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2015年7月15日 (水)

キネマ航空CEOの 「シングルとタンデムのあいだに」 の巻 その 1

(承前)・・・で、”あいだ”に入る前に”シングルとタンデム”の直接対決です。

出所はボーイング・ロータークラフト・システムズが2000年代の後半にインド空軍に提出したパワーポイントによるチヌーク売り込みのプレゼン資料・・・ミーリ、今では(カーモフと合併して)ロシアン・ヘリコプターズの Mi-26 vs CH-47 つまりはインド空軍の現行機種であるハローでは軽いので)ヘイローチヌークとの優劣です。

突っこみどころ満載の内容は軍高官と同席する技術スタッフ相手の発言を引き出すコミュニケーション・テクニック・・・かな?色付き、実寸は こちら のサイトから。

18_ch47vs_mi261.改良された搭載能力

以下の(内は当CEO の感想で元の説明文ではありません)

シングルローターではテールローターに使われる10-15%のエンジン出力がツインローターでは搭載能力に上昇限界高度さらに飛行コントロールに使える。

(ことばでは正しいのだがヘイロー の10-15%の矢印の向きはおかしい。

前々回の 同一縮尺による比較 で示すように ヘイローチヌーク の二回り以上大きいがここではキャビンの大きさはほぼ同じになっている・・・)

2.風の方向に関わる運行能力

チヌークは、
A.45ノット(風速では23m/s)の横風や追い風での作業で制限される(流される)ことはない。

ヘイローは、
B.強い横風でのホバー作業は制限される。
C.比較的弱い追い風でもホバー作業や操縦は危険。

チヌークには他と比べられないホバーや着陸時の安定性の存在を示唆している。

3.強化された着陸進入能力

運航基準をいっているのか操縦方法を言っているのかよく分からないがチヌークのほうが高高度からホバーできて垂直下降に入れるということらしい。ヘイローは最終段階でも前進速度が必要??)

(ホバー能力自体は積載能力の優劣も関係する。ヘイローの最大離陸重量はチヌークの2倍以上ある)

4.より小さいローター・ブレード

小径のローターのほうが狭い地形での離着陸が容易。チヌークは後部ドアや右のサイドドアで人員や貨物の搬入搬出が効率よくできる。

(この図ではローター・ブレード長の縮尺率は同じのようだ。

地上ではチヌークの前後のローターには高低差があり、どう見てもフロント側は斜面との間隔はほとんどないようだけどね)

5.より大きい後部の積載・搬出作業能力

シングル・ローターのテール・ブームが邪魔になる。テール・ローターが回転していると危険である。タンデム・ローターが回転していても作業の邪魔にならない。

チヌークの作業写真ではローターを止めており、一言でいえばトラックがよりカーゴドアに近寄れる程度の差。

ちなみに図のトラックの車高ではチヌークだって積載できない。写真を使った錯覚誘発を意図してる・・・?)

6.重心の許容範囲

チヌーク は二か所のリフトで 4ft (1.2m)
ヘイロー では一か所のリフトなので 2 ft (0.6m)

 - 積載の柔軟性
 - 速やかな搭載作業
 - 吊り下げやロープ作業への影響が少ない

(これはその通り。タンデムヘリコの存在理由そのもの)

7.ダウンウォッシュの大きさ

チヌーク 60 MPH(26.8m/s)
ヘイロー 88 MPH(39.3m/s)

スリング作業の地上要員の安全性とリスクといった言葉の使い分けがされている。

(これは3.と表裏の関係であり固定翼機の翼面荷重に相当するローター回転面荷重の比較に他ならない。

チヌークの場合は各ローターに2分された荷重と小さいローター回転面積との関係になる)

8.チヌークの高高度におけるあらゆる地形対応能力

基本は上昇限度の違いと後部の貨物扉の形状の違いによる半着地状態の運用性のアピール。

(インドは世界有数の高山地帯を中国との間に抱えている)

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2012年の記事では、売り込みが功を奏したのか、IAF (Indian Air Foece)は航空機調達を従来のソ連偏重からアメリカへも広げつつあるようです。

もちろん冷戦後の新興プレイヤーとしての天秤の支点を探りながらですが・・・

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以上は用途を含めた機種選択権のあるユーザーに対するプレゼンでの優劣比較といえます。

技術的な比較となれば積載能力が同等の、たとえば、C-53 シリーズの中からえらばれた機種が対象になります。でもペンタゴンからプレゼン資料が漏れてくることはないでしょうね。

axlegeeksのサイトが行っているヘリコ・フリークが投票するCH-53K vs CH-47D/F比較アンケートでは 3 : 4.3チヌークが優勢のようです(本記事出稿日現在)。なお、CH-53K キングスタリオンはまだ就役していません。新設計の価格は高騰していくようですね。

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