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2012年11月 2日 (金)

キネマ航空CEO 回転翼機のオスプレイはどうなのよ?について考える(その1)・・・ついでに「朝日の奥村記者が読んでくれると嬉しいな」の巻

【お詫びと訂正】
 2012年10
月11日の記事中で「ベンチマークのシーナイトとチヌークの最大離陸重量には離陸方法でそれぞれVTO(垂直離陸)とSTO(短距離滑走離陸)の使い分けを含んでいるのではないか」と条件付ながら推測を記しましたが今回の解析ではいずれもVTO(垂直離陸)であることが説明できました。
よってお詫びと同記事の訂正を行ないました。


ご確認は こちら からお願いします。

------------以下の本文は外部読者による校正中です---------

 回転翼機としてのオスプレイに入る前にわれわれが目撃すると思われるその飛行形態をシルエット図にしてみた。

V22_flying_mode

  オスプレイの訓練が始まったようで各紙が取り上げているのは「訓練飛行の実態は政府間の約束を破っている」という主旨のようだ。10月31日の朝日新聞朝刊13版の3面の奥村智司氏の署名記事をさかなにしてみたい。

 記事の要約は『「基地上空外でのヘリコプター・モードの飛行はしない」「人口密集地の上空を飛行しない」という政府間の合意(約束)が反古にされている』である。

 文脈では前段は同記者の目撃により、後段は聞書きによる記事と読める。後段に関係して以前におもしろい記事が同新聞に掲載されていたのだがこれは後日回しとして、前段については奥村記者は次の点についてのご自身の考え方を読者に提示しておく必要があると考えます。

 おそらく「ヘリコプターはオート・ローテーションができるから安全だ」の認識からオート・ローテーションのできない(*という誤解を含む認識のまま)オスプレイがヘリコプター・モードで人口密集地を飛行しているといいたいようです。 【* 参照 2012/07/21の記事

 ちなみにヘリコプターのオート・ローテーションの経験はありませんので正確かどうかは専門家に確認していただくとして、当 キネマ航空 006便 で上映している映画「ブルー・サンダー "BLUE THUNDER" (1982)」で視覚的な体験はできます。

 さて政府間で合意された「モード」とは、使用する飛行制御コンピュータのソフトウェアの記述されたブロックとパイロットのマニュアルのページの運用について、であって外観の目撃観察から推定できるものかどうか?

 ついでにいえばヘリコプターの姿勢はローターの推力の方向と重心位置に加えて機体にかかる加速度、抵抗、気流による外乱が作用する振り子の安定で決まるので固定翼機のように分かりやすくはない。

 もちろん固定翼機でも機体の姿勢と主翼の迎え角との関係は地上からの目撃談だけでは決められない。

 政府間の合意は先の「モード」であり、外観上からのティルト角度はおおむね機軸に対して85度から97.5度の範囲の問題となるはずである。遷移モードでのティルト角の停止位置の選択や遷移スピードはパイロットの裁量に入っているようだ。したがい目撃の実態は遷移モードの84度かもしれない。

 目撃記事は合意されている遷移モードの状態を誤認している可能性もありえる。

 またヘリコプターのようにローターが水平に見えたとしても機体が後傾していた場合などでは遷移モードの可能性もあり、上図に示すようにオスプレイの飛行姿勢からモードの断定をするのは難しい。

 記事は「パイロットは飛行制限にそって基地に入ったところで規定の85度のヘリコプター・モードに移るような手の込んだ遷移モードの飛行パターンを採用することなどはない」と予断している、と指摘されてもしかたがない。

 政府間の合意に対する記事とするなら奥村記者がオスプレイのパイロットに直接取材したか、管制交信を傍受した間接的な断定でなければならないのだが・・・

 そこは当日の編集長中村史郎氏はぬかりなく(防衛省記者クラブの?)谷津憲郎記者の署名記事で防衛庁の見解では「合意の違反の具体的情報は確認していない」と奥村記者のカウンター・パートを主記事の横に小さくおいてカバーしている。

 もっともその記事に防衛省の情報収集力の限界の推測を加えることで、さりげなく三面記事で第三者の読者にとっては曖昧模糊の工学の問題を政治問題にすりかえる誘導をしているとも言えなくはないが・・・
------------------------------------------------------
 さて回転翼機が回転翼機である理由はホバリング(空中停止)である。前回のホバリング時の式を変形すると、
    Δv=√{(1/2ρ)(W/A)}

 ここで A はローター回転面積で式中にローター回転面積荷重(W/A)という指標が出てくる。機体の重量が大きいと、あるいはローター回転面積が小さいと、速い吹き降ろし速度(Δv)が必要となる。言い換えればローターの回転数ひいてはエンジンの出力でカバーはできる。
 
この吹き降ろし速度がエンジンに要求する出力を決める。同じく前回のプロペラ推力の式を変形して
    Pi =TΔv=WΔv=√{(1/2ρ)(W3/A)}=√{(2/ρπ)(W3/D2)}

よりホバリング時の主な指標を求めると、

                                     V-22          CH-46        CH-47 
                                      オスプレイ   シーナイト    チヌーク
---カタログ情報---------------------------------------------
空虚重量(kg)                     15,032        7,048           10,185   
最大離陸重量(kg)
  STO                               27,443        n.a               n.a.
  VTO                               23,859        11,023         22,680
ローター直径(m)                     11.26         15.24           18.29
ローター面積/基(m2)               106.0         182.3           262.6
エンジン定格出力/基(kW)        4,586         1,400           3,631
---計算結果------------------------------------------------
ローター回転面積荷重 W/A (kg/m2)
空虚重量(kg)                      70.9          19.3             19.4
  STO                                129.4         n.a.             n.a.
  VTO                                112.5         30.2             43.2
吹き降ろし速度 Δv (m/sec)
 空虚重量時                      33.3          17.4           17.4
  STO時                             45.0          n.a.             n.a.
  VTO時                             42.0          21.8            26.0
ローター必要推力 Pi (m/sec)
 空虚重量時                      4,911        1,202          1,740
  STO時                             12,114       n.a.            n.a.
  VTO時                             9,820        2,351          5,782
ホバリング推力
 /エンジン定格出力比
 空虚重量時                     0.54          0.43           0.24
 STO時                            1.32           n.a.            n.a.
  VTO時                            1.07          0.84           0.80
片発時
 空虚重量時                     1.07           0.86           0.48
 STO時                            2.64           n.a.            n.a.
  VTO時                            2.14           1.68           1.59

 表中のオスプレイのSTO(短距離滑走離陸)の数値にはあまり意味はないが最大重量としての比較であげてある。なおベンチマークのヘリコ2機種のSTO重量は未入手。

 さて重要なのはホバリング推力とエンジン定格出力の比である。この比が「1以下」であれば一応VTO(垂直離陸)が可能となるといえる。安全率を2とすると0.5前後となる。

 しかしターボエンジンの回転数をローターの性能に合わせる回転数に減速するトランスミッションや二台のエンジンを連結するトランスファーの歯車による損失、トランスファーを連結するドライブ・シャフト、油圧や空気圧、電気を作るための各ユニット、さらには吹き降ろし(以下ダウンウォッシュ)流速による固定翼部の形状抵抗やローターの効率などを考えると「1」では不足している。

 ただ、定格出力とは一般にはメーカーが保障する連続して使用できる最大エンジン出力なので離翔時の短時間ならば10%程度の増力はできる。

 オスプレイのロールスロイスAE1107C「リバティ」ターボシャフト・エンジンの緊急時瞬間出力は定格出力の11%増しの5,108kWのようなのでVTO時の必要推力比は0.96となる。(参考までに先の損失や効率が4%以内に収まるとは思えない)

 この表の比率で大まかにはシーナイトとチヌークの純ヘリコは最大離陸荷重においても定格出力で垂直離陸できるようだがオスプレイの場合は緊急時瞬間出力以上の離翔出力の使用が必須と推定できる。

 片発でのVTOは三機種ともまず不可能であると推定できる。なおチヌークは離陸重量次第では可能と思われる。STOについては別途としたい。

 個々のエンジンの性能水準が定格出力以上で安定するかどうかにもよるが、ここから想像できるのはオスプレイを気合で飛ばすのは難しくエンジンの整備状況に関わる稼働率はあまり高くなく、固定翼機の高速性能はともかくとして行動半径のカタログ性能は燃料積載量によるペイロードの制約などでかなり制限がありそうだ。また離昇馬力の常用化は騒音も大きくなりそうだ。

 オスプレイはSTOを基本とする必要があり滑走路のある基地が必要であること。また小型のヘリ空母からの編隊運用では高速高積載のカタログ性能は制限をうけると考えられる。

 つぎにダウンウォッシュ速度の単位は気象の風速と同じであるので風圧は実感できるであろう。オスプレイのダウンウォッシュはベンチマークの純ヘリコの2倍の速さとなる。

 これが砂漠地帯の運用時に生じる大量の砂塵の巻き上げによるブラウン・アウトの原因となる。また救難ヘリの代替となる場合の障害となりそうだ。

 ダウンウォッシュの減衰率は不明だが運動エネルギーに比例するとすれば風速の二乗の影響をうける。シーナイトを1とした比は次のようになる。

                           V-22      CH-46   CH-47 
                           オスプレイ  シーナイト  チヌーク
ダウンウォッシュの
 エネルギー比(VTO時)  3.75              1              1.45

 オスプレイのホバリングによる救難作業をシーナイトと同じ高度でおこなう場合には4倍弱の地表もしくは海面からの反射風の影響を受けながら、となる。

 このダウンウォッシュも害ばかりではない。オスプレイやチヌークの胴体は上方からの直接ダウンウォッシュに対しては滑らかな形状で、地面からの反射風を受ける下面は広い平面としている。

 特にオスプレイは翼面積の25%のフラッペロンを大きく下げて直接に受けるダウンウォッシュの受圧面積を減らし地表近くのホバリング時には地面からの反射風を抱え込んでそこそこの揚力を回収している。

 ホバリングの軍事的な側面としてラペリングと呼ばれる極低高度での停止もしくは低速移動しながらのロープを使った兵員の降下や回収をおこなう機動がある。オスプレイとチヌークは後部のローディング・ドアからおこなわれる。

 シーナイトの場合も同様と思われるが救難機仕様では胴体右側面のドアにつけたホイストが使われている。チヌークの場合は胴体中央部の床面にあるドアを開いておこなうようだ。オスプレイには床ドアはないようで救難機仕様の構想はまだはっきりしていない。

 救難現場が船舶や岩場となると不規則な地形の反射風のなかでの作業となり救難機としての機能はシーナイトやローター径が大きくダウンウォッシュ速度が低いシングル・ローター機に劣ると考えられる。救難機として導入された場合でも救難物資輸送機としての機能が中心になると思われる。

 こうしてヘリコプターとしてのベンチマークで見るとチヌークの性能はその大径のデュアル・ローター・システムによってぬきんでており、また現在の材料工学で得られる機体サイズの限界を示しているようで代替機の開発が進まないのは何となく納得できる。

 いずれシングル・ローターの大型ヘリコとの工学的な比較をやってみたいものです。シングル・ローターには三発エンジンの機体もあります。

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次回はオスプレイの操縦機構と水平飛行についてを予定しています。

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