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2013年12月23日 (月)

キネマ航空CEO 崖の上に立つ

浜松市天竜区春野町杉に発生した地滑りの上に立つごとができた。ここで茶農園を営む山下さんのご厚意である。

最近話題となった地滑りの写真を大胆にあしらえた封筒に入った「奇跡のお茶」を仕掛けて話題となった人であり地域である。

「奇跡のお茶」はこれからの受験の季節に向かい好評であるとのこと。「災い転じて福」にはほど遠いが、現状を認めて一手を打つ人たちの心意気には、多くの人にぜひ触れていただきたいと思う。

今回は浜松市の農林業振興課が行う森林散策会と春野山の村の企画と山下さんの協力により崖の上に立っている。

20131215aあまり報道されることのない上から見たところである。(画像をクリックすると拡大されます)

島のようになった茶園が見えるが奥の流れは地滑り後に掘られた導水路である。

もとの流れは手前の黒っぽく見える土手のさらに手前をえぐり右手の林の付け根まで回り込んでいた。

その本流が土砂で埋まりダム化するため、土砂の及ばなかった茶園の一部を切り開き放水路を確保している。

その島側の縁は切り取られたまま、厚い表層となる農土の下に数層の火山灰とみられる層、続いて砂利や石の地層を見せている。

そして、元は農地であった土地に上流に降る大雨に備える先の導水路を開削をして島となった。

国や県、市の行政の適切、機敏な判断もさることながら耕作地を即座に提供した方々の決断に、平常にも何がしかの覚悟をもって生活しておられることが感じられる。

写真の中央上端に見える木立の手前にある小さな建物が地域の公民館である。道路の手前にある家屋に住む方がたは増水の危険があると、この公民館で過ごされたそうである。

崖上に住む山下さんは、やはり別の公民館で寝泊まりし、日中は後日に「奇跡のお茶」となる若葉を摘む生活だったとのこと。

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山道を登る途中でシイタケ農家の話を聞く。

この農家が栽培する原木シイタケは今ではロングテールの市場にとどまる努力を続けている。

ロングテール市場とは、ある商品が他の商品にとって代わられて、供給する側の生産者が減る中で、これまでの愛用者がこだわりの顧客となり、少数ながら需要と供給のバランスで長続きする市場にとどまる体力と知恵が生産者に求められている。

シイタケの市場は100%国内の原木栽培であったが30年ほど前から中国産の輸入シイタケに蚕食され、一方で国産シイタケは菌床栽培(一種の工場生産)が参入して、いまや原木栽培は20%を切っているそうである。

これらは市場原理であり、また資本の原理でもある。顧客が広範囲に広がるロングテール商品では地産地消で事業が釣り合うことはなく、自然志向にのる大手の流通と提携することになる。

そこへ東北大津波による風評被害が加わる。こうした場合、大手の意思決定は早い。お客様の安全のため、とかの理由で撤退をしていくさまが見えるようだ。(当CEOも購買業務にに従事していたことがある。大手といえどもそうしなければ生き残れない)

この農家ではこうした状況をのり越える原木シイタケ事業のリストラクション(再構築)を始められるようだ。

中山間地では地滑りにより川の流れがせき止められ孤立する危険と隣り合わせである。その中山間地も平地にある人口密集地の影響から逃れられない。市場という顔の見えない相手の意志を理由にして商流を切られることがある。

その中で生活をする中山間地の方々の顔は、忘れられた日本語の『身の丈(みのたけ)を生きる』を思い出させる。

「身の丈」とは自分で自分に合った「枠を決めて生きる」のではなく、「背筋を伸ばして生きること」を示してくれている。

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山道を下る途中で製茶工場を見学、茶産業のはなしを聞く。

茶葉を集荷して工場の施設で製茶するほかに、個人の道具に近い設備で生産者のこだわりの製茶も行われている。

写真で小さく映っている公民館で地産地消の混ぜご飯と具の豊かな汁(金500円也)をいただく。極めて美味、お代わりをする。「奇跡のお茶」も振る舞われた。やや渋みのある緑茶らしい味わいである。

そうそう、シイタケ農家で振る舞われた塩コショウと少量の油のみでソテーされたシイタケの味も旨かった。

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20131215c

さて、こちらは、わき道を登る前に斜面の下半分を カメラの水平に留意して撮影したもの。 36~7度の傾斜である。

崩れやすい土質が崩壊した土砂が溜まって形成されて安定した斜面を保っている。

その摩擦係数は、0.7から0.75といったところか。この斜面は富士山の頂上付近より急であるが登れないことはないそうだ。

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20131215b

次の写真は崖の上で斜面の上半分を撮影したもの。角度は46~7度ある。

こちらは摩擦により安定しているというより、脆(もろ)い凝結でつながっており、奥にはより強固な岩の層があるようだ。

工事は県の地域土木事務所だが国の予算で3~4年かけ、まず上下の斜面が合うあたりに支えになる土台を造り、「(上の斜面)法面に吹付枠を設置し鉄筋挿入、およびグラウンドアンカーにて地すべりを抑制する」(工事概要説明看板より)。

要するに斜面の上に取り付けるマス目状の鉄筋コンクリート枠(のり枠工法)が滑り落ちないように土台を造り、のり枠をアンカーで地中の岩盤に固定する工法。

この、のり枠の中をどうするのかは聞きそびれた。方法は多々あるようだがおそらくコンクリートで埋められるのだろう。

最初の崖の上からの写真は幅150メートル、高さ130メートルの絶壁を見下ろしている。春野の山の中に一大城塞が出現するのだろうが、ここで「自然の復元」などと言い出せば「身の程知らず」となるのだろう。 

先回のブログで載せた、ちょうど上下の斜面の境目に生き残り、寒さの中で芽吹き始めた立木(たぶん欅)は切り倒されていた。下半分の斜面の処置法はまだ明確ではないようだ。

20131215d

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コメント

 異色の散策会への参加ありがとうございました。
 小生は残念ながら胃の検査のため下見はしたものの、当日は断念しました。
 当日はCEOらしい緻密な報告にいつものとおり感心しました。
 カメラアングルもバッチリです。

 災害とともに飄々と生きる山下さんらの自然体が秀逸です。
 最近読んだ『里山資本主義』そのものです。
 おすすめの図書でもあります。

武兵衛様、

当日お見えにならなかったので心配しておりました。
悪ガキの参加者もセニョールさんに「武兵衛さんはどうしたの」と聞いておりました。

居なければならない人になっていますよ。でもご無理はなさらないように。

『里山資本主義』は早速Webで市立図書館に申し込みました。3冊あるようですが全冊貸し出し中でした。

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