無料ブログはココログ

« キネマ航空CEO 航空エンジンのお仕事の効率を翼素理論で考える(プロペラの巻 その 2 ) | トップページ | キネマ航空CEO 翼素理論と運動量理論の推進効率をグラフにする »

2016年6月19日 (日)

キネマ航空CEO 翼素理論によるプロペラの推進効率を検証する(プロペラの巻 その 3 )

公開校正中です。訂正があるかもしれません。
また、お気づきの点がございましたらご連絡ください。

キネマ航空CEO

   航空機の諸元をあつかう注意点は、まず速度に出てくる単位マイルであります。

   陸のマイルか、海のマイル( nm :ノーチカル・マイル)か。基本的に日本語の資料は換算されており(間違いもたまにある)、英語の資料を複数あたって決めるしかない。日本語の記事や文献では何 km/h と換算されていても(- nm)などときちんと補足されていればまず信用できます。

   次に用語の定義があげられる。物理速度だけでも対気速度、真速度、対地速度がある。パイロットが真速度を知るには気圧の補正を行わなければならない。対地速度を知るには偏流測定が欠かせない。

   地球規模で飛行機は飛んでいるのだけれど、浮いてもいるのでパイロットの意思以外の力が簡単に働くのです。

   カタログに載る値では高度が併記してあれば、まず信用できる。ただしほとんどが標準大気を使った計算値(正確には換算値)と思われる。

   航続距離に至っては計算値以外には考えられない。
まあ誰も具体的な検証をしようなどとは思わない数字でありますね。限界まで直行しようなんて思わずに、余裕を残して途中で着陸し必要な燃料を補給すればいいのですから。

 でも、特別攻撃隊の整備士官は気にしていたのでしょうね・・・もしも会敵できなかった場合の帰投分の燃料を乗せていたのかな・・・ 余分(情)を積めば作戦は成功しても、失敗しても(精神論には失敗などなく悲壮の美学に転化か転嫁をして浄化できるようだけど)、明日からの出撃機数は確実に漸減していく・・・その結果、飛行機があっても燃料がなくなれば戦争は終わる・・・日本人はオペレーターが扱う兵器がある限り続ける戦争を、特化した兵器を作り出してまで精神論でやってしまった。・・・などと総括すると、これから近づくかもしれぬ世が世になれば、「さー(また)やるぞ!」となるのかなァー(閑話休題)

-------------------------------------------

 さて、プロペラの翼素理論による効率ではピークを持つと仮定した。その式では v0 = 0 の条件は明らかに存在する。もう一つの { CL/CD - v0 / ( 2πn ・r)} = 0 の関係が本当に成立するのかどうかを考えていく。

 まず基礎データを抜き出す機種の選定では、「直結の固定ピッチ・プロペラ」を採用し必要な用件を満たす資料のそろう機種となると相当古い機種から探すことになる。

 機体 セスナ 172-F (1965)
  最高速度    138 MPH 海面
   巡航速度 (75% 出力)    130 MPH 7,000 Ft
        公称    130 MPH 9,000 Ft
               最大航続距離    102 MPH 10,000 Ft
 常用上限速度    140 MPH 海面(推定)
 超過禁止速度    174 MPH 海面(推定)
エンジン コンチネンタル O-300
  回転数   (参考)
  連続定格    2,700 rpm (145 BPH)
  巡航時標準 (75% 出力)    2,450 rpm(推定) (109 BPH)
  常用上限速度    2,700 rpm
  超過禁止速度    2.900 rpm(推定)
プロペラ(直結) マコーレイ
  直径    76 in (金属製 2 翅)

 本機は陸のマイルが使われている。この当時、(特に民生用の)飛行機は感覚的には自動車の延長にあったと思われる。
(現在では nm :ノーチカル・マイルと表示されている。したがい現在の速度は数字としては小さくなっている)

 これらより tanΦ= v0 / ( 2πn ・r) = CL/CD というケースがあるのか、ないのか、を考えることになります。Φ は進行角でプロペラ翼素の(周)速度と進行速度がなすベクトルの角度。

 まずは、換算の係数から、 1 mph 0.44703722 m/s 、1 in = 0.0254 m 、1 ft = 0.3048 m 、1 rpm = 1/60 1/s 、π= 3.14159265359

 高度を併記したカタログの速度はピトー管を使った差圧高度計による対気速度として進めるので、プロペラに対する実効速度をそれぞれの高度の音速値 M (マッハ)数に変換する。

 換算値は標準大気表による。

  高度      音速
海面(S.L.)    340.294 m/s
7,000 ft    312.306 m/s
9,000 ft    303.848 m/s
10,000 ft    299.532 m/s

 これらの表よりプロペラの 75 % 位置と 100 % 位置である先端(チップ)の周速度を M (マッハ)を単位として計算する。次にそれぞれの進行角 Φ を算出する。(本来なら物理単位の m/s にすべきだがどのみちタンジェントは無次元の値ですから単位が同じなら、問題はない

対気速度   プ ロ ペ ラ 周 速 tanΦ= v0 / v75,100     進 行 角度
速度条件 v0 (Mach) v75 (Mach) v100 (Mach) tanΦ75 tanΦ100 Φ75 (deg) Φ100 (deg)
  最高速度 0.1813 0.6015 0.8020 0.3014 0.2261 16.77 12.74
  巡航速度* 0.1861 0.5947 0.7929 0.3129 0.2347 17.38 13.21
  公称値 0.1913 0.6112 0.8150 0.3129 0.2347 17.38 13.21
  最長距離 0.1522 0.6201 0.8267 0.2455 0.1814 13.79 10.43
  常用上限* 0.1839 0.6015 0.8020 0.3058 0.2293 17.00 12.92
  超過禁止* 0.2286 0.6460 0.8614 0.3538 0.2654 19.49 14.86

* には当CEO の推定した数値が使われています。
詳細はセスナ 172 の性能表に(推定)と付した数値をご確認ください

 マッハ数にしてみたのは直径わずか 2 m 弱のプロペラの先端は、地上で 2,700 rpm で回転させると、また回転数を下げた巡航時でも高度を上げると、亜音速ではありますがジェット・ライナーの最高速に匹敵するスピードで空気を切っていることを確認するためであります。
 ちなみに巡航速度の公称値(2,750m: 9,000ft)でプロペラに作用する合成された気流の速度は M 0.8372 となります(閑話休題)

 さて、ブレードのピッチ角は β=α+Φ で表されます。Φ は主にプロペラ(すなわち機体)の進行速度とプロペラの周速により変化する。したがい、特定の速度条件での迎え角 αΦ に加えればよい。

 このためにはブレードの翼型と性能曲線が必要なのだが、そう都合よく見つからない。そこで、前々回のプロペラの断面図に比べると翼厚が若干厚いようだけど、たびたび登場する翼型に代行してもらう。

Naca4412 固定ピッチ・プロペラを採用した既存の機体のリバース・エンジニアリングなので、最長航続距離の巡航速度は最大揚抗比(22)で得られていると考えられる・・・で、・・・

 75% 位置での進行角 Φ は 14°。このときの迎え角 α の 1°を加えてピッチ角 βは 15°となる。ちなみに揚力係数は( 0.35)。

 これが静止時の迎え角 α となり揚力係数は( 1.3)、揚抗比は( 11) 程度。

 最高速度での迎え角 α は -2°となるので揚力係数( 0.15)、揚抗比は( 14) となる。

  tanΦ が揚抗比と等しく(すなわちプロペラの推進効率 η= 0 )なるのは超過禁止速度付近の迎え角である -4°あたりとなる。

-------------------------------------------

    なお、上記のピッチ角と迎え角の整合性の確認の記述なかで(数字)で示した揚抗比と揚力係数は、N.A C A  4412 翼型性能表から拾った無限翼幅の数値です。

    現実の有限翼幅のプロペラ・ブレードの性能では、揚力係数が 0 の迎え角は変わらないが揚力勾配(ほぼ直線の部分の傾斜)は緩やかになり、抗力係数も増加するので揚抗比と揚力係数には 1 以下の修正係数が必要です。(閑話じゃないけど休題)

-------------------------------------------

 N.A.C.A. 4412 翼型はセスナ 172 型のプロペラにほとんど整合しており、この翼型で正式化もできそうだが、細かいチューニングをするのが技術であり、マコーレイ(汎用プロペラ・メーカー)が存在する理由であります。

 ついでに同じ翼型ならブレード先端の捩じり下げは 4°、すなわち先端のピッチ角 β は 11° となる。

 中心側への捩じり上げも半径を 50%、25%と 変えながら、進行角から始める計算を繰り返せば求めることができる。

 だだし、ブレード先端速度は先に示したように、セスナ 172 でも空気の圧縮性の影響が出てくる M 0.8 を超えており、先端部の翼型は揚力も必要だが誘導抵抗を抑えるためにアスペクト比を稼ぐ目的で先細の翼弦長と薄い翼型が採用されているようだ。

 つまり、プロペラ・ブレードは全長にわたって同一翼型で統一する理由はなく、滑らかに変化する翼型で中心部の丸棒につながっておればよいのです。

 さらに、ここで上げた資料を使っていろいろな、例えばピッチ角を 15°より小さくし、飛行速度を遅くした状態で、揚抗曲線のピークを有効に使うための「二段階可変ピッチプロペラ」や機速、スロットル開度に合わせてピッチ角を変えて回転数を一定に保つ「定速(無段階可変ピッチ・)プロペラ」などの初歩的な設定方法のシミュレーションができる・・・けど、当CEOはここでギブアップ。

 ということで、当CEO のプロペラでは運動量理論と翼素理論の推進効率は異なるという仮説(ではなく、すでに証明されているのだけど・・・ね)はどうやら正しいようだ。

 次回は 「ターボ・ジェットとプロペラの推進効率のグラフの比較 」 に挑戦してみることにして、今回はここでおしまい。

« キネマ航空CEO 航空エンジンのお仕事の効率を翼素理論で考える(プロペラの巻 その 2 ) | トップページ | キネマ航空CEO 翼素理論と運動量理論の推進効率をグラフにする »

MRJ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/570012/63774351

この記事へのトラックバック一覧です: キネマ航空CEO 翼素理論によるプロペラの推進効率を検証する(プロペラの巻 その 3 ):

« キネマ航空CEO 航空エンジンのお仕事の効率を翼素理論で考える(プロペラの巻 その 2 ) | トップページ | キネマ航空CEO 翼素理論と運動量理論の推進効率をグラフにする »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30