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2014年8月14日 (木)

キネマ航空 011便拾遺 その1 『アロー』編 ベターメントとイノベーション

2014/07/15 22:30 キネマ航空 011便 が就航いたしました
ご搭乗をお待ちしております

フライトプランは こちら

011便の筆頭はアブロ・カナダ CF-105 アローがアメリカの圧力で開発中止に追い込まれた経緯を描くカナダのTV作品でしたが日本にも似たような例があります。

JSDAFの三菱 F-1 およびMD(現ボーイング) F-4J の更新機種は、『日本独自の戦闘機』を開発しようとする計画に対するアメリカ政府(もちろん軍需産業)のロッキード・マーチン F-16 を調達させる横やり工作をかわし、そのF-16 をベースに高いライセンス料と部品の購入を強いられながらも日本独自の仕様を盛り込んだ三菱 F-2として 開発された。(背景はもっと複雑なようですが要約すると・・・です)

アローとは違い正式採用となり、本来ならゼロ戦の再来だったはずという片鱗を残しているということでか、 F-2 をけなすと、とんでもないことになるようです。

WEBで『駄っ作機 f2 』とか『最悪航空機 f2 』で検索するとあまたの反論が出てきて、「筆者が訂正、謝罪した」とか、翻訳本には「訳者に訂正させろ」、とか賑やかです。まあ、軍用機ですから実際に交戦しなければ本当のところは分かりません。

日本が既成機種のF-16 ではなく、 F-2 の開発にこだわったのか、といえば、次の三点のようだ。何となくアローの仕様に似ていませんか?

 ・ 戦闘行動半径480km以上
 ・ 射程100km以上の空対艦ミサイルを4発搭載できること
 ・ 目標探知性能の高いフェイズドアレイ・レーダーの実装

行動半径は排他的経済水域の200海里(370km)線内をカバーする前提と思われる。110kmもオーバーしている、と言われても海岸線のいたるところに発進基地があるわけでもないからね。いっぽうでは陸の間が200海里もない国もあるので某政党では憲法解釈の根拠にしていたようでもありますが・・・後者は議論としては幼稚なような・・・

F-2 の仕様決定時(1985)と F-16 の仕様策定時(1972)の比較では明らかに F-2 のほうが進んでいたのは間違いない。

その仕様の差は1983年3月から6月にかけてのフォークランド海空戦闘の戦訓であろう。

すなわち、丸い地球の水平線下に隠れての攻撃を基本として、島嶼の陰に入ったり、または背としたりすることで、ルックダウンの探知能力の低い艦隊には航空優位に立てる。

その結果、英軍の艦隊や船団は空対艦の戦闘では多くの損害を出した。また攻撃用弾薬においても空対艦誘導ミサイルばかりではなく旧来の投弾方法でも命中が得られる結果となった。(信管設定での不発も多かったようだけど)

当然、米国も戦訓は取り入れる。 F-16 のほうは生産数が多いためマイナー・バージョンアップである生産ブロックごとに仕様のステップ・アップを進めており、空対艦ミサイル ハープーンの装着時点での差では( F-2 フリークからは反論がでるだろうけど)対艦ミサイルの搭載数が2基少ない程度であろう。

日本海軍の大艦巨砲主義のような、逆トラウマ的な重い対艦ミサイル搭載数が1機当たりで多いほうが 戦術的に優位とする仕様には疑問はある。

4基のミサイルといっても発射は機体のバランス上から左右の2基を同時に発射し、続く2基の発射で奥にいる艦を狙うには同じ高度のままの直進が必要だろうし、高速で敵のピケット・ラインに近づいていくことになる。

まあ、母機から目標をロックオンしなくても、撃ちっぱなしで衛星やその他の戦術統制機からの遠隔誘導でミサイル自体が自己誘導のできる目標の近くまで飛ばせるのかもしれないが・・・こうなると戦闘機というより運び屋だね。

いっぽう防衛する艦隊側のルックダウン探知能力にしても空母から発進する早期警戒機でなければ達成できないかどうかは、戦訓から30年たった現在では覆っているかもしれない。

翻訳本の指摘は、日本は同じ陣営で二倍の価格となる自前の戦闘機(戦時消耗品)をそろえるより、多少性能が劣っても二倍の機数をそろえたほうがよい、といったところのようだ。

実戦になれば消耗は避けられない。しかし、控えのパイロットがおれば損耗機数をうめる補給を受けて転換訓練を省略した即戦力となれる。

裏を読めば日本は本当に自分達の陣営で戦争する気があるのかな?とも・・・スイスやスエーデンの武装中立は外交交渉の仲介国になれるが日本ではねー・・・とも読める。
最近は聞かなくなった非武装中立はもっと非現実ではありますが・・・

とはいえ、欧州連合のユーロファイターの連合から一抜けたのフランスのダッソー ラファールの例もあるからどっちもどっち、か・・・要するに男の子も国家も自前の戦闘機が好きなんだな。

好き!といってもイギリスもドイツも一国で戦闘機を賄う気はないようだけどフランスはやる気満々ですね。いずれドイツともう一戦交えるときに備えるつもりかもね。いや、ホントのところは戦闘機輸出のフリー・ハンドがほしいんだろうね。

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F-2 が『ゼロ』の末裔か、というと生まれてからの大きな進展が進められないということではよく似ている。これはご先祖にあった基本設計で、というより単純に予算執行のできる生産機数が少ないためだろう。

もっと言えば、ある時点で一歩進んでいたということは「零戦」と同じく技術の進展を外挿法で予測して仕様をつくり、開発していたことである。つまり、より良くする、ベターメントの開発技術であるといえる。

アメリカもステルスにシフトした F-22F-35 あたりからベターメントの限界を感じ始めて、マルチロールと呼ばれる戦闘機の攻撃用途の部分は無人機に置き換えていくようだ。

ベターメントの対極はイノベーションであるが、イノベーションには企業が潰れるほどの衝撃を産業界に生じさせる。

アメリカの軍需産業はそれぞれ中小の標的機(ドローン)の製造メーカーを傘下に吸収し、マイクロソフトはすでに市中で無人機のパイロットを養成できるゲーム・アプリケーションを完成させている。

これからはF-22 に対する F-35F-15 に対する F-16 と同じように大量に生産される保証もしくは確証はないと考られる。

完全に理論通りに創ったと考えられる F-117 よりステルス性は後退したと考えられる F-22 の調達数を極端に減らしたのは予算不足ばかりではなく、アンチ・ステルス技術が進歩した結果とのバランス・・・では、と、思われる。

いっぽうでは仮想(なにせ友軍機が務めるもんで)空戦実験によるキルレシオによるとも思える。たとえば、5対1だと味方が1機落とされる間に敵を5機落とせる、とすれば敵の5分の1強の機数をそろえておけばいいこと・・・になるが、そんなにうまく行くとも思えないのだけど。

生産機数が少なければ単価を高く設定できるとはいえ、最近伝えられる F-35 の国内事業に対する三菱の逡巡には、設備投資の補助金増額と、政府に貸しを作る駆け引き、があるとは思うが、民間機に傾注するための財務内容からは戦闘機ビジネスの限界を深刻に考え始めているとも思える。

WEBで語られている実績や自信があるなら、買わせていただくのではなく、造ってあげる立場で日本国政府が交換条件として三菱に代わって米国政府と民間機開発の具体的援助を取り付けるなどの政府間の覚書などと引き換えに参加するなど航空政策を行っていただきたいものですね。

?、F-35ロッキード・マーチン社の開発で、民間機の設計・製造・販売から撤退して、ン十年たっているですって?そこにボーイングを巻き込んで交渉するのが国家官僚の仕事でしょう!相手は国務省だけ、こちらは財務省を巻き込んで外務省、通産省、防衛省の連合軍じゃないですか。(そー・・・だからダメなの?)

以下余談(キネマ航空のコマーシャル)

当 キネマ航空007便 の「イングリッシュ・ペイシェント」にもご搭乗をお待ちしています。

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