれないが・・・こうなると戦闘機というより運び屋だね。

いっぽう防衛する艦隊側のルックダウン探知能力にしても空母から発進する早期警戒機でなければ達成できないかどうかは、戦訓から30年たった現在では覆っているかもしれない。

翻訳本の指摘は、日本は同じ陣営で二倍の価格となる自前の戦闘機(戦時消耗品)をそろえるより、多少性能が劣っても二倍の機数をそろえたほうがよい、といったところのようだ。

実戦になれば消耗は避けられない。しかし、控えのパイロットがおれば損耗機数をうめる補給を受けて転換訓練を省略した即戦力となれる。

裏を読めば日本は本当に自分達の陣営で戦争する気があるのかな?とも・・・スイスやスエーデンの武装中立は外交交渉の仲介国になれるが日本ではねー・・・とも読める。
最近は聞かなくなった非武装中立はもっと非現実ではありますが・・・

とはいえ、欧州連合のユーロファイターの連合から一抜けたのフランスのダッソー ラファールの例もあるからどっちもどっち、か・・・要するに男の子も国家も自前の戦闘機が好きなんだな。

好き!といってもイギリスもドイツも一国で戦闘機を賄う気はないようだけどフランスはやる気満々ですね。いずれドイツともう一戦交えるときに備えるつもりかもね。いや、ホントのところは戦闘機輸出のフリー・ハンドがほしいんだろうね。

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F-2 が『ゼロ』の末裔か、というと生まれてからの大きな進展が進められないということではよく似ている。これはご先祖にあった基本設計で、というより単純に予算執行のできる生産機数が少ないためだろう。

もっと言えば、ある時点で一歩進んでいたということは「零戦」と同じく技術の進展を外挿法で予測して仕様をつくり、開発していたことである。つまり、より良くする、ベターメントの開発技術であるといえる。

アメリカもステルスにシフトした F-22F-35 あたりからベターメントの限界を感じ始めて、マルチロールと呼ばれる戦闘機の攻撃用途の部分は無人機に置き換えていくようだ。

ベターメントの対極はイノベーションであるが、イノベーションには企業が潰れるほどの衝撃を産業界に生じさせる。

アメリカの軍需産業はそれぞれ中小の標的機(ドローン)の製造メーカーを傘下に吸収し、マイクロソフトはすでに市中で無人機のパイロットを養成できるゲーム・アプリケーションを完成させている。

これからはF-22 に対する F-35F-15 に対する F-16 と同じように大量に生産される保証もしくは確証はないと考られる。

完全に理論通りに創ったと考えられる F-117 よりステルス性は後退したと考えられる F-22 の調達数を極端に減らしたのは予算不足ばかりではなく、アンチ・ステルス技術が進歩した結果とのバランス・・・では、と、思われる。

いっぽうでは仮想(なにせ友軍機が務めるもんで)空戦実験によるキルレシオによるとも思える。たとえば、5対1だと味方が1機落とされる間に敵を5機落とせる、とすれば敵の5分の1強の機数をそろえておけばいいこと・・・になるが、そんなにうまく行くとも思えないのだけど。

生産機数が少なければ単価を高く設定できるとはいえ、最近伝えられる F-35 の国内事業に対する三菱の逡巡には、設備投資の補助金増額と、政府に貸しを作る駆け引き、があるとは思うが、民間機に傾注するための財務内容からは戦闘機ビジネスの限界を深刻に考え始めているとも思える。

WEBで語られている実績や自信があるなら、買わせていただくのではなく、造ってあげる立場で日本国政府が交換条件として三菱に代わって米国政府と民間機開発の具体的援助を取り付けるなどの政府間の覚書などと引き換えに参加するなど航空政策を行っていただきたいものですね。

?、F-35ロッキード・マーチン社の開発で、民間機の設計・製造・販売から撤退して、ン十年たっているですって?そこにボーイングを巻き込んで交渉するのが国家官僚の仕事でしょう!相手は国務省だけ、こちらは財務省を巻き込んで外務省、通産省、防衛省の連合軍じゃないですか。(そー・・・だからダメなの?)

以下余談(キネマ航空のコマーシャル)

当 キネマ航空007便 の「イングリッシュ・ペイシェント」にもご搭乗をお待ちしています。

2014年7月30日 (水)

キネマ航空 011便拾遺 その2 『超音ジェット機』編・・・自動車の自動化について

2014/07/15 22:30 キネマ航空 011便 が就航いたしました
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上映している『超音ジェット機』を執筆中の感慨です。

古い映画を観るとどこか、居心地の悪いずれを感じることがあります。これは視聴者自身がどう感じるかで、だれもがそうだ、と断定できるものでもありませんが・・・

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自動車では人間の制御するべき「走る・止まる・曲がる」の根幹機能にコンピュータが介入する飛行機に近づいていきます。

飛行機においてはコンピュータの制御範囲を越えて事故に到るとパイロット・ミスとされます。当然パイロットは十分に訓練されており、一般的には納得できます。(逆噴射機長なんてのもいましたが・・・これはまた別の問題)

しかし、オスプレイ・フリークの記事やコメントを読むと、某事故ではコンピュータの制御には問題なかった。したがい「パイロット・ミス」であり安全な機体である。といった変な論調も見受けられる。本来はパイロットを含めたシステムの問題としてとらえる問題のはず。

さて、コンピュータではないが自動車の安全技術で法律で義務化されたシート・ベルトがある。衝突時の身体的な損傷を1ランク、2ランクと下げる技術であるが、一方では以前は即死であったが脳死となって生きることもある。技術は数の比で量られている。

もちろんドライブ・コントロール・コンピュータによる自動制御技術で救われる例も多いだろう。

しかし、自動化されたとしてもすべてが安全になるわけではない。未だに涎ちゃん(©松本人志 )も運転できる。だって事前に止めるチェックさえできないんだもの。

普通の人だって何かあれば、
 『車を信じていたが機能が働かなかった。したがい欠陥車だ』、といい、
メーカーはご契約時に、
 『ご提供した機能には正常に作動できる範囲がありますと、ご説明しましたよね』、という。
そのことを覚えているドライバーは何人いるのか・・・

その前に!いや、後にか?、幸い軽度の事故で済んでも保険会社はこうした事故に対応できるのか・・・な。
まさか「自分で『欠陥車』を証明するのが決まりです」なんて言い出すのでは・・・。

「日本の民事訴訟では、原則として自己に有利な法律効果の発生を求める者は、その法条の要件事実について証明責任を負うと考えられている」・・・そーです。

法律ですから解釈が必要で、そのために双方に(最近は余剰、過剰らしい)弁護士のお仕事ができる。現実にアメリカでは自動車がらみの法廷闘争が頻発する。

いや、その前に刑事事件となった場合に日本の警察は、アメリカのNTSCのような調査を飛行機に比べればべらぼーな数の自動車事故に対応できる機関があるのか、これから作るのか。

ドライバーは考えられるすべての状況をパイロットの訓練ほどに経験しているわけでもない。しかし、安全運航、安全走行は飛行機と等価であろう。

高度なコンピュータ化には自動車でも、事故後の解析として飛行機にあるようなドライブ・データ・レコーダーやボイス・レコーダーの併設が必須であろうが、プライバシーの侵害としてフツーのドライバーからは拒否される・・・だろうね。

航空機のコックピット・マネージメントについては米国のNASAが航空機のシステムと人間の対応性(マン・マシン・システム)について学際的な研究と討論が行われているようだ。

当ブログでその先駆けとなった「フライトデッキの自動化:期待と現実 (1988)」の前文 『スーザンさんの犬』 の拙訳を載せているのでご参照ください。シンポジューム全文へのリンク(英文)もそのページにあります。

問題は、日本の航空機(ひいては自動車)の設計者も監督する官庁もアメリカの規格ないし基準をそのまま安全規格・基準として採用するだけで、研究の過程などの系統だった哲学の部分は(個人はともかくとして)組織内のエンジニアや官僚からは一顧だにされてない、というより無条件で受け入れているのでは、とも思える。

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さて、1970年だから4昔(むかし)半前に大阪万博が開かれた。このとき電気自動車が混雑する会場内を走った。

この電気自動車もかなり静かだった(らしい・・・混雑の嫌いな当CEOは行っていない)。
日本の技術者は考えた。車の存在を周囲に知らせるにはどうするか?ガソリン車のクラクションの転用では角が立つ。やはり人間の言葉が必要だ!

で、当時としては、画期的な、のか、あえてそうした、のか、少し間の抜けた合成音声で『じんるいのーしんぽとちょーわ』としゃべらせることにした。博覧会のテーマである「人類の進歩と調和 (Progress and Harmony for Mankind)」である。日本らしいクールな発想と思うのだけどね。

その進歩の先にある現在の技術では、もっとソフトな声が使えるのだが、実用化されたハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)には採用されなかった。

自動車の根幹機能に使えるセンサー技術ならモールの駐車場エリアで背後から音もなく迫ってくる車たちに脅えることもなかろうと思えるのだけど。

さらに進めば走行中になにか物体に接触した反応があったら『轢き逃げ、御免!』とか『当て逃げ、御免!』と声をだし、警察に出頭して解除されるまで繰り返ししゃべり続けさせることだってできる。

これなら、そんなことをしない限りドライバーの負担にはならないからプライバシーには関係なかろう。

もちろん、こんなケースには逆効果だ、と反論は山と出てくる。当CEOにだって出せる。ただ、多くの事故はドライバー自身のソフト・パワーでしか回避できない。そのための技術があるはずであるが。

とはいっても、再見した映画で感じた技術を信じることへの居心地の悪さは、リタイヤしてしまった技術者にはある意味では卑怯にも他人事として、今、当事者でなくてよかったとも思えてきます。

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それで『轢き逃げ、御免!』ボイスの装着車を輸出する場合は ”Sorry! Hit and Run” かな?Hit には『殺し』って意味もあるし・・・

2014年7月20日 (日)

キネマ航空 011便拾遺 その3 『アビエイター』編 P&W ワスプ・メジャーとCWC ターボ・コンパウンドについて

2014/07/15 22:30 キネマ航空 011便 が就航いたしました
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フライト011 で上映している『アビエーター』で囲みの原稿を書きながら平行してまとめていた文です。両方読んでくださいね。

ヒューズ・エアクラフト社がかかわった固定翼機の『XH-11』と『H-4 ハーキュリーズ』に使われたエンジンは空冷星型4列28気筒プラット・アンド・ホイットニー R-4360 ワスプ・メジャーの系列でした。

このエンジンがプラット・アンド・ホイットニー(以下P&W)社が生産した最後のレシプロ・エンジンでした。優れた軍用航空エンジンではありましたが民間機としては扱いにくいエンジンのようでした。

民間機として採用したのは、B-29 のカーチス・ライト R-3350 で手をやいていたボーイングがそのB-29 をベースにした旅客機ボーイング モデル 377 ストラト・クルーザー、この一機種だけでした。

ストラト・クルーザーすべてがエンジンに原因あったわけではありませんでしたが運航に支障をきたすインシデントに加えて事故率が高く、生産数も56機で終わり、運行する会社も減ってゆきました。

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いずれの業界においても一、二を争うライバルと付かず離れず我が道を行く第三の競合社があってこそ進歩します。

この時代のP&W社に対抗するライバルはカーチス・ライト社でした。カーチス・ライトの最後のレシプロ・エンジンは空冷星形2列18気筒(直径1,413mm)R-3350 ターボ・コンパウンド・タイプでした。1 列あたり9気筒ですから日本は冷却問題で4列化を諦めた形式です。

ターボ」とはエンジンの排気のスピード(すなわちエネルギー)を回転力に変える装置です。この場合はその回転力を使って圧縮機を回して圧縮した空気をレシプロ・エンジンのシリンダーの中に送り込んで馬力を向上させるシステム(ターボ過給)を指しています。

コンパウンド」はターボ過給をしても、なお余る回転力をクランク軸(を含む出力軸)に戻して更なる馬力アップを図るメカニズムです。

ただし直接戻したら振動でどこかが壊れてしまうので流体継手(自動車に使われているトルコンの原型)を介してつなぎます。R-3350 では一基あたり6気筒をまとめるターボ・コンパウンド・システムが3つ付いていました。

ターボ・コンパウンド化 によって離昇出力は2,200hp/2,800rpmから3,200hp/2,900rpmと飛躍的な向上を遂げました。

ベースとなったR-3350ボーイングB-29 を頂点とする軍用機が主体(戦時中だから当たり前)だったが、一番燃えやすい金属であるマグネシウムの合金を多用したので飛び散った油が燃えるのではなくエンジン本体が燃えるという珍しい事故が頻発しておりました。

ということは、機体に取り付ける部分も燃えるということですからエンジンを落っことす事故もあったようです。『クワバラ、クワバラ』でも、雷じゃないから呪文も利かないな。

ターボ・コンパウンド化は戦後の民間機に当て込んだ馬力競争へ向けた改造でした。まずはベースとなった非ターボ・コンパウンド・システムR-3350を採用していたロッキード コンステレーションの更新機種であるスーパー・コンステレーションに採用されます。ちなみにコンステレーション・シリーズTWAのハワード・ヒューズ一押しの快速旅客機でありました。

旅客機製造に再参入を計るボーイングワスプ・メジャーで早々と脱落し、旅客機では一方の雄であるダグラス社はP&W R-2800 ダブル・ワスプを採用していたDC-6 の更新機種となるDC-7 からカーチス・ライト R-3350 ターボ・コンパウンドに乗り換えました。

いずれにせよ、民間のレシプロ旅客機の終焉をともにしたのは、気筒数は10本少ないけれど、ライバルと同じように整備性には問題の多いカーチス・ライト R-3350 ターボ・コンパウンドでありました。

カーチス・ライト社は民間機に採用されたエンジン・メーカーとしてはウィナーとなりましたが製品寿命は短いものでした。シンプルな構造のジェット・エンジンやターボ・プロップ・エンジンの登場がこの時期に重なっていました。ボーイングはこの機会をつかみ、やがては米国唯一の大型旅客機メーカーとなります)

ここで、航空の黎明期の両雄の名をとった カーチス・ライト社は航空機エンジンの生産から撤退して1950年代には部品事業に特化しました。

いっぽうのP&Wは、ターボ・コンパウンドなどのギミックには深入りせず、経験などなかったジェット・エンジンの技術導入に傾注しました。今ではゼネラル・エレクトリックGE)、ロールス・ロイスRR)と並ぶエンジンメーカーです。
GEは戦時中の軍需品の相互供与で政府が英国より入手したパワージェッツ社のパワー・ジェット W.1 の技術評価を受注していました)

P&Wワスプ・メジャーは別の面で長生きでした。ボーイング377(含む軍用型C-97 ストラト・フレイター)をエアロ・スペース・ライン社で改造して、ロケットや飛行機の半完成部品を運ぶ西側の大物搬送用輸送機となった、プレグナント グッピー『ミニ・グッピー(一部はターボ・プロップに換装)のエンジンとしてそのまま使われました。(機体の大幅な改造を施したスーパー・グッピーは最初からアリソン・501-D22C ターボ・プロップ・エンジンに換装されました)

機体そのものは特殊用途の専用機であることで旅客機ほど酷使されることもなかったのか、最初からターボ・プロップに換装された機体はフランスでエアバスの生産に使われるなど長生きでした。いまでも予備機として保管されているそうです・・・P&Wはジェット・エンジンをどこかで買ってくれるなら・・・でも敵に塩を贈ることになったボーイングとしては、どうなんだろうなあ・・・

で、ワスプ・メジャーP&W)とターボ・コンパウンドカーチス・ライト)では、「結局、どちらが優れていたの?」 となると採用した軍用機の機種では最大出力の差もあるのでしょうがワスプ・メジャーが圧倒的に数が多い。

とはいっても時代が時代だから成功した機種はすくないのだが、プロペラの強度対策の後は完璧な整備と注意深いフライト・エンジニアがいればそれなりに信頼性は高かったと思える。

民間機でのワスプ・メジャーの失敗は先行して爆撃機ベースの機体にマッチングの悪いプロペラを組み合わせて採用されたのが不運だった、と言えそうだ。後から続くユーザーは何れを選ぶかではなく、同じものを採用するか別のライバルを採用するかの決断だから楽ではあります。

・・・が、飛行機だって早くつくって早く売らなきゃならない。エンジンと機体の需要と供給のバランスに加えて政治的な圧力もあるんだろうなー。

軍用機はというと、機体メーカーがエンジン・メーカーを決めるというより、国が他の機体メーカー分も含めて数をまとめてエンジン・メーカーと価格交渉して購入後に有償支給をする契約なので自由度は少ない。でも、今では民間機向けの数のほうが多いので、民生用エンジンの共用レベルでは少しは変わったかも。

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技術史として見れば一つの分野の工業製品が頂点を迎えるとき、『なるほど』の技術の組み合わせで、性能上は誇れる数字を示しているが、どことなくあやしげな構造の蔭に問題が隠れているようだ。

ワスプ・メジャーの点火プラグなんて一気筒あたり2本、一基あたり56本。旅客機にするにはx4で224本と同数のコードに加え点火コイル、分配器などの補機が必要になる。理屈は既存の技術を連結しただけだが、数が増えれば整備コストもリスクも2倍かそれ以上になる。

いまの自動車で経験することはまずないが、冷気始動時にプラグ被りを起こして始動できないとカウリングを外し、エンジンのプラグをすべて抜いて乾かして再装着しなければならないのです。(ガソリンが気化せずプラグの先端が濡れてしまったら通電抵抗がなくなり点火のための火花が飛ばない)

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飛行機を推進するレシプロ・エンジンはジェット・エンジンでいわゆるパラダイムの変換ができた。

しかし、人間の生活をけん引する原子力を含む発電のパラダイムはどう変わるのだろう。自民党政権はパラダイム変革の気はなさそうだが・・・。

2014年7月12日 (土)

キネマ航空 飛行機を作る映画で飛ぶ 011便の就航をアナウンス

2014/07/15 22:30 キネマ航空 011便 が就航いたしました。
ご搭乗をお待ちしております。

今回は、「『映画で航空工学の歴史を学ぶ』ナンチャッテフライト」と称してご提供いたします。

今回のフライトは次の3本に厳選いたしました。とにかく、当CEOの解説は(内容はそうでもないのに)濃すぎ、また、かなりの長時間フライトとなります。まずは3回に分けてのご搭乗をおすすめします。

当キネマ航空はCEOの思い込みで運行しております。「ただ、ただ、映画が好き」で、ご搭乗のお客様には限りなく眠くなること請け合いの内容であることを予告、かつ保証をいたします。(もちろん映画そのものは別ですが・・・)

したがいフライト・フィーにつきましては(乗客の皆様の場合は貴重なお時間を)お返しすることができません。まことに申し訳ございません。

なお、当オフィスにおいては上映作品に関連した話題を提供しております。各題名のリンクをおたどりください。なお、上映中の011便へのご搭乗は上記のリンクからとなります。

・ アロー “THE ARROW” (1996) カナダ

朝鮮戦争を経て冷戦がはじまる1950年代にカナダで作られたマッハ2を超える巨大迎撃戦闘機 アヴロ・カナダ CF-105 アロー の開発過程とその終焉を、技術と政治、政治と経済、内政と外交を絡めて描きます。

音速を超える技術の後退翼や三角翼で生ずる、「アウトフロー」による「ピッチ・アップ(不意の機首上げ)」が映像で取り上げられています。

ほかには音の壁をブレーク・スルーする技術の一つであるエリア・ルールの説明にコーク・ボトルによる空気の流れの映像もあります。が、これは説明としても事実としてもあやしい。

カナダ公共放送制作のTV・ムーヴィーで結構な長尺ですがYouTubeで視聴できます。

・ 超音ジェット機 “THE SOUND BARRIER” (1952) イギリス

1940年代半ばの戦中から戦後の1950年にかけてスピードに懸ける経営者とその娘との葛藤にテスト・パイロット達をからめた疑似歴史として描きます。

したがい実際の航空史実とは齟齬がありますが、そこは呑み込んでご覧ください。飛行機を介して人間を描く映画です。同時にある種のプロパガンダ映画でもあります。

デ・ハビランドと双璧をなす架空のリッジフィールドは、当時は超えることはできないとされていた音の壁を突破する高速機を製作する情熱に駆られていました。それらの機体としてスーパー・マリン社製で直線翼の アタッカー と後退翼の スイフト が リッジフィールド プロメテウス」 を演じます。(ちなみにこのころのスーパーマリンは設計も含めて親会社ビッカースの下請け的存在だったようで、いずれの機体もレジナルド・ミッチェルがスピットファイアで見せた昂揚感は感じられない)

プロメテウスはリッジフィールドの娘婿を墜死させてしまいます。このときの原因が「エレベーター・リバーサル(昇降舵の逆利き)」でした。映画ほど劇的なものではなかったようですが実際にあった現象です。

気体の圧縮が顕著になる遷音速では、さまざまな現象が機体を破壊し音の壁を実感させていました。「タック・アンダー(不意の機首下げ)」、「ウィング・ドロップ(不意の横転)」、「エルロン・リバーサル(補助翼の逆利き)」などなどの説明を加えました。むしろこちらのほうが実際の空中分解の原因になったようです。

・ アビエーター “THE AVIATOR”  (2004) アメリカ

当キネマ航空では実写もしくはスケール・モデルの操演による航空映画を上映する方針とは異なりますが、映画に描かれるハワード・ヒューズ Jr. (1905年12月24日 - 1976年4月5日)はアメリカの航空機の製造と運用にかかわる業界の歴史において重要なパートを務めています。外すわけにはいきません。

それにヒューズの事業の一つであった映画の分野ではハリウッドの航空映画の製作や性的露出の限界をめぐる歴史も垣間見えますしね。

当CEOも、ここまでの機体を登場させるにはCGでなきゃ無理かなと思い始めた映画でもあります。

ボーイング モデル 100
フォッカー D.VII
ウィチタ フォッカー(改造機)
ツェッペリン R クラス 飛行船
ロイヤル・エアクラフト・ファクトリィ S.E.5
エアコ DH.4
シコルスキー S-29A
シコルスキー S-38 飛行艇
ヒューズ XF-11
ヒューズ H-1 レーサー
ロッキード モデル 18  ロードスター
ヒューズ H-4 ハーキュリーズ 飛行艇
ロッキード L-049 コンステレーション
ロッキード L-1649A スターライナー

などなど、どれが実機なのか見分けるのはいかがでしょう。

クライマックスは今でも世界最大クラスの大型機 ヒューズ H-4 ハーキュリーズ 飛行艇 の離水シーンです。

ヒューズがハーキュリーズに熱中していたころ日本でも中島知久平が構想した大型爆撃機 Z飛行機 が陸軍によって 中島 富嶽 として概念設計に入っていました。

いずれも 4 列星形 の空冷エンジンをそれぞれ8基と6基を装着させる構想でした。コラムでは、これらのエンジンを肴に戯作風にまとめてみました。一部の軍用機ファンからはたたかれるかもね。

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飛行機を作る過程の映像としては当キネマ航空 009 便の「翼よ! あれが巴里の灯だ 」や宮崎駿の「紅の豚」、「風立ちぬ」の中にも垣間見えます。

それでは、

NOW ON SERVICE , KINEMA AIRLINES FLIGHT 011, JST 22:30 15/07/2014

ご期待ください。

敬白

キネマ航空CEO 拝

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