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2012年7月の3件の記事

2012年7月21日 (土)

キネマ航空CEO オスプレイについて考える。ティルト・ローターはイカロスのつばさか

実話かどうか知らないが皮肉屋のイギリス人劇作家ジョージ・バーナード・ショーがフランスの名花サラ・ベルナールに「わたしと結婚すればあなたの頭脳とわたしの美貌を兼ね備えた子供ができますわ」と言い寄られたとき、「君と結婚すれば君の頭脳とわたしの容貌を持った子供になるかも知れない」と断ったという。

米軍が配備を始めているV-22オスプレイは垂直に離陸できる回転翼機(ヘリコプター)と高速で飛行できるプロペラ牽引式の固定翼機の特徴を備えているティルト・ローター形式のV/STOL機です。ベクター・スラストでそれを達成したハリヤージェット戦闘攻撃機と同じく用兵者もしくは技術者の工学上の夢を実現した航空機とされています。

しかし工学的製品の多くはすべてが技術者の夢どおりということはめったにない。ただその欠点もしくは短所を何らかの方法で軽減したり押さえ込むことで商品として成立している、もしくは成立をさせていくのが技術であり工学であります。

工業商品の長所については製造メーカーのパブリシティ・カタログに基づいたマス・コミュニケーションの媒体で展開されます。加えて、多くの場合は許認可という政府の裏書で保障されることになります。

そしてオスプレイに関しては先ほどの逸話ではないが「良いとこどり」ができるかどうかの工学的な検証はかなりあやふやなまま導入されようとし、またあやふやな感情論で反対されている。

ここではごくフツーの航空機ファンがその公表された情報のなかからこれについては技術的にどう解決しているのだろうという点を羅列してみようと考えます。メーカーがマドモワゼル・ベルナールならこちらはミスター・シニカル・ジョージとなってみよう、という趣向であります。(なおサラ・ベルナールではなくアメリカのモダンダンサー、イサドラ・ダンカンという説もありますが)

オスプレイを進化系統樹に当て込むとV/STOLでしか離着陸できないヘリコプターの流れに派生した固定翼機でありヘリコプターの性能としては類似機より劣り、固定翼機のコスト・パフォーマンス性能としては劣っていても離着陸地「点」間の巡航速度と航続距離を大幅に拡大した特化用途の機体といえます。したがい民間機として成功するかについてはきわめてあやしいといえます。

そしてヘリコプターはエンジン出力ゼロの場合にオート・ローテーションができて安全であるという誤解も含む認識からオスプレイをヘリコプターの範疇に入れることで固定翼機モードでもヘリコプターによる安全性を要求して導入を否定する論調があるがこの点に関しては極めて意図的と思われます。

最初に報じたのは「赤旗」か沖縄の左翼誌か?それに乗っかった朝日新聞を筆頭に全国紙、NHK、民放が飛びついたといった構図か

ヘリコプターはオート・ローテーションができるから安全といわれるがエンジンが止まればそのまま垂直に降りて安全に着地できるなどということはない。オート・ローテーションの手順は、

エンジン停止→プッシュ・オーバー(機体を前傾)→ダイブ(急降下でローター回転速度を増やす)→フレア(機首を上げて前進速度と降下速度を押さえ)→(つづいてローターの迎え角を大きくして抵抗を増やし、さらに減速して)→接地 の4段階で行われる。したがい十分な高度と目標着地点まで適切な空間と距離が必要です。

ヘリコプターでは機種ごとにオート・ローテーションの高度-速度線図が付けられてパイロットの訓練が行われる。

このグラフには縦軸に高度、横軸に対気速度をとりオート・ローテーションのできない範囲を示している。少なくとも低速度の場合は極低高度を除きかなり上の高度まで不可範囲があり、高速になると低高度域が不可範囲となる。その範囲をはずしたせまい回廊を通る推奨離陸経路が示されている。

またヘリコプターの航空輸送事業では運行カテゴリィがあり、双発以上のエンジンで片側エンジンが停止しても飛行場(ヘリポート)外着陸を含めて着陸まで飛行ができる構造と認定された機種はTAクラスとして必ずしもオート・ローテーションの機能は要求されていない。

TBクラスの単発機ではエンジン停止の場合に直ちに緊急着陸ができる、すなわちオート・ローテーション性能が要求され、先の高度-速度線図の飛行禁止領域を避けた飛行技術や計画が要求される。

双発のオスプレイの場合はヘリコプター・モードでエンジンが二つ同時に喪失する確率は低くオート・ローテーション機能はとくに要求されるものではなさそうである。また固定翼機モードの場合は通常の飛行機と同じ滑空着陸で対応をするのに異論はないと考えられるがそのあたりの解説は見かけない。

この問題はむしろオート・ローテーションを問題視して報道する報道各社が持つ単発機のほうが技術論、運用論からは危険であることを浮き彫りにする背景があるので火を点けたままで、そのうちうやむやと消えると思われます。

オスプレイ特有の技術上の疑問では、サイド・バイ・サイドのローター配置は前例がすくなく、外乱に対する安定については熟成しているとはいえないようです。われわれが稲田の上を吹きぬける野分の風で観察できるように風は幅を持って流れている。低速のヘリコプター・モードで風に向かって正対して飛行あるいは静止するオスプレイの翼やローターに時間差で突風を受けた場合にフライ・バイ・ワイヤのコンピュータが処理できるのか

高速で回転するターボ・シャフト・エンジンと減速方式や段数はわからないが減速比40前後のトランスミッションを一体で毎秒7.7度の角速度で回転させてモード変換を行うが慣性に起因する潤滑をはじめとしたトライボロジーの問題、エンジン直立時に地面による排気の背圧増加が出力に与える問題などの市井の航空機ファンの具体的想像の及ばない懸念もある。

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結論からいえばオスプレイはフライ・バイ・ワイヤでしか存在しえないデュアル・モード・エアクラフトであり、現時点ではそれゆえ、あるいはだからこそ、発注者の構想どおり、もしくは技術者の思い通りには行かない航空機といえそうです。

アメリカのNSTBが民間機としての運用を認めないのは主にヘリコプターと固定翼機の間にある遷移モードを制御するフライ・バイ・ワイヤのソフトウェアのプログラムの成熟度が民間機としては疑問をもっているからと思われます。ただ軍用機として民間機の常識もしくは基準が要求されるかどうかは別の問題です。

この点については日本人も先の大戦末期の軍用機開発を振り返れば苦い納得をすることになるとおもいます。

いっぽうでは「日本の空は民間機の基準を満たした航空機でなければ飛行を認めない」を根拠とする反対は航空機の安全性ではなく国の安全保障への意見表明としての問題となるはずです。

ただし、主にソフトウェアを含めた技術的な熟成度からすれば戦場もしくは敵地で何が起ころうとも軍用機としての想定内の問題として、発進基地となる日本国政府はオスプレイの導入にあたって遷移モードで飛行をする空域を決め滑走路への進入あるいは離陸飛行経路には人家の少ない飛行場を提案するなどの努力はなされなければならないと考えられます。

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機会を見つけて以上の結論に対するフツーの航空機ファンの常識的な知識すれすれの論拠?を織り交ぜてオスプレイを考察していこうと思います。これも飛行機好きにとっては楽しみの一つです。当キネマ航空CEOの浅学をさらけ出し、おまけに長くなるとおもいますがお付き合いくだされば幸いです。

2012年7月14日 (土)

フライ・バイ・ワイヤ(その1) キネマ航空CEO FBWとPIO、ついでに「大利根月夜」について考える

本コラムで言及したANA140便のインシデント調査に、ようやく結論がでたようです

結論は飛行機はパイロット、自動車はドライバーが係わるマン・マシン・システムのなかのヒューマン・ファクターとの関係ですね。経過報告書は こちら 。正式報告書は こちら から。

関連して当キネマ航空008便で上映中の「エアポート’75」でも言及しております。ご搭乗お待ちしております。

キネマ航空 広報部

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【訂正】2012年10月16日

知人より「記事に登場するボーイング737-700は厳密な意味でのFBW機ではない」との指摘がありました。したがいこの記事は厳密性を欠いていることになります。

しかしながらラダー・コントロール・ノブが行なう操舵系統にコンピュータが関与していないとは考えられません。本文の訂正は行ないませんが合わせてこの点を考慮いただきお読みいただけると幸いです。

常識という点では現時点で就航中のボーイング737はフル・フライ・バイ・ワイヤー機ではないことを改めて明確にしておきます。ご迷惑をおかけした方々にはお詫び申し上げます。

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先回紹介したフライ・バイ・ワイヤ ( FBW )の本を読みながら 2011 年 9 月 6 日、離陸後 1 時間 35 分後の 22 時 50 分ごろ、浜松市の南約 43Km の遠州灘上空気圧高度 12,300 mで起きた ANA 傘下の那覇発羽田行エアーニッポン運行 ANA140 便、ボーイング 737-700 で発生したインシデントを思い出した。

64 歳の機長がコックピットを離れて小用(たぶん)を済ませたあと入室するため 38 歳の副操縦士に合図(ハイ・ジャック対策のため方法については不明)したところ、副操縦士がドア・ロック解除のノブを操作するつもりでまちがって同じセンター・ペデスタルにあるラダー・トリム・コントロール・ノブを操作したため 1900m 高度を失うスパイラル・ダイブに陥りの客室乗務員 2 名が軽傷を負った。しかし座席にいた大半の乗客は機体の異常な降下には気が付かなかった。

これは FBW でなければ起こらないようなインシデントであり、また FBW だからこその、遠心力が床面に直角にはたらくように制御させた機動であった。

この間のコックピット・クルーの行動の詳細はわからないが副操縦士はノブの選択を間違って操作したことで機体が螺旋急降下に入ったことに気付いて機長を閉め出したまま、ひとりで対応した。そのあとドア・ロック解除の操作を行い機長を入室させた。

このインシデントの結論や最終処分は公表されないようだが傍観者には、少なくともこのような急激なスパイラル・ダイブの機動は 737 の FBW のプログラムに組み込まれているのであろうと想像できる。

では何のために?

それでは、キネマ航空CEO 恒例の閑話休題か! はたまた本題か? ここからは眉に唾してお読みください。

737 は純粋に民間機として開発された機体といえども航空会社によっては危険な空を飛んだり、場合によっては準軍用機として就役することもある。実際に軍用機仕様として737AEW&C、C-40、P-8 などの機種がある。

これらの機体には赤外線誘導ミサイルに対するフレア射出装置、レーダー誘導ミサイルに対するチャフ放出装置、さらにはミサイル警報装置、レーダー警戒受信機、赤外線警報装置などが搭載されていると思われる。これとあわせて空対空、地対空ミサイルにロック・オンされた場合にはミサイルの追尾を妨害する装置の作動とともに適切な瞬間に機体を急激に機動させて回避する操作が必要である。

民間機にもいざとなれば前者の装置類を短期間の小改造で搭載できるように互換共通化がなされており前もって必要な機体の構造や電子のシステムが組み込まれていてもおかしくはない。一方、後者の回避運動のためのソフトウェアは先行してフライト・マネージメント・コンピュータにインストールされていても操縦士が認識しておれば特に問題は起こらない。

さて、いよいよ眉唾の佳境にはいる。両方の眉にお忘れなく!!

問題のラダー・トリム・コントロール・ノブは通常の機能として左右最大に回すまでの間でパイロットの決める旋回レートに合わせた微調整ができる。

そして、軍用機用に組み込まれる(今回のインシデントとなった)スパイラル・ダイブを起動するコマンド・スイッチはラダー・トリム・コントロール・ノブを(ドア・ロック解除のノブと同じように)フル・ストップまで一気に回すことではなかろうか?

ロール・プレイング・ゲームで言うところの隠しコマンド・キーである。

このことはボーイング社が作成する民間機用もしくは日本向けのマニュアルには書かれていないのかもしれない。

あるいは、書かれていても軍事にうるさい日本では民間パイロットの教育課程ではそのページを飛ばして教育されているのではなかろうか。

アクシデントにならなかった今回のインシデントを聞いたボーイングのソフトウェアの開発者はにんまりとしているのではなかろうか。

このソフトウェアは確実に作動しパイロットが十分にコントロールできることを証明し、また仮にインシデントがアクシデントになっていたとしてもパイロット・ミスを思わせる原因不明で処理できるからである。・・・と。

くどいようだがあくまで眉唾であります。

さて今回インシデントで最大の問題は大きく報道されていないようだが副操縦士はロックされたコックピットに一人でいるとき、いわゆるパイロット・イン・コマンド( PIC )になっているとき服務規程にある酸素マスクを装着していなかった。

ノブの操作訓練の未熟を含めてこれらのインシデントの遠因が LCC 特有のパイロットの「都落ち気質(きしつ)」からかもしれないことを改めて問題にしておきたい。

ただし国内線の短時間の路線だからの会社方針で頻尿気味の高齢パイロットが乗務することについては個人の自覚の問題として、相身互いの高齢者として、問題からはずしておく。

何しろ当 CEO はただいま入院中につき美しい看護師さんから毎日大小の頻度についての聞き取りを受けています。

最後にまたまた、くどいようだがボーイング 737 のこの機動に関してのフライ・バイ・ワイヤのソフトウェアはきわめて有効に働いていることを証明したインシデントであったと結論できます。

と同時に、ヒューマン・ファクターの問題を浮き彫りにした結論が報道されていないことにはいっそうの留意があるべきことを強調して(その1)を終わります。

こうしたヒューマン・ファクターによるインシデントが続くようでは LCC パイロットは最新鋭の FBW 機を飛ばしている時代のエリートではありましょうが精神的には離島めぐりのブッシュ・パイロットのほうがいっそう高潔な心情でいささか時代に後(おく)れたプロペラ機を駆って飛んでいると思えてきます。

プロフェッショナル・パイロットたるもの、マニュアルや訓練ばかりではなく人知を傾注して飛行機と自然が要求する知識・技能を提供できるサービス・パーソンに徹することができるかどうかです。しかし、そこにも境遇や見た目の地位・身分の差は必ず存在します。

メジャーなエアラインから LCC に惜譲されてきたパイロット諸氏におかれては「愚痴じゃなけれど世が世であれば・・・」と口ずさみながら笑って飛んでいただきたいものです。

なお、ここで挙げたパイロットのモデルは特定の人物を指してはおりません。特別な知識や技能を有する方たちに命を預ける搭乗も入院もやってしまえばその方たちの人格は知らずともパイロットやドクターという職業名を信頼するしかありません。

ただドクターや病院は、その気になれば治療法までも、選ぶこともでき、その中で信頼が築けますが、パイロットを選ぶのは当バーチャル航空会社の CEO には至難の業であります。

そこでパイロットも人間である前提でパイロットという職業に対してちょっぴり辛らつになるのはご容赦いただきたい。

そういえば「天保水滸伝」もしばらく聞く機会がないなー・・・今夜はカラオケで「大利根月夜」を田端義男風に歌ってみるか。

(その2)はオスプレイにするつもりだったのですが、ことが大きくなってぎたので視点を変えて構想を変更中です。

2012年7月 5日 (木)

キネマ航空CEO FBW を勉強する、 PIO ってなあに?

ボーイング 737-MAX-8 機に発生した二件(2019.3.18.現在)の離陸直後に発生した事故の原因の可能性の一つとされている事象を扱っている過去(2012.7.5)の記事の再掲です。

機体構造では高バイパス比化によるファン直径の拡大による影響が取り沙汰されている。
特に低速高負荷時の空気吸込み量の増加による翼や胴体の周囲の気流が変化が大きくなる。
 大径化したファンを包むカウリングの形状は最低地上高や左右傾斜角の規定を確保するため上下で(翼面積も増加した)翼型を構成しており、機体の姿勢による外乱が大きい。
 さらに低速の離陸時にファンで加速された高速で大量のモーメンタム・フローが本来は低速で流れるはずの主翼の下面を通り揚力が減少する。 等々が上げられている。
(空気の吸込みとカウリングの影響については当CEO オフィスの キネマ航空CEO ターボ・ファンのダクトを真面目に考える、の巻 2016.09.02 をご参照ください。)

当然これらの検討は設計段階でなされている。 ただ昔は部分や全体の模型実験や風洞実験から始まるが今ではコンピュータ上のソフトウェアでの解析が主であろう。 構造設計とコンピュータ解析のやり取りが繰り返されて機能確認機を経て試作機となるが今では商用機の機能確認はヴァーチャル・シミュレータで行われて実機の製作は省略されることが多いようだ
そして試作機の飛行実験というより飛行確認が行われる。 「実験」と「確認」に対する意識の違いに問題がある可能性は否定できない。

ここで生じたトラブルの多くはコンピュータによるFBW(フライ・バイ・ワイヤー)のソフトウェア・プログラムで解決というより抑え込むことになる。 シミュレータでは、はともかくとして、実機の試験飛行の離陸回数内で墜落したとは聞いていない。 デリバリー後の問題とすれば整備上の問題のほかにコックピット・クルーの慣熟訓練のカリキュラムの内容と構成やパイロットの人的、性行的なつまりは人格的な適性も潜在する。

 パイロットとコンピュータの関係の哲学となるソフトウェア上のプロトコルにおいてエアバスはかつての事故の経験からボーイングの思想に寄せたのだが、当CEOの解釈では今回はボーイングがエアバスの轍にはまり込んだといえるようです。 詳しくは下記のリンクにあるラウンジ蔵書の後半部に続きます。 (2019.3.25 以上の増補を追記)
                                           キネマ航空CEO

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蔵書書籍の充実がおざなりとなっていた キネマ航空 V.I.P.ラウンジ の《ブックシェルフ》にある「飛行機は、見目麗しく情もある」の蔵書分類を拡充いたします。 こちらでは全文を通してお読みいただけます。

そのため当ブログの文章は全文掲載から前段のみに変更いたしました。

・ 飛行機の飛行制御の実際 機械式からフライ・バイ・ワイヤへ 片柳 亮二 森北出版 2011

飛行機は安定性と操縦性のバランスで成立している。これらは動安定とか動特性と呼ばれる。具体的には飛行機に対して加わる外乱、たとえば突風、横風などの気象条件のほかにパイロットが行なう通常の操舵や脚の出し入れなどの操作などの人間の要素も含まれた機体の動作特性のことである。

飛行機の操舵はまず操縦席と操舵翼をつなぐなケーブルもしくはロッドやリンクの機械的なメカニズムから始まった。言わばフライ・バイ・ケーブルもしくはフライ・バイ・ロッド & リンクである。そして飛行機の大型化、高速化に伴ない油圧によって人力を補助するサーボ・メカニズムがこれまでメカニズムに並列に導入された。

やがてケーブルやロッド & リンクがはずされ、操縦席と操舵装置のそばにあるサーボ・メカニズムとのあいだにコンピュータが追加されて、それぞれを電線でつなぐことになった。

エンジンについても同じような変更が行なわれ、操舵装置のコンピュータのあいだも電線でつながれて相互の連携が行なわれることになる。

これまで直接操縦席に伝えられていた機体に生じた反応は機体各所に配置されたセンサーで得られた情報となってこれも電線でコンピュータに伝えられることになる。いわゆるフィードバック回路から操縦席(パイロット)がはずされることになった。パイロットにはコンピュータで作られた擬似的な機体の反応が伝えられることになる。

これがフライ・バイ・ワイヤー (以下 FBW ) である。

すなわち飛行機は自立しておりパイロットは安定性と操縦性をバランスさせるソフトウェアを組み込んだコンピュータに初期値や修正値となる値(信号)の入力を行う仕事に変わった。そして操舵翼を動かす力仕事から開放された。

本書にはその FBW の長所と短所をていねいに説明している。これらを理解するには微分・偏微分の連立方程式、ラプラス変換、行列式、ブロック線図、周波数応答特性図などなどの高等数学の分野を多少とも承知しておく必要がある。

段々と深みにはまって行く傾向のある航空機ファンにとっては、これまでのような「苦は楽」というより「苦行」そのものになっていくことになる。

幸いなことに本書はそうした理論はほどほどにして18 機種以上の具体例を取り上げて開発の過程やその結果に生じた事故の背景が説明される。

FBW の弱点は PIO と呼ばれる現象である。
(以下、当CEO の所見を含む後半は「飛行機は、見目麗しく情もある」へお進みください)

おなじ書棚に収蔵しております「飛行機の安定性と操縦性 内藤 一郎 1984」と併読すると飛行機がより面白くなります。ご来訪をお待ちしています。

 

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