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2012年11月の5件の記事

2012年11月25日 (日)

キネマ航空CEO 回転翼機のオスプレイはどうなのよ?(その5)・・・オート・ローテーションができれば安全なの?について考える

ご来訪ありがとうございます。

 正確を期しているつもりではありますが今回も当CEOの技術上の推測、憶測部分があります。
 
したがいWeb上での校正中です。新しい知見が得られますと内容を変えるかもしれません。

 当キネマ航空CEO オフィスは「オープン・オフィス」であります。お客様お手製のコーヒー、紅茶をお手に後日のご来訪、ご確認もあわせてお願いいたします。

-----------------------前回の捕捉----------------------------------

 ヘリコのローターは倒立した円錐であり各ブレードは固定翼機の上反角と同じ効果が期待でき、傾斜した側のブレードの揚力が増え反対側は減り復元力が働き安定機能があるはずという質問がありました。

 オスプレイに限らずヘリコの安定はローターの下にぶら下がった機体も含めての問題となり静安定としての指摘では正しいのですが、ぶら下がった機体を含めた動安定としてみると大雑把には三軸三方向の6自由度が二つ重なったきわめて複雑な現象で、その復元力自体が不安定の原因になることもあるようです。

 当CEOの能力では解説不能とご理解下さり、専門書をお読みください。参考書籍は最終回に一括して掲載いたします。

-----------------------今回の本論です------------------------------
 オート・ローテーションについての一般的な常識は、次のようなものと思われます。

 「ヘリだとたとえ動力が切れても、落下時の風で自然に回るローターを利用して軟着陸ができるオート・ローテーションという機能があります」
・・・2012年9月1日朝日新聞Beの「いまさら聞けない・・・垂直離着陸機」からの抜粋。

 この記事(田中誠士氏)は朝日としては比較的まともにまとめられています。ただしオート・ローテーションの説明としては「オート」を「自然に」と言い換えることで誤解を招く表現も含まれています。

 ヘリコプターのローターが「自然に」回ることはなく、動力が切れる直前にローターに蓄えられていた回転エネルギーが残るあいだに、急降下から始まるパイロットの一連の操作という運用によっておこなわれます。 

 田中記者が読者に「セルフ・ローテーション」と誤解させた(かもしれない)現象は自然界では秋にカエデやモミジの種子の落下で見ることができます。こうした機能をもつ人工物は対潜哨戒機から投下するソノブイの減速装置兼方向安定装置として軍事技術に使われています。

 さて、そのオート・ローテーションは風車と同じ原理ではありますが大きな違いがあります。

 ヘリコと風車は、どちらもブレードの半径方向に周速が大きくなるのでいわゆる捻り下げ(上げ)と呼ぶ迎え角を変化させる設計がおこなわれてブレード全長にわたって揚力の大きさを均等に分布させています。しかしその最適化の前提が異なります。(画像付詳細はこちらで

Auto_rotationrev3  一つはローター・ブレードの設計では風車は正対する方向からくる風を効率よくローターの回転力(トルク)に変換できる揚力をえるように迎え角を変化させたブレードが採用されます。

 一方のヘリコではエンジンによる駆動を前提とした迎え角の変化を最適化することになります。

 二つ目は風車の基台は静止しています。そして風見効果で常に風に正対するように首ふりがおこなわれ、一応はどの回転位置でも均等に変化する風速に対してはブレードの回転位置に関係なく同じ角度の増減で迎え角を調整します。

 一方オート・ローテーション中のヘリコの機体は移動しています。このため機体の重力でローターの回転を維持するための揚力を作り出すローター・ブレードの迎え角は、ローターの半径によって異なる速度と降下率をともなう機速とが合成されて、回転位置によって異なるブレードの対気速度できまります。

 またヘリコではサイクリック・ピッチ・コントロールでブレードの回転位置によって迎え角を変えることができます。結果として、

・ 外周部は迎え角が小さく回転方向へ向かう揚力の分力が回転をとめようとする分力である抗力より小さく回転抵抗となっています。ただし機体を支える揚力は発生している。(図はローターが進行方向に向って回転して風速は大きく迎え角は小さくなっていますが反対側では小さくなり迎え角は大きくなります)

・ 中央部で迎え角が大きくなり、揚力の分力が抗力より大きく、ローターを回転させるオート・ローテーションとなる。

・ 内側の回転軸の周りでは迎え角が大きくなりすぎてストール状態となりオート・ローテーションに対する抵抗でしかない。通常ヘリコではこの部分を翼型ではなく吹き抜けとなるように設計されている。(正常駆動時に胴体にかかるローターの風圧を減らす意図もある)

 要約すればオート・ローテーション中のヘリコはブレードの揚力を使ってではなく、翼型の揚抗比が大きい迎え角を有効に使えるブレード部の長さでローターの回転の維持ができている。

 なお、添付図をみるポイントとして、ブレードに生じる揚力は合成された風向に直角な方向、抗力は同じ方向に現れます。その風向は機体の速度、姿勢、ローター・ブレードの回転位置やフェザーリング角度などできまります。しかし、その結果の分布が図のようなきれいな円状になるとは限りません。図の回転方向は欧州系のヘリコの場合、もしくはオスプレイの左ローターで示してあります。

 オスプレイではヘリコより高速で回転させる必要のあるプロップ・ローターの(ヘリコではブレードとして使わない)根元部に、(ターボ・プロップの固定翼機のプロペラ・ブレードでは多く見られる)翼型をした「カフ」をつけてまでして、ローターの有効径を拡大している。

 その結果、ブレード翼型の捻り下げ角度は42度もあるようだ。オスプレイのオート・ローテーション時にはプロップ・ローターの内側のかなりの部分がオート・ローテーションを妨げる抵抗にしかならない失速域に入ると判定できる。

 オスプレイはローター径が小さいためオート・ローテーションができないヘリコプター、というより基本的にエンジンで飛ぶ航空機でありヘリコプターとも異なる定義の航空機といえる。

 この考え方は通常の民間航空機の運用定義(ETOPS)にも関わってくる(画像付詳細の下半分に記載)がその前にヘリコプターの設計と運用におけるオート・ローテーションを概観してみる。

F28_r22_hv_daiagram オート・ローテーションの実施にはローター・ブレードにあたる風の角度(迎え角)が重要であり、そのためには風の速さが必要であることを説明しました。

 その風速を維持するためには急降下をおこなうことになります。まず、エンジン出力を全て失ったときに、急降下で地表に激突する前に、所定のローター回転数が得られ、機体の降下率を安定させたのち、引き起こし(フレア)による減速ができ、その状態で軟着陸できる限界の高度と飛行速度の関係があります。

 高度-速度線図(Hight -Velocity Diaguram または H-V Curve)と呼ばれており縦軸は高度(フィート)、横軸は対気速度(KIAS:ノット)で表示されます。フィートは0.3倍でメートル、ノットは1.8倍でkm/hとなります。

 この線図で斜線がかぶさっている範囲はオート・ローテーションがおこなえない範囲を示して機体の(もちろん搭乗者も)致命的な損傷が避けられない高度と速度の関係を示しています。

 線図では低速-低高度に狭い空白があり、ヘリコは離着陸での加減速をおこなう(空港やヘリポートへの)進入回廊(Approach Corridor)とよぶこの空白を使って運行します。

 ヘリコが固定翼機と同じような角度で離発着する第二の理由であります。ヘリコのパイロットは機種ごとに、この線図による離着陸と出力喪失の訓練を受ける必要があります。

 さて、線図の左側はエンストローム F-28 右はロビンソン R-22 のH-V線図です。両機種とも米国で人気のある航空ガソリンを使う4気筒のピストン・エンジンで飛ぶ個人用小型ヘリコです。

                          エンストローム F-28    ロビンソン R-22
   --------------------------------------------------------
    運用開始年度        1965                1975
    最大離陸重量       1,179kg             635kg
    ローター径                  9.75m                           7.70m
    ローター面積               74.7m2                          46.2m2
    ローター面積荷重        15.8kg/m2                     13.7kg/m2
    エンジン  メーカー      ライカミング         ライカミング
          型式       HIO-360FIAD                O-320-A2B
          出力       225hp(168kw)                124hp(93kw)
    重量/出力比     5.24kg/hp(7.02kg/kw)      5.12kg/hp(6.83kg/kw)
    巡航速度       89knots(164km/h)      96knots(177km/h)
    上昇率        1,450ft/min(7.37m/s)    1,200ft/min(6.1m/s)
    乗員               2                  2

 この仕様と性能で比較するとH-V線図では、本来ならば開発年次が10年早くオート・ローテーション可能範囲が狭そうなエンストローム F-28の方がずいぶんと広い安全飛行域を確保しています。

 また進入回廊の制限長さもずいぶん短い。これは、エンストロームF-28 のブレードは長さも含めて重く作られており、正確には慣性能率が大きくフライホイール効果によってエンジン停止直前までにローターに蓄えられた回転エネルギーで長く回転数の維持が続くことによるようです。

 日本人の感覚では時代とともに進むであろう加工技術や材料の発達は安全な方向には向かっていないように見える例でもありそうです。また、設計思想そのものも時代とともに変わることもある。またそれが工学の本質でもあります。

 たとえばロビンソンR-22 の巡航速度はエンジンの出力が小さいのにエンストロームF-28 より勝っています。唯一の理由で、とはいえませんがブレードの設計思想が変わっていると考えられます。             

 次にあげるのは50年以上昔、エンストローム F-28の進空より前の1962年に運用が始まった双発・ツイン・ローターの代表機種で航空雑誌や新聞ではオスプレイと比較されていますが、なぜかH-V線図は日本では公開されていません。

 航空雑誌では軍事機密並みの自己規制(タブー)になっているのかもしれませんが外国のサイトから入手可能な情報です。

 機種は日本の陸上自衛隊、航空自衛隊で保有している機種と同じ系統の米陸軍のCH-47D(チヌーク)が、囲みの注記にあるように二基のエンジン出力の全てを喪失した場合のオート・ローテーションのおこなえる高度と速度を示しています。

Ch47_hv_curve  この図で見る限りCH-47のオート・ローテーションによる軟着陸は、ヘリコプターに要求されている機能であるホバリングを含む低速域では1200ft(360m)以上の高度でも不可、戦闘行動時の高速飛行では600ft(180m)以下でも不可となります。

 この図をポンと出されると、特定の人からはこの機種の存在理由も否定されそうですね。

 ロビンソンR-22の線図のように積載重量や気圧、気温にも左右されますが、地表から180mの飛行でもオート・ローテーションができないとなれば、政府間の約束であるオスプレイの訓練飛行高度150mはどうなのよ、と物議を引き起こす資料にもなりそうです。

 しかし、この機が起きてしまった災害への初動による被災者の救助と脱出、物資の輸送にどれほど活躍したのか、また、現実的な効果の評価は別にして原子炉への冷却水投下などの命令を確実に実行できたのか、をパイロットや搭乗員、整備員、運行要員とともに機体そのものを評価しなければなりません。

 ただしオート・ローテーション機能でオスプレイを欠陥機とする人の目には現状では全面真っ黒なオスプレイのH-V線図と同列にしか映らないのかもしれませんが・・・コマーシャル・チヌークインターナショナル・チヌークの名で民間型モデル234414の型式で認証されています。

 工学という面からは、双発以上のヘリコプターの設計基準は「エンジンが一基故障した段階で飛行計画を中断して残ったエンジンで緊急着陸もしくは引き替えす運用が可能であれば・・・」から導かれる設計仕様で開発されているオート・ローテーション機能を考察する必要がありそうです。

 すなわち機体としては、要求条件が調った双発ヘリコプターのオート・ローテーション機能はなくても良い、となります。その根底には固定翼機の設計仕様とも関わってきます。また、ヘリコ・モードでオート・ローテーション中の固定翼はどう機能するのか・・・などなど、は次回に

2012年11月19日 (月)

キネマ航空CEO 回転翼機のオスプレイはどうなのよ?(その4) ・・・欠陥とまではいえないが・・・イカロスの翼に近づいているといえるかもしれない・・・について考える

ご来訪ありがとうございます。

2013/07/03、1018/09/01に赤字部を訂正および変更を行いました。論旨の変更はありません。筆者(当CEO)の不注意お詫びいたします。

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 ようやくオスプレイの検討に戻ります。今回は要点を太字で強調しました。

 オスプレイはベル・ボーイングに加えてNASAの技術者も加わって解析が加えられており基礎的なコンセプトに問題があるとは思えませんが、前回の分析を図でローター配置による操縦制御のモデルとして可視化をしてみました。

Inertia  前回はタンデム・ローター機ではロール制御が、サイド・バイ・サイド機ではピッチ制御が、パイロットの操縦の結果として成り行きできまることを説明しました。

 この差が機体に及ぼす相違を説明するには図中の I で示した慣性能率を理解する必要があります。

----慣性能率は義務教育や高校、大学の一般教養課程では教えないようです。後半の薄い灰色文字の部分で概観してみました。読んでから本文へ戻った方がいいかもしれません----

---------------以下本論----------------------

 オスプレイであれ人間であれあらゆる物体を構成する各パーツの質量にその物体の重心を通る三軸からパーツの重心までの最短距離の二乗を掛けた値が慣性能率 I = mr2 であり、一つのパーツには三つの異なった慣性能率がある。そのパーツを組み上げたオスプレイにも人間にも重心をとおる三軸の慣性能率がある。

 ちなみに、オスプレイの重心は側面図で見るとヘリコ・モードで直立したローターの回転軸上で、高さは燃料や貨物、人員の搭載量や位置によるが正面図でみるとキャビン高さの中央のやや下あたりと考えられる。

 物体を構成する全部品の慣性能率を各軸ごとに合計した値が機体や人体の慣性能率となる。その 慣性能率は大きくなるほど回転をはじめにくく、回転していると止めにくいという性質がある。

 この物体を回転させる力がトルク 「T」 であり力 「N」 とその力を加える腕の長さ 「r」 との積で表される。トルクと慣性能率との関係は慣性能率と角加速度(dω/dt)の積でも表される。(ωは角速度・・・詳細は上の薄い灰色文字の部分でご理解下さい)

    T = N・r = I・(dω/dt)

  さて、航空機の質量構成でもっとも重いのは機体である。全長にわたって構造は同じであり質量はほぼ均等に分布していると考えていい。

 次に重いのは図中では丸で示したエンジンやトランスミッションとローターなどの駆動系がある。そのほかにも車輪や脚などの降着装置、オスプレイの場合は主翼の中を通る左右のローターを連結するドライブ・シャフト、胴体の天井裏にはそのシャフトで駆動する油圧発生装置などの補機類があるが省略。

 チヌークの場合は天井裏に前後のローターを結ぶシャフト、前方のローターの下にはトランスミッションがある。

 貨物以外の搭載物で最も重くなるのは灰色で塗った部分におかれたタンクにつまれた燃料である。

 以上よりタンデム・ヘリコの三軸の慣性能率の大小は、
      Iy ≒ Iz >> Ix

 サイド・バイ・サイドのオスプレイは、
      Iz ≒ Ix > Iy  

 となるが、相対的には小さい慣性能率 Iy をもつと思われるヘリコ・モードのオスプレイはピッチ軸(y軸)に対する直接的な(偶力を使った)制御機構を持っていない。

 水平尾翼の機能が有効でない低速時にはオスプレイのピッチ操作は左右のプロップ・ローターを同ー方向に傾けるサイクリック・ピッチ操作かエンジン・ナセル全体を前後に倒すことで可能のようです。

 しかし、機体ピッチの制御に必要なローター推力とy軸までの距離(腕の長さ)との積でえられるトルクは、同じローター推力でロールやヨーの制御にはたらくトルクの大きさに比べると腕の長さの比較でずいぶん小さいことがわかります。

 ヘリコ・モードのオスプレイがエンジン・ナセルの傾斜でコントロールするのは、乗員や貨物の積載位置や移動で変わる機体重心の位置を補正するピッチ・トリムの機能として使われていると思われます。

 ヘリコ・モードでホバリングや低速移動をしている場合はフラッペロンを最大角度に下げており、ローターの吹き降ろしと外乱となる側方風を合成した流れによる力のつりあいに左右差が発生してロールを乱したり、胴体や垂直尾翼が受ける側方の風による風見鶏効果によるヨーの制御の間でコンフリクトが生じてローターでは直接制御できないピッチに対する反応に遅延がおこる可能性がありそうです。

 一方の慣性能率がもっとも小さいロール軸が成り行きの安定となっているタンデム・ヘリコに生じる操縦によるロールの反応はオスプレイのようなサイド・バイ・サイド機のピッチの反応よりは速いと考えられます。

 さて、VTOLが可能なベクター・スラスト機の先駆者といってよいハリヤーは一基のターボ・ファン・ジェットのファンとジェットの噴流を重心を挟んで胴体横に四本のノズルを設けて、ノズルを90度曲げることでホバリング時の揚力、水平にすることで推力を実現しています。

 同時にロール方向にでるエンジンのトルク反力を打ち消すために反転させている先頭のファンの噴流を抽出して、重心からもっとも離れている機首と機尾、左右両翼端に分流し下方に向けて噴出させることでおこなうピッチとロールの制御、機尾の側方の左右を選択して噴出させるヨーの制御と三軸の回転方向をコントロールする操縦装置を持っています。

 オスプレイの弱点はヘリコプターの制御で得た経験を過信してこの噴流による三軸制御をおこなわなかったことにあるように思えます。特にタンデム・ローターのヘリコは電子制御の飛行安定装置で飛んでいるので必要はないと考えたのかもしれません。

 噴流による制御自体は宇宙船の制御で十分な知見があると思えるのですが、採用しなかったのはこの制御装置の装備で増加する重さのために最大積載重量を減らし、完全武装の兵士2、3人を減らすか航続距離を減らすかのトレード・オフの結果のように思えます。

 オスプレイの場合は両翼端でティルトするエンジンからの抽気ができないため専用のエンジン(APU)もしくは左右のローターを連結するシャフトで駆動する大量の空気を圧縮する圧縮ポンプを設ける必要があります。

 ビルの屋上に設けたヘリポートで運行する民間機としてティルト・ローター機を熟成するにはこの機構が必要と考えられます。しかし、そうなると商業機として成立するかどうかは疑問ではあります。

 技術的な弱点の考察とは別に、当CEOが「オスプレイはイカロスの翼か?」と問うたのは次の写真が発端でした。・・・と写真を挿入したいのですが著作権の問題もあり各位の画像検索で以下の機種の機首の周辺、特にコックピットの前のあたりをご確認下さい。

 まず、ホーカー・シードレー・ハリヤーは高速機でありながらコックピットの前にはホバリング時にヨーの偏流を観察する小さな風見針が設けられています。この風見針はオスプレイにはありません。

 次に、わが新明和・PS-1から始まるUS-1Aまでは、やはりコクピット前の高いマストのてっぺんに低速時の横滑りの風見針がつけられていました。

 ただしUS-2では左傾左転の傾向をフライ・バイ・ワイヤーで押さえ込んだのか川西・二式大艇から続く水平線を基準に迎え角6.5度を確認するための照準用の横棒、通称「かんざし」を残して風見針は廃止されたようです。

 さらにはグライダー・パイロットは必ず風防の正面に貼り付けてある毛糸の偏りで偏流を目視しています。

 これまで人間は先人が切り開いた高速で空を飛ぶ技術を基礎として飛行機を発展させてきました。しかし、空を飛ぶこと、しかも低速で飛ぶことは人間が最初に空を飛んだ時代とさして変わるところはありません。

 少なくともホバリングや極低速飛行で風に正対し、また大気の流れの変動を感知するにはこうした初歩的で幼稚ともいえる装備がパイロットに一番必要ではないかと思われます。

 個人的には、オスプレイは(アメリカの設計者が開発した)ヘリコプターから派生したフライ・バイ・ワイヤーによるスラスト・ベクター機の機体制御技術とそれを実現するためのコンピュータによるパイロット支援システムのソフトウェアを構築する発想の原点が「イカロスの翼」に近づいているように思えます。日本のUS-2も同様の思考に近づいているのかもしれません。

 (オート・ローテーションについて書くスペースがなくなりました。下記も含めて次回に回します)

 ただし、軍用機が民間機と同じ基準でなければならないか、や、新しい技術の開発をどう進めるかは運用を含めてきわめて政治的な問題であります。

----------------------慣性能率について----------------------

 まず分かりやすいところから中学物理で習った直線運動の基本式 F = m・α を思い出してください。

 斜体太字の文字はベクトルを表します。ベクトルは大きさとともに方向をもった値を示します。たとえば先の式は一つで Fx = mαx 、Fy = mαy 、Fz = mαz 三つの式の概念を表しています。

 F は力で単位は[N](ニュートン)、m は質量で[kg](念のため店頭表示の「1キログラム 1,000円」の「キログラム」は重力加速度 g を介した別物です)、α は加速度で[m/s2]です。s は時間で「秒」のことです。加速度は速度の単位時間当たりの変化ですのでベクトルは速度   「m/s]が持っています。

 このあたりから微分が持ち込まれてややこしくなりますが単位を見ていけば何となく理解できます。

 細かいことは抜きにして、加速度は α = dv /dt と微分式で現されます。 t は時間で単位は[s]です。つまりは単位時間[s]で速度 v  [m/s]がどれくらい変わるかをしめす変化量(加速度)ですから単位が[m/s]÷[s] = [m/s2]となるのです。

 つまり直線運動は F = m・(dv /dt) と現すことができます。

 回転運動にも同様の物理現象がおこります。T = I ・(dω/dt) となります。T  はトルクで単位は[Nm](ニュートン・メーター)です。

 これまでに推力でも T が出てきましたがこれは「Thrust」(推力:単位N)から、今回は軸を回転させたり止めたりする力「Torque」(トルク:単位[Nm])からきています。トルクには回転方向、推力にも向う方向がありますからどちらもベクトル量となります。

 トルクのベクトル量は Tx = Ix ・(dωx /dt)、 Ty = Iy・( dωy /dt)、 Tz = Iz・(dωz /dt) の三式で表されます。

 次に dω/dt は角加速度ですが直線運動の加速度α に相当する記号がありません。ω は(回転)角速度です。角速度には回転方向があるのでベクトル量です。

 ただし角度の単位は一回転の360度を 2π とするラジアンで表記されます。ω の単位は [1/s]となります。で、角加速度は dω/dt となり単位は [1/s2]となります。

 ラジアンは円周率で表されているように単位をもっていません。ラジアンで現した角速度ω に半径 r [m]を掛ければその半径の単位時間当たりの長さ、すなわち周速 v  [m/s]となって大変都合の良い単位なのです。

 I は慣性能率と呼ばれ直線運動の質量に相当しています。慣性能率 I の単位は[kg・m2]です。 

 ところが、T = I ・(dω/dt) を変形して  I =T /(dω/dt)  として I の単位を逆算すると
[kg・m2]のはずの I の単位は[ Nm・s2]です。
 物理の等式では左右両辺の単位は等しくなるはずです。

 ここでは物理式の誘導を勉強しているのではないので逆説で見ていきましょう。トルク T の単位は[Nm]でした。  

 [ Nm・s2]を{[N]=[kg]・[m/s2]}・[m]/[1/s2]と書きなおすと分かりやすいですね。この式より時間の単位[1/s2]が消えてしまうので[kg・m2]となります。

 つまり1[m]先にある1[kg]の質量を回転させる、あるいは止める「回転力T 」を「角加速度(dω/dt)」で割った値と等価な単位となります。

 つまり、物理学の補助単位である力の単位ニュートン[N]を質量[kg]、長さ[m]、時間[s]の基礎単位に戻した結果です。

 さて、重心をとおり互いに直角で交差する三軸は各軸の慣性能率が最小になる「慣性主軸」という決め方があります。

 しかし、進行方向がきまっていて左右対称な物体においては、重力の反対方向に向ってz軸を正(+)、水平な面にx軸とy軸を置き、x軸の正(+)を物体の主な進行方向にする。

 つぎに水平面を上から見てx軸の進行方向の右側に向ってy軸の正(+)とし、三軸上の回転方向は各軸の正(+)の側から見て時計回りを正(+)とするようです。

 料亭の魚料理で尾頭付の魚が出てくる場合は頭は左向きに置いてx軸となり、お皿の上側に向ってz軸となる。y軸は魚を突き抜けて畳のほうに向っています。配膳の基本でありますね。(閑話休題)

2012年11月13日 (火)

キネマ航空CEO 回転翼機のオスプレイはどうなのよ?(その3) ・・・スラスト・ベクタリング機といったほうが・・・について考える(その2)

 当オフィスへのご来訪ありがとうございます。

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 オスプレイのヨー制御は本稿で説明されたツイン・ローター・システムのヘリコとは異なり、スウォッシュ・プレートの差動ではなくエンジン・ナセルのティルトの差動、(たとえば右ラダー・ペダルを踏み込み右翼側を後傾、左翼側を前傾させるメカニズムで)おこなうのではとの指摘がありました。

 明記された資料を探しています。ご教示いただけるとさいわいです。

キネマ航空CEO

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 オスプレイの話に早く入りたいのですが、今回もヘリコのコントロールの話が主になりました。次回予定のヘリコ・モードのオスプレイを理解するには欠かせませんのでお付き合い下さい。

------------以下の本文は外部読者による校正中です---------

 ヘリコの操縦のはなしに移ります。主にメインローターについてです。先回の復習と多少の追加です。 Main_rotor_schematic

 まずは復習から。

 ローターのブレードは遠心力と揚力で起き上がり円錐状になる。

 ブレードの先端が描く円錐の底面をチップ・パス・プレーンと呼ぶ。

 ローターの推力はそのプレーンの中心に直角な方向に発生する。

 以上の仮定のもとで、ヘリコの操縦はスウォッシュ・プレートを傾けて推力を上向きの揚力と水平の推進力に分けることをコントロールする、ということでありました。

 ところが回転するコマと同様にヘリコのローターには「物体が自転運動をすると姿勢を乱されにくくなる」というジャイロ効果が現れます。

 そのジャイロ効果とは次の性質をさしています。

 1. 外部から自転軸を回すようなモーメントが加わっていないかぎり自転軸の方向を保つ性質

 2. 自転の角運動量が大きいほど姿勢を変えにくい性質

 3. 外部から自転軸を回すようにモーメントがはたらくと、加えられているモーメントの軸及び自転軸と直交する軸について振れ回り運動をする性質

 ということで、ローター軸を倒してピッチ・パス・プレーンを傾斜させるにも工夫が必要です。

 まずピッチ・パス・プレーンを前傾させる場合。Photo

 図はローターを上から見ており、左が機体の前方となります。ローターは時計回りですからフランス系のヘリコの場合ですね。

 アメリカ系は反時計回りですが、オスプレイの左ローターはこの方向に回転しています。

 先のジャイロ効果の三番目はジャイロスコピック・プリセッションと呼ばれています。

 回転する物体の回転軸をある方向に倒そうと力(モーメント)を加えるとその軸は回転する方向の90度先の方向に倒れる。

  という性質があるので、スウォッシュ・プレートの動きはサイクリック・ピッチ・コントロール・レバーの動きに対してローターの回転で90度遅れた位置に対応しています。

厳密にいえばヘリコの場合は空中に浮いた機体を操縦(制御)するのですからこの物理法則からの類推がすべてではありません。イメージとしてお読みください。

 こうした場合、時計表示が便利ですね。たとえばレバーを右前45度に倒したとすると1時30分の方向となりスウォッシュ・プレートは10時30分の位置が上昇するように設計されます。ローターの回転がアメリカ式の場合は4時30分の位置となります。

 この理屈でヘリコプターはホバリングの静止状態の機体をあらゆる水平方向に移動することができます。図の状態はフランス系のヘリコが前進する場合を示しています。

Corrective_pitch_control 次に機体を上昇下降させるコレクティブ・ピッチの場合は位相は関係なくスウォッシュ・プレート全体を上下させるだけでおこなえます。

 機体を昇降させる操作にはパワーの制御が密接にかかわっており、レバーの先端にはパワー・コントロール・グリップが併置されて同時に操作できる構造です。

 この方法はベル・ヘリコプター社が始めました。ところがデファクト・スタンダードとまではならず、ヨーロッパ、<フランスのことです>はヘッド・コンソールの中央にスラスト・コントロール・レバーとして配置しました。

 推測ですがターボ・エンジンを載せたヘリコを最初に量産化したのはフランスでした。おそらくレシプロ・エンジンに比べタイムラグのある出力をいっしょにコントロールするよりブレード・ピッチの制御に集中させるためではないでしょうか。この当時からエンジン出力制御を自動化していたのかも知れませんが・・・(恒例の閑話休題)

 さて、上昇するにはパワー・グリップをひねりエンジンの出力を高めてコレクティブ・ピッチ・コントロール・レバーを引きます。下降はレバーを下げ、パワー・グリップを弛めることでおこなえます。

 なお、オスプレイではTCLレバー(Thrust Control Lever)と呼びエンジン出力の制御と連動してブレードのピッチを自動的に最適制御しているようです。またエンジン・ナセル角度の調節ノブがこのTCLレバー上に設けられています。

 次に機体を水平に回頭(ヨー)させるにはシングル・ローターのヘリコではラダー・ペダルがテール・ローターを独立して制御をおこないます。(テール・ローターのピッチを増減しているのですが詳細は省略します)

 しかしツイン・ローターでは前後のチップ・パス・プレーンを逆位相に操作することで制御します。

Twin_rotor_control  この操作はシングル・ローター機と同様にラダー・ペタルでおこないます。

 ところが、直接ブレードを動かすスウォッシュ・プレートでは前後左右の横移動をおこなうサイクリック・ピッチ・コントロール・レバーでおこなう同位相の動きと競合(Conflict)します。

 そこでレバーとペダルの操作量がミキシング・ユニットで合成されて それぞれのスウォッシュ・プレートに必要な動作量を伝えます。

 ツイン・ローター機は日本では民間機としては運用されていないせいか操縦法については今ひとつ分からないところがあります。

 たとえば本来ならコレクティブ・ピッチ・レバーがおこなうスウォッシュ・プレートを傾けずにおこなう操作をサイクリック・ピッチ・コントロール・レバーで二つのローターを差Twin_rotor_control_2動させることで、タンデム機ならピッチ変更の、サイド・バイ・サイド機ならロール変更の、機動をおこなうようです。

 サイド・バイ・サイドのオスプレイの場合、サイクリック・ピッチ・コントロール・レバーを右に倒して右ローターのスウォッシュ・プレートを下げてブレードの迎え角を減じて揚力を減らし、左ローターは逆の動きで揚力を増して重心回りの右ロールをつくります。

 このとき減らした揚力と増えた揚力が同じであれば機体の機体重量と揚力はつりあっており高度が変わることはありません。(厳密には傾斜により減少した鉛直方向の分力を補填するローター推力の上昇が必要ですが)

 理屈はいいのですが、この場合は同じサイクリック・ピッチ・コントロール・レバーでチップ・パス・プレーンを傾けておこなうと思われる横(もしくは前後)移動と競合(Conflict)しています。

 基本的にはロール(またはピッチ)が所定の傾斜になったところでレバーを中立に戻し二つのローター推力をそろえて傾斜した方向の水平分力で横(または前後)移動するということになるようです。

 さて、設計の古いシーナイトやチヌークではたくさんのロッドやリンクで構成された複雑な機構を使ってレバーやペダルの動きが合成されてスウォッシュ・プレートの下側(機体に固定された側)、を押したり引いたりする動作として伝えられているはずです。(図では四箇所を示していますが均等にという意図です・・・念のため)

 しかし、オスプレイでは操縦装置と電線でつながれたコンピュータが配分を決めてエンジン・ナセルにあるスウォッシュ・プレートの油圧アクチュエータに電気信号を送っています。

【ヘリコプターのまとめ】

 ヘリコプターの飛行は以上のようにローター・ブレードの迎え角の増減でチップ・パス・プレーンの傾きのコントロールとエンジン出力を増減する操作でおこないます。

 パイロットはチップ・パス・プレーンと呼ぶ空飛ぶ円盤の下にぶら下がっている機体のなかでこの円盤を操作しています。

 世が世であればヘリコは「フライング・ソーサー・ウイズ・スインギング・キャビン(FSSC)」と物理的に正しく呼ばれていたかもしれませんね・・・えっ?閑話休題が多すぎる・・・

 空中に浮かぶ物体の動きにはピッチ(機首の上下)、ロール(左右への傾斜)とヨー(機首の首振り)の三軸と前後、左右、上下の三方向への平行移動があります。

 シングル・ローター・ヘリコの場合ではパイロットが直接的に「機体の姿勢」に関われるのはヨー操作のみであり、(もちろんパイロットもひきがねとして関わってはいますが)ピッチとロールの機体の姿勢は成り行きできまります。

 たとえばサイクリック・ピッチ・コントロール・レバーを前に倒してピッチ・パス・プレーンを前傾させようとすると、ジャイロ効果で前傾状態になる前に機体側のピッチが機首上げとなってピッチ・パス・プレーンが前傾し始めると機体のピッチもそのときの重心位置や機体抵抗につりあう姿勢に落ち着くことになる。

 ツイン・ローター・ヘリコではヨー操作に加えてタンデム機ではピッチ操作が、サイド・バイ・サイド機ではロール操作が、直接的にパイロットの関われる姿勢に加わります。言い換えれば、ツイン・ローター・ヘリコではローター配置の違いで、それぞれロールあるいはピッチの姿勢は成り行きとなります。

 ツイン・ローター機は三軸三方向の自由度のうち二軸の姿勢のコントロールを手に入れました。

 シングル・ローターであれツイン・ローターであれ、ヘリコはこの三軸の変化で三方向の移動がおこなわれます。
(続く)

--------------------------------------------------
 ヘリコと固定翼機は地上では二輪車と四輪車のような根本的な違いがあります。ではオスプレイは三輪車かというと、それは違うようです。

 さて、ジャイロスコピック・プリセッションはプロペラ機でも起こります。第一次大戦中のラジアル(星型)・シリンダー・ロータリー・エンジンなどはかなり強烈だったと想像できます。リヒトフォーフェンなどの撃墜王はこの特性を巧みに利用していたと思われます。

 また第二次大戦の零戦の坂井中尉のひねりこみもこれを利用する操舵をしながら巧みな翼端失速で小さな旋回半径を可能にして敵機の後をとったようです。

 高速回転のジェット・エンジンでも起こっているはずですが機体が高速で飛行するため旋回半径が大きく、エンジンにプリセッションが生じるほどのモーメントが発生しないのであまり問題にはされないようです。(閑話休題)

--------------------------------------------------
 次回はこれらのヘリコ特有のコントロールについて前回予告していたオート・ローテーションも含めてオスプレイを見ていきましょう。交互機体(学習能力のないIMEだなー)・・・

 学習能力のないのはお前ですって?いずれにせよ、乞うご期待!

 なお。ヘリコには前進飛行時の問題として
  ①後向きブレードの翼端失速
  ②後向きブレードの付根の逆流
  ③前向きブレード翼端の音速接近

 特に下降中の
  ④ブレード翼端に生じるボルテックス・リング
  ⑤ブレード翼根に生じるセットリング・ウイズ・パワー

 などがありますが、オスプレイの構造とのかかわりはその後で、としましょう。
 

2012年11月 7日 (水)

キネマ航空CEO 回転翼機のオスプレイはどうなのよ?(その2) ・・・スラスト・ベクタリング機といったほうが・・・について考える(その1)

------------以下の本文は外部読者による校正中です---------

 本題に入る前に「なぜヘリコプターが滑走離陸をして最大離陸重量を稼ぐことができるのか」は「キネマ航空CEO プロペラの勉強をする」の水平飛行時のつりあい式
  TLF=2ρA⊿v√{(Vsinβ)2+(Vcosβ+⊿v)2}

 で吹き降ろし速度 ⊿v について解けばいいのだが三次の項を含んだ四次方程式となり代数解を導くのはかなり面倒である。

 そこで固定翼機のプロペラでの説明で済ませることにする。
  T=2ρA⊿v(V+⊿v) より ⊿v2+V⊿v-T/(2ρA)=0 の二次方程式となってこれを解くと、負の速度はないので
   ⊿v=[V2+√{V2+2T/(ρA)}]/2

 すなわちエンジンの出力(T)は変わらなくてもプロペラ自身の進む速度(V)がプロペラの推力となってきいているのです。この推力はヘリコプターにとってはダウンウォッシュすなわち揚力の素となります。

 最大離陸荷重時ではなくても車輪のついたオスプレイや大型ヘリコが滑走離陸をし、スキッドの小型ヘリでも浮揚直後に前進飛行で加速しながら上昇する理由の一つです。

 せっかくの垂直離陸機能がありながら世知辛いといえば世知辛いが、地面効果も併用して加速すれば燃料の節約になりますからね。ヘリコプターにも滑走路もしくは地表に障害物のない直線距離は必要なのです。(そのもう一つの理由は後の回で・・・)

 ヘリコプターとして確認したい方は次のサイトでラジオボックスに具体的な数値を入れれば数値解が得られます。「四次方程式の解 - 高精度計算サイト

 念のため以上の理屈はエンジン出力が有効に推力に変わっている、すなわちプロペラもしくはローターのブレード・ピッチ(迎え角)が速度にあわせて制御されている、という前提でのはなしです。

---------------------------------------------------------------------

 さて、この項の目的はヘリコプターの基本的な構造を説明をするなかでオスプレイの回転翼機モードとの差異を探ってみようと当CEOはジタバタしています。

 本題のヘリコプターの説明は難しい。とどのつまりは相手に理解できるように説明できるほど完全に理解していないのだが・・・で、簡単なところから・・・知っているひとは知っていることから始める。

Photo

 回転翼機というぐらいでローターを構成するブレードは翼型をしている。

 その翼型で得られる揚力をコントロールするのは迎え角である。で、回転する翼の迎え角を変える機構がスウォッシュ・プレートである。説明は図をクリックして下さい。

 ちなみにスウォッシュは傾斜という意味で日本語では「斜板」と呼ばれます。中央の図を「中立時」としてスウォッシュ・プレートを押し上げれば一回転する間の迎え角は等しく増加し(左の図)、傾けると周期的に変化する(右の図)。

 前者をコレクティブ・ピッチ・コントロール、すなわち、「エンジン出力とローターの回転速度、進行速度にあわせてピッチ(迎え角)を整合させる」制御をおこなう。

 後者はサイクリック・ピッチ・コントロール、すなわち「周期的に迎え角を変化させる」制御をおこなう。

 サイクリック・ピッチ・コントロールは「ヘリコプターが前進しているとき進行方向に向う側のブレードの対気速度は『回転による速度と機速の和』となり、逆側ブレードの対気速度は『回転による速度と機速の差』となって、対気速度の二乗でくずれる左右の揚力のバランスさせるために逆側ブレードの迎え角を大きくする」、ためもあるが、そればかりではなく操縦においてヘリコプターをヘリコプターならしめている機構でもある。Photo_2

  次に重要な機構はブレードの根元にあるヒンジ(蝶番) である。

 このヒンジによってブレードの動きに自由度を与えている。もちろん無制限というわけではなく衝撃を和らげるダンパーのついたストッパーがある。

 先のコレクティブ・ピッチコントロールはフェザリングと呼ばれる動きをするヒンジで可能になる。

 この機能は固定翼機のプロペラにもあるが機能は同じでも構造は異なる。

 次のフラッピング・ヒンジ は長いブレードの軽量化に必要なヒンジである。

Rotor_geometry  当CEOは大河ドラマを見逃したが毛利家の「三本の矢」の逸話がある。

 「一本の矢ならば折れるが三本となると折れなかった」というのであるが、どうやって折ろうとしたのか?

 たぶん三本の矢の中ほどを両手で握って折ろうとしたのだろう。

 これを矢尻と矢筈(やはず:矢の後端部分)の近く、要するに両端を持って曲げれば中央部で折れたのではなかろうか。

 これが曲げモーメントである。最大曲げモーメントは「力」と「力を加えたところから折れたところまでの距離」の積で現される(曲げモーメント=力x長さ)。これをふまえて、

 その矢を矢尻が隠れるぐらいに深く壁に射ち込んで、矢筈の部分を持ち上げていくと、矢は壁の近くでおれるはずである。つぎに矢尻を壁に軽く押し付けるくらいにして矢筈を動かしても矢尻を支点に動くだけである。

 この矢尻と壁の接点がヒンジに相当して軽く作ったブレードが折れるのを防いでいる。これがフラッピング・ヒンジの必要な理由である。

 こうすることでブレードを軽くすることが可能になる。あわせて「しなやか」に作れるので地上で静止したブレードは曲線を描いて垂れ下がっている。

 エンジンに火が入りローターが回転を始めるとブレードは生じた遠心力で水平になろうとする。と同時に、揚力も生まれブレードはさらに上に行こうとする。

 となると遠心力は揚力につりあう(ブレードに対して直角方向)分力とブレードを引っ張る分力に分かれてブレードは前者がつりあう角度まで起き上がりローターは円錐状の軌跡を描く。

(あとで追加する予定だが、フラッピング・ヒンジはヘリコの前にオートジャイロで開発された。回転翼が前進すると左右の対気速度差による揚力の不均衡で横転する現象を解決する機構。つまり、ローター回転部の下に振り子として機体をぶら下げる構造です。・・・そのうち出てきますので継読してくださいね)

 ちなみに、ヘリコの場合は、ブレードは翼型の部分(を含む部品)をいい、ローターは何枚かのブレードとそれをコントロールするスウォッシュ・プレートなどを含むシステムをいいます。

 一般的には、ローターはヘリコや風車のように長くアスペクト比の大きいブレードがゆっくり回る場合につかい、固定翼機のように相対的に短く高速で回転する場合はプロペラと呼び分けるようです。

 ヘリコのテール・ローターの場合はアスペクト比で分類されたのか単に呼び分けるのが面倒だったのか・・・

 プロペラはもともとは(スクリュー・プロペラとして)船舶に使われて飛行機に転用されましたが、だれかがヘリコは飛行機と違うぞ、と呼び分け始めたようです。

 なお、扇風機や送風機ではファンと呼ばれます。ただし翼型の部分はどの場合でもブレードと呼んでいます。(閑話休題)

 さて、このときのブレード先端が描く平面(円錐底)をピッチ・パス・プレーンと呼ぶ。このピッチ・パス・プレーンの傾きを作るのがサイクリック・ピッチ・コントロールである

 エンジンの出力とコレクティブ・ピッチ・コントロールで得た「ピッチ・パス・プレーンに直角なローター推力」をサイクリック・ピッチを使って傾けて機体の運動を制御する。

 すなわちピッチ・パス・プレーンの「水平面に対して垂直な分力」で高度を選び、「水平面に対して平行な分力」で速度を得ることができる。

 ここで水平面としたのはピッチ・パス・プレーンの傾斜は機体に対しておこなわれているのではないことを明確にするためです。機体の動きは重心次第で、一定速で飛行しておれば重心はローター推力の軸線上にある。

 ヘリコプターの機体はピッチ・パス・プレーンの下にぶら下がっているので、もとの重心位置に加えて機体にかかる抵抗と加速度次第で飛行中の機体の姿勢は変わる。

 くどいようだが、ヘリコの機体の姿勢は物理現象ではあるが成り行きできまる。固定翼機のように機体の姿勢をかえて運動を制御するのではない。

 フラッピング・ヒンジは機体の姿勢とピッチ・パス・プレーンの姿勢を独立させることで操縦するという二つ目の機能があることを忘れないで下さい。

 次のドラッギング・ヒンジの説明は難しいのでテキトーな説明で済ませます。

 必要な理由は傾斜したローターの回転軸とその軸を回転させる駆動軸が角度を持つため滑らかに回転を伝えられないためです。

 もっとも滑らかに回転を伝えられる機構はスプリング・ジョイントですが身近なところで、まあ似ているといえる吸い口近くで蛇腹のついたストローを使って説明します。

 このストローを蛇腹部で折り曲げて回転させるとスプリングジョイントに似た動きを観察できます。

 曲げの外側の蛇腹は伸びて内側は縮んでいます。これが滑らかに回転を伝えるポイントです。しかしヘリコプターのスウォッシュ・プレートのように機械的に連結されている場合は、この伸び縮みができません。

 このためブレードは下る方向では進み、昇る方向では遅れた位相で回転するため振動の原因となり、ひいては周辺の部品の強度や寿命に影響するので、ある程度自由に動かすためです。

 またスウォッシュ・プレートが中立であってもブレード自体の重さによる慣性力でエンジンの起動時や停止時、さらに回転数を増減する場合に駆動軸の回転に対して遅れたり進んだりする場合にドラッギング・ヒンジが機能しています。

 なお、このローター軸の傾斜による回転の変動はフラッピングやフェザー・リングの動きにも影響しており厳密にはチップ・パス・プレーンやフェザリングの角度(迎え角)も波打つことになりドラッギング・ヒンジはこれを緩和しています。

------------------------------------------------

 以上がヘリコプターのメイン・ローターの概要です。テール・ローターはどうしたって?
ツイン・ローターを対象にしていますので機体をローターとは逆方向に回転させるトルク反力はローターのいっぽうを逆回転すれば解決・・・ということで以下省略・・・です。 

 次回はヘリコのジャイロ効果やオート・ローテーションなどを概観してオスプレイとの比較に入ります。交互機体、もとい、乞うご期待。

2012年11月 2日 (金)

キネマ航空CEO 回転翼機のオスプレイはどうなのよ?について考える(その1)・・・ついでに「朝日の奥村記者が読んでくれると嬉しいな」の巻

【お詫びと訂正】
 2012年10
月11日の記事中で「ベンチマークのシーナイトとチヌークの最大離陸重量には離陸方法でそれぞれVTO(垂直離陸)とSTO(短距離滑走離陸)の使い分けを含んでいるのではないか」と条件付ながら推測を記しましたが今回の解析ではいずれもVTO(垂直離陸)であることが説明できました。
よってお詫びと同記事の訂正を行ないました。


ご確認は こちら からお願いします。

------------以下の本文は外部読者による校正中です---------

 回転翼機としてのオスプレイに入る前にわれわれが目撃すると思われるその飛行形態をシルエット図にしてみた。

V22_flying_mode

  オスプレイの訓練が始まったようで各紙が取り上げているのは「訓練飛行の実態は政府間の約束を破っている」という主旨のようだ。10月31日の朝日新聞朝刊13版の3面の奥村智司氏の署名記事をさかなにしてみたい。

 記事の要約は『「基地上空外でのヘリコプター・モードの飛行はしない」「人口密集地の上空を飛行しない」という政府間の合意(約束)が反古にされている』である。

 文脈では前段は同記者の目撃により、後段は聞書きによる記事と読める。後段に関係して以前におもしろい記事が同新聞に掲載されていたのだがこれは後日回しとして、前段については奥村記者は次の点についてのご自身の考え方を読者に提示しておく必要があると考えます。

 おそらく「ヘリコプターはオート・ローテーションができるから安全だ」の認識からオート・ローテーションのできない(*という誤解を含む認識のまま)オスプレイがヘリコプター・モードで人口密集地を飛行しているといいたいようです。 【* 参照 2012/07/21の記事

 ちなみにヘリコプターのオート・ローテーションの経験はありませんので正確かどうかは専門家に確認していただくとして、当 キネマ航空 006便 で上映している映画「ブルー・サンダー "BLUE THUNDER" (1982)」で視覚的な体験はできます。

 さて政府間で合意された「モード」とは、使用する飛行制御コンピュータのソフトウェアの記述されたブロックとパイロットのマニュアルのページの運用について、であって外観の目撃観察から推定できるものかどうか?

 ついでにいえばヘリコプターの姿勢はローターの推力の方向と重心位置に加えて機体にかかる加速度、抵抗、気流による外乱が作用する振り子の安定で決まるので固定翼機のように分かりやすくはない。

 もちろん固定翼機でも機体の姿勢と主翼の迎え角との関係は地上からの目撃談だけでは決められない。

 政府間の合意は先の「モード」であり、外観上からのティルト角度はおおむね機軸に対して85度から97.5度の範囲の問題となるはずである。遷移モードでのティルト角の停止位置の選択や遷移スピードはパイロットの裁量に入っているようだ。したがい目撃の実態は遷移モードの84度かもしれない。

 目撃記事は合意されている遷移モードの状態を誤認している可能性もありえる。

 またヘリコプターのようにローターが水平に見えたとしても機体が後傾していた場合などでは遷移モードの可能性もあり、上図に示すようにオスプレイの飛行姿勢からモードの断定をするのは難しい。

 記事は「パイロットは飛行制限にそって基地に入ったところで規定の85度のヘリコプター・モードに移るような手の込んだ遷移モードの飛行パターンを採用することなどはない」と予断している、と指摘されてもしかたがない。

 政府間の合意に対する記事とするなら奥村記者がオスプレイのパイロットに直接取材したか、管制交信を傍受した間接的な断定でなければならないのだが・・・

 そこは当日の編集長中村史郎氏はぬかりなく(防衛省記者クラブの?)谷津憲郎記者の署名記事で防衛庁の見解では「合意の違反の具体的情報は確認していない」と奥村記者のカウンター・パートを主記事の横に小さくおいてカバーしている。

 もっともその記事に防衛省の情報収集力の限界の推測を加えることで、さりげなく三面記事で第三者の読者にとっては曖昧模糊の工学の問題を政治問題にすりかえる誘導をしているとも言えなくはないが・・・
------------------------------------------------------
 さて回転翼機が回転翼機である理由はホバリング(空中停止)である。前回のホバリング時の式を変形すると、
    Δv=√{(1/2ρ)(W/A)}

 ここで A はローター回転面積で式中にローター回転面積荷重(W/A)という指標が出てくる。機体の重量が大きいと、あるいはローター回転面積が小さいと、速い吹き降ろし速度(Δv)が必要となる。言い換えればローターの回転数ひいてはエンジンの出力でカバーはできる。
 
この吹き降ろし速度がエンジンに要求する出力を決める。同じく前回のプロペラ推力の式を変形して
    Pi =TΔv=WΔv=√{(1/2ρ)(W3/A)}=√{(2/ρπ)(W3/D2)}

よりホバリング時の主な指標を求めると、

                                     V-22          CH-46        CH-47 
                                      オスプレイ   シーナイト    チヌーク
---カタログ情報---------------------------------------------
空虚重量(kg)                     15,032        7,048           10,185   
最大離陸重量(kg)
  STO                               27,443        n.a               n.a.
  VTO                               23,859        11,023         22,680
ローター直径(m)                     11.26         15.24           18.29
ローター面積/基(m2)               106.0         182.3           262.6
エンジン定格出力/基(kW)        4,586         1,400           3,631
---計算結果------------------------------------------------
ローター回転面積荷重 W/A (kg/m2)
空虚重量(kg)                      70.9          19.3             19.4
  STO                                129.4         n.a.             n.a.
  VTO                                112.5         30.2             43.2
吹き降ろし速度 Δv (m/sec)
 空虚重量時                      33.3          17.4           17.4
  STO時                             45.0          n.a.             n.a.
  VTO時                             42.0          21.8            26.0
ローター必要推力 Pi (m/sec)
 空虚重量時                      4,911        1,202          1,740
  STO時                             12,114       n.a.            n.a.
  VTO時                             9,820        2,351          5,782
ホバリング推力
 /エンジン定格出力比
 空虚重量時                     0.54          0.43           0.24
 STO時                            1.32           n.a.            n.a.
  VTO時                            1.07          0.84           0.80
片発時
 空虚重量時                     1.07           0.86           0.48
 STO時                            2.64           n.a.            n.a.
  VTO時                            2.14           1.68           1.59

 表中のオスプレイのSTO(短距離滑走離陸)の数値にはあまり意味はないが最大重量としての比較であげてある。なおベンチマークのヘリコ2機種のSTO重量は未入手。

 さて重要なのはホバリング推力とエンジン定格出力の比である。この比が「1以下」であれば一応VTO(垂直離陸)が可能となるといえる。安全率を2とすると0.5前後となる。

 しかしターボエンジンの回転数をローターの性能に合わせる回転数に減速するトランスミッションや二台のエンジンを連結するトランスファーの歯車による損失、トランスファーを連結するドライブ・シャフト、油圧や空気圧、電気を作るための各ユニット、さらには吹き降ろし(以下ダウンウォッシュ)流速による固定翼部の形状抵抗やローターの効率などを考えると「1」では不足している。

 ただ、定格出力とは一般にはメーカーが保障する連続して使用できる最大エンジン出力なので離翔時の短時間ならば10%程度の増力はできる。

 オスプレイのロールスロイスAE1107C「リバティ」ターボシャフト・エンジンの緊急時瞬間出力は定格出力の11%増しの5,108kWのようなのでVTO時の必要推力比は0.96となる。(参考までに先の損失や効率が4%以内に収まるとは思えない)

 この表の比率で大まかにはシーナイトとチヌークの純ヘリコは最大離陸荷重においても定格出力で垂直離陸できるようだがオスプレイの場合は緊急時瞬間出力以上の離翔出力の使用が必須と推定できる。

 片発でのVTOは三機種ともまず不可能であると推定できる。なおチヌークは離陸重量次第では可能と思われる。STOについては別途としたい。

 個々のエンジンの性能水準が定格出力以上で安定するかどうかにもよるが、ここから想像できるのはオスプレイを気合で飛ばすのは難しくエンジンの整備状況に関わる稼働率はあまり高くなく、固定翼機の高速性能はともかくとして行動半径のカタログ性能は燃料積載量によるペイロードの制約などでかなり制限がありそうだ。また離昇馬力の常用化は騒音も大きくなりそうだ。

 オスプレイはSTOを基本とする必要があり滑走路のある基地が必要であること。また小型のヘリ空母からの編隊運用では高速高積載のカタログ性能は制限をうけると考えられる。

 つぎにダウンウォッシュ速度の単位は気象の風速と同じであるので風圧は実感できるであろう。オスプレイのダウンウォッシュはベンチマークの純ヘリコの2倍の速さとなる。

 これが砂漠地帯の運用時に生じる大量の砂塵の巻き上げによるブラウン・アウトの原因となる。また救難ヘリの代替となる場合の障害となりそうだ。

 ダウンウォッシュの減衰率は不明だが運動エネルギーに比例するとすれば風速の二乗の影響をうける。シーナイトを1とした比は次のようになる。

                           V-22      CH-46   CH-47 
                           オスプレイ  シーナイト  チヌーク
ダウンウォッシュの
 エネルギー比(VTO時)  3.75              1              1.45

 オスプレイのホバリングによる救難作業をシーナイトと同じ高度でおこなう場合には4倍弱の地表もしくは海面からの反射風の影響を受けながら、となる。

 このダウンウォッシュも害ばかりではない。オスプレイやチヌークの胴体は上方からの直接ダウンウォッシュに対しては滑らかな形状で、地面からの反射風を受ける下面は広い平面としている。

 特にオスプレイは翼面積の25%のフラッペロンを大きく下げて直接に受けるダウンウォッシュの受圧面積を減らし地表近くのホバリング時には地面からの反射風を抱え込んでそこそこの揚力を回収している。

 ホバリングの軍事的な側面としてラペリングと呼ばれる極低高度での停止もしくは低速移動しながらのロープを使った兵員の降下や回収をおこなう機動がある。オスプレイとチヌークは後部のローディング・ドアからおこなわれる。

 シーナイトの場合も同様と思われるが救難機仕様では胴体右側面のドアにつけたホイストが使われている。チヌークの場合は胴体中央部の床面にあるドアを開いておこなうようだ。オスプレイには床ドアはないようで救難機仕様の構想はまだはっきりしていない。

 救難現場が船舶や岩場となると不規則な地形の反射風のなかでの作業となり救難機としての機能はシーナイトやローター径が大きくダウンウォッシュ速度が低いシングル・ローター機に劣ると考えられる。救難機として導入された場合でも救難物資輸送機としての機能が中心になると思われる。

 こうしてヘリコプターとしてのベンチマークで見るとチヌークの性能はその大径のデュアル・ローター・システムによってぬきんでており、また現在の材料工学で得られる機体サイズの限界を示しているようで代替機の開発が進まないのは何となく納得できる。

 いずれシングル・ローターの大型ヘリコとの工学的な比較をやってみたいものです。シングル・ローターには三発エンジンの機体もあります。

------------------------------------------------------------------
次回はオスプレイの操縦機構と水平飛行についてを予定しています。

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