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2016年8月の1件の記事

2016年8月26日 (金)

キネマ航空CEO ターボ・ファンのスカートの中を考える、の巻

【お詫び】 初歩的な確認と校正の不行き届きで、ご迷惑をおかけしております。

次の【正誤表】にファン径の訂正と関連諸元の追記をいたしました。

訂正にはウィキペディア(英語版)とEuropean Aviation Safety Agency Engine Type Certificate Data Sheet EASA.IM.E.002 (2004) その他による資料で補足と確認を行いました。
エンジンの名称は使用した諸元に合わせて初期の型式名に統一しました。
なお、使用した図面と採用した型式名との整合性はつかめませんでした。

【正誤表】
      型式      ファン径 m    バイパス比 推力 Klbf (kN
) 空気質量流量 kg/s 生産開始年
IEA V2500-A    1.557  →  1.587     5.4 :  1       24.8   (110.31)       355         1989
GE  GE90-76B  3.404  →  3.124     8.4 :  1       76.0   (340)         1,350                    1995

これに添って本文と図面を訂正いたしました。
論旨自体の変更はございませんが、ご再読をお待ちしております。(2016/08/31)

                                                                                        キネマ航空CEO 拝

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 「さて、当CEO の当面の興味は、前々回コレオプテールの環形翼の内側のように隠されたダーボ・ファンのダクトの内部です」

   - そりゃ、ついスカートをめくってみたくなるもんだわな。
   - わっ、何ですかいきなり。 技術上、工学上の純粋な興味ですッ!
     ご老体のような芸術的興味じゃありませんよ。
   - スカートだって立派なテクニカル・ターム(技術用語)じゃぞ、お若いの。
     まあ、芸術的興味から技術的、工学的興味に思いをいたすこともある。
     レオめがそうじゃった! もちろん、その逆の思いも “あり” じゃろな。
   - はい、はい。ダ・ヴィンチになにか遺恨でもあるんですか ?

 ターボ・ファンを囲むダクトの中の機能については、簡単な計算式での工学的な説明は難しそうです。 そこで、芸術的、もとい ! まず具体的な図面から・・・

 これがスカートの、ううん!ターボ・ファン・ジェット・エンジンの先頭にある覆いの部分を含めた断面図の画像です。でも、こうした全体図が以外に見つからないんですよ。

 上はゼネラルエレクトリック GE 90-76B (1995)で ボーイング 777 に採用。

 下は  IAE V2500-A1 (1989)で、エアバス A-320マクダネル・ダグラス MD 90 に採用されている。
こちらは P&W(米)、R.R.(英)、Japanese Aero Engines CorporationsJAEC : IHI, MHI, KHI )(日)、 MTU Aero engines(独)の四社合弁による International Aero Engines で開発と販売を行い、各社は出資比率に応じた部品の製造を担当しています。

 この二つを “ほぼ” 同一の縮尺 で並べました。
両者の縮尺をそろえる基準はファン直径ですが両シリーズとも発展過程で GE 903.124m から 3.251m へ、IAE 25001.587m から 1.613m へと直径を拡大しています。

 比較は開発当初の図面として、それぞれに 3.124m と 1.587m を採用したので最新型式とでは相対的に最大で ±4%弱の誤差が考えられる比較図であることはご承知おきください。 Ge90_iae_v2500_rev  パッと見では大きさがずいぶん違います。開発時の推力は、GE 90-76B では 76 Klbf (340 KN)、V2500-A1 の方は 24.8 Klbf (110.31 KN) でした。

 P&W のギヤード・ターボファン・ジェットであるピュアパワー 1000 シリーズに設定された推力は15 - 35 Klbf  です。いっぽう、IAE 2500-E5 では 31.33 Klbf (139.4 KN)に達しています。

 P&W は、ギヤード・ターボファン シリーズがカバーする推力の上限を IAE 2500 に合わせているようです。

 日本の部品三社連合も大変ですね。P&W の思惑通りに現行事業からの脱アライアンスが進めば確実に将来のビジネスの分担比率は低下します。コストダウンの要求(要請と言います)もきつくなるでしょう。現在の事業に食い込んでいても新事業への参入はまさに技術革新の競争です。一口にすべてを手掛ける日の丸総合ジェット・エンジン・メーカーになればいい、といってもさらに高度な金食い虫の技術競争が控えています。

 次に目につくのは、ファンを覆うスカートの長さです。 GE 90 は「ミニ」、IAE V2500 は「ロング」。「ロング」は R.R. などのヨーロッパ系に多かったようです。

 スカートの機能はファンの慣性後流(イナーシャ・フロー)の整流と外を流れる空気の抵抗の低減ですが、同時にジェット・エンジンの高周波音を遮断・吸収する防音構造でもあります。

 簡単にいえば防音効果は長い方が優れている。しかし、エンジン重量は増える。しかも二乗三乗則で増える。

 余談ながら、ファンの空気通路にある、小さな空間が並んだ個所は吸音構造です。

 またまた余談ながらどちらのエンジンもスカートの後ろ半分が軸線に乗って後方にスライドするスラスト・リバーサーを採用しています。図の GE 90 にはその構造が描かれていますが、V2500 では吸音構造にまぎれているようでよくわかりません。V2500 の図そのものが原型の構想図にすぎないのかもしれません。

 さて、ターボファンのスカートの長さは、いろんな組合せのアライアンスの中で新しいエンジンが開発されるようになると R.R. や初期の V2500 に見られるテール・コーンを隠すような「ロング」は短くなり、いっぽう、「ミニ」だった GE 90 は伸びて、「ミディ」が標準となりました。

 現在の傾向は「ミディ」の後端にフリフリ?、ヒラヒラ?、もといギザギザのシェブロン・ノズルをつけて、そこから発生する不規則化した渦流で、コア・ジェットの高温空気とそれを包むファン後流の低温空気の間に混合層を作り低騒音化を図る手法が採用される。渦を作るのだから騒音とともに効率も落ちるだろうな。

 んっ!「ミニ」はなくなったが、ターボ・プロップは「ボトムレス」か ? !

   - やっぱり、小童(こわっぱ)も芸術と工学では逆パターンの口じゃな。
   - レオ様に嫉妬しているご老体もでしょ。

 さて、航空雑誌やウェブの写真では、ターボ・ファン・ジェットのダクトの開口部から想像する軸線と排気口から想像されるエンジンの軸線が一致して見えない違和感があります。

 上記の断面図で、その違和感は開口部の切り方でおこる錯覚ではないことがわかります。

 しかし、本来なら前方に突き出したエンジンへの空気の流入はあらゆる方向に均等な軸対象になるべきはずなのでは ?

 おそらく、このエンジン本体内での軸の交差は、「機体」の軸線(抗力)に対する「主翼」の取付角(揚力)、「主翼」に対する「エンジン」の取付角(推力)の三角関係を、飛行中及び滑走中の機体の姿勢と開口部の迎え角で解いた結果と想像できるのだが・・・

 つまり、エンジンの開口正面は常に機体の進行方向に向いているわけではない。飛行姿勢が変わればエンジンが受けるラム圧の方向も変わる。

 それに加えて次の疑問も浮かんでくる。

 両エンジンともダクト開口部の径より内側(ファン)の径が大きく、デフューザー(動圧を静圧に変える圧力変換装置)を構成しているように見えるのは ??
(逆に静圧を動圧に変える圧力変換装置が、ジェット・エンジンの燃焼室の後ろにある ノズル)

 さらに、スカートを含めたダクト全体の断面形状は翼型を形成し、しかも、なぜか上下で形状が微妙に異なっているのは ???

 これら、疑問とターボ・ファンのスカート(じゃなくてダクトだけどね)の真髄は次回のこころだー

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