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2016年9月11日 (日)

キネマ航空CEO ギヤード・ターボ・ファンの前に亜音速ジェット・エンジンのデフューザーを考える、の巻

 ギヤード・ターボ・ファン・ジェット・エンジンはバイパス比を大きくしてエンジンを通過する空気の質量を増やすという目論みの一つです。

 大きなバイパス比は、ファンの直径をさらに大きくすれば得られます。しかし、ファンの直径を大きくするとブレードに生じる遠心力は大きくなります。

Ge90 右の写真 はニューヨーク近代美術館アーキテクチャー & デザインコレクションの展示品である炭素繊維複合材で作られた GE-90 のファンブレードです。

 前縁と後縁に白く見えるところは金属、黒い部分は金属より軽く金属より強い炭素繊維です。

 ライティングは、先端近くの瘤状の起伏や後縁部分の反り返りなどを浮きあがらせています。

 いずれにせよ、これまでのブレードの翼型とはかけ離れた極めて複雑な形状をしています。

 コンピュータを使った流体解析や構造解析の成果ですが、それですべてが可能になるわけではありません。

 製品化には材料開発や製造技術の革新を並行して進める工業力の存在が背後にあります。そこには携わるエンジニア達の冒険心も・・・推進させる経営者の功名心も・・・

 製品はそれぞれの技術の集積した試作品で設計意図を検証する膨大な実験に支えられている。そして製造に移ったあとにも、実験できなかった、あるいはしなかった、その結果も発生します。

 その結果を解明をする使命が技術者を待っていますし経営者とともに生じた責任を負うことになります。
(閑話休題)

 さて、ファンの直径をあまり変えずに通過する空気質量を増すには、コントラ(二重反転)・ファンを採用することで解決できます。追加する機械構造は普通は遊星歯車機構を使った逆転装置と回転方向を逆にしたファン一つです。

 P&W はコントラ・ファンと同じような歯車機構をつかうならシングル・ファンの減速機としてファン・ブレードの先端のスピードを落とした方が直径が大きくなってもエンジンのバランスとしては優れていると考えたようです。

 もちろん、通常のターボ・ファンとの比較を含めて遊星歯車による減速ギヤボックスで生じる弊害と比較した結果としての結論です。

 (閑話開題・・・)ただし、工学のつらいところは、その理論通りに作っても理論を設計に展開する思考の通りになるとは限らないこと・・・さらには問題を解決しても市場で受け入れられるかどうか、に全てがかかります。

 P&W の「ピュアパワー」シリーズが最初に量産されたGTF だったわけではありません。

 ジェットライナーに採用されたGTF として成功したのはライカミングで開発されアライド・シグナルハネウェル・エアロスペースと買収が重ねられて生産された ALF 502/507 (1980)です。

 この元をたどれば1972年のギャレット・エアリサーチ TFE731 で3.5 Klbf  クラスでした。こちらは買収先の製品としてビジネス・ジェットで大成功を収めることになります。

 ALF 502/507 の出力は倍の 7 Klbf (31 kN)クラスでした。現在生産に移行しているP&W PW1000 シリーズの最下位となる仕様の出力が 17Klbf ですから、これはその半分以下の出力でした。

 採用した中型機は BAe 146 シリーズ(1978-2001 387 機)です。成功した機種と言っていいと思います。乗客数は 70-82、85-100、100-112 の三クラスありましたから現在のリージョナル・ジェットに相当し、また、そのように使用されています。

 ただし、そのためには四発機にする必要がありました。双発機のエンジンに換算すると一基あたり 14 Klbf となります。

 都市に囲まれた飛行場で運行するためのSTOL性と静粛性は極めて優れていましたが、出力の比較からも想像できるように巡航速度と飛行高度は現在開発されているリージョナル・ジェットよりかなり劣ります。

 当CEO も一度乗ったことがあります。高翼機ですので高空から見る都市の夜景はそれは素晴らしいものでした。当CEO にはこちらがリージョナル・ジェットの王道のように思えますけれど・・・(開題に戻って閑話を休題)

 さて、P&W のギヤード・ターボ・ファン・ジェットでも通常のターボ・ファン・ジェットのカウルの中に設けられたデフューザーを継承します。

 すなわち、デフューザーでファンに吸い込まれる空気の流れの速度を機速より低い速度に落として静圧を上げるメカニズムを多少の物理知識で解析して理解を深めて置く必要がありそうです。

Defuser_analysis_1

 上図はターボ・ファン・エンジンのつもりです。ターボ・ファンの面倒なところは、エンジンの最後部で推力として得られる、コア・ジェットの流速 vj とファンによる流速 vf が異なっているところです。

 とりあえずは vj >vf ですね。逆転して vj <vf となるとターボ・プロップ・エンジンの範疇に入ります。ギヤード・ターボ・ファンはターボ・ファンと同じコア・エンジンの出力のままで vj ≒ vf に近づけていく技術と考えられます。

 コア・エンジンの出口では燃焼による熱が加わるのでシャルルの法則が適用されて話が面倒くさくなります。

 ただ、(ギヤード・)ターボ・ファン・ジェットでも通過する質量流量は入口と出口で等しいと定義します。

 当CEOが得意なエンジンの「フン詰まり、No!」理論です。これも厳密には圧縮空気を空調システムに抽気したり、流れの中に噴射された燃料の質量と噴射のベクトルを無視した理論ですけどね。

 エンジンのコア部分とファン部分を通る空気の質量流量の比を、コア部分を 1 としたバイパス比( 1 : k )としてあらわします。したがい、エンジン入口の質量流量は( 1 + k )に比例しています。

 ターボ・ファン・ジェットは回転するファンやコンプレッサーが一定の質量流量だけを通す関所(壁)となって機体のスピードが速くなると空気が狭い入り口から広い断面積のデフューザーと呼ばれる空間に押し込まれます。

 この空間で気体の速度は下がり静圧が大きくなり、続々と押し込まれてくる空気で圧縮されて体積は小さく密度は大きくなります。いわゆる断熱圧縮です。自転車の空気入れで頑張ると空気入れの下側が熱くなります。(断熱圧縮による発熱については こちら

 頑張れば頑張るほど空気入れも使っている人間も熱くなります。人間に相当するのはジェット・エンジン自身です。機体の速度に変わったエンジンのエネルギーの一部がラム圧抵抗とつり合いジェット・エンジンの発生するエネルギーからこれを差っ引いた残りがジェット・エンジンの出力となるエネルギーです。

 圧縮による発熱は断熱圧縮と呼ばれ、ポアソンの法則で pVγ= c ( 一定 constante フランス語) 、p 圧力、V 体積、γ 比熱比、から計算されます。γ= 1 だとボイルの法則になります。比熱比γ は気体元素の構成比よって変わります。

 これにシャルルの法則 V/T = k (一定 konstante ドイツ語)で 、T 絶対温度 が加わって、二つの式を使って、温度()、圧力(p)、体積(V)という気体のあらゆる状態を公式で示すことができる。

 さらに、もう一つ重要な要素である質量(m)はそれぞれの定数の中に要素として含まれています。すなわち気体を構成する元素によって各定数の値が異なります。

 ジェット・エンジンの理屈はボイルシャルルの法則ではなくポアソンシャルルの法則で始まります。

 ここから始める熱力学は、エントロピーとエンタルピーを扱い、機械工学に比べるとかなり特殊な分野となります。 

 なので、頭の固くなった当CEO は、圧縮性があろうが、なかろうが、ジェット・エンジンが吸込み、吐き出す空気の単位時間当たりの通過質量は等しい、という例の「フン詰まり、ノー!」理論から、なぜジェット・エンジンは速度が大きくなるとエンジン前端の開口部の面積より狭い面積の空気しか吸い込めないのかを探ってみる。

 密度 ρ0(kg/m3 )の標準大気の中を速度 v0 (m/s)飛ぶ機体に装着された、ジェット・エンジンのデフューザーに入るはるか前方にある(のだけど)目には見えない分離流管の断面積  A0 (m2) を流れる空気の質量流量 m (kg/s)は m =ρ0 A0 v0 となります。

 質量流量 m はジェット・エンジンが処理できる能力なので気圧や温度が一定であれば一定である。したがい分離流管の面積は、A0 = m/(ρ0 v0 )となる。

 速度が v0 = 0 なら分離流管の面積は A0 = ∞、 v0 = ∞ なら A0 = 0 に変化します。  

 ジェット・エンジンの性能で決まる m が大きくなれば  A0 も大きくなる。 A0 が∞だと吸入口の真横より後ろからも吸っている。特に地上で全開運転中のターボ・ファン・ジェット・エンジンのそばには近よらないのが賢明です。

 どうやら、計算式では分離流管の断面積はデフューザーの有無とは関係なく速度に反比例して変化するようです。

 繰り返しになりますが、ここから先のデフューザーの中はポワソンの法則シャルルの法則を基に解析することになります。・・・で、当CEO はここでギブアップ(お手上げ)では悔しいのでホールドアップ(継続する、つまりほっておくことに)にします。

 なお、普通のプロペラ機の速度では分離流管がプロペラ直径より小さくなることはなさそうです。 v0 = 0 ではジェット・エンジンのような大量の質量を処理してはいません。つまりはエンジンが発生できるエネルギーの差で同じ計算式でも現象の見え方の範囲は違ってきます。

 ところで、回っているプロペラに近づきたくなりませんか? 回っているプロペラの隙間を通り抜けられると思っているわけでもないのですがね。

 当CEO はホームの横を特に貨物列車が駆け抜けていると飛び乗れそうな錯覚に陥ります。また視野いっぱいに広がる速い川の流れを見つめていると飛び込みたくなる衝動(引き込まれそうな誘惑)と戦っている自分を意識します。後者はその衝動か誘惑に負ける前に足腰腹筋が弱くなってるローカ現象を自覚して一層危険だな、と急流には近づかないようにしています(閑話休題)

 締まりのない回になりましたが、プロペラ後流の収縮流はこれで理解できるはずです。プロペラで加速された分離流管の初速増分の ⊿V は後方では 2⊿V になっています。

 次回は、「なぜターボ・ファン・ジェットは効率がいいのか?」に迫りたいのだが、「ファンで大量の冷気を送り出すから」としか書いていない参考書ばかり、で。

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