カテゴリー「「キネマ航空CEOオフィス」」の4件の記事

2020年2月28日 (金)

キネマ航空CEO からのご連絡とお詫び

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キネマ航空CEOからのご連絡


最近のブラウザによってはアップデートにより [このサイトは危険です] とアラートが出る場合があるようですが、これは単(ひと)えに Shockwave-Adobe Flash player によるアナログの24時間時計を表示させているためであります。
当キネマ航空オフィスのドメインにおいても https:// への移行を勧奨しておりますがこれに移行すると時計の表示ができなくなります。
Flash Player と言えばインターネットの黎明期よりマルチメディアの対応ソフトとして長く親しんでおりました。
当オフィスでは主要なブラウザーから表示が消え去る日まで http:// のまま継続していく所存であります。
なにとぞ変わらぬご訪問をお願いいたします。

 

キネマ航空CEOからの記事遅延のお詫び


2020年に入り初期のジェット・ライナーに発生した離着陸時の事故について愚考を進めており、すでに離陸編については公表し、着陸編を2020年2月中に掲載する予定でしたが「離着陸の極低速飛行では上昇には下げ舵、下降には上げ舵と通常の操舵とは逆の操縦法になる」ことの説明が解りづらいとのご指摘があり、別の説明を試みておりますが原稿が遅延しており、お詫びいたします。

加えて昨今のコロナウィルスの関連で「爆発感染 - レベル5 “PANDEMIC” (2007) 」を見直したりでオフィス不在にしておりました。

本作は、空飛ぶ者の翳 鳥と飛行機についての三題 の一つ 「鳥媒ウィルス ORNITHOPHILOUS VIRUS」 のなかで紹介をしております。

・・・オーストラリアの海岸の海鳥の屍体から始まり、その海岸にいたサーファーが帰国する 747 の機内に移る。
平行してその海岸では仲間のサーファーや愛犬の屍体が発見されオーストラリアの防疫機関が活動を始めて到着地のロス・アンジェルス空港にある疾病対策予防センター(CDC: Center for Disease Control and Prevrntion)の出張所に連絡される。
米国では生物化学テロ対策のために大きな空港にはこのような連邦政府機関の出先を設けて権限を持たせているようです。
その他、対象となった航空機の機長や管制管には緊急医療手順 (Emargency Medical Protocol) や厳重管理滑走路 (Secure runway) などのマニュアルがあらかじめ用意されており空港ターミナル・ビルから離れた駐機場に誘導して隔離検疫を行なうようだ。

乗客、乗員全員がバスで移送されて市内の緊急対応施設に隔離させられるのだが従順な日本人と違ってその前や後に脱走を試みて市中に感染を広げる乗客が出たり、空港を管轄するロス市長とカリフォルニア州知事のメディア上の協力関係の演出とその裏で行なわれる側近間の張り合いがからみ・・・

以下、当キネマ航空の V.I.P. ROOM にあるブックシェルフ(上記のリンク)に続きます。ぜひお訪ねください。


当オフィスは『お気に入り』などのサイド・ペインを除いた実質横幅が1,000ピクセル以上の画面とブラウザの
「表示文字サイズ(中)」あるいは「標準のサイズ」を基準に公開しております。
お客様のご健康を鑑みスマートフォンなどの小型デバイスでのご来訪をお勧めいたしません。

また、当オフィスで確認したところ、各ブラウザ上のRSSによる表示、ウィンドウズ10のブラウザとなったエッジでの「読み取りビュー」やスマート・フォンでは、重要な文章や画像が表示されない 場合もあるようです。

まことに勝手な当オフィスの都合でございますが、お客様各位のご来訪は上記に相当するPCディスプレイからのご来訪を希望いたしております。

なお、文字サイズではお使いのブラウザの画面拡大機能で125%前後を指定していただければ、
ページ・レイアウトをくずすことなく 「表示文字サイズ(大)」 相当に拡大いたします。
あわせて当オフィスの運行する
キネマ・エアラインズ にご搭乗の際も同様のご配慮を頂ければ幸いです。

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2020年1月30日 (木)

キネマ航空CEO 2020 新年のご挨拶

明けまして、
遅れましての
、御目出たふ御座ひます

一月(げつ、以下同音)往(い)ぬる、二月逃(に)げる、三月去(さ)る、
と申します
逃げるのは雉(きじ)でしょうか?
去年(こぞ)も今年(ことし)もこの箴言の通りに
あたふたと過ぎてゆくようでございます
そして明年(あくるとし)は・・・と
ふっと心の隅をよぎって、
人はこの季節を
生きるのかもしれません

皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます

さて、キネマ航空CEO オフィスの出稿は遅れましたが例によって公開校正校閲中です。 本年もよろしくご指導を賜りますようお願いいたします。
また、増便の遅れが続いておりますけれども、KINEMA AIRLINES の13のフライトやキネマ空港シアターなどの各施設でお待ちしております。
                                        キネマ航空CEO

 


 

2020/02/28 キネマ航空CEOオフィスの公式連絡 の通り以下の「翼はクリーンなだけじゃダメなのか!なんとか離陸を」は分かりづらいとのご指摘があり後日刷新改定いたします。

このため記事のタイトルを「マックとミー、レガシー・ビジネス始めるってよ」の巻 (3 の 3.3)「翼はクリーンなだけじゃダメなのか!なんとか離陸を」から「キネマ航空CEO 2020 新年のご挨拶」に変更いたします。

なお、改定までこのままで掲示いたします。ご迷惑をかけ申し訳ありません。
                                        キネマ航空CEO

訂正 2020/02/01 - 02/02 - 02/05 - 02/09
/01 文中で翼面積S2 と記述しておりましたが S が正しく、関連した個所を訂正いたしました。 なお、単位はそのままの [m2] で訂正の必要はありません。
/02 フラップ使用時の V2 を補正する係数 Kv の説明に誤りがありました。「大きい方が」→「小さい方が」に訂正します。
重大な校正ミスであり、誠に申し訳ありませんでした。
/05 物理単位系と工学単位系の変換時の加速度 α の扱い方の説明の解りづらさが我ながら気懸りだったので書き直しました。
/09 言い回しや段落、誤字を直して脱稿とします。 ご迷惑をおかけしました。
                                         キネマ航空CEO

本題に入る前に
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昇降舵で機体の上昇や下降ができる、わけではない。 飛行機の舵、昇降舵、方向舵、補助翼の三舵、は重心を中心にして機首を上下あるいは左右に向きを変えさせ、また左右に傾けさせる、という姿勢の変化を起こさせるだけであります。
理想的な大気の中の操縦でも、三舵とエンジン出力との協調がないと速度の変化を伴い横滑りや高度の喪失ばかりでなく、失速など少なくとも人間が乗る場合は不自然な加速度の変化を感じることになります。

さて、上昇するには昇降舵により機体の姿勢が変化し迎え角が変わり、揚力係数が増加するのだけど、継続して上昇できるのはあくまでエンジンの出力と主翼の揚力の大小の関係であります。 すなわち(対気)速度が最も重要なファクターですから機体を水平にしたままでも上下に移動することもできます。

ちなみに 当キネマ航空の V.I.P.ラウンジ のブックシェルフの蔵書、 ギャビン・ライアル  の 本番台本 "Shooting Script" で主人公が操縦するターボプロップ双発の旅客機 デハビランド・ダブ DH.104 を執拗に追尾してくる単発双胴のジェット戦闘機 デハビランド・バンパイア DH.100 を素手で墜落させる場面があります。 今回の記事を参考にして両機の速度と迎え角を想像してみてください。(閑話休題)

長ーいお仕置き・・・もとい!前置き
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第一世代の、というより先陣を切った デ・ハビランド DH.106 コメット の就航直後に発生した離着陸時の事故を前回の翼型の一般論から振り返ってみる趣向です。 その前に離着陸の局面を見ておきます・・・まず、離陸から。

図中のアルファベットやギリシャ文字による記号は、気圧その他の気象条件、滑走路の長さや摩擦係数など飛行場の条件、重量を含む航空機の性能、等々の数値、さらには運航上の規定、から導かれる所定の速度や角度を示しており、細かいことは抜きにした意味を付記してあります。

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まず、離陸は三つの位相に分類できる。それぞれの位相にある速度 V は翼の揚力の制御にかかわる値であります。 離陸とはいかに V を速くさせるかに尽きます。 以下の計算式は物理単位で進めます。

したがい、機体重量は W [Kgf]ではなく質量の m [kg] を使います。 同時に空気では比重量 γ [ Kgf/m3 ] ではなく密度 ρ [ kg/m3 ] が使われます。

まず、操縦士が計器で認識するのは揚力の式を変形した速度 V であります。
 V = √[{ 2 /( ρ ・ CL・(m/S )] ・・・(a

ちなみに (m/S ) は翼面質量 [kg/m2]であります。この式中で、制御できるのは機体姿勢を変えて変化させる迎え角 α で決まる揚力係数 CL です。

もう一つの制御方法は機体の質量を質点として離陸距離 R とその時の速度 V2 の関係を計算する式の中で表されます。
  R = (1/2)・(m/TN )V22 ・・・(b) (本式の誘導と展開は末尾に掲載しています)

ここで使われている推力と抗力の単位は物理単位の [N] です。
正味推力 TN を構成するのは、エンジン推力 TE と全抗力 DF で、その差の TN = TE - DN となります。 
さらに、全抗力 DN は、揚力によって誘導される誘導抗力 DI と摩擦抗力を含む形状抗力 DP との和で DN = DI + DP となる。

操縦士がコントロールするのは、積極的にはエンジン推力 TE と操縦の結果で決まる機体の姿勢や速度に付随して決まる全抵抗 DN です。  

飛行機が加速するためには TE > DN なのだが、離陸時の TE は離昇推力で一定です。 離着陸の低速時の全抗力 DN は誘導抗力 DI が占めているが速度が増すほど小さくなり、形状抗力 DP が大きくなる。

離陸段階では速度が増せば DI は小さくなり TN は大きくなる。 さらに速度が速くなると DI と DP とが等しくなり巡航とよばれる速度域以上では全抗力 DN のほとんどを形状抗力 DP が占めている。

すなわち、全抗力の DN は速度 V の関数であり、誘導抗力 DI が V二乗に反比例し、形状抗力 DP が V二乗に比例しています。 誘導抗力 DI の計算式については、以下の記事をご参照ください。
キネマ航空CEO 固定翼機のオスプレイはどうよ?について考える(その3)

誘導効力の計算式では速度 0 で無限大となるが現実では揚力がないのでそうはならない。

滑走を始めたばかりの極低速では揚力自体が小さいので誘導抗力も小さくなるのだが、車輪に代わって揚力が離陸重量の分担を始める Vr を超えて完全に翼で浮揚する VTO 辺りから始まる現実の最大誘導抗力に時間制限のある最大離昇推力で打ち勝ち、さらに加速していくことになる。

・・・と言ったところで、閑話の開題、です
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B727vstrident_e2

図はほぼ同時期に開発が進められた ボーイング727ホーカーシドレー・トライデント E2 の正面図であります。 727 は著しい前のめりとなっています。 なお、図の縮尺は(ほぼ)等しい。

727 は、高空で得られるジェットエンジンの特性を短距離飛行でも発揮させるため主翼には急上昇、急降下に加えて急減速を行えるデバイスを備えていた。

トリプル・スロッテッド・フラップにフルスパンの前縁スラット、さらに主翼上面に展開するスピードブレーキ、地上で突き出すグラウンド・スポイラー等々、全部同時に広げるとダーティそのものとなる。 ガンダム・マニアには堪(こた)えられないのかもしれないけどね。

前回の復習をすると、スロットは基本翼型の零揚力角を変えずに揚力傾斜をそのまま延長し、最大揚力係数を増やし失速角を大きくする。

フラップは、零揚力角が後退し、揚力傾斜をそのまま延長して最大揚力係数を増やすが失速角は基本翼型のそれより小さくなる。

特にダブル/トリプルスロッテッド・フラップは曲線状のガードレールにそって伸展して翼弦長矢高を大きく変えて揚力を増加させると同時に翼面積を増加させるのでアスペクト比が減って誘導抗力が増加する。

定性的に矢高のある翼型では矢高が大きいほど揚力係数 CL がゼロになる零揚力角は後退してすなわち負の角度(−α)の絶対値が大きくなっていることは前回のフラップの効果の概念図で示している。

クリーンな状態の翼型で決定された機体軸翼弦線で決まる取付角の関係から、矢高が大きくなるスロッテッド・フラップでは相対的に迎え角 α が大きくなる(迎え角の増加・・・前回の図参照)。

しかし、僅かながらも前下方に張り出す前縁スラットの効果で翼弦線の角度が多少緩和されて、フラップによる迎え角機軸との関係の崩れが調整できる。

離陸時のフラップの展開は全開ではなく半開以下であります。 前下方にスライドする前縁スラットと組み合わせて零揚力角の移動は軽減されるが機軸を水平にした滑走時の迎え角は基準翼型で単純フラップを同じ角度に下ろした状態の迎え角より大きい。

そこで、地上では機体全体を構造的に前傾させて迎え角を減らして滑走(すなわち加速)することができる。 したがって、機体を浮揚できる速度まで加速する間は揚力に関連する誘導抗力を抑えることができる。

すなわち、速度が遅い区間で加速するには、零揚力角で地上滑走をすることに利点がある。

第二世代以降の車輪を下したジェット旅客機の側面図を見ると前かがみとなっているのはこの為である。

もう一つの理由は駐機中の主翼の揚力中心は主輪より前にあり、台風やハリケーンなどで地表と平行に吹く強風をまともに受けて主輪を支点に機体が浮き上がり、スリップや場合によっては転倒を防止するためでもある。 特にリヤマウントのテールヘビー機においては・・・。(閑話休題)

ここからが本題
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さて、離陸も、着陸も、制限のある長さの中で浮揚しているだけの低速飛行域のために最大揚力係数 CL maxすなわち失速角度 αST 付近の迎え角 α を制御する操縦士のスキルにかかっています。

離陸時の操縦士はエンジン出力 TE を離陸出力にセットし、フラップを、(あればスラットも)離陸位置に(もちろん全車輪も)下ろした状態で機体の姿勢を変化させて揚力 CL と全抗力 DN を制御します。

手順は滑走路に侵入するとセンターラインに機軸を合わせてブレーキをセットしてフラップを離陸角度まで展開し、パワーレバーを離陸出力 TE TO  にセットし、全エンジンが安定したところでブレーキをリリースして「離陸滑走」に入る。

ここからは想像力で補ってくださいね
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ここから、迎え角 α 揚力係数 CL それに揚抗比 CL/CD の関係を参照しながら離陸過程で必要な迎え角 α の制御を行う操縦を考えてみます。

残念ながら今回は、特定の翼型でフラップやスラットを開いた状態の性能曲線図を見つけられなかった。 このため、先に要約したフラップ および スラット の概念図で 補っていただくとして、以降の説明には便宜上、 先回の 揚抗比を拡大した図 で横軸と縦軸の数字に( )を付与し、概念的な値として使い展開して行きます。

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離陸滑走」では機体全体を浮揚させられないまでも機体の姿勢を制御できる速度であるローテーション速度 Vr に達する迄の加速では翼型性能図には表れていない誘導抗力 DI を抑えるために直接の原因である揚力係数 CL を小さく抑えておく。 具体的には零揚力角(-4度)を選べば良い。

ほぼ同年代に設計された ボーイング 727(米)のような前屈みは ホーカーシドレー トライデント(英)にはなかった。 これより以前の設計であるコメット DH.106 にもなかったはず・・・(WEBでお確かめ下さい)

まず、速やかに離陸決定速度(言い換えれば離陸断念限界速度) V1 に到達させる。 いまさら言うまでもないけど速度 V は対気速度であります。

このためには誘導抵抗を少しでも減らして加速するために揚力が 0 となる零揚力角度 α0 ( -4 度)を維持し、ローテーション速度 Vr に達すると操縦桿を引き、迎え角 α を増やしながら、まず首輪を浮かせ(ここまでが滑走距離)て首輪が路面が接触することで生じていたタイヤの変形によるころがり抵抗を無くし、車輪の回転を加速するためのエネルギーを機体の加速に回すことができる。

さらに迎え角 α を増やせば揚抗比 CL/CD  は大きく改善されてゆく。 機体を浮かせて主輪にかかる重量を減らしながらタイヤのころがり抵抗を小さくする。

空力的には最大揚抗比 CL/CDmax  を得る迎え角 α(2 度)前後を維持しながら抗力を抑え、速度とともに機首を上げようとする揚力には操縦桿を押して主輪が地面つかず離れずの姿勢を保って速度を増すことで最大の加速度を得る。

速度が増えれば揚力も増えて誘導抵抗が加わるが飛び立つためには仕方がない。 そのいっぽう速度の増加によりエンジンの推進効率は向上している。 エンジンにはそれに見合う推力がある(はずだ!)。

空中加速」では 機体を完全に浮かせる揚力が得られる離陸速度 VTO に達っして最大揚力係数  CLmax が得られる迎え角(23度)まで機首を上げる。 スラットやフラップは離陸位置まで下げているので機軸の傾斜は実際の迎え角より小さく機体の形状抵抗も少なくなっている。

速度を増すと自然に高度が上がり運動エネルギーを失うことになる。
したがい、水平飛行を続けてさらに加速するためには昇降舵を下げ舵に取って地面効果で公称の揚力係数 CL より大きな揚力が得られる状態の高さを維持して仮想障害物高度 Zob を通過する安全離陸速度 V2 より速い速度を得て地面効果から離れて高度を上げるための運動エネルギーを蓄える。 この時機体の重心の進行方向と機軸の向きは一致していない。

低速時の全抵抗の主要因となる誘導抗力は更なる揚力の増加により「滑走加速」時より増加しているが、主輪の回転を加速するエネルギーは不要になっている。 また機速の増加によってエンジンの推進効率も増加する。(ジェットエンジンの効率の回で解析)

離陸上昇」では、操縦桿を引いて昇降舵を上げ舵にとり「空中加速」で蓄えた運動エネルギーを使って上昇に移り、 V = 0 の停止位置からの離陸距離 R となる仮想障害物高度 Zob を安全離陸速度 V2 で通過して全離陸過程を終える ここまでを離陸と定義する。

念のため、 Rmax に相当する Zob の限界水平位置は空港の設計時に設定された滑走路長とその方位で決められる。 現実の離陸機は Rmax の設計値の手前で Zob に達して離陸となるあくまで仮想の高度であります。 

とは言え、現行機より重い大型機の開発では利用できる空港が限られてくる。 したがい、より高性能の高揚力装置高出力エンジンが必要になってくる。 英国とアメリカが航空の時代の覇権を賭けてしのぎを削る トライデント E2 と ボーイング 727 の開発過程で少し出遅れていたアメリカが先手をとった時代でありました。

このあと、車輪を格納し続いてフラップを一段上げる。 露出していた車輪の抵抗がなくなり、フラップによる空力抵抗の増加分も少なくなるが、同時に揚力係数 CL  も小さくなるので再び水平飛行で加速して得た速度で操縦桿を引きフラップを収納してポジティブ・クライム(規定上昇率での飛行)で巡航高度まで上昇する。

 ターボ・エンジンの効率 の回で検討したように機速の増加によってエンジンの推進効率はさらに向上している。この辺りまでくればエンジンも定格出力に戻されている。

ただ、水平飛行で加速して運動エネルギーを蓄える操縦法は、エンジンの推力が十分に大きければ、やらなくても済む。 もちろん V1 を超えてエンジンの一つが停止したり、何らかの理由で出力が落ちた状態で離陸をする場合のスキルとして必要になるはずではある。

(今ではコンピュータがやる仕事だが「コメット」の時代は人間がやっていた)

--------------------またまた閑話開題--------------------

一般的な双発リージョナル・ジェットライナーのカテゴリーに規定された離陸時の規定値

  強度類別 T類(タービン機)ジェット機 A 
  安全離陸速度
(正常時)
  V2>1.20 S1 S1:離陸形態でのパワーオフ失速速度
(緊急時)
  離陸形態で脚上げ、一発停止、地面効果なしの状態で
  V2>1.10V MC
  VMC最小操縦速度(離陸形態で一発停止、他発離陸出力で直進できる最小速度)
(テイクオフ速度)
  VTO = 1.20 ~ 1.15 S1 

以上から式(a)でパワーオフ失速速度 S1 を計算でき、離陸速度 V2 も分かる・・・はずである。 ただ翼型の性能はもちろんだがフラップを下ろした翼面積 S も定かではない。 ただ、翼型性能は、公表された画像、映像、雑誌、書籍などを収集して航空工学の知識を集合すれば・・・つまりインテリジェンス(情報分析)である精度まで推測でき、あるいはエスピオナージュ(スパイ工作)では細部も入手できるが、実践は航空雑誌にお任せするとして当CEO オフィスでは物理と工学の境目の留めます。(昔の航空雑誌は多彩な技術的な講座を連載していたなぁ)

-------------------------(閑話休題-ここから結論)-------------------------

以上の過程を初歩的な物理計算で考えてみるのだが、一般的に入手できる航空機の諸元は工学単位なので慣れるまでややこしい。
まず最初に上げた速度の問題から・・・。

式(a)の中の物理単位で翼面質量( m/S )[ kg/m2 ] を工学単位に直すには力や重量に対して g = 9.8 [ m/s2 ] を介すれば翼面荷重W.L. / Wing Load)になる。 同じ記号の小文字のエムで質量だのメートルだのと意味が違うのは当CEO のせいじゃありません。 そう言えば α は迎え角と加速度だったな。
 W.L. =(m g)/S = W/S [ Kgf/m2 ]

もう一つ機種固有の翼型変数要素として高揚力装置による揚力係数 CLFL や翼面積 SFL の増加により失速速度 VST の低下がある。 その係数として、基準翼型のとの比をつかって、
 Kv =   √ [{  1 /(SFL /S)}・{1/(CLFL /CL )}]  
   = √ 
(S /SFL )・(CL/CLFL 
ただし、揚力係数 CLX の比は、機体の傾斜角と離昇角度を同じとしたそれぞれの迎え角 α を使った値となる。

フラップ下げ時(添字 FL )と基準翼型の翼面積揚力係数の比が分れば、あるいは類推できればフラップ下げ時の速度 VFL は基準翼型時の失速速度 VST に対して、 次のようになる。
 VFL = Kv・VST

W.L.Kv は、小さい方が、VFL  を低くできる。したがい、正常時の安全離陸速度は、次式となる。
 V2 = 1.2・ Kv・VST

Kv を得るためにフラップやスラット、そしてそれらが作動するレールやリンクの構造が主翼下面に突出してしまい、現在の翼がクリーンじゃなくなる工学的な要素であります。 まあ何らかの空力的な効果があると主張する出っ張りなのかも知れないけど。

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では、離陸速度 V2 が低ければ離陸距離 R が短いか?といえばそうともいえない。そこで式(b)から加速度を考えてみると。 

式中の物理単位(m / TN )[ kg/N ] は質量と推力の比として工学単位では推力重量比(Thrust-to-Weight RatioTWR という指標の逆数に相当する。

物理単位の指標では(TN / m )[ N / kg ] すなわち推力質量比(Thrust-to-Mass RatioTMR として TWR との関係式を立てると 、

質量の m [kg] は、重力 W [Kgf] = m g [kg m/s2 = N ] となる。

正味推力 TN の物理単位[N=kg・m/s2]は、質量 1kg に 1 m/s2 加速度を与える力の単位であり、 TN = m・α と分解できる。
α [m/s2] = TN /m は、ここでは機体質量 m [kg] にかかる加速度となる。

物理単位のTN [N] は、工学単位では TNF = TNg [Kgf] となり、工学単位系の力 TNF [kgf] が重量 W [kgf] の機体に働く。 g は重力加速度と同じ値の単位変換係数で 9.8 N = 1 Kgf 。 したがい、

TMR = TN / m = (TNF/ g )/( W / g )= α = TNF / W  
TMR
 TWR と等しい加速度 α であります。 

よって、離陸距離を推力重量比 TWR で表記すると 
 R = (1/2)( 1 / TWR ) V22 = (1/2)( 1 / α ) V22  

離陸距離 R は機種のカテゴリーの規定値である離陸機の翼面荷重 W/S の関数である安全離陸速度 V2 が決まれば離陸重量に関係なく加速度 α のみで決まる。

なお、正味推力 TN [Kgf] は、エンジン推力 TE [Kgf] と全抗力 DN [Kgf] の差なので、 
 TN = TE - DN = TE ( 1 - DN / TE )

カタログからエンジン推力の諸元表の中に離陸推力が得られる場合もあるが具体的な機体の全抗力の値はまず入手はできない。 (一般的な数値なら専門書から求めることもできる)

なお、離陸推力定格推力に対する比(130%など)で表される場合もある。 ここから旅客機の離陸時の正味推力 TN 定格推力 TE に置き換えて推力重量比TWR を用いて滑走距離 R を計算しても「中(あた)らずと雖(いえど)も遠からず」と考えられる。 

例では、TN ≒ TE(1.3 - DN / TE かつ DN / TE = 0.3 だけど DN はこんなに大きくはないから 1.3 は適当な値に替えてね。
離陸推力は滑走路上で加速するために使われる以上に重力加速度に逆らって上昇するために使われる。
今回は仮想障害物高度までの上昇分は無視したけど・・・ね。(閑話休題)

ニュートン力学では単位系を共有する力と質量(または重量)の比である加速度 α は発生させる引力が働くどのような空間であっても同じ値を示す。 したがい、質量 m に重力加速度 g が働く(例えば)地表では加速度の表示に G を使って α G と表す場合がある。 

地表の 1 G は g = 9.8 m/ s2 であり 0 G は地球の中心に向かって引っ張る重力と(車輪や翼が受け持つ)反力とが釣り合って上下方向には静止している状態を表している。

真上に向かって、1 G+ の加速度を与えれば、ゆるゆるとスペースシャトルのリフトオフの開始であります。 将来に人類が月に居住する時が来ると α Gmoon ( 1 ムーンG ≒ g / 6 ) と呼ぶ・・・のかどうかは知らないが。(閑話休題)

この計算方法で得られる加速度は コメットの初期型の Mk.I では 0.19G 、最終型の Mk.IV c0.33G だった。
ちなみに、シュド・カラベルI 型0.219G 、最終型の 12 型0.227G でした。

いずれも、重力に対しては直角方向の加速度です。 正味推力 TN と全抗力 DN の関係では TN > DN なら加速度、TN < DN なら減速度が発生し、TE = DN では一定速で動いているか静止をしている状態です。

ついでに、クリーンな状態の翼面荷重 [kgf/m2] は コメットの初期型の Mk.I では 254.4 、最終型の Mk.IV c373.0 だった。
シュド・カラベルI 型で(296.5)、最終型の 12 型395.4 でした。(  )内の翼面積は推定値。

なお、重力加速度以外に乗客に負荷される加速度 α G は身体的な限界があり 0.5G 辺りが上限のようだ。 次回の「翼はクリーンなだけじゃダメなのか!なんとしても着陸を!!」で検討してみたい・・・できれば、だけど。

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DH.106 コメット I の初期に発生した離陸時の事故は、推力重量比が小さく滑走距離が長くなり、まだ加速を継続する区間で(操縦桿を押して運動エネルギーを蓄える加速域で)逆に操縦桿を引いてしまって運動エネルギー位置のエネルギーに変えてしまい大気速度を失ったと結論されている。

では操縦桿を押し続けておれば離陸できたのか・・・と問われれば、結果としてどれだけの離昇角度 γ が得られたのか、空港外の障害物となる リアル Zob を越えることはできたのか、にかかっている。 結局、ヒューマン・ファクターだけとも言い切れない問題は残る。

コメットの主翼の前縁形状の変更と失速速度を改善する前縁スラットを設ける構造的な改設計、加えて運用基準の細分化や操縦マニュアルなどのヒューマン・ファクターの見直しが行われた。

DH.106 コメットの事故原因と対策はは Wikipediaの  離着陸時の事故 を参照していただきひとまず離陸の回は終わります。

翼面荷重に比べると推力重量比が意外と小さい シュド・カラベル についてはもう少し調べてから追記します。

-----------------式(b)の誘導-----------------------------

航空機を質点として物理単位を使って数式化すると次のようになる。  ここでは、MKS(物理)単位系で統一します。
式(1)は航空機にかかる推進力 :(力の単位 N:ニュートン [kg・m/s2] )
 TN [N] 機体を加速した正味推進力で、エンジンによる有効推進力 TE [N] と 機体にかかる抵抗 DN [N] との差分
 TN = TE - DN ・・・(1
式(2)は、式(1)の推進力で航空機に与えられる運動エネルギー :( エネルギーの単位 J:ジュール [kg・m2/s2] )
 K [ J ] 推進力によって機体が蓄えた運動エネルギーで、m [kg] 機体の質量。 V [m/s] 閾値を通過する機体の速度
 K = (1/2)mV2 ・・・(2
つぎに、式(3)は離陸するため機体が必要とした仕事:( 仕事の単位 J:ジュール [kg・m2/s2] )
W [ J ] 離陸するために機体が必要とした仕事。T[ N ] は機体に働いた推進力  と機体(がと言っても質点だけど・・・)の静止位置から閾値を設定した位置まで移動した距離 R [m] 
 W = TN ・ R ・・・(3
したがい、式(2)と 式(3)より、
 K = (1/2)mV2 = TN ・ R ・・・(4
注)ジェットエンジンの効率で説明したように運動エネルギーも仕事も同じ単位のジュール [ J ] = [kg・m2/s2] = [kg・m/s2 ]・[m] = [ N・m ] であります。
くどいようですがここでの運動エネルギーは機体の質量(m)が指定された速度に達するために必要とした運動エネルギーであってエンジンで発生したジェットやプロペラで発生した運動エネルギーではありません。

さて、機体の質量 m の運動は、ほぼ水平と割り切り、加速区間の平均加速度 α [m/s2 ] として重力加速度と直角の方向(水平)の値とします。 したがい、式(1)は次式(5)と等価であります。
 TN = α・m ・・・(5

たとえば、離陸滑走時 α = 9.8 = 1(G) で加速している乗員乗客は前下方 45°に 1.41G の加速度を受けているが下向きの加速度は実感せずに前向きの力として(シートの背あてに押し付けられる) 1G を感じている。 
機首が上がり加速上昇を続ける間は下向きの 1G との差分で生じた上向きの力(シート座面に押し付けられる)も感じることになります。  地球上の多分すべての生物が感じていない下向きの 1 G による力は車輪からの反力や翼の揚力、そして両者の差が支えていますが、ここでは、鉛直方向の加速度の影響は水平方向の直線運動として無視することにします。

式(4)と(5)より滑走距離 R は、機体の質量 m は消えて
(式の上で、です。 V の中にはしっかりと残っています)
R = (1/2) (1/α) V2 ・・・(6
離着陸距離は、式(6)中の αV を算出できれば解くことができる。

参考までに、詳しい航空力学の参考書には車輪の転がり抵抗やブレーキの制動抵抗を含んだもっと複雑な計算式が記載されているが、末尾に「離着陸距離には車輪が滑走路面に接地したり離れていたりの区間があり操縦操作の影響が大きく(特に着陸では)実験値の散布が大きく精度の高い推定は困難である」、他の書籍では式中の係数を含めて「平均値もしくは中央値と考えるべき値」と補足されている。 参考資料 飛行機設計論 山名正夫 中口博 (養賢堂) pp309-312 他
ということで、式(6)は大まかな推算には使えるアマチュアならではの楽しみの式であります。

さて、その変数は
R  運航時に要求される機体重量や離陸/着陸速度に対する指標。
α 機体に加わる加速度。 α は、式(1)より離陸時は TE - DF > 0 で α > 0 、着陸時は TE - DN < 0 で α < 0 で減速度(負の加速度)であります。
V 対気速度。 揚力や効力に関係する航空機で最も重要な定義の速度であります。

 

2018年8月24日 (金)

過去の記事のアップデートについて

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キネマ航空CEOからのお願い


 

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2011年1月 1日 (土)

キネマ航空 CEOオフィス からのご案内

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Ultra-LCVCではありますが繰り返しのご利用をお待ちしています。

Ultra-LCVC : Ultra-Low Cost Virtual Carrier  キネマ航空CEO 敬白


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