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2019年4月 8日 (月)

キネマ航空CEO 「類は友を呼ぶ」のか「友が類を呼ぶ」のか-「令和」について考える

山里の畏友のブログにコメントで「令和」の「違和」感を書き込んだのだが聊(いささ)かまとまりのつかぬ文章になったので備忘として記録して置くことにする。

当CEO の浅学非才ぶりではあるが、まず表意文字を表音文字として万葉仮名が使われた「万葉集」の一節に(当時から訓読みだったのかどうかは不明ながら)漢詩の序があるのは知らなかった。もしあるなら下敷きとなる本場の漢詩があるのでは、と思ったらやっぱりあったようだ。

梅花歌三十二首(万葉集巻伍 所載、編纂8世紀後半)
于時、初春気淑風、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香・・・

帰田賦(文撰巻拾伍 所載、編纂6世紀前半)
於是、、原湿郁茂、百草滋栄・・・ 

・原文に句読点はない。
・梅花花三十二首(万葉集)引用部12pt以上の文字は政府発表の訓読みあり。
・帰田賦(文撰)引用部の12pt以上の文字は万葉集の相当部分。
・8文字中「春」「令」「月」「気」「和」の5文字は双方に見られる。

漢詩は一文字の韻律の種類(平と仄)の並びの規則性と四行相当による起承転結で作られる形式の組み合わせで絶句、律句、排律に分かれるようであるが確立したのは唐代(618‐907)の終わり頃らしい。したがい双方ともそれ以前の形式の、といえる。

双方とも詩文が始まる個所にある二文字は続く四文字と一連の句であり基本的な文体もしくは書式を一にしている。ちなみに異なる双方の二文字は中国語では同じ発音、同じ意味だそうだ。

漢詩は「読む」あるいは「発音」、の美学の止揚であり、提案者が説明に「于時」を省いたのなら漢詩に対する日本人の感性かもしれない。

もう一つ、日本にある参考にした漢書の「文撰」において「於是」にはすでに返り点がついていた可能性はあり、詩文である「序」の「文」と「詩」を分ける言葉として読解の解釈上の誤解かもしれない。

もし政府が省いたのなら中国にというより国内に向けた意図的削除だった可能性はある。

時の政府もしくは首相の公式発言では、『漢籍を参考に後年至っては返り点と音訓を駆使して日本語の古文となる詩文を添えた日本固有の定型詩を編纂した和書(国書といわなければ通らないらしいけど)から選ばれた最初の元号である』と言い直すべきと当CEO は考える。

いくら首相が国書からと言い張っても中国からは「フフン」であろうことは覚悟する必要がある。

書かれた当時は現在の学位論文よりずっと出典が重視され、知識と教養を貴(たっと)ぶ時代であった。この程度のことは万葉学者のレベルなら十分に承知している。また、理解していなければならない。

なるほど、今は名を秘す考案者が名乗りたがらないのは分からなくはない。でも本当にそうだろうか?

ちなみに双方の全体像を示しておく。
右からの縦書きの原文に句読点はなく書丈に合わせた改行はあるがすべての文字は連続している。句読点はWeb を参考にした。当ブログでの改行個所は当CEO の独断である。

創詠は後漢順帝永和三年(西暦138年 後で必要なので当CEOの補足)

歸田賦   張衡(ここでは空白と改行あり 当CEOの補足)
遊都邑以永久,無明略以佐時。
徒臨川以羨魚,俟河清乎未期。
感蔡子之慷慨,從唐生以決疑。
諒天道之微昧,追漁父以同嬉。
超埃塵以遐逝,與世事乎長辭。
於是仲春令月,時和氣清;原隰鬱茂,百草滋榮。
王雎鼓翼,倉庚哀鳴;交頸頡頏,關關嚶嚶。
於焉逍遙,聊以娛情。
爾乃龍吟方澤,虎嘯山丘。
仰飛纖繳,俯釣長流。
觸矢而斃,貪餌吞鉤。
落雲間之逸禽,懸淵沉之鯊鰡。
於時曜靈俄景,繼以望舒。
極般遊之至樂,雖日夕而忘劬。
感老氏之遺誡,將回駕乎蓬廬。
彈五絃之妙指,詠周、孔之圖書。
揮翰墨以奮藻,陳三皇之軌模。
苟縱心於物外,安知榮辱之所如。
-------------------------------------------------------------
万葉集巻伍

(省略)
右事傳言那阿郡伊知郡蓑島人建部牛麻呂、
是也梅花歌三十二首、并序(ここでは改行あり 当CEOの補足)
天平二年正月十三日、萃于帥老之宅、申宴會也。
于時初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。
加以曙嶺移雲、松掛羅而傾盖、夕岫結霧、鳥封穀而迷林。
庭舞新蝶、空歸故鴈。
於是盖天坐地、促膝飛觴。
忘言一室之裏、開衿煙霞之外。
淡然自放、快然自足。
若非翰苑、何以濾情。
詩紀落梅之篇。古今夫何異矣。
宜賦園梅聊成短詠。

当CEO 補足(天平二年は西暦730年)

平仄(ひょうそく)は分らぬが、たぶんこんな風な緩急で読まれたのではなかろうか。
文章としての整い方は『帰田賦』にありそうだがぜひ、どちらもそのままの「漢詠」と読み下しの「吟詠」とで聞き比べたいものだ。

さて、日本語の優れているところは微妙な差異はあるだろうが表意(音読み)と表音(訓読み)に同じ文字を使う知恵から始めていることである。ここで「漢字は(共産?)中国製だから」と言うこともないし言われることもない。

『帰田賦』を一瞥すると日本人の心には何とはなく穏やかならぬ文字が数か所に見受けられる。当キネマ航空のお客様は、結辞の「安知榮辱之所如」をなんと意訳するだろうか。 つまり「何があったんだろうか?」と。 作者はかなり剛直な人柄だったようだ。

作者 張衡(78-139)はときの愚帝のもと中央官庁や地方府の相として旧弊や腐敗を正そうとしたが、かえって疎まれて、職を辞して故郷に帰る時を夢想した作。 正確には帰田は叶わず中央に戻されて病死。 「帰田賦」は、享年【62】の前年の作。

政治家ではあるが人文、天文、数理の科学、工学、詩、画、などに優れる文人であり発明家でもあり、現在の日本の、とは厳然とした違いのある当時の「知識人」だった。

どうやら、請われて『令和』を提案した方も現在の日本における「高度の知識人」であることが想像できる。

両方の原文を知り、安倍首相が選ぶ選者となる現代の(凡知の識人)有識者諸氏が選び易い形で、依頼された国書にこだわる首相へ献呈したのではなかろうか。
選者を選んだ首相もおそらくその程度の知識人いや政治家なのでありましょう。

この先は、「お友達内閣」と揶揄される首相の今後の身の処し方次第ではありますが・・・(英語ではFriends Cabinet 日本だとFriendship Cabinetとなって「友情内閣」。言葉は巡り巡って「麗しき日本」、「美しき哉、日本」)

この視点からは「凡知百識に勝る」もしくは「心から首相を憂うる」有識者として「令和」を選んだ「元号に関する懇談会」のメンバーの職責とお名前を掲げて後世に残しておきたい。
NHK・日本放送協会会長 上田良一氏
民放連・日本民間放送連盟会長 大久保好男氏
日本私立大学団体連合会会長 鎌田薫氏
経団連名誉会長 榊原定優征氏
日本新聞協会会長 白石興二郎氏
前最高裁判所長官 寺田逸郎氏
作家 林真理子氏
千葉商科大学国際教養学部長 宮崎緑氏
京都大学iPS細胞研究所所長 山中伸弥氏
以上、NHK発表順の9人の有識者の方々。
(お申し出あれば渋々ながら御姓名は削除いたします)

一度切り貼りされて二文字熟語となった「元号」として定着する文字を必死になって説くのは安倍氏個人なのか、内閣なのか、公式見解に自らの知識を加えておもねる「知識人のなんと多いことか」。畏友は人よりマスコミを糾弾している・・・「見識とはなにか!」と。

「ボーッと生きてんじゃねーよ!」by チコちゃん @NHK。(あ~ 会長に向かって言っちゃった)

もっとも当CEO は時々、いや、いつも「ボーッと生きてん」のもいいなー、と思ってますけど。

自らはまだ名乗られぬ「令和」の提案者は「選ばれたからには」、と腹をくくり、芋の煮えたも(含まれた真意をまったく)ご存知ない首相を満足させ、まさに憂いながら、(改行)
自ら発(ほ)っせられた生前譲位を粛々と進められる、(改行)
今上陛下に一世一元のもとではおそらく、いや決してお知りになれないであろう、(改行)
次の世に引き継がれる元号を奉じたのではなかろうか。

こう書くとまた畏友に叱られそうだ。たしかに主権は総理でもなく国会でもなく国民にある。
ここは、チコちゃんのこころの代弁者、年上のお友達(実は未来のチコちゃん)の言葉を借りて、当キネマ航空にご搭乗のお客様に於かれましても、愈々(いよいよ)腹をおくくりになり、煮えた芋をご賞味(もとい)お感じ、頂ければ幸いです。

「今こそ全ての日国民に問う」。二つの「令和」とは来(きた)るべき、また来た時代を「君たちはどう生きるか」、「どう生きることを選ぶのか」と、

キネマ航空CEO 敬白


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書くのに時間がかかってしまい投稿直前にWeb で「帰田賦 令和」を探すと結びはともかくとして同じような論旨のページがかなりあった。

当CEO は「帰田賦」より「帰去来」のほうが好きだなんだなー。だけど『帰りなん、いざ』、たって、「どこへ帰りゃいいんだ」、ま、「そのうちなんとかなるだろーぉ」、か !?
by 植木等 with 青島幸雄。

昭和も懐かしいね。昭和リベラルには懐かしがってもおれない時代になりそうだ。
「 わかっとる。 わかっとる わかっとる。 わかったらって俺についてこい」(by 同前)、と6月に向けて昭和後期生まれの安倍ちゃんは平成生まれを誘っている。

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