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2017年7月22日 (土)

キネマ航空CEO GTF はターボ・ファン・ジェットかダクテッド・ターボ・プロップか、を考えるの巻(その 4 )「プロペラだって奥は深い」

前回のプロペラの話を、② 「飛行機設計論」山名正夫、中口 博 著 から、もう少し・・・

プロペラの容量を導く作動係数 AF は 1 翅 2 翅と数えるブレードの数 B に比例していた。 1 翅のブレードで構成される航空機用プロペラはまずない。(自然界ではオートローテーションするカエデやモミジの種子がある・・・秋の林でご覧あれ。当CEO の前振り)

推進効率は同一翼型を使った  2 翅と 3 翅のプロペラの間ではほとんど差がない。4 翅と 6 翅では 2 翅のプロペラよりもそれぞれ 1~2%、3~4% 低くなる。

(当CEOの閑話開題)     日本では 2000馬力の ハ-43 に 6 翅プロペラを採用した海軍航空技術廠が主導した前翼型の震電(1945)がある。
 日本のウィキペディアでは執筆者が注記でおよそ二億年前に現れた前脚には小、後脚には大の幕翼を持った爬虫類シャロヴィプテリクスまで持ち出して震電の形態的な合理性を援護するなどで名機扱いであります。同じWEBのプラットフォームでもお国柄は出ますね。贔屓の引き倒しだけど。もちろん自然界の名機は自然淘汰されたようです。

     さて、震電は5 翅で計画したのだが冶具の手配ができず 3 翅の冶具を改造して間に合わせた、と何かで読んだ記憶がある。この時代の 2000馬力では 4 翅プロペラで十分だったようだが効率の低下などは考えなかったのかな。前出のウィキでは翼弦長を広げた 4 翅のプロペラに換装する計画があったそうだ。

     イギリスでは 4 翅プロペラで対応していた2000馬力の ロールス・ロイス マーリン に変えて2300馬力の グリフォン を導入したときに 5 翅のプロペラを装備した機体があった。
     簡単に製作できる 6 翅プロペラではなく 5 翅を採用したのは効率の低下をあいだを取った 2~3% に抑える意図があったのか、単に重量低減を図ったのか・・・

     後期から末期にかけてのスピットファイア/シーファイアで実験されたり採用されたりしたが最終的にはトルク反力を打ち消す前後 3 x 3 翅のコントラ・プロペラで最終量産型となった。

     トルク反力の増加に伴い外方引込式で間隔の狭い主輪とテール・ドラッガーによる地上で取り扱いの弊害もあったようだが、ジェット・エンジンと首輪式への転換の時代の入口までよく引っ張ったものだ。 (閑話休題)

双回転(コントラ・)プロペラの場合は前後のプロペラに同じパワーを吸収させるため最大効率の付近では後方プロペラのピッチ角を前方より 1~2°大きくする必要がある。
     これは前方プロペラで加速された後流に合わせて後方のプロペラのピッチを大きくするという理屈と考えられる。
     いっぽうでは
効率が問われるプロペラの進行速度/後流速度の比 0~1 の間の任意の範囲の効率をふくらませて全体効率のかさ上げを図るために後方プロペラのピッチ角を(相対的にだろうが)小さくする場合もあるようだ。

     もちろんどちらの場合も前後のプロペラには可変ピッチが採用されるのだろう。   (以上当CEO 注記)

単回転(通常の)プロペラとのパワー吸収能力の比較では最大効率付近ではほとんど差がない。しかし v/nD が小さいところでは双回転プロペラのほうが大きく、4 翅と 6 翅 ( 2 x 2 翅 、3 x 3 翅 だろう。当CEO注記) それぞれ 5~17%、10~27% 程度である。

単回転プロペラと双回転プロペラとで一定のピッチ角についてプロペラ効率 ηP を比較すると双回転プロペラのほうが 0~6% 程度高く、その差はピッチ角が大きいほど(進行速度が速いほど? 当CEO 注記)大きくなる。

この辺りまでは第二次世界大戦の軍用機を眺める場合の基礎知識としてお役立てください。

当CEO の興味はプロペラで最も気になるのは先端速度と音速との関係です。

正確な意味は「速さ」ではなく、ベルヌーイの定理でもクッタ・ジューコフスキーの揚力や抵抗の式でも無視している「空気の圧縮性」の影響です。つまり、超音速機の主翼と同じ現象です。

同じ教科書で示された厚翼(クラーク Y )と大雑把には先端が鋭い薄翼(NACA 1 系)のグラフを読み比べてみます。

横軸は共通のプロペラ先端の速度を M (マッハ)、
縦軸はパワー係数の比 CP/(CP)M=0 とプロペラ効率の比 ηP/(ηP)M=0
の二種類のグラフです。
なお、縦軸の X/(X )M=0M = 0 時の、ではなく、空気の圧縮性がほとんどない低速での(X)で示すパワー係数またはプロペラ効率をそれぞれの値を基準とした比、と理解してください。推進効率のグラフで使った速度比ではありません。

まず、厚翼のクラークY 型で翼厚比(h/b.7R = 0.092 のグラフでは、容量係数比は M = 0.5 までは 1.0 ですが、ここより放物線状に増加を始めて M = 0.85 でデータはおわり 1.95~1.21 を示しています。

またプロペラ効率比では M = 0.65 辺りまで 1.0 ですがここより放物線状に下降を始めて M = 0.88 辺りでデータは切れて 0.95~0.83 を示しています。

次に、NACA 1 系 では翼厚比が二種類あげられていますが薄いほうの(h/b.7R = 0.026 のデータでは、容量係数比は M = 0.8 までは 1.0 ですがここより放物線状に増加を始めて M = 1.18 辺りでデータはおわり 1.25~1.18 を示しています。

またプロペラ効率比では M = 0.85 辺りまで 1.0 ですがここより M = 0.9 で 1.2 のピークを示して下降を始め M = 1.18 データは切れて 0.95~0.83 を示しています。

ということで、翼型を選べばプロペラの先端速度が音速を超えてもマッハ 1.2 辺りまではエンジンの出力さえあれば機能する、という先々回の、
キネマ航空CEO GTF はターボ・ファン・ジェットかダクテッド・ターボ・プロップか、を考えるの巻(その 2 )「プロペラで出せる最大速度の推定とその検証」
Tu-114Tu-95 のスペックを使った計算結果からの推測は正しいと言えます。

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ところで、この教科書の発行年の 1968 年より Tu-95 が初飛行した 1956 年のほうがずっと 早い。そんな中で、この教科書のデータの出所はアメリカのようだ。

アメリカは高速ターボ・プロップの研究もやったようだが、選択肢の中からの集中を行ってターボ・ジェットによる亜音速の大型戦略爆撃機(B-47 初飛行 1947 年、B-52 同 1952 年)の開発に専念したらしい。

機体の構成では米ソどちらも後退翼を採用し、どちらもナチス・ドイツの基礎研究を有り難く、かどうか、いただいたのだが)亜音速の上限を狙うという計画はお互いに並べたけれど、ソビエトは航続距離の必要な機種には燃料消費の激しいピュア・ターボ・ジェットの技術では燃料消費の少ないターボ・プロップでしか対抗できなかったという技術競争の結果でありました。

差はさりながら、1950年代後半から1960年代の前半にかけてのソビエトも、高速回転大容量の逆転差動機付き減速ギヤボックスの設計製造技術や低回転でのターボ燃焼技術では相応の技術を持っており、アメリカと対抗する戦力(外交プレゼンス)は持てた、といっていいのだろう。

ターボ・ファン・ジェットの実用化により性能的には遅れを取ることになったが、ライバルの B-52 (ターボ・ファン化 1960 年) と同じく、いわゆる枯れた信頼性のある総合技術として現役でありつづけ、偵察機型はときどき日本の周りを巡回だか徘徊だか、をしている。

どこかで爆弾をばらまくよりはましかも、ね。

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参考にした「飛行機設計論」のプロペラの章はまだまだ続くがここで一旦終わり。

さあ、次回からファンの(プロペラよりは小さいが)直径は大きく、その回転数は(プロペラよりかなり)速い。

しかしダクトに包まれたデフューザー効果で機速よりはるかに小さい進行速度でファンに進入する空気を処理するターボ・ファンのファンのココロだー。

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