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2017年6月の1件の記事

2017年6月30日 (金)

キネマ航空CEO GTF はターボ・ファン・ジェットかダクテッド・ターボ・プロップか、を考えるの巻(その 1 )

小中型の双発ジェットライナーで先行するP&WGTFピュアパワー」シリーズは、(同等の推力を持つ従来型ターボ・ファン・ジェットに対して)燃料消費 -12~-15%、騒音 -15~-20%、加えて炭酸ガス排出量、窒素酸化物排出量の低減が見込まれている。

燃料消費は単純に、燃料使用量が同じ推力を出すベンチマークのエンジンより少なければよい。

それには、少ない燃料で、より多くの空気を、より高温にできれば良いのだがその温度に耐えられるエンジンを設計する理論展開の支柱となる構造工学材料工学の密接な開発協力が必要となる。

次に燃料の有効利用の面では圧縮された空気が含む酸素を余すところなく使い切る(理論空燃比の)燃料を燃焼室に投入し均等に空気と混合させて完全燃焼させる構造と制御のシステム工学が必要になる。

これで炭酸ガス排出量の削減が燃焼工学と呼ばれる分野で達成できることになる。しかし「理論空燃比」だの「均等に混合」だの、と言っても近づけることはできるが完全燃焼を実行させることはむつかしい。

理論空燃比」というのは簡単だが、燃料一つとっても炭素と水素、おまけに水の含有割合も含めた分子構成は微妙に違う。高度によって変わる大気においても我々が見上げると必ずあるとはいえないコントレールのように空気中の酸素や温度や湿度の割合は常に一定とはいいがたい。

先行機の排気を吸い込むことだってあれば、飛行姿勢でファンやコンプレッサーに均等に空気が吸い込まれるとは限らない。

さて、一般論として酸素より燃料が多ければ、不完全燃焼で一酸化炭素や分解された炭素(煤)などの有害物質を生成して燃焼温度は下がり燃料消費は多くなる。逆に燃料が少なければ完全燃焼どころか余った酸素が窒素と化合して窒素酸化物などの環境物質を生成する。

これらはセンサーとアクチュエーターを駆使しておこなうフィードバックフィードフォワードさらにファジーなどの制御理論が応用されて完全燃焼に近づけるのだが、あらゆる状況でその瞬間、瞬間のただ一つの理論ではない適正空燃比に対してどの程度の誤差範囲に収めるかのコンピュータ制御システムで構成されたブレイトン・サイクルである。

ついでに言えば自動車のオットー・サイクルのエンジンでも同様であり触媒処理システムを追加することで環境規制値を下回っているが、航空機のエンジンには装着はできないだろう。

騒音については排気音の音圧と回転速度に関連する高周波音の低減である。

自動車ではマフラー(消音機)が必須であるが航空機でこれに相当するのが、吸音遮蔽筒となる(ダクテッド・)ターボ・ファンとそのダクトに発生する形状抵抗を避けてファンの回転数を落とし(飛行速度も落としてだが)ブレードの形状に工夫を加えたターボ・プロップファンと呼ばれる構造である。

CEO がこれらの燃焼工学を論ずるにはいささか手ごわすぎるので、ここは初歩的な物理学と工学でGTF に迫ってみる・・・ことにする。そこで連載を振り返ると・・・

キネマ航空CEO ターボ・ファン・ジェット・エンジンの効率を考える(数式編) 2016.10.18 で始まり

キネマ航空CEO ターボ・ファン・ジェット・エンジンの効率を考える(グラフ編 + 下の方で、ギヤード・ターボ・ファンの疑問編の始まり) 2016.10.19 でまとめた考察を振り返ります。

ターボジェット(コア・エンジン)の噴射速度の二乗に比例する運動エネルギーを、速度に比例する仕事をするファンの駆動に振り向けることでコア・エンジンの排気噴出速度(温度)の低下と引き換えにしてファンの反作用としての仕事となる空気の質量流量を増加させられることを説明しました。

この時ターボ・ファン・ジェットの仕事効率はターボ・ジェット(コア・エンジン)の排気速度とファンの作る送風速度が等しい時に最大になることを示しました。

ジェット・ライナーに採用されるターボ・ファン・ジェットの最高速は亜音速の高域、遷音速の下、マッハ7から9の間で設計されており、ほとんどがマッハ0.8強の横並びで使用されている。

また、その速度条件を保てばバイパス比を大きくするとコア・エンジンで発生する運動エネルギーも大きくなる。結局、大きなコア・エンジンが必要で燃料の消費は増えるが仕事効率では向上するのだろう。しかし、やみくもにバイパス比を増やしても限界がありそうだ。

現行の同じ型式のターボ・ファン・ジェットでも推力の細分化(適正化)で機体に合わせている。バイパス比をさらに大きくしたGTFの「ピュアパワー」でも同様である。

この考察は、運動量理論で導いたのであるが、ファンはプロペラと同じく空力機械であり翼素理論からの思考が必要になる、で終わっています。そこで・・・先行する、

キネマ航空CEO 航空エンジンのお仕事の効率を翼素理論で考える(プロペラの巻 その 1 ) 2016.05.30 から始まる回で翼素理論について勉強した結果を・・・

キネマ航空CEO 翼素理論と運動量理論の推進効率をグラフにする 2016.06.22 でまとめた。

なお運動量理論は・・・

キネマ航空CEO 航空エンジンのお仕事の効率を運動量理論で考える(ターボ・ジェットの巻) 2016.05.22 では、運動エネルギー = 仕事 + 損失エネルギー が同じ単位で成立し、仕事効率は損失エネルギーをいかに回収するか、であることを示しています。

これらに別の知見を加えて、翼素理論からファン(プロペラ)の限界を押さえて、ターボ・ファン・ジェットはコア・エンジンとファンによる空気流量速度を等しくする動力分割比でいいのかどうか、「ファンの推力を優先しているがターボ・プロップではない」形式の可能性を探ることが必要のようです。

つまり、コア・ジェットの推力に頼らない『ダクテッド・プロップファン』だけでマッハ0.8級のフライトを効率よく行えるのかどうか、それにGTF がどのように関係できるのかを考えるのがこれから数回のテーマとなります。

とはいえ、まだ机上の検証も済ませていないのでうまく進むかどうかは自信がないが、一か月間キネマ航空CEO オフィスを放置したお詫びとしてとりあえずの予告です。

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なお、P&W の「ピュアパワー」シリーズが最初に量産されたGTF だったわけではありません。以下 2016年9月11日の記事からの抜粋とバイパス比などの補追を挿入しました。

 ジェットライナーに採用されたGTF として成功したのはライカミングで開発されアライド・シグナルハネウェル・エアロスペースへと、企業買収が重ねられて生産された ALF 502/507 (1980)です。

 この大元をたどればギャレット・エアリサーチで開発、量産化された TFE731 (1972)で3.5 Klbf(15 kN)クラス、バイパス比 2.8 : 1 で した。こちらは買収先(現在はハネウェル・エアロスペース)の製品としてビジネス・ジェットで大成功を収めることになります。

 発展型の ALF 502/507 の出力は倍の 7 Klbf (31 kN)クラスでバイパス比 5.7 : 1 でした。 とは言え、現在生産に移行しているP&W PW1000 シリーズの最下位となる仕様の出力が 17Klbf 、バイパス比 9 : 1 ですから、これはその半分以下の出力でした。

 採用した中型機は BAe 146 シリーズ(1978-2001 387 機)です。成功した機種と言っていいと思います。乗客数は 70-82、85-100、100-112 の三クラスありましたから現在のリージョナル・ジェットに相当し、また、そのように使用されています。

 ただし、そのためには四発機にする必要がありました。双発機のエンジンに換算すると一基あたり 14 Klbf となります。

 都市に囲まれた飛行場で運行するためのSTOL性と静粛性は極めて優れていましたが、出力の比較からも想像できるように巡航速度と飛行高度は現在就航しているリージョナル・ジェットよりかなり劣ります。

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