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2016年4月16日 (土)

キネマ航空CEO ターボファン・ジェットのバイパス比を考える。

さて、これまで何度も出てきましたが、ターボファン・エンジンの性能の指標の一つにバイパス・レシオ(比)があります。

バイパス比は、「ファンから送り出される空気の重量 を「 燃料を燃やすコア・エンジンを通る空気の重量」で割った、つまり後者を 1 とした 「」 となります。指標の単位に重量(実際は質量)が用いられるのはニュートンの運動の法則に馴染みやすいからです。

MACのホームページにある MRJ 90 に使われるピュアパワー・エンジンのカットアウェイ図は、P&Wの資料の型番ではファンブレード径の最も大きい従いバイパス比も大きいクラスとなっている原図から圧縮タービンを一段減らしただけのようなので、ここでは原図をもとにバイパス比 12:1 (通常はこの形式の比で表示される)の可視化をしてみました。Bypass_ratio

図はバイパス比の定義のイメージです。バイパス比の 1 相当の空気がコア・エンジンに吸い込まれ(また押し込まれて)圧縮され燃料を吹き込まれて燃焼し後方にジェット・ブラスト(高圧・高速・高温の流れ)となって噴出します。

いっぽうの、ファンの部分はファンで加速され運動量が増加した流れとなっています。温度はジェットの燃焼ほど大きくは変わらないので空気の流速が速くなっていることが前方の断面と比べると後方が薄くなっている図からベルヌーイの定理を理解できます。

ただし、この図は下に述べる仮定に基づく数式をイメージ化しただけですから次のような想像力が試されます。

プロペラの記事で説明したように後方の流れは収縮流であり、コア・エンジンの周囲を包むカバー(図には書かれていません)の形状に沿ったコアンダ効果によってジェットブラストに近づきます。

ジェット・ブラストも同様に収縮流で、しかも速い流れですから周りを囲むファンからの円筒状の流れを引き寄せることになります。

上の図では二つの流れは離れていますが、実際はダクトやエンジンに沿って流れ、エンジンを離れると接触した流速の異なる円柱状の流れになります。

実際は二つの流速が等しい場合にターボ・ファン・ジェット・エンジンの効率が最もよくなります。詳細はこちら。キネマ航空CEO ターボ・ファン・ジェット・エンジンの効率を考える(数式編)

余談ながら、図示されていませんが排気口の中心にはジェット・のブラストの流れを整えるため円錐状のテール・コーンと呼ぶ整流装置がつけられます。いっぽう先頭にあるスピナーと呼ばれる円錐状の整流装置については後述します。

さて、ターボ・ファン・エンジンは音速以下で飛行しますから先頭のファンが吸い込む負圧の影響はプロペラの理屈と同じです。すなわち圧力と流速の変化となってファンの周囲に伝わることになります。

この影響でファンの前方の直径より大きい範囲の空気を吸い込むことになります。この図ではダクトの口径はファンの直径より大きくなっています。

実際には、この前方に(描かれていない)カウルが伸びており、カウルの入り口が絞られて、そこから流れ込む空気は直径が大きくなったダクトの中で広がって流速が下がりファンの入り口の静圧が増えるという構造を伴う場合が多い。これもベルヌーイの定理の応用です。

厳密にはカウルの実寸口径で空気がファンに吸い込まれるのではないことを頭の隅に入れておく必要があります。つまり速度によって実効口径が変化します。したがい本ページの図や以下の計算式は模式化もしくは簡略化した説明になっています。のちのち機会があれば言及できるかもしれません。

後日、追記した次のリンク ( 1 )、( 2 )をご参照ください。ターボ・ファンのインテークに備わるデフューザー機能や実質吸入口寸法となる分離流管に言及しています。

静止時はエンジンが空気を吸い込むのですが、実際に飛行する場合はカウルの口径が静止した空気に向かって速度 V で突進して前述のようにダクトが空気を抱え込み、その一部がエンジンで燃焼することになります。

これでバイパス比からコア・エンジンに吸い込まれる空気の直径を計算することができます。

ただし、大気の密度はダクト内の断面ではどこも一定(つまり圧力と速度と温度は一定)と仮定として計算します。
したがい、時間当たりの空気の重量は面積、すなわち、ダクト口径の直径 DD とコア・エンジンに吸い込まれる流量部分の直径 DC 、それにバイパス比 RB (バイパス比が X : 1 の場合 RB = X / 1) から、

RB = {(DD2 - DC2)/DC2} = { (DD/DC)2 - 1 }  より 
DD/DC = √(RB + 1)

作図に使ったバイパス比 12 : 1 の場合は直径比は√(13) = 3.61:1 となります。ちなみに MRJ のエンジンのバイパス比は 9 : 1 ですから直径比は√(10) = 3.16 : 1 となります。

ま、この式は技術的にそれほど重要な式ではなく、イメージ喚起に使える作図用にすぎません。悪しからず。

さて、コア・エンジンへ流入する空気はスピナーで拡大されます。同様の面積計算でスピナーの後端当たりの径を計算するとコア・エンジン入口径より大きくなります。

厳密にはスピナーの形状やファンやコンプレッサーの吸い込み負圧により空気の速度は増加し、空気流の径が小さくなりコア・エンジンには滑らかに吸い込まれる計算に基づいているのは間違いありません。

そのいっぽうでは、スピナーの径は背後のギヤ・ボックスを覆うため、通常のファンジェット・エンジンよりも大きいようです。

エンジン自体の形状抵抗(亜音速でのラム圧の有効利用)という面では不利ともいえそうですが、コンプレッサーの羽根(ベーン)の速さは半径に比例します。

このため、スピナーには中央の空気をコンプレッサーが有効に働く速さの径まで拡大誘導する機能があります。

もちろんエンジンの先頭にあるファンもコンプレッサーの性能に関係してきますがそのファンをギヤーで減速する理由はなんだろう・・・と次回以降に引っ張ります。

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余談ながら、ターボファン・ジェットの性能指標の一つとして「バイパス」という言葉を説明しましたが、ジェットエンジンの創成期にはすでに英国でそのまんまバイパス・ジェットという名前で技術開発が行われていた。この辺りから次回に・・・

それから、くどいようですが、今回はファンを囲むダクト内の空気密度を一定とした仮定のお話です。

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