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2017年8月 6日 (日)

キネマ航空CEO GTF はターボ・ファン・ジェットかダクテッド・ターボ・プロップか、を考えるの巻(その 5 の 1 )「ファンの奥は深いのか ? 」

おことわり

冷房のない部屋で書いています。校正と校閲の不完全で後日訂正があるかもしれませんがとりあえず公開します。ご指摘をいただければ優先的に対処いたします・・・暑い !

ファンの外観は先々回 2017/7/19 の当オフィスの記事で ボーイング 747 の初期と現在のエンジンの写真とカッタウェイ図で並べている。ほかにないかと探していたらエアバス A350 XWB に採用されている ロールス・ロイス トレント XWB 84k を分析した次のサイトを見つけた。

参考)  ロールス・ロイス トレント XWB 84k とは、

Rollstrentxwb
      画像は https://3dprint.com/45820/rolls-royce-largest-3d-printed/ より。
      左画像の
手前が エアバス A350XWB-1000。このほかに 900 , 800 が設定され、それぞれに RR Torrent XRB 97k , 84k , 75k - 79k が対応する。なお -800 の計画は中止された。
      
型番の k は離昇推力の単位 1000lbf。ファン直径 3m、 ブレード枚数 22、バイパス比 9.6 : 1。
      A350XWBeXtra Wide Body のイメージ・キャッチだがエンジンでは同機専用ということ。

さて、今回の本題の参考にしたサイトは、

LEEHAM NEWS AND COMMENT に連載された、Bjorn's corner; Turbofan engine challenges; Part  2 
     このコーナーでは Part 1 ~7 で、当CEO が意識して避けている新しい燃焼技術についても突っ込んで解説している。英文だが技術用語を頼りにぜひご一読を!

同記事から借用した左下図は、 トレント XWB 84k (2010)を含む ロールス・ロイス トレント 600 (1988)から始まる トレント シリーズ の基礎となった RB211 (1969)のファンとブレードの変遷であります。

まず、左右に分割合成された画像のエンジンの型式は、
  左がたぶん ボーイング 747 向けの トレント RB211-524 (1973)
  右は ボーイング 757 クラス向けに開発された トレント RB211-535 (1984)。

     なお、『トレント』の名は RB211 で三代目だが、初代の トレント RB.50 (1945) は技術的に完成した最初のターボプロップ・エンジンで、のちのロールス・ロイス ダート (1947)となる。日本航空機製造 YS-11 (1962)にも採用された。
     二代目の RB.203 トレント (1967)はスリー・スプール(3軸)形式を最初に採用した低バイパス比の軍用ターボ・ファンで 3軸構成では RB211 に多少の関連がある。こちらは三菱 T-2 / F-1 (1971/1975)にも双発として採用された。 (閑話休題)

RrfanbladeevolutionCfmblades

次に右(上)の画像は CMF インターナショナル
ブレードの変遷が並べられています。

右から ・・・
  CMF56-5B (1991)で エアバス A320 系へ、
  CMF56-7B (1995)で ボーイング 737-600 以降へ。そして、
  CMF LEAP (2013)は エアバス A320neo ボーイング 737MAX
                
中国商用飛機有限公司 C919 へ向けられます。

実年代ではなく技術世代の比較とすれば、
  RB211-524 vs CMF56-5B
  RB211-535 vs CMF56-7B
  RR トレント XWB (最上部の右側画像参照)vs CMF LEAP (-56)
となります。

Ge90ちなみに CMF インターナショナルGE アビエーション(米) と サフラン エアクラフト エンジンズ(仏)傘下のスネクマ との合弁会社です。

エアバス A320ボーイング 737 向けエンジンの開発と生産に特化して設立されたました。

GE アビエーション 本体の最新エンジンは ボーイング 787 向けの GEnx ですがファン・ブレードは ボーイング 777 向けの GE90 を継承しているようです。

右上は以前に掲載していた GE90 の画像の再掲です。 CMF LEAP (-56) とのビミョーな違いは次回に回します。

-------------ここから本題----------------

これらの画像から分かる形状の変遷は次のようにまとめられる。

 新旧いずれのファン・ブレードもレシプロ・エンジンのプロペラのブレード間のような隙間はない。

 初期のファン・ブレードは翼弦が狭く枚数が多い。

 ブレード長さの中央部に “Clappered”「鼻付き」と説明される突起がある。
これは正面写真の左半分の中央付近に見えるリング状のミッドスパン・スナバー(Mid span snubber)と呼ばれる中央部制止環もしくは連結部材を取り付ける個所であります。

     なぜ必要か?というとブレードに発生する振動対策であります。
     特にジェット・エンジン本体や取り付けられた補機などの回転や振動に加えてブレードに働く揚力と抗力で発生する空力振動に誘発される共振という現象です。
     この共振という現象は理論上は無限大のピークを持ち構造を破壊する元凶であります。
     もちろん共振周波数を避けるブレードの材質や形状で工夫を凝らした緩衝メカニズムを機能させてピークの減衰を図りますが、皆無にはできません。
     まして近接するブレードの数々が勝手に振動や共振を始めたら収拾がつかなくなります。
     このため、ブレードの中央部にミッドスパン・スナバーを取り付けてブレードを一つの振動体にまとめる構造であります。
     ミッドスパン・スナバーを二つ使った例は P&W JT-9 (1966) を先々回の画像でご覧いただきました。

 そしてこの時代、ブレードが細くその枚数は多い。その理由は、・・・

 空力的な知見から 2017.07.19 の記事 のプロペラの推力係数 AF の式で示されたようにファンが許容できる(念のため構造の強度ではありません)推力を示す係数はブレードの数 B に比例して大きくなる。

     前出の教科書ではブレード翅数 B を増やすと空力干渉を起こしプロペラ効率が落ちる指摘がある。
     しかし、ジェット・エンジンでは効率以前の問題として、できれば干渉さえ利用して、ファンの正面面積をブレードで覆うことでその高出力を許容吸収することになります。
     初期のターボ・プロップのコア・エンジンの出力はレシプロの少し上となる程度に設定されてプロペラもレシプロの経験の延長上となるパドル・タイプに設計されていた。
     
しかし、現在ではブレードの形状を洗練させて翅数を増やし、さらにはプロップ・ファンと称してコア・エンジンの高出力化を図っている。

 (承前)さらに誘導抵抗の低減には翼弦を狭くしてアスペクト比を大きくとることも考えたのかもしれない。(当CEO としては後者のアスペクト比との関連には多少の疑問がありますけど・・・)

 別の視点からは、ターボ・ファンの回転数は低圧圧縮段の回転数 N1 と同じでレシプロに比べると格段に大きいことによる構造の強度限界があります。

 すなわちファン・ブレードの質量に比例し、回転数の二乗に比例する遠心力の影響であります。 加えて、レシプロの出力より格段に大きいジェット・エンジンの駆動力をファンで変換した推力も加わります。

 これらを総合すると、この当時にあったファン・ブレードの形状の決め手は材質の質量(正確には密度)に原因があると考察できます。

 遠心力は N1 で回転するシャフトに結合(嵌合)されるブレードの基部に引っ張りの力として、もう一つの推力は前方に向かう曲げモーメントとして働きます。

     曲げモーメントは中立点から前縁に向かって圧縮、後縁に向かっては引張として作用します。前縁では遠心力を緩和し後縁では加重されます。これらの力を合成すると材料強度としては最も弱い剪断方向の力となります。
     
これらのブレード基部にかかる力(kg)は基部の面積(m2)で割られて負荷応力(kg/m2)となり材料の許容応力(kg/m2)と比較され安全率を加味した基部嵌合部の面積(m2)ひいては長さ(m)が求められます。

 いずれが、卵か、ニワトリか、になりますが、上記の理由をバランスさせた基部の長さか、ブレード基部の構造上の寸法制限か、あるいはその両方か、で基部の寸法が決まります。

 ブレードの形状や構造の一義的な目的はブレード1 枚の質量をいかに軽くするかになります。この時代にはブレードの幅を細くして枚数を増やす案が採用されました。

 この当時のブレードの材質は無垢のチタンの板から削りだされていました。これから先は軽く強い材料の開発がファンの形状の変化を伴う技術競争となります。

あー暑い

画像の多用でスペースをとりました。次回(その 5 の 2 )「ファンだって奥は深いのだ ! 」 につづきます。

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