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2018年7月の4件の記事

2018年7月20日 (金)

キネマ航空CEO 『GTF のまとめにかかる』の巻(その 2)

公開校正および校閲中です。 キネマ航空CEO (2018/07/20)

 今回で 「キネマ航空CEO 『GTF をまとめちゃった』の巻」として全二巻の終わりとします。

 巻末に夏季特集として『Honda HF120 とそのライバル』と『ロールス・ロイスの高バイパス比化について』、 の 2 本を追加しました。

 ずいぶん長くなったけどクーラーを効かせた部屋でゆっくりとお読みください。

 当CEO は 上記の作業 を除き夏休みに入ります。なお、コメントはお受けいたします。
 皆様もご健勝でお過ごしくださいますよう。
 秋口に当オフィスでまたお会いいたしましょう。

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(承前)

 ターボ・ファンの使命は亜音速の上限を効率よく運行する航空機に最適化または特化したエンジンであります。

 いくらバイパス比を大きくしても低速域ではプロペラの推進効率にはかなわない。

 そこに高速になるほどダクトの抵抗が大きくなるターボ・ファンほどの高速を求めなければターボ・プロップの出番がある・・・のであるが、それはまた別の機会に。

 まず、前回のようにファンとジェットの独立した効率の数値あるいはグラフがあれば、ターボ・ファンの効率の試算は四則演算(加減乗除)の法則で、できる。

 中でも主要なのは加算であります。 ジェット・ブラストの速度比 1 (効率のピーク)をファンの速度比 1 より小さくすることで低速側の効率を改善できそうです。

 下のグラフ上ではグリーンの点線がそれです。 (左クリックで別窓で開きます)

 どうせやるなら、ブルーの点線ので示すファンの効率のピークとなる速度比にまでずらせばいいじゃないか、 と言われても、そうもできない理由もあるのです。

Turbofan_w_staggered_speed

 ターボ・ファンの性能はファンの性能で決まる。そのファンの限界速度はマッハM0.9 程度であります。 つまりファンの効率曲線の速度比 1M 0.9 と読み替えるのです。
 限界速度とはファン、プロペラ、ジェット・ブラストとそれを搭載した機体の速度が一致した状態を示す速度。 現実の最高速度は限界速度より(ちょっと)低く、機体の抵抗と推進力が釣り合う速度です。

 その限界速度を実際に出せるのか、となると緩降下であとは機体の強度次第となります。 ファンで出せる速度はせいぜい M 0.8 から M 0.9 の間となる。

 同様に効率のピークを使う巡航速度は M 0.72 あたりを中心にほぼフラットな部分が使え、パイロットは追い風、向かい風でエンジンの運転状態を選べます。(もちろんこのグラフのままでの解釈ですから前回の考察から忖度?いや推量してください)

 となればコア・エンジンとなるジェットの限界速度比「1」をファンの限界速度比の「0.9」にずらせばよい。

 計算はグラフ上の Pure Turbo Jet で基準とした速度比にずらした後の速度比「0.9」をとって係数として乗じて効率はそのままに横にずらすだけです。

 これは 前々回 のターボ・ファンにある二種類の流れ速度の食い違い比(Staggered Speed Ratio 正式の用語じゃない)はファン側の流速を大きくするので s = 1.1111 に相当します。

 前々回の考察ではこの程度の s 値だとコア・エンジンに対する出力の影響はほとんど無視できる・・・詳しくは前々回へのリンクでジャンプしてご確認を。

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 上掲のグラフでは今回の計算結果を実線で、前回の計算結果は破線で示している。

 新しいジェットの効率曲線とファンの効率曲線の交点がずれて、その新しい交点を境に前回と同じ結果がでている。 なんてたって足し算だからね。

 特徴は低速側で改善されてはいるが「どれだけー!」といった程度であり、高速側ではまあね」といった程度の向上が見られる

 あっ! ファンの効率曲線はダクトの効果を見込んでいないプロペラの効率曲線です。 
前回の「脳内補正手順」を忖度してくださいね。

 さて、グラフ上でターボ・ファンの速度比 0.9 (= M 0.81) を越えたジェット・ブラストはどうなるのか、気になりませんか。

 機体に反力を与えているので速度は維持できますが加速には寄与できません。 あとはファンの性能次第であります。

 さて、前回の結論、「ファンの流速を速くする食い違い速度比は高バイパス比がのほうが安定して作動する範囲が広くなるとはいえそうだ」だった。

 つまりこの程度の食い違い速度はコンベンショナルなターボ・ファンでも技術的に、あるいは機速の速度比によってはバイパス比 q の変動も含めて必然的に生じて、使われているかもしれない。

 ここで本題に立ち返ると、ここまでのニュートン物理の解析と検討は GTF とはまったく何の因果関係も意図的な関連性もない。

 以下、風が吹けば桶屋が儲かる論法で 「GTF」 と 「Non-GTF」 への展開を並べて今回のお題に決着をつける。

・ 「GTF」の場合
 ▼バイパス比を大きくするにはファンの直径を大きくする
 ▼ファンの直径が大きくなればより多くのエネルギーの投入が必要
 ▼まず、ファンにつながる低圧段圧縮機を駆動する低圧段駆動タービンの回転数 N1 を大きくする
 ▼回転数を大きくすればより熱エネルギーを回収してより大きい回転エネルギーに変換できる
 ▼より大きな熱エネルギーが回収されるとジェット・ブラストの温度が下がる
 ▼温度が下がるとジェット・ブラストのエネルギーは減少する
 ▼エネルギーが減少すると推力となる流速が下がる。(音速以下にする)

 上記の流れは、▼で分岐される。

 ▼高回転になった N1の回転エネルギーはより高バイパス比のファンを駆動できる
 ▼高バイパス比のファンは直径が大きくなる
 ▼大きくなったファン直径は先端の速度がより超音速になる
 ▼せめて普通の遷音速レベルにするには減速機(Gear Box)を入れてファンの回転数を下げることになる。

 これが 「GTF」 の流れであります。

 ちなみにファンの回転数は何で決まるかというとエンジン側の軸駆動力とファンに掛かる回転抵抗のバランス(釣合い)で決まります。

 効率グラフの 1 未満での釣合いは、ファンはしっかり軸駆動力を受け止めて(吸収して)いますが (1 - 効率)の部分はファンが推進力に変換できていない状態になります。

 動力を吸収できないファンは入力容量が不足している状態で、抑えが利かないファンの回転は(もちろんコア・エンジンの回転も)暴走してしまいます。

 いずれにせよファンの直径がいくら大きくてもファンの諸容量、諸性能がターボ・ファンの性能を左右しています。

 GTFこの釣合いの整合性に関係するのが間に挿入したギヤボックスに設定された減速比 であります。その GTF のデメリットは重くなる、発熱損失が加わる(効率が落ちる)、故障の可能性が増える、騒音源が増える、などがあります。 ギヤボックスはなければないほうが良いのではありますが・・・

 さて、この流れの分岐点はもう一つあります。 むしろ、こちらの▼ほうが重要です。

 ▼ファンに分割したエネルギーである増加した低圧タービン回転数 N1 は上流の低圧段圧縮機の仕事にもつかえる
 ▼低圧段(N1)で圧縮を強化して高圧段(N2)でもさらに圧縮して燃焼効率の改善をする
 ▼燃焼効率の改善ためには高圧段(N2)の回転数も増加させている

 この条件から代替案を得ると・・・

・ 「Non-GTF」 の場合
 簡単に言えば高圧段タービンの回転数 N2 を速くして低圧段タービンの回転数 N1 を低くするバランスの中で燃焼効率を改善させる、のであります。

 ▼バイパス比を大きくするにはファンの直径を大きくする
 ▼そのエネルギーは高圧段圧縮機の駆動回転数となる高圧段タービンの回転数 N2 を速くして燃焼効率を改善する
 ▼改善された燃焼効率は N2 回転数にも使われ圧縮を強化する(これは GTF も同じ)
 ▼N2 回転数を速くすることで N1 回転数に渡す流速(温度)を下げる
 ▼ファンを駆動する N1 回転数はかなう限り小さくする。
 ▼ N1 回転数をかなう限り小さくしてもファン直径に制限ができバイパス比が制限されるその回転数とファン直径のバランスと限界に挑戦する

・ 新世代ターボ・ファン・エンジンで公表されている最大バイパス比は GTF の「P&W PurePower」で 12.5 :1Non-GTF の 「CMF LEAP」で 11 :1 であります。

・  CMF (GE-スネクマ) は「LEAP」で MRJ が採用する下位のクラスには参入する気配はない。そこでエンブラエルの新旧で比較すると GTF の「P&W PurePower」で 12 :1、と 9 :1、これに対する CMF の従来型では  5.4 :1、と 5.1 :1 であります。

・ ちなみに MRJ が採用する出力の異なる 2 種類の GTF はいずれも 9 :1であります。なお MRJ のエンジンの選び方にはエンブラエルとは異なる特徴があります。「MRJ」のカテゴリーの中に詳述してあります。

 ▼ ニュートン力学で機械効率を解析する限りではバイパス比が大きくなるとほとんど仕事効率は変わらない。
 少なくともバイパス比 8:112:1 とでは 1% の差があるかないかである。
 ▼ バイパス比 4:18:1 で比較するとかろうじて 1% あるかな、といったところであります。

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「キネマ航空CEO 『GTF をまとめちゃった』の巻」

 高バイパス比化は考え方によっては燃料投入分だけ出力エネルギーの絶対値は増えている。

 ・ 既存の機体によっては増えた分だけエンジンの構造自体をシュリンクさせて投入燃料を減らしエンジンの軽量化もできる。

 ・ エンジン・メーカーはそこまでの忖度はしないが、出力のラインアップをそろえたシリーズ化をせざるを得ない。

 ・ 機体の設計者から見ればシリーズの中のピンポイントでの企画を強いられることにもなる。
(両方やろうとしたのが ホンダ・エアクラフト・カンパニー。 成功してよかった。 エンジンは GE・ホンダ・エアロ・エンジンズ となったが、下記の夏季特集で・・・)

 ・ 新開発のエンジンの選定には機体メーカー側にエンジンに鑑識眼のあるチーフ・エンジニアの存在が必要になる。
MRJ-90 で先陣を切る低圧段圧縮機が 3 段から 2 段構成となる 17l bs 以下の GTF については MAC からの具体的な飛行評価は発表されていない) 

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 新世代エンジンでアピールされる燃費性能の向上のポイントは圧縮機とタービンの燃焼系の更新による燃焼効率の改善とデフューザーやノズルと一体のファン効率の改善とを相乗した結果であります。

 GTFLEAP の違いはファンを駆動する N1 回転数の考え方の差、高・低段圧縮機の回転数 N2N1 の使い分けの考え方の差です。

 GTF の効果については LEAP エンジンのコンセプトがリージョナル・ジェットの下位のクラスにまで影響力を持てるかどうかで見極めることになる。

 つまり、CMFP&W はリージョナル・ジェットの分野で重なる部分を持ちながら棲み分けを模索しているとも言えそうである。

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 では、なぜより小型のビジネス・ジェットで GTF が成功しているのかは簡単である。

 小型のターボ・ジェットを効率よく安定して作動させるとジェット・ブラストは音速を大きく超える性能が得られる。

 そのエンジンを使うターボ・ファンはジェット・ブラストとファンのモーメンタム・フローの速度を音速以下で等しくさせる技術的な回答である。

 ところがジェット・ブラストを音速以下に下げるにはかなりの高速で N1 回転数を取り出してファンにつなげる必要がある。

 そして必然的にファンの先端周速を下げるために減速ギヤ・ボックスを間に入れる必要がある。

 簡単でしょ!(無きゃ無くていいんです)

  ターボ・ファンの創成期には小型のコア・ジェット・エンジンが作れなかったためです。

  現在は ボーイング 747 クラスを双発で飛ばすため ? (これはたぶん無理です)

 掲げる旗印は中小型ジェット・ライナーの消費燃料削減と環境対応です。ところが・・・!

 バイパス比の増加は燃料消費の絶対量の増加を伴います。

 GTF は、コア・エンジンの小型化か、機体の大型化か、という二項問題の狭間でエンジン主導の機体を設計することになります。

 また、機体主導でエンジンが選べるか?の問題でもあります。

 選ばざるを得ないのではありますが、この選択が機体の命運を分かつことになります。

 以上を結論として GTF の巻 の完結です。

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Honda HF120 とそのライバル

 ちなみに Honda HF120 ターボ・ファン・ジェットは GTF ではなく、ファン・ブレードの前縁は新世代エンジンの定番である逆 S 字のワイドコード翼であります。

  バイパス比は 2.9 、ファン直径は公開されていないがエンジン本体の最大直径は 52.8cm となっている。 このバイパス比からは高速性能に優れていると想定できる。

  53cm弱の直径の中にターボ・プロップ・エンジンで採用されることが多い反転式の燃焼室を収めているコア・エンジンは極めて小さく、汎用性を目指すことなく自社開発の機体に特化したエンジンのようです。

  GTF 側のベンチマークとしてビジネス・ジェット向けで最も成功しているハネウェル TFE731 ではバイパス比は 2.28から2.8、エンジンの直径は 100cm となっています。

  このエンジンは1978年にリリースが開始され、HF120 と同様に高圧段に遠心式圧縮機を採用し反転式燃焼室など全長を詰める小型のジェット・エンジンのデファクトのレイアウトを採用しています。

  なお、HF120 の事実上のライバルはやはり GTF ではないウィリアムズ FJ44 になる。 外形寸法は若干大きいがシリーズ化は進み 9 型式を数え(ファン直径で52.6cmから64cm、バイパス比 3,28: 1以上)、軽量自家用ジェットや無人機の動力源としてシェアを拡げている。

 この下位シリーズには FJ33 (ファン直径 43.9cm、バイパス比 3.5: 1)もラインアップされているが採用は今のところ自家用軽量ジェットでは 1機種のみ。

 このクラスではプラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW600 (ファン直径 36.83 から 44.7cm、バイパス比 1.83 から 2.8)がセスナ サイテーション・マスタングなど小型機メーカーに喰い込んでいる。

  GE HF120 に手を伸ばしたのは P&W カナダ、ウィリアムズ・インターナショナルには RR と大手のエンジン・メーカーの息がかかっていることによると考えられる。

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ロールス・ロイスの高バイパス比化について

 基本はライバル各社と同じ高温高圧下のリーンバーン技術です。でもターゲットのバイパス比は 15:1 だそうです。

 共通するコンセプトはウルトラ・ファンと呼ぶブレードのチップ側から前進角、後退角・後退角といったいわゆる逆 S 字の前縁をもつ他社と共通する形状のファンを使用して・・・(形状は同じでも材料、工法、などに各社の特徴はあります)

1. 2軸のエンジンでは N1 で回る低圧段の新設計と燃焼系の高温高圧化の新技術を採用(大型のプライベート・ジェット向け)

2. 3軸のエンジン(圧縮段の回転数は前より低・中・高の N1N2N3)では低圧段 N1 を受け持つ軽量化材料の開発と燃焼系の高温高圧化の新技術(N1 回転数の高速化)

3. (2.)の3軸のエンジン(タービン回転数は後ろより低・中・高の N1N2N3)のうち中圧段回転数 N2 とファンの間にギヤ・ボックスを入れた GTF の採用と燃焼系の高温高圧化の新技術

 RR は手堅く両方のコンセプトで段階的に開発を進めるようだ。

 これで、低圧段圧縮機に可動式静止ベーンを追加すればジェット・ブラストの速度制御も可能になるかも知れない。

 ここまでくれば既存のジェットエンジン技術のてんこ盛りになるのだが、 MMPMan Money Power:人金力 【ひとかねりょく】 企業評価に使えないかな・・・造語です)は大丈夫かな。

 RR に限らず課題は構造設計に加えて材料・素材の開発と見極めに掛かっている。

 逆に見れば他の業界の開発力と製造品質管理レベルに掛かっているリスクの多いコンセプトともとれる。

 エンジン総合メーカーはつらいよ!

 なお、これらの評価にはエンジンの出口対入り口の圧力比である全圧比Overall Pressure Ratio)が使われるようだ。

 当CEO はとばしてきちゃったな。機会があればね・・・

2018年7月15日 (日)

キネマ航空CEO 『GTF のまとめにかかる』の巻(その 1)

例によって公開校正、校閲中です。 キネマ航空CEO

 (承前)

 ターボ・ファンは、『工学的には、本質的に発生の原理が異なる「運動量理論」による流速と「翼素理論」の範疇にある空力機械としてのファンの流速を限りなく音速に近づけることで得られる亜音速の上限をカバーする空力推進技術の相互補完メカニズム』とまとめられる。

 GTF を考えてみると、結局のところ一段の減速比しか無い減速機の追加ではあるがエンジンの回転数を最適化することで燃焼状態を改善する自動車のマニュアル・トランスミッションと同じ機能が使われている。

 推進技術に限らないがエネルギーにかかわるメカニズムの評価には効率の良否(よしあし)が関係する。民生用ならなおさらである。

 当ブログでもターボ・ジェットの運動量理論とファン(プロペラ)の翼素理論の推進効率の解析から 比較の可視化 を行っている。

 その記事から左クリックでポップ・アップできる比較グラフを再掲する。

Efficiency_of_propulsion ターボ・ジェットではどんなエンジンでも同じ数式で同じ曲線になる。

 いっぽう、プロペラでは寸法からは直径、翼型からは揚抗比、エンジンからでは回転数、さらにエンジンの出力と機体で決まる機速等々で大きく変わる。

 グラフの曲線は中(あた)らずとも遠からずといったレベルではあるが一応はどちらも理論から誘導している。しかし、アンダクテッド・プロペラである。

 当CEO は残念ながらターボ・ファン・エンジンのダクトを理論的に解説をした参考書には出会えていない。

 出会っていても断熱圧縮を伴うため、まともな解説はできそうにないので、下の参考書からダクテッド・プロペラの概説を強引に引用して納得してもらうしかない。
(ただし参考書のダクトファンとターボ・ファンのダクトとは設計意図が異なっており、デフューザー効果を伴わないダクテッド・プロペラの範疇に入る) 

飛行機設計論」山名正夫、中口 博  養賢堂 (1968)  pp388 、(5) ダクトファンより引用

・・・筒がない場合に比べて
   (a) 同じ直径のとき静止推力および吸収馬力が大きい
   (b) プロペラ先端と円筒内面との隙間を小さくすると、先端渦による誘導馬力損失が
       少ない
   (c) v/nD の大きな変化に対しプロペラ効率の変化が少ないなどの利点がある。

(以下)理論計算式の展開のあと
・・・ 飛行速度とともに筒の効果が減少する。
・・・ 実際には筒の摩擦抵抗が加わるから v0 (飛行速度)が大きいときには筒の存在がかえって有害となってくる。
・・・ (筒の)前縁推力を出すためには・・・ v0 によって(筒の)最適の形、とくに前縁部の形が違(う)
・・・ もともと、低速時の推力を増すために曳船用の推進装置として考案された
・・・ 筒の形については(参考文献を列記)・・・と続く。
   ( )内は当CEO の加筆。 以上、参考書では V/STOL の章にあります。民生用ドローンの設計者必読かな ?

 以上の所見からは、当CEOが可視化したプロペラのグラフは、速度比 0 から 1 にかけて漸減して 1 になるような係数を乗じる補正が必要と考えられる。

 また、速度比 0 の場合の補正係数はいくつかの実験式や理論計算式で 1 以上であることは間違いない。

 ターボ・ファンのダクトでも同様の補正が必要と考えられるが参考書の数値はそのまま使えそうにない。

 したがいプロペラの効率のカーブは次のような想像力で、しかも読者にもカバーしていただくしかない。

  (イ) 二つの効率の曲線の交点より左側(速度比 0 の側)では速度比 0 の効率は 0 のままで膨らみ逆立ちした放物線が傾いた形になる。
  (ロ) 効率のピーク値はより 1 に近づくかもしれない
(でもダクトの形状抵抗で実装状態では相殺されるかも)。さらにピークは速度比の小さい側に僅かだろうが移動するかもしれない。

 以下、上記の予測される補正はしないで先に挙げたターボ・ファンの効率のグラフを元に下式を使って加工した結果に上記の所見を加味して考察する。いや、してもらう!

 なお、基にするグラフの設定条件は機体の抵抗も含めてファンのモーメンタム・フローとコア・ジェットのジェット・ブラストの速度とが等しいこと、かつ基準としたエネルギーも等しいという前提です。

 ターボ・ファンのバイパス比 q : 1 、推進効率 ηTF 、プロペラの推進効率 ηP 、コア・エンジンの推進効率 ηJ とする。

       ηTF = {q/(q + 1)}* ηP + { 1/(q + 1)}*ηJ = (ηP * q+ ηJ )/(q + 1)

 つまり、一つのエンジンを同じ最高速で飛べるファンとジェットの二つの独立したエンジンにして一つの機体に搭載し、それぞれのエンジンが分担する効率をバイパス比で分割してさらに合計した値です。

 ターボ・プロップとターボ・ジェットの組み合わせでは 川崎 P2-J がありました。
 モーメンタム・フローとのジェット・ブラストの速度とが等しいかどうかは分かりません。
 たしか緊急時加速用補助エンジンのはずでジェット・ブラストのほうが速いと思われる。
 効率は悪いだろうけど民生用ではないからなー。しかもパートタイマーだし。
 そんなにメジャーなブログでもないけど間違っていれば炎上するだろうなー。
Turbofan_w_samespeed

 当たり前のことながら、両効率曲線の交点より右側(高速)では ηJ > ηTF > ηPq が小さいほどターボ・ファンの効率は良い。

 逆に、交点より左側(低速)では ηP > ηTF > ηJ でバイパス比 q が大きいほどターボ・ファンの効率は良い。

 ただ、どちらの場合でも q が大きくなるほど ηTF の差がほとんどなくなる。

 ただし、プロペラのダクトとターボ・ファンのダクトは機能構造が異なりバイパス比  q の関数で効率がよくなる可能性はあるかも知れない。

 あったとしてもエネルギーの分配という面では差は小さいのではないかと思える。

 バイパス比  q といえば速度比によって変化するのではないかとの疑問は当CEO の中でも解消されていない。

 呼称値である q の定義自体は明確だが実態は定かではない。

 当CEO の当面の進行は、個別の型式間の呼称値としての q の影響は型式間の比較の上では類似または近似するとの前提であります。

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 さて、次回は モーメンタム・フロー > ジェット・ブラスト となる速度差の影響は、について考えるのココロだー!

2018年7月11日 (水)

キネマ航空CEO 「高バイパス比化に意味があるの ?」 について考えるの巻(再掲)

・ 式の表現方法を修正後の再掲です。(2018/07/11)
・ 修正についての説明は本件のお詫びの記事に追記いたします。
・ 細部の修正を含めて校正、校閲を継続中です。

キネマ航空CEO 『GTF はターボ・ファン・ジェットかダクテッド・ターボ・プロップか、を考える』 の巻 (その 2)  (2018.04.29)の回をご一読の上お進みください。

 なお、使用した図は こちら から。まず、今回必要な数式部分の復習から始めます。 今回も運動量理論での解析です。

 ターボファンはコアエンジンの持っているターボ・ジェットとしてのエネルギーから
k (0≦k1) の分割比でファンに分割する。

 ただし分割に伴う効率ψ0<ψ<1)が発生し実際に分割されるエネルギーは (k/ψ)となり、コアエンジンに残るエネルギーは分割された割合を除いた{1-(k/ψ)}となる。

 コア・エンジンに残ったエネルギー KC のジェット・ブラストの速度は VC 、質量は m
 ファンが受け取るエネルギー KF  が作るモーメンタム・フローの速度は VF、質量は q・mq はバイパス比)。
 コア・エンジンが単体のターボ・ジェットとして持つエネルギー KJ が発生させるジェット・ブラストは VJ 、質量は m のままでコア・ジェットと同じです。以上を数式に移すと・・・

 J = (1/2)・mVJ2   

 C = {1- (k/ψ)}・KJ = (1/2)・{1-(k/ψ)}・mVJ2 = (1/2)・mVC2  より

 VC/VJ = √{1-(k/ψ)} ・・・  (1)

 KF = (k/ψ)・KJ = (1/2)・(k/ψ)・mVJ2 = (1/2)・q・mVF2  より

 VF/VJ = √{(k/ψ)/q}} ・・・ (2)

 ターボファン・ジェット・エンジンに求めるものはピュア・ターボ・ジェットの出す一定のエネルギー KJ で得ることのできる仕事 WTF の増加であります。

 ターボファンとしての等価速度を VTF と置き、その速度を持つ質量は (q+1)・m となる。

 WTF = (q+1)・m・V1(VTF-V1) = m・V1 ・ (VC - V1 ) + q・m・V1 ・(VF - V1 )
                  = m・V1 ・[ [ √{1-(k/ψ)}+ q・√{(k/ψ)/q} ]・VJ -(q+1)V1 ] ]
より、

 VTF = [ [ √{1- (k/ψ)}+ q・√{(k/ψ)/q}]/(q+1) ]VJ ・・・  (3)

 分子は 0≦k/ψ)≦10 < q のため VJ≧VTF となる。VTFk/ψ)q の関数であるが k/ψ)q の関数でもある。

  [ √{1- (k/ψ)}+ q・√{(k/ψ)/q}]/(q+1)  = A と置き dA/dk = 0 と微分して A の極値(最大値)を求めると VC = VF つまりコア・エンジンのジェット・ブラストとファンのモーメンタム・フローの速度が等しい場合となりファンが受け取るエネルギーの割合は
(k/ψ) = q/(q+1) なのだが計算過程は省略します。

 したがい、ターボファン・ジェットのエネルギー速度 VTF とコア・エンジン単体のジェットブラスト VJ の比は、

 VTF/VJ = 1/√(q+1) ・・・ (a) 

--------------以上が復習--------------

 なお、(a)式は次のように逆比として書き直します。

 VJ/VTF = √(1+q ・・・ (4)

 理由はファンのモーメンタム・フローとコア・エンジンとしてのジェット・ブラストが合成されたターボ・ファンの推進噴流の等価速度 VTF は機体の出せる限界速度に相当します。

 このエンジンが採用された機種もしくはクラスの中ではほぼ一定値ですので既知の基準値として扱えるからです。

 さて、ここからは VCVF の場合の検討です。(2)式を(1)式で割るとファンのモーメンタム・フロー VF とコア・エンジンのジェット・ブラスト VC との速度比 s が求められる。

 s = VF / VC = √[{(k/ψ)/q} /{1- (k/ψ)} ]  より

 (k/ψ) = 1/{1/(qs2 )+ 1}

 を(3)式へ代入し整理すると

 VJ/VTF = (1+q)・√(1+q・s2)/(1+q・s) ・・・ (4'

 ここで、「見える化」をしてみる。

 (4')式は s=1 の場合に VC = VF すなわち速度と引き換えに最大の仕事を引き出せる、ひいてはコア・エンジン単体に要求される推力が最小となる(4)式と同じになります。

 この関係を s=1 でバイパス比 qVJ/VTF の関数としてグラフにしてみました。Vjvsvtf 値を表にすると

BPR 0 : 1 1 : 1 2 : 1 3 : 1 4 : 1 5 : 1 6 : 1 7 : 1 8 : 1 9: 1 10 : 1 11 : 1 12 : 1
VJ/VTF 1.00 1.41 1.73 2.00 2.24 2.45 2.65 2.83 3.00 3.16 3.32 3.46 3.61

     (BPR 0 : 1 はピュア・ターボ・ジェットを指しています。)

 BPR 0:1を除く表の値に一般的なジェットライナーの最高速 VTF = M 0.8 を掛けるとその エンジンの BPR でコア・エンジンに必要な単体エンジンに要求されるジェット・ブラストの速度が出ます。

 例えば BPR が 8:1の場合は M 2.4 となります。もちろん伝達効率 100% の運動量理論上で、の結果ですからファン側に翼素理論を適用すればもっと上回るはずです。
(「すりゃーいいじゃないか」、と言われても 当CEOには無理 なのよね)

 参考までに、 M 1.00 で飛べるターボ・エンジンをコア・ジェットにする BPR 12 : 1 のターボ・ファンの場合の VTF はこの表の逆比となり、 M 0.277 で飛ぶことになっちゃいます。

 本筋の(4')式に戻ってバイパス比 q をパラメータとして、ターボ・ファンのファンとコア・ジェットの流速比 s が変化する場合の VJ/VTF を計算してみます。

Incriment_of_vj_vs_vtf_table_rev1 ここでは計算結果の整理に、次式を用いて各 BPR ごとに VJ/VTFs = x の値から VJ/VTFs = 1(上記の表)を引いた差分を⊿VJ/VTF として表示します。

   ⊿VJ/VTFs = x = VJ/VTFs = x - VJ/VTFs = 1

 目的はこれにより BPR の系列ごとに s の影響を分かりやすく相対化するためです。

 左のアイコン・レベルまで縮小した差分表は左ボタン(ワン)クリックでポップアップします。

 小数点以下の第 3 位を四捨五入してあります。 差が0.005未満で差分が 0 となる範囲は広い。 これではよく分からないのでグラフ化してみましょう。

Incriment_of_vj_vs_vtf_graph

 (すみません)グラフ内に書きそこなったけれど横軸が s = VF / VC )です。縦軸は s の増減で変化するコアとなるターボ・ジェットが単体で増減する⊿VJ/VTF の値です。

 s < 1VF < VCs = 1VF = VCs > 1VF > VC

 s = 1VJ/VTF が最低値となることはこのグラフからでも間違いない。
つまり採用したコア・エンジンがターボ・ファンとして働く最大の仕事の元となる速度 VTF が得られる比 [VTF/VJ ]のポイントです。(くどいようですがモーメンタム(運動量)理論で、です)

 s > 1 の側、つまりファンによる流速のほうがジェット・ブラストの流速より速い側ではバイパス比 q が大きくなるほど VJ/VTF の変化の傾斜が小さくなることが分かる。
BPR の増加によるベースとなる出力の増加に比べて s の変化による出力の増加が小さくなる範囲です)

 ついでに、s < 1 の側、つまりファンによる流速のほうがジェット・ブラストの流速より遅い側では q0:1で示したピュア・ターボの状態を除きバイパス比 q とは関係なく VJ/VTF は撚った縄の状態で急激に傾斜がきつくなっている。 

 比を変数として扱ったグラフの視覚的な理解には注意が必要です▼「1 」を挟んでグラフの左側では「0」に近づき、右では「∞」に及ぶ▼比は逆立ちできる▼逆立ちしたら左の「0.5」は右では「2」▼左の「0」は右の「∞」に相当している▼s' = 1/s として s' を横軸にすると別の様相が見えるはず▼やってみてね。(閑話休題)

 さて、ターボ・ファンやターボ・プロップにおいてはアイドリング時から 100%以上の過負荷運転時において常に一定のバイパス比 q を維持しているとも思えないのだが、これは後に回して、・・・

 相当バイパス比(Equiv. BPR)が  50-100:1 と言われるターボプロップでは VJ/VTF の増分の傾斜はもっと緩やかになり VF > VC となる速度差をつけることは効果が大きいのではないだろうか。

 では、現在の GTF で計画されているターボ・ファン最大の BPR 12.5:1で実施されば効果はどうか、と問われると、いささか心もとないのだが差分表からは s = 1.25 辺りまではコア・エンジンに対してほとんど影響なくファンの流速を早められそうなのだが・・・

 漠然とではありますが、亜音速の上限を棲み処(か)とするターボ・ファンの原理から言えばジェット・ブラストの流速を遅くすることでファンによる質量の多い冷気の流速を多少は速くすることができそうであります。

 バイパス比 qs に連動して変化することはないと仮定すれば仕事 WTF の向上も多少の期待が持てるのでは、とも思えてきます。

 つまり、ジェット・ブラストのエネルギーをファンにさらに分割し、ファンには空回りせずに仕事をしてくれる容量があるならばです。

 計算式を構成する複数の要因の関係は、現在の技術ではファンの推力係数および入力係数と燃料投入量で変わる出力(飛行速度)を介した成り行きで決まってしまうので特定の速度域ではすでに使われている既知の技術かもしれません。

 ターボ・プロップではプロペラに可変ピッチ機構が採用されてプロペラ側からでも係数を変える制御ができる。ターボ・エンジンでは低圧段圧縮機の静止翼の迎え角を可変にして出力を制御する技術もあるけど・・・こちらは微妙な制御に使えるのかな。

 まあ、このグラフも見方を変えれば二つの流速を常に等しくするようなピン・ポイントの制御をするほどのものではない、と消極的な見方もできそうですね。

 とは言え、条件付きではありますが高バイパス比になるほど僅かな燃料の持ち出しで仕事 WTF の向上の可能性があるのでは、と推測も可能です。

 もっともその前に、前回考察した N1N2 回転数の増加による燃焼効率の改善のほうが必須の条件と考えられます。

 それらをひっくるめてバイパス比は大きいほうが運用上の余裕度はありそうです。 まずはターボ・ファンの吐出する二つの流れの速度比 s はどれくらい大きくあるいは小さくできるのだろう。

 次回からは別の方向から考えることにしてみる・・・か。

キネマ航空CEO キネマ航空CEO 「高バイパス比化に意味があるの ?」 について考えるの巻

キネマ航空CEO オフィスからのご連絡

先の、修正記事の再掲に先立ち、主に数式表記の修正内容をお知らせいたします。これに伴う結果等の変更はございません。

当ブログのフォーマットで数式を表記する場合に加減乗除の記号にそれぞれ + 、- 、(・)、 / が使えます。なお、+、- はともかく ×、÷ を使うのはいささか躊躇します。

ただしこれまでは乗算の(・)は省略しておりました。
また変数や定数の定義や計算順序を示すためには限られた数しかない括弧 [ { ( ) } ] を多用せざるを得ません。

また、式によっては [ [ [ { ( ) } ] ] ] と同じ括弧を外側に重ねることになります。例えば、平方根の範囲のについては √[{(A/B)+ C}・(D - E)]などでは横線を伸ばし両端にある括弧を省略する教科書的な表記はできません。

その他の表示に必要なべき乗や添え字はHTMLで対応できます。
例えば・・・例えばエネルギーの表記では・・・

もっとも短くする表記は KJ = mVJ2/2 ですが、これまで KJ = (1/2) mVJ2 としていました。これを、今回より KJ = (1/2)・ m・VJ2 といたしました。

これより速度を求めると VJ = √[KJ /{(1/2)・m}]となります。 VJ = √(2・KJ /m)でもいいのですがこの辺りは当CEO のこだわりめいたもので余計に混乱させているのかもしれません。

この速度をつかって仕事の式に当てはめると・・・
WJ = m・ V1・( VJ - V1) = m・V1 ・[√[KJ /{(1/2)・m}] - V1] とより分かりにくくしている罠にはまっていしまいました。

加減乗除の記号には全角、半角があり、乗除の記号は同じキーの使い分けで・・・と転記の間違いの言い訳は空しく、すべては当CEO の責任内で生じておりました。

以上を見直し、修正をしましたが表記基準はこれからも継続いたします。
ご迷惑をお掛けし申し訳ございませんでした。今後はより留意を心がけてまいります。

                                        キネマ航空CEO 拝

キネマ航空CEO オフィスからのお詫び

当キネマ航空CEOオフィスへのご訪問をいただきまして、誠にありがとうございます。

2018年7月4日に公開いたしました以下の記事中の誘導式に誤りがありましたので現在非公開としております。

キネマ航空CEO 「高バイパス比化に意味があるの ?」 について考えるの巻

いらっしゃらないとは思いますが、コピーアウト、もしくは ダウンロード されたお客様がおいででしたら、お客様にご迷惑をおかけすることになるかも知れません。
お手元に資料として保存の場合は必ず廃棄のほどお願いいたします。

校閲不行き届きの及ぼす事態に衷心よりよりお詫び申し上げます。

記事自体は近日中に改訂いたしますので今しばらくお待ちくださるようお願いいたします。

また、しばらくの間は検索エンジンからの キャッシュ 等では誤りの部分をご確認いただけると思いますが何卒ご寛容のほど、また当CEO の未熟な点をご指導を戴けますようお願いをいたします。

併せて、当オフィスの本業であります KINEMA AIRLINES へのご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

                                         キネマ航空 CEO 敬白

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