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2014年10月 2日 (木)

キネマ航空CEO ツー・エンジン・オペレーション時のオスプレイの駆動系を観察する

ICDS の馬力と MWGB の入力の計算式を見直しました・・・2014.10.03

(承前)
・・・ではどんな具合にオスプレイの動力が機体の中をめぐっているのか?
(いつもにも増して長くなりますが、末尾にクイズが二問あります。最後まで読んでね ! )

2engWEBではUS パテントの図面に、誰かが回転数と伝達馬力を書き込んでくれている。

お行儀悪いがそのまま使わせていただくことにする。ただし、もう少し見やすい(はずの)ブロック図に書きなおして下方に置いてあります。

観察する前に、まず、短縮記号のおさらいをしておきます。

ENGINE : (短縮されてないけど)エンジンです/
PRTRProprotor プロップローター/固定翼機のプロペラとヘリコプターのローターの合成語。
PRGBProprotor Gear Box プロップローター・ギヤボックス/ENGINE の出力を PRTR の回転数やTAGBの入力回転数にまで減速する歯車箱
PMDSPylon Mounted Drive Shaft パイロン・マウンテッド・ドライブシャフト/支柱(Pyron)の中を通って PRGB から TAGB へ動力を伝えるシャフト。
TAGBTilt-Axis Gear Box  ティルト・アクシス・ギヤボックス/PRGB から PMDS へ分岐された動力をさらに減速して主翼の方向に変える歯車箱。 PRTR を傾ける(ティルトする)中心軸となる
ICDS Interconnecting Drive Shaft インターコネクティング・ドライブシャフト/ 相互接続用駆動軸。図では Segmented drive shaft が使われている。こちらだと、分割式駆動軸
MWGBMid Wing Gear Box ミッドウィング・ギヤボックス/翼の中央でICDSを通って左右のエンジンからくる動力をACCを駆動する回転数にまで減速させる歯車箱。もう一つは、ICDSを連結する機能、いい換えればローターの回転を同期させる機能の一部
APUAuxiliary Power Unit オグジリアリイ・パワー・ユニット/補助動力装置。オスプレイでは MWGB に接続している。詳細は、後ほど MWGB といっしょに・・・

さて、書き直した図です。エンジン二基で運用しておりますから #2 (右)エンジン側は機軸に対して対称なので省略しています。2_engine_operations_rev1まず、Gear Ratio(ギヤレシオ)は、ギヤボックスの入力回転数÷出力回転数の比( i = n in / nout )で表わされます。

hp はヤード・ポンド法により英馬力を示します。また、ps(日本ではPSと表記)はキログラム・メートル法による仏馬力です。
ps = 2π x (n / 60 )x T / 75 で計算され n : 毎分回転数(1/sec)、T : トルク(kgfm)です。これを英馬力にするには hp≒ps/0.986 となります。

hpps より1.4 %大きくなりますが実質では同じです。 pshp に整合するように係数がきめられました。 ps は 10進法ですので仏馬力のほうに合理性があります。

仏馬力 ps の単位に注目すると[ kgfm/sec ]ですから 1 秒間に、何 kgf の重量を 1m 動かせるか、または 1 kgf の重量を 何 m 動かせるか、を表しますので『仕事量』と呼びます。

いずれにせよ hp (仕事量)はギヤボックスの効率を 1 ( =100%つまり損失ゼロ) とすると前後の仕事量は不変で入力馬力も出力馬力も同じです。
(ギヤボックスを通ったエンジンの出力は、回転数はギヤ比 i で割り、トルクはギヤ比 i を掛けて ps = 2π x { (n / i ) / 60 x i T / 75 } とになります。)

現実のギヤボックスでは熱に変わる損失が T (トルク)に現れ、出力側の ps (仕事量)は減少します。出力馬力÷入力馬力の比を効率 と呼び η= Tout / Tin = ps out / ps in = hp out / hp in となります。

さて、お気づきでしょうか? PRGB から PRTR への最大出力は 4,570 hp PMDS へは 511hp で、合計 5,081 hp です。エンジンの出力は 5,223 hp ですから差引 142 hp PRGB 内で熱に代わっているようです。入出力の比から PRGB の効率は 0.96 程度となります。(良すぎるように思えますけどね)

PMDS TAGB につながり、軸の向きを90度変えて ICDS に出力を伝えます。 TAGB もギヤボックスですから効率があるはずですが明確ではありません。

さて、ENGINE から TAGB まではティルトするナセル(エンジン覆い)内にあります。 ENGINE 本体はコンプレッサーが吸入する空気を分流して冷却します。

いっぽう、同じナセル内にある 「ナントカ GB 」 とつくギヤボックスは発熱した潤滑油を循環させて冷却するためのオイル・ポンプとオイル・クーラーそのクーラーに空気を送るか吸い出すクーリング・ファンなどが必要です。

これらのポンプやファンを駆動する動力は TAGB に付属する ACC (アクセサリー:補機)を通して取り出します。 TAGB も効率を 0.96 と仮定し、 ACC による動力消費分を A hp と仮定すると ICDS を通って 0.96 x 511- A ) hp MWGB に伝わります。

正確にいうと MWGB には右のエンジンからも同様に伝えられており、倍の 0.96 x 2 x 511- A ) hp MWGB の入力となります。(現実では ICDS などのジョイントでも損失があるのですが無視します)

MWGBには次の図のような ACC が付属しています。 ACC は、発電機 2、空気圧縮機 1 、作動油圧ポンプ 1 、潤滑系オイル・ポンプ 1 、オイル・クーラーのファン 1 で構成されています。

Us5054716s1
さらに MWGB には、入力軸である ICDS につながるローター・ポジショニング・ユニット(電気もしくは油圧モーター)とローター・ブレーキが付いています。

これは同期された左右の PRTR ブレードの先端が作る正三角形の決められた一辺が、格納時に ブレードの折り畳み機構が所定の位置になるように、またブレードを展開した駐機時に地面に平行になるように回転と係止(停止と固定)をする機構のようです。

そして、 APU としてハミルトン・サンドストランド製 T-62T-46-2 APU ターボシャフト・エンジンが接続されています。

APU にはオートマチック・スターター、オートマチック・クラッチ(機械的なスプラグ・クラッチは別にあるはず・・・)、その他もろもろのメカニズム を制御する全自動電子制御装置を装備されています。

オスプレイに装着した状態では不明ですが標準状態の軸出力は吸気温度や高度によって変わります。 300 hp から 225 hp 、回転数は 12,000 rpm 、限界実用高度は 5,334 m となっています。

コックピットに座って、(あなたの自動車の始動マナーと違い、マニュアルのコール・アウトでチェックをしながら)エンジン起動ボタンを押すと、まず APU が起動し、安定した回転をはじめたら電子制御クラッチを作動させ MWGB ICDS PRGB を経由してPRTR を回しはじめます。
APU を起動するにはそれ用の ACC も必要ですがここでは省略。)

しかし、APU の動力はエンジンと PRGB の間にある(はずの)スプラグ・クラッチのために直接 ENGINE を駆動して起動させることはできません。

MWGBACC は、ICDS を経由して停止状態からはじまる起動状態の ENGINETAGB  TAGB などに付属する ACC に代わって電力、油圧、空気圧を供給する ENGINE の始動装置として働きます。
(押し掛けできないオートマ車ではジャンプ・コードで隣の車のバッテリーから電力を供給してスターターを回すようなものです・・・親切で用心深いあなたは自分の車のエンジンを掛けてからコードをつないで上げるでしょ・・・閑話の押し売り)

MWGB のギヤ・レシオは不明だが、PRTRICDS には機械的につながっており、 APU の定格回転数と ICDS の回転数と整合させるとすると APU から ICDS 見たギアレシオは 1.825  ぐらいか・・・逆に ICDS から APU 見れば、逆数の 0.5479 の増速となる。ACC に対するギヤレシオは分かりません)

では、この APU はシングル・エンジン・オペレーション時にはどのように働くのか ?
賢明な読者は APU の出力とエンジンから伝わる MWGBACC への入力が違いすぎることに気がついたはず・・・ですが、すべて次回のこころだー。

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なお、 MWGBAPU の解釈はパテントの図を参考にしており、実際とは異なるかもしれません・・・念のため !

構造的に右エンジンは右ローターだけを駆動するわけではありません 。
実際の動力はICDS を通して(操縦などの人為もあれば風などの自然条件によって変わる)左右のローターの負荷の変動に合わせて、左右のエンジンが相互に動力を融通しあっています。(本文の説明では MWGBACC を駆動するだけの説明になっています。しかし融通される動力が大きくはないことも事実です)

ここで問題。二つ以上のエンジンの出力を合成して一つまたは二つのプロペラを回しているヘリコはたくさんあります。

では、固定翼機の名前を挙げられますか ? ヒント ! ダブル・マンバなんて聞いたことありませんか ? ・・・まだ、まだありますよ・・・成功したとは言えませんが・・・。

さらに一つのエンジンで二つのプロペラ(一軸二重反転式は除く)を回す有名な機体は ? ヒント ! プロペラは互いに逆方向に回転しています。

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