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2012年10月 5日 (金)

キネマ航空CEO まずオスプレイの輸送機としてのベンチマークを考える

すこし時間が空きましたがオスプレイの話に戻ります。

要約は2012年7月11日の記事のとおりです。ただし数回続ける予定の本稿はオスプレイは、安全な、あるいは危険な、航空機であることを論証するつもりはありません。オスプレイはどんな航空機なのか、をすこしずらした視点で探ってみるだけです。しかしそのなかで技術上の革新性とそれに伴なう何らかの危険性を浮き彫りにすることになるかもしれません。
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オスプレイはティルト・ローターによるV/STOLが可能な回転翼機からの転換型固定翼機ではあるがその用途は輸送機である。輸送機としての計画諸元のベンチマークとなるのはどのような機体であろうか?

固定翼機としての外観上の特徴としては双垂直尾翼がプロペラ後流の中にある形態から双胴(ツイン・ビーム)タイプの輸送機に空力的な原型を求めることができる。ただしこれらは中型輸送機であり全長が20m以下の小型輸送機に限ると意外と少ない。

米軍機のなかに求めるとグラマンC-2 グレイハウンドが上げられる。原型はE-2 ホークアイ艦上早期警戒機であるが後部ローディングドアの開口面積を確保するため水平尾翼と垂直尾翼を装着するテール・ユニットを胴体上面より一段高くするなどの変更がありオスプレイと類似するコンセプトが認められる。

グレイハウンドの4枚の垂直尾翼はホークアイから継承している。しかし水平尾翼をV字から水平に変えている。これは空母の格納庫への収容で全高を抑えるためもあろうが垂直尾翼は4枚ともプロペラ後流のなかにあり空力上の効果を無視しているとはおもえない。

オスプレイとの基本的な相違は胴体断面の形状が円形を基本しており高翼配置の主翼の桁は天井上部の円弧で囲われた無効積載スペースを利用していることである。

オスプレイの配置はほぼ正方形の胴体の上に主翼桁を置いている。格納駐機時にはプロップローターを折りたたんで主翼を胴体の上で時計回りに回転させ占有面積を4分の1にするためといえなくもないがこれは副次的な結果である。

貨物を効率よく搭載するには四角な胴体断面とその胴体を主桁が貫通しないように直方体の胴体の上部に主翼の桁を乗せる。あるいは主桁に胴体をぶら下げる。次に主脚を胴体からすこし離して配置する。さらに後部には胴体断面と同じ大きさの開口部をもつローディング・ドアを設ける。

すなわちショート・スカイバンやそのストレッチ・タイプであるショート330あたりもレイアウト上のベンチマークになる。

V22_plane_mode ショート330はC-23 シェルパとして軍用輸送機として採用された。スカイバンの一体式の後部ドアは胴体後端に支点を置いた胴体内側はね上げ式だったがシェルパでは二分割されて、その後ろ部分は内部はね上げ式、前部分はローディング・ランプとして使えてグレイハウンドやオスプレイと同様の構造になっている。

オスプレイとスカイバンやシェルパとの大きな相違は脚の処理にある。オスプレイは引き込み式首脚にくわえて主脚を大きなバルジの中に引き込む。これはより高速飛行時の抵抗軽減と同時にバルジ自体が燃料や装備品の収容スペースとなる。

いっぽうのシェルパでは首輪を引き込み式にしたが主脚にフェアリングをつけた程度で済ませ、原型のスカイバンではタイヤむき出しの固定脚である。このあたりが飛行機の設計速度や軍用、民間の用途の差もさることながら設計者の割り切りかたでもある。

以上のベンチマーク3機種をほぼ同一縮尺で並べた固定翼機モードの添付図をクリックして別窓に拡大できます。

なおオスプレイは空軍タイプのCV-22で示す。識別点は機種左側に飛び出した小型のレドームです。

オスプレイの主翼面積は極端に小さく翼面荷重も高そうであり高速機であることを思わせる。というより速く飛ばなきゃ落ちてしまう機体といったほうが正しい。

同様にオスプレイの水平尾翼の面積はグレイハウンドに比べるとかなり小さいのは極低速飛行域では回転翼機モードで飛行するため固定翼機としての安定翼や舵の効果はほとんど必要がない、もしくは(速度の二乗で利く)効果がないためと推定できる。

次に回転翼機モードのベンチマークとなるとほとんど見あたらない。サイド・バイ・サイド・ローターのヘリコプターは何度か試作はされているがこれといって成功した機種はない。そこでタンデム・ローターの機体との比較になる。

ベンチマークとしてH-46 シーナイトとH-47 チヌークをほぼ同一縮尺で並べた回転翼機モードの添付図をクリックして別窓に拡大できます。V22_helicopter_mode

オスプレイの開発は「タンデム・ローター・ヘリコでパイアゼッキの流れを汲むバートルとそれを吸収合併したボーイング・ローター・クラフト社」と「主翼と一緒にエンジンとローターを傾斜させるティルト・ウィングから始まり主翼は固定したままエンジン-減速機-ローターのユニットを翼端に付けたティルト・ローターに取り組んでいたベル・ヘリコプター・テキストロン社」の共同で行なわれた。

また技術的な解析や支援はNASAが行なっていることも忘れてはならない。

機体の重量を支えるサイドバイサイドのローターの回転面の中心を結んだ線から大きくはみだしている機体の部分にある重量に関係する動安定はタンデムローターの場合と大きく異なるであろうことは後日の同じカテゴリーのコラムの中で書いておりますのでご参照ください。

少なくとも、「チヌークを横向きにとばしているヘリコプターだから安全だ!」ではない。

ちなみにベル社は今でこそヘリコプター・メーカーとして知られるが固定翼機も手がけていた歴史がありVTOLのできる固定翼機にはある種の執念があるようだ。

さて本稿のテーマである輸送機であるオスプレイのカーゴ・スペース(貨物室寸法)をベンチ・マークと比較してみる。

例によって寄せ集めの数値なので細かな整合性はとれていない。
数値は運行上の実用寸法で( )内は貨物室の実寸法。
また / は幅では天井/床、高さでは両側部/中央部の寸法を示す。
n.a.はNot available(未入手)。

                 V-22            C-2A                         C-23(S-330)     SC.7 
                 オスプレイ    グレイハウンド               シェルパ           スカイバン
幅(m)          1.74(1.80)     1.43/2.11(1.57/2.24)    1.78(1.88)          1.78(1.88) 
長さ(m)        6.34(7.37)     1.71/6.54(8.38)           8.38(8.48*)        5.57*(5.67) 
高さ(m)        1.67(1.83)     1.60/**(0.84/1.65)      1.82(1.98)          1.82(1.98) 
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床面積(m2)  11.0(13.3)     16.3(18.7)                   14.9(15.9*)         9.91*(10.6) 
容積(m3)     18.4(24.3)     24.4**(28.6)                27.3(31.6*)        18.0*(21.1) 
* 推定 ** 高さに台形状の断面部分があり床面積と容積は整合していない

                 CH-46         CH-47
                 シーナイト       チヌーク
幅(m)          n.a.(1.83)        n.a.(2.29)
長さ(m)        n.a.(7.37)        n.a.(9.30)
高さ(m)        n.a.(1.83)        n.a.(1.98)
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床面積(m2)   n.a.(13.5)        n.a.(21.3)
容積(m3)      n.a.(24.7)        n.a.(42.2)

オスプレイは米軍最大のタンデム・ヘリコCH-47チヌークの代替ではなくCH-46シーナイトに合わせた搭載スペースで設計されている。

固定翼機でみればスカイバンと同等なカーゴ・スペースであることがわかる。またグレイハウンドとシェルパはほぼ同等のカーゴ容積を持つがグレイハウンドは荷室の高さが低く幅で稼いでいる。

はからずもほぼ同じ容積の貨物室をもつオスプレイとスカイバン、グレイハウンドとシェルパの軍用と民間機ベースの機体の比較をする機会ともなる。

つぎにこれだけのカーゴ・スペースを運用するための機体設計諸元と性能の比較をスプレッドシートで添付する。V22_bench_mark

例によって寄せ集めのデータであり整合性を問われるとつらいところがある。

なお、軍用機としての輸送機には兵站貨物ばかりではなく戦闘要員輸送の側面もあるが基本的には同じ離陸重量内の差であり本稿では言及しない。

さて、以上の諸元や性能から「固定翼機モード」「回転翼機モード」「遷移モード」について3回にわたって考察してみようという趣向です。

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【お願い】
以上及び今後の記事に使用している数値、数式その他に疑問や異論があればお寄せ下さい。適宜修正、訂正を行なうことにやぶさかではありません。

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