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2014年8月19日 (火)

キネマ航空CEO 航空機を購入する・・・勉強を思い立つ? ついでに M R J の輸出を考える。

航空会社のCEOが、なにをいまさらでありますが、なにせ当キネマ航空は、0101・・・のデジタル・カンパニーであります。したがい、リリエンタールのグライダーからスペースシャトルどころか存在しない航空機まで自由に調達できるので、本物を買うつもりは毛頭ありません。

しかし、スカイマーク航空が巨大旅客機 A380 を6機の発注したのだが、業績見通しが不透明になり、製造会社のエアバスから全機キャンセルと違約金の請求を言及された記事を読むと、スカイマークの経営陣は一体どんな方法で購入しようとしたのか、を知りたくなります。

当初の記事では、エアバス社スカイマーク社への経営権への介入を拒否したところ法外な違約金請求がなされた、と、あたかもスカイマークが被害者になったかのような論調の記事もありました。一種の宣伝戦ですかね。さすがに今は薄められているようです。

スカイマークエアバスの間の契約内容は現時点で公表されるはずもありませんが、航空会社の航空機の調達にはリース方式と購入方式があるようです。それを学ぶのに最適の本があります。

・ シルクロードの滑走路 黒木 亮 (2005)文芸春秋 (2009)角川文庫

A_runway_of_silk_road_240x346日本の総合商社東洋物産の在モスクワ駐在員事務所のまだ若い機械部マネージャー小川智(さとし)氏(32)がキルギス共和国(以下キルギス、旧国名キルギスタン)の国営キルギスタン・マナス航空に航空機を売り込む物語です。

キルギスは旧ソビエト連邦の中ほど、南はテンシャンシャンミャク、もとい、天山(テンシャン)山脈を国境として中国と接し、 天山北路と天山南路と呼ばれるシルクロードに挟まれた国である。

といっても、地勢が国境の狭い国なのでどちらの路も部分的に通っているだけで、首都ヴィシュケクは天山北路が通る北側のカザフスタンとの国境近くにある。

ちなみに西側にはタジキスタンとウズぺキスタンが深く食い込んでいる。タジキスタンやウズベキスタンはほとんどが砂漠の国で、当キネマ航空004便で上映している「ルナパパ」でうかがい知ることができます。

いっぽう、キルギスは緯度では函館ぐらい、高原の国で標高は高く、4000から7000m級の山があり、少ないながらも降雪、降雨や山岳地帯からの融雪水による川や湖があり周辺国のような砂漠地帯ではない。

主な産物は鉱物資源の金のほか、豆類、果実、綿、布、縫製品などが主要な輸出品だが裕福な国とはいえない。

人種はモンゴル帝国の版図であったことからキルギス人として黄色人種系の容貌が多いようだが、10を越える多民族国家。1991年にソビエト連邦から独立したが開発途上国と同様の民族的、政治的な混乱がある。

国際関係の基軸は、ロシアが主導する独立国家共同体(1991)、イスラム協力機構(1992加盟)、中国の主導する上海協力機構(2001)、の三つの国家共同体に加わっている。

アフガニスタン紛争に対する国連の要請により2001年末よりアメリカとソ連の空軍基地を受け入れていたが2014年現在ではアメリカ基地の縮小がはじまり中央アジアのリバランスが必至となっている。当然中国もアメリカが落とす基地費用の肩代わりを狙っている。

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キルギスタン航空は1992年にアエロフロートから分離独立している国営企業で、1997年にはアエロフロートと協力協定を結び運行している。しかし、安全面から「EU域内乗り入れ禁止航空会社リスト」に入っている。

この小説ではキルギスタン・マナス航空となっている。マナスは首都にある空港の名。時代背景は特定されていない。モスクワ市制850年記念式典(1997年)の前という会話もあり、1992年から1996年ごろと推測できるが、1993末から1995初にかけての1年間として読むほうが良さそうだ。

主人公は著者の分身か、と思ったが著者の生年月日からは4、5歳若く設定しているようだ。それにしてもこの主人公、現地採用の社員やブローカーまかせで、交渉ではあまり活躍はしない。

よく言えばアンカーとして仲介シンジケートのまとめ役に徹しているようだ。現実の商社員の活動とすればあくまで仲介業務だから、この設定が正しいと思えます。

その小川君が、マナス航空に西側の航空機を売り込むため発展途上国といっていいのか共産国家のなごりといっていいのか、海千山千の運輸大臣や責任回避をする航空会社の官僚型社員、そして腹に一物を持ちながら現実の中で理想を実現させようとする政府の美人顧問を相手に、機種選定から融資団の編成、航空機の引渡しまでの一筋縄ではいかないビジネスを紹介してくれる。

中古のボーイング 737-400 の売り込みに成功したのだが・・・おっと、ここから先はナイショ、内緒・・・

そのほかにも、いや、むしろ人文、地文、とくに歴史に翻弄される諸民族の文化、食べ物といった旅行記としての興味がつきない。ただし『キルギスの誘拐結婚』 林典子 (2014) 日経ジオグラフィック社 のような最近の話題はでてこない。

巻末には『航空機のファイナンス・ストラクチャーのチャート』『関連する用語集』が付いており、経済用語の勉強になります。

航空機がらみでは「航空機の登録」「整備準備金」「滞空証明書」「部品プール」「フラッグ・キャリア」などは航空機ファンなら一応は知っておくべき必須用語!ですかね?どれくらいご存知ですか・・・

さて新造機であろうと中古機であろうと高額な金額が動きますから売り手、買い手のあいだに融資、保証、保険、支払、引渡し、などの金融取引、商取引が介在し、それぞれの専門のカンパニーが集ってシンジケートが組まれます。

そのシンジケートには付かず離れずで取引相手に食い込んだブローカーなる人物が存在し潤滑油のパートを務めます。油には表に出せない要路への賄賂の処理も含まれます。日本でもロッキード事件なんてのが表に出ました。

エアバス-スカイマークのビジネスにも、シンジケートはともかく、ブローカーが、いたか、いるのか、は知る由もありませんが政府のスカイマークに対するスタンスによっては、「ミニスカ~トがお好きでしょ ?」の経営者がおこなう国際交渉術などなど、いずれ週刊誌が書いてくれるかもしれません。

A-380 の導入によるスカイマークの積極経営を評価する評論家のコメントもあるようですが、A-380 の購入が積極経営にあたるのかどうかを含めて、発言できるアドバイザリーが周辺にいなかったのも事実のようです。

”Pie in the sky” 絵に描いた餅、 A-380 は ”Pie in the Skymark” になっちゃいました。

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そういえば、日本にはもう一つ国産旅客機(N i p p o n  R e g i o n a l  J e t : N R J)を売るビジネスが再開されています。ニャンマー(N y a n m a r)に設立されたエア・ナンダレイ社(A i r  N a n d a l a y)と確定6機、オプション4機の契約が成立できるようです。

Air_nandalay_2よく似た名前の航空会社のプロファイルでは株主構成は国営のミャンマー・エアウェイズ、シンガポールのエア・マンダレイ・ホールディングス、マレーシアのプルミエ・エアラインズと結構複雑です。多分これらに似た会社が融資の保証をするのでしょうね。

こうなるとニャンマーチョイナ(C h o i n a)の影響の濃い国ですから隠れチョイナの融資も含まれた契約になるのでしょうね。

シルクロードの滑走路では契約した航空会社に引き渡した機体を、想定していない第三者が差し押さえた例も出てきます。航空機は担保物件でありますが不動産ではありません。しかも高速移動産でありますからね。

子どもがよくやるように技術を学ぶには分解するのが一番です。

金銭の問題ではなく、技術情報を得られれば、元に戻す気など、さらさらなくてもいい場合もあります。日本の企業だってアメリカ企業だって他国どころか自国の、少なくとも大量生産の商品はこの対象にしています。じゃあ飛行機は・・・

日本では不覚にも函館に着陸されちゃった亡命ミグ25 をアメリカに渡して分解調査して返還しましたし、古くはアメリカがアリューシャンの湿地に不時着した零戦を徹底的に分解して再度組み立てて日本の公式記録より優れた性能を引出し、合わせて弱点の検証までしてくれました。

ソビエトは満州や日本本土を爆撃して自国領土内に不時着したB-29 を没収(乗員は送還)し、分解調査(かっこよく、リバース・エンジニアリングといいます)でコピー(ツポレフ Tu-4 )を作ったのはいいが機銃の弾痕を塞いだパッチまで忠実に再現してた。なんて、(たぶん与太)話もあるようです。

ちなみにインチ単位の部品からミリ単位の図面を起こす換算に切り上げを採用したらしく、完成した機体は本物より大きくなっていたそうです。(これは本当)

航空機のリースまたは譲渡には、金銭的担保の保全を含めて、膨大な契約書が交わされます。技術の保全もこの中に含まれるのでしょうが、契約は条文の網であって抜け道は存在します。

しょせん、技術は20年もたてば陳腐化していきます。たかだか20年のパクリの汚名は千年の計(政権のというより民族意)をもつチョイナにとっては日本は扱いやすい相手かもしれません。

まあ、実在の M R J M i t s u b i s h i  R e g i o n a l  J e t )のシンジケートは三菱商事が主導すると思われます。『シルクロードの滑走路』の著者の黒木亮氏は三菱商事のご出身だそうですから、現ご担当者は抜かりなく準備されていると思います。

・・・が、しかし!ここは黒木氏に五十路を越えた小川智氏(どこまで昇進したかは不明)が活躍する『ナンダレーの滑走路』をぜひ書いていただきたいものです。

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コメント

CEO、ご無沙汰しております (-_-X)

「シルクロードの滑走路」、私も読みました。
他の小説とはまたちょっと違う毛色で楽しく読んだのを覚えています。
細かなディティールは覚えていないのですが、
物語から繰り広げられる世界を味わう、という小説が多いのに対し、おそらくは著者の体験や経験だとか知識や、といったものをまとめるに小説の手法を使ったというような、良い意味で実用書のような…エッセイのような…ビジネス書のような、社会的な好奇心があおられる一冊でした。
中央アジアの文化や、商習慣などが端々から感じられ「へぇ〜、そうなんだ」とうなる内容でしたねっ。実際、中央アジアに旅行したい気分満開となりました(実現しませんでしたが)。

さて、スカイマークの件。
私もA380購入のニュースを聞いた時、とても驚きました。
素人目にも、大丈夫なのか? と。安さがウリなのにスペックオーバーでしたね。
今では話題のLCC界を早いうちから率先するようにやってきて、一方ではそういう判断を下したときに止められる相談相手がいないというのも、この間、どうやって航空業界を渡ってきたのか謎です。

竜子さん!ようこそ、

この本はBooklogの竜子さんの本棚にありましたね。
竜子さんの姿勢のように、本をストーリィだけで読んで評価をしない感性が大切ですよね。

当CEOは読んだきりで忘れていましたがスカイマークやMRJのニュースで思い出しました。思い出せたようですのでまだ大丈夫(なにが・・・?)です。

当CEOの机の脇にはBookoffで買った航空機絡みの未読の本が積まれています。そのうち紹介できればいいな!

日本でも「銀翼のイカロス」とか「推定脅威」とかがでてきたようですがどんなものだか・・・
こちらはまずは本屋の中のブック・カフェで立ち読みから始めてみましょうか・・・

竜子さん!

当CEOはやっぱりボケてたようです。
当キネマ航空の充実したフライトを宣伝するせっかくの機会をすっかり忘れていました。

竜子さんの「中央アジアへの旅行のゆめ」、は映画で叶えられます。

本文に関連した情報を追加いたしました。表紙画像の下あたりです。

その映画「ルナ・パパ」はYouYube(http://www.youtube.com/watch?v=ZDcVJ0SuvS4)

にフル・ムーヴィでアップされています。ロシア語(らしい)ですが英語のサブスクリプト付です。

竜子さんならすでにご覧になっていると思いますが、弊社の宣伝もかねて追記いたします。

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