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2014年9月 1日 (月)

キネマ航空CEO (盆明けに)オスプレイのご先祖、多軸ローターのヘリコを偲んでみる

図表差し替えと文章の一部修正のご連絡 2014・09・08

図に生産機数を追加いたしました。
ただし、寄せ集めにつき正確さは保証できません。参考程度にとどめ置きください。
1935年のブレゲー・ドランのジャイロプレーンNo.1 を追加しました。

文章に実用に成功した機種としてパイアゼッキ HUP レトリーバーと、残念な ベル HSL を追加しました。 当CEOとしては、必ずしも生産機数で実用化の成否を判断しておりません。

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オスプレイのカテゴリーを再開する前に、少し指先馴らしをやってみます。タンデムサイド・バイ・サイドのローター配置に対する開発の歴史を、多軸ローター構成を採用した機体で振り返ってみようという趣向です。

下の表(左クリックで拡大ポップ・アップできるはず)は古今東西のヘリコを集めたサイトから、内燃機関を採用した多軸ローター機を拾ってEXCELで整理したものです。

ローターの回転で揚力を得るロータークラフトを対象としましたがホバークラフトは除外し、フライング・プラットホームと呼ばれる機体は含んでいます。

なお同軸反転型は、厳密には異なりますが、機体の挙動は胴体がローターの下にぶら下がるシングル・ローター型、として除外しています。

なお、元資料はドローンを含む20世紀のローター・プレーンが中心であり、21世紀に入って活発となったUAV(無人飛翔体)FVL(将来型垂直離陸機)は、ほとんど含まれていません。

Maltiaxial_rotorplanes対象となるローター・プレーンは、計画のみで終わった機体を含めて710機種が挙げられており、そのうち123種が多軸ローターを採用しています。

以下、合計開発機種数(R ローター数 x 開発機種数)で整理していきます。
 ( )内のRは、ローターの配置を示します。
 T2 2ローターのタンデム
 S2 2ローターのサイド・バイ・サイド
 A3、V3 3ローターの配置で上が進行方向
 D 4ローターのダイヤモンド配置
 H 4ローター以上の左右対称の配置
 I 、L 4ローター以上の一列配置で進行方向(前方)は上と横方向(T2 と S2 に相当)
 C2 V軸交差反転型

表は、薄い文字で示す計画機29種からはじまります。

 フライング・プラットホーム 2(H6x1、H4x1)
 ティルト・ローター 4(S2x4)
 ティルト・ウィング 3(S2x1、H4x2)
 H型 2(H4x2) 
 A 型 2(A3x2)
 サイド・バイ・サイト 7(S2x7)
 タンデム 8(T2x8)
 V軸 1(C2x1)

次に、一応は、形になり、テストはされた機体は94機種となります。

 フライング・プラットホーム 4(H4x1、Tx3)
 ティルト・ローター 11(Sx9、H4x2)
 ティルト・ウィング 6(S2x4、S4x1、S6x1)
 D型 1(D4x1)
 I 型 1(I4x1)
 H型 5(H4x5、飛行船ベースのH4x1)
 H型変形(H4x2x4の10ローターx1)
 サイド・バイ・サイド 21(S2x21)
 タンデム 29(S2x29)
 A型 1(A3x1)
 V軸 12(C2x12)

多軸ローター機で曲がりなりにも実用化された機種は、実機となった94機種中の10+1機種であった。10%の実用化成功率は高いというべきか低いというべきか・・・

タンデム型ではパイアゼッキ - バートル - ボーイングと続く  HUP レトリーバー - H21 ワークホース - CH-46 シー・ナイト - CH-47 チヌークの定番となった軍用シリーズ。

民間型としてシー・ナイト(「夜の海」ではなく「海の騎士」です)系列のモデル107チヌーク系列のモデル234 コマーシャル・チヌークもありますが民間航空のなかで成功したといえるのかどうか。

前者ではニューヨーク・ケネディ空港とマンハッタンのパンナム・ビルの屋上を結ぶ定期運行(映画『マンハッタン無宿 "Coogan's Bluff" (1968) に登場』)があったがパンナムの倒産で廃止。

後者は、英国で海上油田の掘削リグを結ぶ人員・資材の輸送ではじまったがギヤボックスの故障による事故で運航を中止されるなどの苦難が続く。(事故報告書により耐空証明を取得したあとの改修に対する検査の強化が示された)

残存機の多くは木材搬出のクレーン・ヘリコに転用されたり、山火事の消火にも使われるなど、タンデム機の長い許容重心移動範囲や重貨物を収容できる大きな空間を持つ特性を活かしているらしい。

パイアゼッキ H-21 に「ワークホース(荷役馬)」と名付けたのは誰だか分からぬが言いえて妙、タンデム・ヘリコの使い方の本質を衝いていたようだ。

ソビエト時代にはタンデム型ヤコウレフ Yak-24 が民用も含め100機程度が製造されたようだ。これには軍用のみの40機説もある

だとすると、イギリスで 8年間の軍役に就いた生産数26機のブルストル タイプ192 ヴェルヴェディアも挙げておくべきだったかな。

なら、53機の ベル HSL は?というと、就役したものの発注数は減らされ、ロールアウトした機体は座敷牢ならぬ格納庫に詰め込まれて廃棄を待つ身となりました。このころのアメリカは軍事費に余裕がありました。

V軸型ではカマンが頑張るH-43B ハスキー、とその後継機のK-MAXはローターの直下に重荷重をぶら下げるスリング機能に特化した、小回りの利く小型のクレーン作業用の機体。

サイド・バイ・サイド型では、ベル-ボーイング によるティルトローター機としての新参者、V-22 オスプレイがある。

もちろん、いずれにも先行する機はあり、そちらも試験機、実証機として評価すべきでしょうが航空機は、最終的には、たくさん造られ、使われて、ナンボのものです。それが戦争であっても・・・という悲しい一面もありますが。

いずれにしても、多軸ローター機は特異な存在で、いまでは民間の商業輸送ベースで使われることはほとんどない。その理由は運行経費の内でも整備費用が輸送人員(収入)と釣り合わないことにあるようだ。

さて、特異なローター・クラフト技術の歴史を振り返ると、A型3ローター機のシコルスキー VS-300 の飛行写真が残っている。

いくつかある V-300 と呼ばれる実証機(ミュール)の一つで、固定翼機の主翼に相当するシングル・メイン・ローターと水平尾翼に相当する二つのホリゾンタル・テール・ローターの三つが揚力を受け持ち、垂直尾翼に相当するバーチカル・テール・ローターを加えた、固定翼機の三舵を同じ位置で機能させる試みの機体であった。

シコルスキーは、やがてはデファクト・スタンダードとなるシングル・メイン・ローターとバーチカル・テール・ローターを組み合わせた最終型の V-300 を試験したあと、以降の機体は、この、メイン(シングル)ローター - テールブーム - テールローター の構成を守って製造している。

固定翼機のケースと違って、これにはフランスもメイン・ローターの回転方向を逆にすることで我慢するしかなかった。でも、テール・ローターをダクトで囲んでフェネストロンと名付けて工夫はしている。これのパテント期間が終了したのにアメリカは意地でも採用しないようだけど・・・ま、欠点もあるのだろうね・・・機械だもの。(閑話休題)

そのシコルスキーも、FVLでは他のメーカーと同じく同軸反転型に推進用プロペラと小さい主翼を持たせた機体を開発している。

同軸反転型は、機速があるとローターにかかる合成風速によって生じる左右の揚力不均衡をバランスさせ、プロペラ推進と主翼で前進飛行時にローターに頼っていた推力と揚力を分担してローターの揚抗比を最適化させることで抗力を減らし、高速化と航続性能の増加をはかる計画である。

主な用途は戦闘用のウェポン・キャリアとなる。つまりは騎兵隊の馬に相当する。

騎兵隊には幌馬車も必要でオスプレイのティルト・エンジンの変形でローター・シャフトだけをティルトさせたり、内翼にティルト・エンジン(ローター)のナセルを設けて外翼を一緒にティルトさせる方式が計画されている。

ほかに、前後に主翼を付けたタンデム翼の胴体の前後にエンジンを置いて各々のエンジンが各主翼の翼端に設けたティルト・ローターを駆動し、前後のエンジンをシャフトでつないで一方の出力喪失時のフェール・セーフとする H 配置のクァド・ティルト・ローター(ダクテッド・ファン・タイプもある)機の計画もある。(ムカデ式ですね。いくらでも長くできそう)

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FVLFはフューチャーといえども同じような構成や構造は過去の歴史の中にいくつも存在する。

要は、機械のメカニズムだけではモノにならなかったアイデアをコンピュータで制御することでモノにしようというイノベーションというよりベターメントの技術開発である。

歴史を否定的に振り返ることは自虐史観というらしい。「自」があれば「他」もあるということで、この一文は他虐史観となる。

その面ではサイド・バイ・サイドのヘリコとしてのオスプレイにはどことなく技術的な胡散臭さが付きまとうのは否めない。

次回はヘリコプターで実用化例のない(注記参照)サイド・バイ・サイドオスプレイの問題を機体速度がない(V=0)の場合のタンデムチヌークと比べてみることにしよう。(つづく)

注記

現在の主流であるシングル・ローターの基本構造を完成させたシコルスキー V-300 が登場するのは 1939年であった。また実用実証機となるシコルスキー R-4 は1942年に生産される。

タンデム・ローターの実用実証機としてはパイアゼッキ HRP-1 が1945年に登場した。

それら二つの形式に先行して、 ヘリコプターという定義の持つ可能性を実証していたのはサイド・バイ・サイドの構造をもった1936年のフォッケウルフ Fw.61 であった。

そしてその、Fw.61の系統に連なるソビエトのミル Mi-12 は、吊り上げ積載量・高度の公認世界記録を持つ。

同じくカモフ Ka-22 は、二つの推進用のプロペラを持ち、積載量、速度、高度などで8つの世界記録を持つ。

・・・などの実績は否定できない。

しかし、生産機数も数機でその多くが事故で喪失する。加えて後継機種もない、など、実用機というよりレコード・ブレーカー(記録挑戦機)として存在した。

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