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2019年7月の2件の記事

2019年7月13日 (土)

「マックとミー、レガシー・ビジネス始めるってよ」の巻 (3 の 2)

公開 校閲 校正 中です。不明な点はご連絡ください。
公開 校閲 は 2019.07.15-20:00 に
終了しました。

(3 の 1)から続く

さて、下表は2019年3月に公表された CRJ シリーズ生産状況です。

Bombaldier-crjsiries-status-report-2019_
*印の引き渡し済機数のうち3機は2019会計年度(1 - 12)中に引渡し可能な機数

前回の買収資産のアナウンスの中に債権 1億8千万米ドルがあった。 この表にまとめた CRJ 900 の引渡し済み機数のうちの 3機は 2019会計年度内に引渡しを完遂することで支払われる契約金額とすれば、1機あたり 6,000万米ドルの売掛金になると思われる。

いっぽう、債務として 2億米ドルを継承した。 これを CRJ 900 の未納51機に対する解約金とすると 1機あたり 392万米ドルとなる。 1機当たりの対完成機単価比では 6.5%なのだがどんなもんだか。

ほかの可能性としては次年度支払いの税金とかレイオフした従業員に対する継続保証義務にかかわる費用などが考えられるがこれもどんなもんだか・・・要するに分からない。

なお、英語版Wikipedia では CRJ 900 1機当たり 4,650万米ドル(2017)となっている。  この時点ではバージョンアップ仕様の CRJ 900NexGenNex t Gen eration)に代わっていたはず。

Wikipedia の数字はベア・ユニット・プライスで、売上金とのおよそ 30%の差額はオプション追加や特注の塗装、艤装に掛かる費用なのかもしれない。 いっぽう、2017年の価格に対する 1機当たりの債務の割合は 8.43%となり先払い契約金と契約期間の金利を含めた違約金として(契約次第ではあるが契約金の前渡しは25%が一般的らしい。先方からの解約ならこの程度で)妥当なのかもしれない。 「・・・かもしれない」ばかりで・・・益々分からない。

物価変動に合わせて値上げを認める買い手もいないだろう。 貨幣単位の明確な英語版Wikipedia の値から 1機当たり売掛単価で換算するとレートは 0.775となりカナダドルの米ドル為替レートに近似している。 アナウンスされた買収金額と付随する債権、債務の単位は米ドルとなっているがカナダの財務諸表から引き写したカナダ・ドルの可能性もある。 こちらはまあ偶然だろう。

ちなみにスペースジェット M90 は2016年(MRJ90)時の価格で 4,730米ドルとなっている。

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MHI と MACCRJ シリーズと呼ばれる事故による全損機を含む 1,953機(*2019年度内に納入する3機を含む)と未納機 51機、計 2004機を継承する。

うち、 CRJ をベースに派生したチャレンジャー800/850 の 33機は、室内空間と内装の豪華さが求められる顧客の規模やステータスを示す(企業/個人用途)コーポレート/クルーザー・ジェット 仕様のようだ。

よくわからないのは、ボンバルディア(旧カナデア)にはジェットライナーCRJ シリーズ のベースとなった ビジネス/パーソナルジェットチャレンジャー シリーズ。 上級シリーズとして CRJ シリーズと同じ胴体断面の カンパニー/プライベート・ジェットグローバル・エクスプレス シリーズがある。 民生用のほかに軍用途に改装された機体も多い。

さらにチャレンジャー 300/350(初飛行 2001)と呼ぶ、別系統の新規開発機種で高速、長距離、低燃料消費を目指すビジネス・ジェットも量産化されている。

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さらに、最初の一滴であったチャレンジャー 600 の基本設計となるリアスター 600 を提案したのは リアジェット ファミリーゲイツ・ラバー社に売却したあとのリア社であった。

リア社そしてゲイツ・リア社の礎となった リアジェット ファミリーボンバルディア・エアロスペース傘下に入っており、現行モデルのリアジェット 70/75 の生産設備を伴う工場はアメリカ合衆国ウィチタにある。 同様に軍用途も多く日本でも採用されている。 なお、チャレンジャー の一部が製造されたこともある。

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一方では航空事業の売却処分も進んでいる。

 ・C シリーズエアバス に売却済(2019)、エアバス A220 と改名(2018)
  (CRJ シリーズスペースジェット、それに E-Jet E2 の下位シリーズより太い胴体で、
  P&Wピュアパワーエンジンを採用 )
 ・カナデアから継承した CL-415 飛行艇は製造権をバイキングエア に売却(2016)
 ・デハビランド・カナダから継承したターボプロップの Q シリーズ も同社に
  製造設備を含め売却(2019)

など航空機部門の事業解体と整理を進めている。

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軍用途の絡むチャレンジャーグローバル・エクスプレスリアジェット の3系統、加えてチャレンジャー 300 系統の小型機部門がどのように分割売却されるのか、継続されるのか、ウィチタ工場を含めて定かではない。

MHIグローバル・エクスプレス シリーズ では初期に機体の設計、製造の一部を分担したことがあった。 しかし、MRJ の事業化の発表の前月(2008.2)に製造契約を破棄した。

表向きはボーイング 787 の開発、製造に注力するためとされるがボンバルディアからの訴訟の背景とも考えられ、これも買収に伴う今後のレガシーの一部になるのかもしれない。

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話しは変わるが、

アビオニクスやコンピュータ支援による飛行を越えて、機体の空力設計やエンジン仕様に合わせて制御するコンピュータに組み込まれたプログラム・フライトという電子化はイノベーションというよりパラダイムの変換というほうが正しいようで、既存の機体を引きずる開発での対応は技術的にも難しいと思われボンバルディアの経営への圧迫もあるようだ。

上手く風に乗ったのはエンジンと機体の * 新規並行開発のホンダジェットであります。 注)* 新規並行開発 : 開発時期は重なっているけれど実質はエンジン先行の開発。

またボーイングは機体構造を一新して第三世代となる 737 Next Generation 世代(初飛行1997.2)の代表的な型式の -800 からターボファンエンジンのバイパス比を大幅に拡大した第4世代の -MAX 8 (同2016.1)への転換ではその陥穽に陥ったように思える

両世代の初飛行から就航までの期間は前者で 10か月、後者では 16か月を要しているが、それでも運航停止に陥っている。

ちなみに第一世代の 737 オリジナル と呼ばれる -100(初飛行 1967.4)と第二世代のクラシックと呼ばれる -300(同 1984.2)への転換でもバイパス比の増加が行われた。 就航までの期間は前者で 10か月、後者でも 10か月以内であった。

さて 、表に戻って CRJ のレガシーについて考えてみる。

以下、近日リリースの(3 / 3)につづく

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2019年7月 9日 (火)

「マックとミー、レガシー・ビジネス始めるってよ」の巻 (3 の 1)

公開 校閲 校正 中です。不明な点はご連絡ください。
校閲修正追加のお知らせ
CRJ の最初の一滴はゲイツ・リアジェット社が立てたリアスター 600 の構想を買い取った・・・は誤りで本文中に赤字で訂正をいたしました。 ご迷惑をおかけいたしました 

マックと言ってもハンバーガーではなく、PC でもなく、ダグラス でもない。 けれど、飛行機には関係がある、(M)ミツビシ・(A)エアクラフト・(C)コーポレーションであり、ミーはケイの(古いね!)バディ、じゃなくてMAC の親会社(M)ミツビシ・(H)ヘビー・(I)インダストリーズ・リミテッドの MHI であります。

2019年6月のパリ-ルブルジェ国際航空宇宙サロン(パリ航空ショー)では FAA の認証取得の途上にある MRJ90 の受注は得られなかったが MAC から次のアナウンスがあった。

営業機種(ブランド)名をミツビシ リージョナル ジェットMRJ)からミツビシ スペースジェットに変更する。

これにより納期を2020年を予定している MRJ90(乗客数 76-92)はミツビシ スペースジェット M90 、開発中の MRJ70(同 65-88)を ミツビシ スペースジェット M100 とする。

変更の理由は「リージョナル」の語感が【狭苦しい】客室を連想させるので「スペーシャス広々としている】」としている。(実機を【…ている】と思わせたいらしい・・・当CEO の見解)

M100 は アメリカのスコープ・クローズ協定くぐりのロングテールとなりそうな機種として2023年にデリバリーを始めるとしている。

なお M100 は胴体のストレッチ・ファミリーで M90 クラス以上もカバーする計画なので M100 でもつじつまはあっているようだ。

サロンでは M100 の室内のモックアップを公開しており北米の某航空会社から 15機の MoU(法的な拘束力のない覚書)を取り交わしたと公表した。(当ブログのビジネス・リストの変更は行いません)

また会期中の 6月25日に、カナダの輸送用機器のコングロマリットであるボンバルディアBBD)傘下のボンバルディア・エアロスペース社の小型航空機「CRJ」事業を買収する交渉を開始したと公表していた親会社の三菱重工業(MHI)が 同事業の買収合意を公表しました。

購入金額 5億5千万米ドル(キャッシュ)で事業に付随する約2億米ドルの債務と約1臆8千万米ドルの債権を継承する契約になる。
ちなみにMHIMAC の累積債務を解消する増資を引受て帳簿上の2019年3月期の決算を黒字に転換させている)

通信社の記事による買収目的は買い替え需要の顧客名簿と整備・保守・修理や改修のノウハウ、および MAC 対するボンバルディエから提訴された業務妨害訴訟の取り下げも含む、とされている。

と、いうことで、普通名詞となった「リージョナル ジェット」の先鞭をつけて30年にわたって牽引してきた CRJ シリーズはたぶん受注残を除き製造ビジネスはクローズされるようだ。

かくして、MRJ いやスペースジェット M シリーズは世界最小直径の胴体を持つエアライン向けジェットライナーとなったのでありました。 焦ったんだろうなー「リージョナル」から「スペース」だなんて。

でも形容詞の「スペーシャス」ならともかく「スペースジェット」と形容名詞にして続けたら、なんだか変だ。

航空機産業の社名の中に使われる「エアロスペース(航空宇宙)」の宇宙【スペース】で空気を燃やすターボファン・「ジェット」かい? まあ、「ジェット」の第一義は【噴流】であり宇宙でも使える! と、いうのだろうけど、下々では空席【スペース】あります「ジェット」・ライナーにならないか?
乗るほうはいいが航空会社は勘弁してほしいんじゃないかなー?

さすがパンピー乗客にやさしい殿様商売の「みつびし」だね。 山田さーん、座布団全部持ってって!

(それにしても認証型式などに使う短縮記号はどうするんだろう、 MS-M100 or MSJ-M100
マニアなら、『いやあ、「マイクロ(M)ソフト(S)」じゃなくて「MSJ」の「ミツビシ・スーパー・ジェット」ですよ! ほら、あの「ゼロ」の「ミツビシ」の』、となるのかもね)

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さて MAC が引き継ぐボンバルディアの CRJ 事業のレガシーはアメリカのリア・ジェット社が商標(リアジェット)を含めたビジネスをゲイツラバー社に売却したあとのリア社が立案した リアスター 600 の基本構想を買い取ったカナデア社で開発されたチャレンジャー 600 (初飛行1978)から始まります。
この後、カナデアゲイツ・リアジェットボンバルディアに買収され、カナデアは消えますが商標の威力でボンバルディア・リアジェットとなります。

ビジネス・ジェットとしてはタラップを併用するドア採用したオーソドックスな構成と構造で、胴体後部の双発ターボファンとT字尾翼でありましたが、ライバルより一回り太い胴体を採用した室内は高い天井の中央通路とその両側に豪華な1列の座席を配置できる乗員2名/客席数最大19名のビジネス/プライベート・ジェットでありました。

余談ながら、当キネマ・エアラインズの Flight 002 で上映中の「華麗なる賭け」と併映のリメイク「トーマス・クラウン・アフェア」にチャレンジャー 604 が登場します。 皆様のご搭乗をお待ちしています。(以上、当キネマ航空のコマーシャル)

この胴体の中に中央通路と頭上に荷物入れのある片側2列の4列座席を配置する小改造と胴体を延長(当然翼面積も拡大)をして操縦2名/客室2-1名の乗員と乗客50名の CRJ100 が1991年に初飛行した。 

なお、 CRJCanadair Regional Jet の頭文字でありました。 でも、この当時カナデアはすでにボンバルディアの傘下に入っていました。
ちなみにエンブラエルERJEmbraer Regional Jet からでした。  MRJ は手堅い命名だったんだね。

そして、ERJ は認証名などには残るが、初号機から、ファミリー名と機種名を E-JetE(基準座席数ベース) に変えた。 MRJ もとい! ミツビシ スペースジェット M シリーズのライバルとなるリニューアル・モデルは E-Jet E2 E-E2 となりブランドの歴史を手堅く直感的に展開している。 MAC に座布団一枚返してもいいかな。(閑話休題)

さて、下表は2019年3月に公表された CRJ シリーズの生産状況です。

近日リリースの(3 の 2)へ続く 

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