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2014年3月23日 (日)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その2)

セトリング・ウイズ・パワーかボルテックス・リング・ステートに入らないようにするためにパイロットは次のようなチャートで座学教育を受けます。

Voltex_ring_state

正式には何と呼ぶチャートか分かりません。

機体を水平にして降下していく場合の使用制限範囲と危険区域を示しています。

縦軸に降下率(垂直速度 VV)、横軸が水平速度 VH です。操縦する人間にとっては降下していく角度によって二つのスピードを直観することになります。

そこで垂直速度 VV(feet/min)と水平速度 VH (nm/h) の単位をどちらかにそろえて tan β = VV/VH として降下角度βを求められます。ちなみに機速は V = √(VV2 + VH2 ) となります。

垂直と水平の速度が同じ斜め( VV/ VH = 1 )の線が降下角45度になり、横軸( VV=0 )が0度、縦軸( VH=0 )は90度です。

図中の大きくうねった破線はオートローテーションに移行できる限界を示します。

その上半分はオートローテーションに移ることができて正常に飛行できる範囲、下半分は風車状態すなわち飛行中に減速したり、オートローテーションの最終段階でフレアを駆ける場合に使われる範囲を示します。

そして正常に飛行できる範囲のなかに薄い色で示される『軽い乱気流と推力変動』と濃い色の『厳しい乱気流と推力変動』が存在する範囲を示します。

すなわち自分が作った自分に必要な揚力となっている下降流のなかに入ってしまいボルテックス・リング・ステートに陥る危険のあるゾーンです。

しかし、この図では縦、横軸の数値を見て分かるように実際の単位ではありません。おそらく概念教育用のチャートと思われます。その教えたい要点は、・・・

まずオートローテーションへの移行が可能な降下角(図では20度弱)があり、30度強の角度のままで(機体)速度を上げるとボルテックス・リングの端をかすめ、65度の降下角度ではその真ん中に飛び込みます。

(念のため・・・固定翼機でイメージするような前傾姿勢の降下ではなく、機体は水平状態での斜め下降です。)

そこを速やかに通り抜ければ何とかなりそうな図ではありますが、その前に渦が巻き起こす乱気流のなかではセトリング・ウィズ・パワーに陥って急速な沈降を続けてしまい、よほどの技量か運がなければ脱出はできないようです。

このチャートでは縦軸、横軸の無次元化された単位では下降角度しかわかりません。
では具体的にはどうか、となると搭乗する機種毎の水平対気速度か下降速度が入ったチャートが必要になります。

本来なら、ボーイング CH-47 チヌーク のチャートがほしいところですが、見当たらないので下図で代用します。

TH-57 シーレンジャーベル 206 ジェットレンジャーⅢ の米海軍、海兵隊仕様)、シングル・エンジン、2ブレードのシングル・ローターのヘリコのチャートです。

Vrs_th57

ボルテックス・リング・ステートへの入り口は、

降下角でいえば先ほどの例と同じように30度強以上で急速な下降をおこなった場合と言えます。

こちらのチャートでは降下速度で722feet/分(3.67m/秒)以上、水平速度は14ノット(26km/時=7.20m/秒)以下の下降をした場合と読み取ることができます。

ただし、ヘリコの特性である垂直方向への下降には1,075ft/分(5.5m/秒)となって1.5倍の余裕ができるようです。

さて、このチャートにはオートローテーションに移行できる限界は示されていません。

おそらく、高度-速度線図(H-V ダイアグラム)で教育されるのでしょう。

ちなみに、派生機種のベル206 L-4 ロングレンジャー のH-V ダイアグラムは下図の左のようになります。

ぼけ気味ですが例によって画像の左クリックで鮮明な拡大ポップアップができます。 

Bell_206l4_hv_diagram

ではこのチャートはどのように検証されたのか?の図を右に並べてみました。右の図は自動化されたオートローテーションの実験結果から作成されています。

中抜きのプロットは安全に着陸、塗りつぶしは墜落、を示します。このほかに機体の重量による差も記されています。
○●は軽積載、□■は中、△▲は重積載荷重時、を示します。

こうした危険な実験は、十分に安全をとったある高度を地表と設定して行って評価判定しており、実際に墜落させたのではありません。

こうしてみると制限された範囲でも安全に着陸できるケースもあるようです。基本的にヘリコの安全はパイロットの技量と感で守られている部分が多いようです。

デッドマンズ・カーブと呼ばれる運行指針の作成目的は平均的なパイロットが守っておれば危険な事態に対応できる範囲を示していると考えられます。

その意味では速度が遅く目標になりやすい軍用ヘリコの機動訓練は民間とは異なる面もあると考えられます。

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さて、オートローテーションとボルテックス・リング・ステートは本質的に違いますが脱出の基本は前傾姿勢による急降下を使って行う操縦なので、高度を必要とすることは同じようです。

この場合、CH-47 チヌーク のようなタンデム・ローター機は横にスライドすることになります。なぜなら前傾姿勢で直進すると前部ローターの下降流のなかに後部ローターが飛び込むことになります。

では、サイド・バイ・サイド・ローター機のオスプレイではどうなるのでしょう。

次回はいよいよオスプレイボルテックス・リング・ステートの試験飛行に同乗してみましょう。

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