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2016年5月30日 (月)

キネマ航空CEO 航空エンジンのお仕事の効率を翼素理論で考える(プロペラの巻 その 1 )

お詫び。2016/05/29 - 30 に掛けて 図B の差し替えと関連する式の訂正を行いました。日付の変更を伴う再掲載となり、たいへんなご迷惑をおかけいたしました。

キネマ航空CEO

運動エネルギーからプロペラの推進効率を計算すると、ターボジェットと同じになる。以前に学んだモーメンタム理論によるプロペラの推進力は基本的には先回のターボ・ジェットの推進力の理論と同じです。

実際のプロペラの推進力は翼型の揚力が推進力(仕事)となり抗力が投入する回転力とつり合うのでその関係を見つけなければならない。

困ったことに回転するプロペラの回転速度は一定でも周速は半径によって異なり、これに合わせるために翼型断面の角度を変化させなければならない。

速度と半径の関係は簡単な式で表されるが、ある半径での翼型断面の翼弦長と角度から揚力係数と抗力係数の関係を知る必要がある。

これを数式化して飛行機としての推進力と回転力の関係に持っていくにはまず半径と揚力と抗力の関係を表す線形の式をつくり、プロペラの中心から先端までの長さで積分で求めることになる。これは当CEOでなくても至難の業と思える。

現実にはプロペラの半径を適当に分割して各半径毎に効率の良い翼型と翼弦長と角度を決めて、その間を滑らかにつないで作ることになる。(作っていた。・・・の方が正しいのかも・・・しれないが)

特に中心に近づくと遠心力や揚力と抗力による曲げモーメントに対する強度の方が翼型より優先される。

ということで、積分など使わずにプロペラの推進効率の特徴を探ってみることにする。

さて、プロペラを代表する翼型と角度はプロペラ半径の75%の位置の値が使われるらしい。

Photo

この図を 図 A とします。

上にある翼型の性能曲線はプロペラ用の翼型ではありません。参考です。これには揚力、抗力、揚抗比、C.P. 、翼型の形状と座標、データ取得方法と、翼として重要なデータが一枚にまとめられています。 NASA の前身の N.A.C.A. が作成した翼型ハンドブックのチャートからの流用です。

この 図 Aβ は航空工学では αで表される気流に対する迎え角ではありません。プロペラ翼型の回転面に対する幾何学上の角度で、ピッチ角と呼ばれます。「可変」あるいは「固定」”ピッチ”・プロペラの”ピッチ”です。

つぎに、翼としてのプロペラに働く「空気の速度」と「発生する力」の「大きさと方向(ベクトル)」を示す図として、

Aoaand_air_speed
これを、 図 B とします。

同図の右下の部分は 図 A の任意の半径方向の位置 r の翼型断面を示しています。

とりあえず 図 A の75%の位置としておきましょう。そして半径方向に ⊿R の幅と翼弦長 C を持っています。

迎え角 α は、プロペラ自体が回転と共に軸方向に進んでいるため、その移動速度が関係してきます。

まず回転方向の速度は、半径 r の単位を [ m ]として 2πn・r [ m・s-1 ] となる。n はプロペラの単位時間当たりの回転数で単位は[ s-1 ] 。これに機速の v0 [ m・s-1 ] が合成される。

これらの合成速度を V図 B 下方では破線で示したのみ)とすると
 V2 = v02 + ( 2πn ・r )2 
 tanΦ0 = v0 / ( 2πn ・r)
で表されるので、迎え角は α= β-Φ0 となるのだがそうは問屋が卸さない。

なぜなら、モーメンタム(運動量)理論で使ったプロペラが吸い込む負圧で生じた速さの増分⊿V の扱い方がある。

モーメンタム理論では質量の速さだけでいいのだが翼素理論では大きさと方向(ベクトル)を持った速度でなければならない。

そこで、図 B のように誘起速度 w と名前を変えておく。実際の誘起速度 W は三次元の速度であり、図中で小文字の w は回転方向と吸引される方向の速度ベクトルを示しています。残った半径方向のベクトルは省略または無視しています。

この w のベクトルはプロペラの回転に引っ張られており、図 B のように 2πn・r を減らし v0 を増やすことになる。

したがい、実際の合成速度のベクトルを方向を持った大きさを U 、その方向を角度を Φ で表すと、w の進行方向に対する偏角をδとして
 U2 = ( 2πn r  - w ・sinδ)2 +  ( v0 + w・cosδ)2
 tan Φ = (v0  + w・cosδ)/( 2πn ・r  - w・sinδ)
となり、迎え角は α= β-Φ となる。

ちなみに Φ0  は前進角、 Φ は実効前進角と呼ぶ。

本格的な参考書にはここまでの説明があるが、実際に (Φ-δ ) を計算するには w を知る必要がある。渦理論で解く文献の紹介があるけれども、この先は U = VΦ = Φ0  として扱っている。さらに一般的な参考書では w そのものを頭から無視しているようだ。

ということで、当CEOもこれに倣うことにして、翼素理論による推進効率の解析は次回に続く。

なお、次回も 図 A図 B を参照しながら進めるので、通常設定としている画像上のクリックによる画面上のポップ・アップから別窓による表示に変更してあります。 

-------------閑話開題---------------

でもやはり誘起速度 W と飛行速度 V の関係は気になる。

 W = ⊿V としてモーメンタム理論で解いてみよう・・・そんな無謀なことができる ? のも素人だからでありますが・・・

まず双発機以上にも適応できるように モーメンタム理論による推力 T を変形して、

 T = 2ρ・n A・⊿v・(V +⊿v) 
n :ここではプロペラの数。なお、その直径もエンジンも同一とします。
A :プロペラ回転面面積。

この式の ⊿v は二次方程式の解法で解ける。解いたのち両辺を V で割って速度比にすると、

 ⊿v/V = (- 1±[ 1 + 2・{ T / (ρ・n ・A・V2 ) } ]1/2 )/ 2

水平に一定速で飛行しているとすると推力 T は抵抗 D とつり合っており、
(当オフィスの過去の関連記事は こちら ただし記号の表示方法は若干異なっています)

 T = D = (ρ・SF・CDp)V2/ 2+ WT2/{(ρ・SW・π・As・e/2)・V2

前項は機体全体の形状抵抗で、
 SF : 機体全体の全面投影面積
 CDp : 機体全体の形状抵抗係数

後項は誘導抵抗で、
 SW :翼面積
 As :アスペクト比。 e は翼端形状によるアスペクト比の修正係数
 WT :機体重量、などなど

(厳密には機体全体の表面積と速度の積に比例する摩擦抵抗もあるが省略)

前者は速度の二乗に比例し、後者は速度の二乗に反比例している。したがい両者の値が相等しくなる速度がある。

その場合の全抵抗は前項を二倍して次式と等価となる。

 T = (ρ・SF・CDp)・V2

これを代入して

 ⊿v/V = (- 1±[ 1 + 2・[ CDp・{ SF / (n ・A ) } ]1/2 )/ 2  

その結果、ある特定の飛行速度では、「機全体の形状抵抗係数」と「機体全面投影面積とプロペラの回転面面積の合計との比」との関係になる。

ちなみに双発機以上の場合、各プロペラの直径  D を単発機の相当プロペラ直径  D' に換算するには D' = n1/2 ・D となる。双発だと 1.41 倍、三発で1.73、四発機だと 2 倍となる。

透けて見える紙にそれぞれの円を作り、その直径の 1.41 、1.73 、2.00、 2.24倍くらいまでの直径で同心円を描いておく。

この図を正面図の胴体の中心に置き、はみ出した部分をあいた隙間に押し込んで、だいたいどの円の中に納まるかを決める・・・面積比は同心円の内側から1、2、3、4、5 となる・・・。

手持ちの三面図では、面積比 SF / n ・A は、 1 強、 2 弱、といったところか・・・素人だからね、細かいことは言いっこなーしよ。

形状抵抗係数 CDp は、 図 A と同じ参考書からプロペラ機を拾い出して、

機   名 CDp
ライト・フライヤー 1 号  0.075
スピリット・オブ・セントルイス  0.033
メッサーシュミット Bf 108   0.018
ノースアメリカン P-51 ムスタング   0.020
ボーイング B-29   0.033
ロッキード・コンステレーション  0.019
セスナ 170   0.032
ビッカース・バイカウント  0.017

ライト・フライヤーは「ヘェー」にとどめて、その他から、⊿v/V ≧ 0 )の最大と最小値を作る組み合わせで計算した範囲は、 

 ⊿v/V = 0.0162 ~ 0.0042 ( ≒ w/V )

特定の速度条件では 1 % 前後の違いのようなので Φ = Φ0  としても問題はない、といえる。

この試算に使った速度は機体の全抵抗が最小となる条件の場合です。

燃料の減少に合わせてこの条件に合う速度(同じ高度では次第に速くなる)で飛べば最も長時間飛べる条件、すなわち飛行距離を長く飛行時間に短くすることに重点を置くいわゆる巡航速度より遅くなっています。

この速度を基準にすると、この速度以上では誘導抵抗は速度の二乗に反比例して小さくなり、速度が無限大では誘導抵抗は 0 になる。計算上は⊿v/V の比は一定値に近づく。

速度が基準より小さくなると速度の二乗に反比例して大きくなる。したがい速度 0 で計算上は⊿v/V の比は無限大になる。

⊿v/V (≒ w/V 誘起速度との比)の式では機体の誘導抵抗の項が、速度(実質 V2 )に反比例する、ことになる。

また機体に誘導抵抗がない場合には⊿v/V の比は速度 V に影響されない。速度 V が無限大になったときの下式の値と同じです。

⊿v/V = (- 1±[ 1 + [ CDp・{ SF / (n ・A ) } ]1/2 )/ 2 

結論として、誘起速度は、離陸時から上昇時などの低速飛行時を除く一定速の水平飛行では無視できる。(上昇や加速で推進力を増加させれば誘起速度は増加する)

--------------これにて閑話は休題--------------

(その 2 )に続く。

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