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2012年7月 5日 (木)

キネマ航空CEO FBW を勉強する、 PIO ってなあに?

ボーイング 737-MAX-8 機に発生した二件(2019.3.18.現在)の離陸直後に発生した事故の原因の可能性の一つとされている事象を扱っている過去(2012.7.5)の記事の再掲です。

機体構造では高バイパス比化によるファン直径の拡大による影響が取り沙汰されている。
特に低速高負荷時の空気吸込み量の増加による翼や胴体の周囲の気流が変化が大きくなる。
 大径化したファンを包むカウリングの形状は最低地上高や左右傾斜角の規定を確保するため上下で(翼面積も増加した)翼型を構成しており、機体の姿勢による外乱が大きい。
 さらに低速の離陸時にファンで加速された高速で大量のモーメンタム・フローが本来は低速で流れるはずの主翼の下面を通り揚力が減少する。 等々が上げられている。
(空気の吸込みとカウリングの影響については当CEO オフィスの キネマ航空CEO ターボ・ファンのダクトを真面目に考える、の巻 2016.09.02 をご参照ください。)

当然これらの検討は設計段階でなされている。 ただ昔は部分や全体の模型実験や風洞実験から始まるが今ではコンピュータ上のソフトウェアでの解析が主であろう。 構造設計とコンピュータ解析のやり取りが繰り返されて機能確認機を経て試作機となるが今では商用機の機能確認はヴァーチャル・シミュレータで行われて実機の製作は省略されることが多いようだ
そして試作機の飛行実験というより飛行確認が行われる。 「実験」と「確認」に対する意識の違いに問題がある可能性は否定できない。

ここで生じたトラブルの多くはコンピュータによるFBW(フライ・バイ・ワイヤー)のソフトウェア・プログラムで解決というより抑え込むことになる。 シミュレータでは、はともかくとして、実機の試験飛行の離陸回数内で墜落したとは聞いていない。 デリバリー後の問題とすれば整備上の問題のほかにコックピット・クルーの慣熟訓練のカリキュラムの内容と構成やパイロットの人的、性行的なつまりは人格的な適性も潜在する。

 パイロットとコンピュータの関係の哲学となるソフトウェア上のプロトコルにおいてエアバスはかつての事故の経験からボーイングの思想に寄せたのだが、当CEOの解釈では今回はボーイングがエアバスの轍にはまり込んだといえるようです。 詳しくは下記のリンクにあるラウンジ蔵書の後半部に続きます。 (2019.3.25 以上の増補を追記)
                                           キネマ航空CEO

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蔵書書籍の充実がおざなりとなっていた キネマ航空 V.I.P.ラウンジ の《ブックシェルフ》にある「飛行機は、見目麗しく情もある」の蔵書分類を拡充いたします。 こちらでは全文を通してお読みいただけます。

そのため当ブログの文章は全文掲載から前段のみに変更いたしました。

・ 飛行機の飛行制御の実際 機械式からフライ・バイ・ワイヤへ 片柳 亮二 森北出版 2011

飛行機は安定性と操縦性のバランスで成立している。これらは動安定とか動特性と呼ばれる。具体的には飛行機に対して加わる外乱、たとえば突風、横風などの気象条件のほかにパイロットが行なう通常の操舵や脚の出し入れなどの操作などの人間の要素も含まれた機体の動作特性のことである。

飛行機の操舵はまず操縦席と操舵翼をつなぐなケーブルもしくはロッドやリンクの機械的なメカニズムから始まった。言わばフライ・バイ・ケーブルもしくはフライ・バイ・ロッド & リンクである。そして飛行機の大型化、高速化に伴ない油圧によって人力を補助するサーボ・メカニズムがこれまでメカニズムに並列に導入された。

やがてケーブルやロッド & リンクがはずされ、操縦席と操舵装置のそばにあるサーボ・メカニズムとのあいだにコンピュータが追加されて、それぞれを電線でつなぐことになった。

エンジンについても同じような変更が行なわれ、操舵装置のコンピュータのあいだも電線でつながれて相互の連携が行なわれることになる。

これまで直接操縦席に伝えられていた機体に生じた反応は機体各所に配置されたセンサーで得られた情報となってこれも電線でコンピュータに伝えられることになる。いわゆるフィードバック回路から操縦席(パイロット)がはずされることになった。パイロットにはコンピュータで作られた擬似的な機体の反応が伝えられることになる。

これがフライ・バイ・ワイヤー (以下 FBW ) である。

すなわち飛行機は自立しておりパイロットは安定性と操縦性をバランスさせるソフトウェアを組み込んだコンピュータに初期値や修正値となる値(信号)の入力を行う仕事に変わった。そして操舵翼を動かす力仕事から開放された。

本書にはその FBW の長所と短所をていねいに説明している。これらを理解するには微分・偏微分の連立方程式、ラプラス変換、行列式、ブロック線図、周波数応答特性図などなどの高等数学の分野を多少とも承知しておく必要がある。

段々と深みにはまって行く傾向のある航空機ファンにとっては、これまでのような「苦は楽」というより「苦行」そのものになっていくことになる。

幸いなことに本書はそうした理論はほどほどにして18 機種以上の具体例を取り上げて開発の過程やその結果に生じた事故の背景が説明される。

FBW の弱点は PIO と呼ばれる現象である。
(以下、当CEO の所見を含む後半は「飛行機は、見目麗しく情もある」へお進みください)

おなじ書棚に収蔵しております「飛行機の安定性と操縦性 内藤 一郎 1984」と併読すると飛行機がより面白くなります。ご来訪をお待ちしています。

 

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