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2015年11月29日 (日)

キネマ航空CEO MRJ の胴体を考える 

飛行中の『写真』ではなく、三菱航空機(株)(Mitsubishi Aircraft Corporation)
がリリースした『イメージ画』と思いますが、
Img_mrj_mac(使用者側の版権を含めて不正利用であるようでしたらご連絡ください。削除いたします)

ミツビシ・リージョナル・ジェット(MRJが 2015/11/11 に脚を出したままで行う初飛行に成功し、航空ファンにはうれしい年となりました。

計画遅延が云々とされるが開発技術倫理(そんな言葉があるのかいな)的には計画通りの方が恐ろしい。製造ビジネスの発端部はそうしたものである。ことに航空機においてはなおさらであり他の製造業の範であってほしい。

航空機に限らず製造ビジネスは「人と時間(人工:にんく)」と「金(資本)」をつぎ込み「人と時間(雇用)」と「金(利潤)」に換える営みです。(もちろん航空機ファンの夢もありますが、ここではどんな夢なのかは問いません。ありがたいことに飛行機ではどんな失敗作でもどんな飛行を歴史に強いられた機でも名機と呼ぶことが自由にできますからね)つまりは航空機は航空機ファンのため(だけ)に作られるわけではない。

さて、その営みで生まれる(夢であり商品でもある)製造物は航空機であり、その商品の企画意図の当否が先の言葉の意味の転換を可能にします。

何しろ数年単位の人工(にんく)がかかる設計、試作、性能や品質の確認の作業の中で最初の企画意図が変更されれば(あるいは企画意図に想定していた市場の風が変われば)人工(にんく)にかかる予算(金)の致命的な浪費になりプロジェクトやビジネス自体が立ち行かなくなることもあり得る。

さらにいえば、計画の遅れで出足をくじかれるような企画では計画通りでも成功はしない。実際に戦争しなければ結果の出ない軍用機とは違い民間航空機では売り逃げはできないのです。

経済産業省の核燃料再処理施設などはつぎ込んだ資本は税金なので売り逃げを目指して立ち行っているけどね・・・同じ税金でも飛行機では大損してしまった。だから今度は組織下のJAXAや外郭団体がお墨付きのついた基本概念をゼロのミツビシに丸投げして起死回生の賭けに出たのがほんとのところだろう。エンジニアにはテーマがあれば飛びつく本能があるからね。・・・さて、公表されている資料(要約)を読むといくつかの希望的な分析にも杞憂が見え隠れする-参考文献のキー・ワードは ”環境適応型高性能小型航空機 ”です。

具体化される航空機の企画のおいて最初に待ち構える分岐点は「機体とエンジン双方の新規開発」か、「新規機体と既存のエンジンとの組合せ」または「その逆の組合せ」か、となります。つまり、いずれか一方は実績を積み上げた構造を採用するのか否かの選択となります。

残念なことに日本にはどちらもない。いずれにしてもエンジンは買ってくるしかなかったのですが実績のないエンジンを選びました。(エンジンは次回のテーマです)

MRJ の実績は零戦を頂点とするミツビシをブランドとすることで二つの新技術を組み合わせてメイド・イン・ジャパンというより(純)国産のストーリー作りが始まっているようです。
(情報源と愛読者の中間にいる航空雑誌どころか政府と金蔓の視聴者の間のNHKのニュース報道からも読み取れる)

それはともかく、MRJ の外観は機体の先端が胴体中央軸より大きく下がっている最近の傾向に準じています。全体にずいぶんか細く見える胴体でありますね。

コンセプトは環境適応型高性能小型航空機、環境に優しい、つまり燃費が良く、騒音の少ない、(最初の顧客の)航空会社と(それを選ぶ)乗客に優しい旅客輸送用小型航空機であります。
(最高速度を競ってはいないようだ。重要なのは管制されたエアルート上の巡航(運行)速度であって最高速度の優劣はほとんど関係しない―とは言え、零戦と同じく特化しすぎているようにも思えるのだが、それはさておき

企画書に沿って胴体の抵抗を小さくするために形状抵抗係数を小さくし、それに掛ける投影面積も小さくするため胴体の直径を細くしている。
(付随して胴体の表面積も小さくなるので空気の粘性による摩擦抵抗も小さくできる)

そして細くした胴体に客席の快適性を付与するために、床を低くして通路の高さを確保し下方に比較図あり、狭くなる窓側シートの足を動かせるスペースを作るために両側のシート列を(へリングボーン、または杉綾模様のように)中央に向けてわずかに傾け、シート・バックを薄くすることで壁側に寄せて中央通路の幅を確保するドミノ倒し配置を採用した
(シート・バックのリクライニング代は少なそうだし、窓側の客は首を余計に回さないと外が見えなくなるけどね。)

床を下げたことで減った床下の収納スペースは(例がないわけではないが)重心から遠い機体後部に移すことで確保したので地上での荷物のハンドリングは楽になると考えられる。そのいっぽうでは運行上のバラスト・スペースとしてはどんなものか。
(バラスト:重心を調整するために乗せる錘(おもり)。決してデッド・ウェイトではない。例えば一人あたり10キログラムの荷物を90人が持ち込むと900キログラムとなる。15キログラムでは1トンを超える)

エンジン位置を主翼の下に配置したことで事故時に損傷脱落の可能性の大きい後部客室の面積を減らすにはリア・エンジン機と同様の効果はあるにしても、空港から空港(ハブ・アンド・スポーク)ばかりではなく複数の空港をホッピングする運行形態もある。(爆買いした中国人を上海、北京、重慶などへとお送りする・・・は、まずない ! か; ・・・ でも、)アメリカでは乗り合いバスか鉄道のように途中で乗客と荷物が増減するフライトは十分考えられる。

バラストに使えるのは重心付近に集中した燃料タンク間の移送と水平尾翼のトリムによる制御だけのようだけど、主翼の揚力中心に対して(重心が後方にある)テール・へヴィーの飛行をして、フライ・バイ・ワイヤーのプログラムにより水平尾翼に常時上向きの揚力を持たせる制御で主翼の揚力を抑えて誘導抵抗を減らしている飛行方式なのか ?
(コンセプト自体は MD-11 の時代に採用されていた。併せて原型の DC-10 に比し水平尾翼を著しく小さくして同翼に派生する空力抵抗の低減を図った。この時代の制御法の考察はさておき、ピッチ軸の動安定には問題はあったようだ)

それにしても、主脚の位置は重心位置との関係を保つために揚力中心に対して後退しているのか ? 乗客が少なければ後方のシートから順に割り当てるのか ? と、シロート航空機マニアの妄想は尽きない。

乗客や荷物の配置に加えて燃料の消費で飛行中に変化する重心が揚力中心の前に出るノーズ・ヘビーには(失速を避けるこれまでの一般的な設計法では)水平バランスをとるために水平尾翼に下向きの揚力を持たせて機首を上げる。

しかしそのときの機体重量は変わらないので主翼は水平尾翼に発生する負の揚力を補正する等しい正の揚力を増やさねばならない。結果的に主翼上下の圧力差が増加し、翼端渦となる誘導抵抗が増加することで燃料消費が増し環境汚染につながることになるノーズ・ヘビーの飛行を積極的に回避する(テール・ヘビーが基本の)設計を意図している らしい。

この意図に相当する機械的な構造がいわゆる前翼機であるが付随する問題も多い(前翼は主翼に比しずいぶん小さい設計が可能です)。そのあたりは当キネマエアラインズの フライト 001 にご搭乗いただき上映中の「ウィンズ」のコラムをご一読ください。

次の外観の特徴には真円の胴体の細さに比して主翼桁の取り付け部の構造の張り出し(バルジ)が、異様に大きく見えることも挙げられる。

第一の理由は主翼と同時に主脚の取付部でもあり短距離機で着陸頻度の多い運行による脚からくる接地衝撃負荷に対する寿命強度の確保と胴体燃料タンクを囲って保護する構造体だが・・・あまりに日本人が「ゼロ、ゼロ」と言い続けるのでそのうち、外国から敬意を表して「プレグナント・ゼロ」 なんて呼ばれるかもね。

期待すべき将来にはストレッチによるシート列の増加や、むしろ座席を減らしてでもリージョナルを越えた航続距離(政府専用機にするならほしいよね)に必要な燃料を搭載するスペースと最大離陸重量に耐えられる主桁基部構造を収容するる空間を確保する目的かとも考えられる。
(構造の実績を積んでおくためだが、現行のMRJ-90構造では重量に見合った軽量化がなされているかもしれない)

Mrj90_departure_angle左の図面には MRJ-90 の尾部接地角を記入してあります。(元図の首輪は地面にめり込んでいるように見えるなどでこの角度はあくまで参考です)

低速時に揚力を大きくするために機首を上げて主翼の迎え角(AOA)を大きくする離陸滑走時に、あるいは着陸時進入時に主輪が接地するとき必要な滑走路に尾部が接触する余裕の角度です。

一般的には 10°以上とされますが、主脚の緩衝装置やタイヤの空気圧で変化するため必要に応じて尾そり(スキッド)をつけたりします。 MRJ-90 では 13°あり、多少のストレッチの余裕は見込んでいるようです。

機体のストレッチで (座席数ではエンブラエル E190 クラス相当の)MRJ-110 にするにはシートを 5 列( 31" ピッチで 4m 弱)(ラバトリィ、ギャレイなどの追加はなし、非常扉は必要かも)のスペースを増やせばよい。一般的に重心の後方を伸ばす長さより前方を伸ばす長さの方が長いので 尾部接地角は 1°減程度で可能なはずだが。

そのほか、軽量化のためと考えられる主翼上の非常時脱出扉の廃止は場外(当り前だが)着水(ディッチング)時の一時的な退避場所がなくなるなど、一部のライバルとは安全対応上の差異(後退)もある。

胴体下の容積は大きそうだが、胴体そのものは細く浮力は小さい。重量が集中する可能性のある胴体後部の貨物室を折損したら前方ドアの使用ができなくなるかもしれない。

脱出時の時間制限の規定はクリアしているのは間違いないが、ハドソン川の奇跡での実績を考えると航空会社の内規方針、あるいは FAA の作る安全規定の見直しの可能性も残る。

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つまり、企画意図から導いたあとに引き返せない解答である胴体を細くしたこと、から始まった床面の低下による客室のアメニティ(快適性)と荷物室の位置変更による許容重心範囲の管理と制御の信頼性、場外着水時の脱出マージン、を乗客や航空会社の評価に委ねることになる。
(乗客の増えるストレッチ型や長時間のフライトとなるロング・レインジ型への展開を視野に入れた需要層では特にね)

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これらが既存の機体に新エンジンを換装できるメーカーに対し、またそれらの機体をベンチマークとする新興プレーヤーに対し、MRJ のコンセプトが持つリスクと言えます。

そんなことはゼロ(戦)のミツビシはヒャク(式司偵)も承知かもしれませんが市場は販売しなければわかりません。

The_wall_street_journal_2
図はちょっと古いですが先行する競合二社のボディ断面を比較したウォール・ストリート・ジャーナルの記事からの借用です。(画像のクリックでポップアップして全体が見えます。)

MRJ の胴体はボンバルディア CRJ700/900 より太くエンブラエル E170/190 より細い。そのボンバルディアは中型機への進出に失敗し経営破たんに陥っている。

将来の市場では MRJ は新造機の市場で最も細い胴体で通路の狭いジェット・ライナーになる可能性があります。

(企業の信用性を含めた)下位のライバルを失った場合の市場で CRJ700/900 シリーズの代替え候補としての優位性で評価されるのか、それとも世界の評価は乗客の心理的なスペース余裕の大きい下から二番手の E170/190 のエンジン換装型(ついでにシートも換装か?)に向かうのか。

くわえて、航空会社の規定以上(というより横並び)の安全に対する方針、日本がかかわることができない FAA の安全規定を改定する可能性などのリスクを含めて、MACMRJ の重点コンセプトの一つとする胴体に関わる航空会社の機種選定が庶民の商品選びに似てくることに注目です。
(つまり航空機の場合はメーカーが公表し日本の航空機ファンが心酔する合理性や論理性だけで商品を選ぶのか、についての期待と不安です)

次回は、月をまたいで(キネマ航空CEO MRJ のエンジンを考える)の予定です。

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