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2014年3月の4件の記事

2014年3月29日 (土)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その2の補足)

ベル 206 シリーズをいきなり前回に登場させているので、オスプレイに対してどんなポジションにいるのか、ヘリコプター特性をツインローター機で比較をした表(覚えていましたか?)に併記してみました。

ヘリコの特性は当CEOが勝手に決めた指標で、「ローター回転面積荷重」、「ローターの吹き降ろし速度」、「ホバリング必要推力/エンジン定格出力比」の三つです。

一般に前二つの特性指標は、ヘリコが大きく(あるいは燃料や貨物などの積載で重く)なるほど、またローターの直径が小さくなるほど、大きくなります。特に三番目は大きくなりすぎると一般に信じられている「ヘリコプターは垂直に離陸・着陸ができる」という概念があやしくなってきます。

ベル 206 は中型のシングル・ローター、シングル・(ターボシャフト)エンジンの標準的な機体です。

逆に見ればツイン・ローター、ツイン・(ターボシャフト)エンジンのオスプレイ V-22 とはどんなヘリコプターなのかを浮き立たせることにもなります。

そのためには、シコルスキー CH-53E 、シングル・ローター、トライ (ターボシャフト)エンジンの大型機とロビンソン R-22 などのシングル・ローター、シングル・(レシプロ)エンジンの小型機も必要です。

その間に入るシングル・ローター、ツイン (ターボシャフト)エンジンのシコルスキー HH-65C ドルフィン (ユーロコプターAS 365 ドーファン)やシコルスキー HH-60J ジェイホークなど救難機に使われる汎用中型機(オスプレイも救難機として期待されている?)も加えて並べるべきですが・・・それはさて置き、

           ---------ヘリコプター特性比較表---------

---カタログ情報-----------------------------------------------------------
                                ベル・ボーイング    バートル/ボーイング    ボーイング・バートル   ベル
                                      -               V-107                Model 234           206
                                   V-22             CH-46                CH-47             TH-57
                   オスプレイ         シーナイト                チヌーク                 シーレンジャー

-------------------------------------------------------------------------
機体重量:W
  空虚重量(kg)           15,032       7,048        10,185        425
  最大離陸重量(kg)   
       STO               27,443   
       VTO                      23,859             11,023                22,680              1,445
-------------------------------------------------------------------------
プロップ・ローター
       直径(m)  : D           11.62               15.24                 18.29                10.78
       面積/基(m2): A       106.05              182.41               262.73                91.27
-------------------------------------------------------------------------
エンジン
       メーカー                 ロールス・ロイス      ゼネラル・エレクトリック        ライカミング          アリソン
                                     /アリソン
       型式               T406/AE 1107C-    T58-GE-16            T55-L712      250-C20BJ
                                   リバティ
       仕様                  ターボシャフト         ターボシャフト               ターボシャフト     ターボシャフト
      ---------------------------------------------------------------------
      最大定格出力(kW)    4,586              1,400                 3,631                310
       搭載基数                   2                   2                       2                      1
----------------------------計算結果-------------------------------------
ローター回転面積荷重(kg/m2)   
       空虚重量                70.9                19.3                     19.4                  4.7
       STO                     129.4   
       VTO                     112.5                30.2                     43.2                15.8
吹き降ろし速度(m/sec)   
      空虚重量                 33.3                17.4                    17.4                  8.5
      STO                        45.0   
      VTO                        42.0                21.8                     26.0                15.8
ローター必要推力(kW)   
     空虚重量                4,911              1,202                   1,740                  35.6
     STO                      12,114   
     VTO                       9,820              2,351                   5,782                 223.1
     -----以下、ローター効率(含むローター抵抗損失分) x 減速機伝達効率 = 1 として計算---- 
ホバリング必要推力   
 /エンジン定格出力比
   
     空虚重量                  0.54                0.43                   0.24                 0.11
     STO                         1.32 
     VTO                         1.07               0.84                    0.80                 0.72
  片発停止時   
    空虚重量                   1.07                0.86                    0.48
    STO                          2.64   
    VTO                          2.14                1.68                    1.59
------------------------------------------------------------------------

この表から言えることは、効率や損失を無視しても必要推力/出力比が「1」を超えるオスプレイは、公称定格出力では最大積載状態での垂直離陸VTO(Vertical TakeOff)は難しいようです。

もちろんエンジンには短時間の使用が許される離昇出力という出力増加の運用や地面効果による揚力があります。しかし、カタログ値で「VTO」という定義に整合するのはチヌークまでのようです。

オスプレイのカタログ最大航続力、最大搭載能力を同時に実現するにはSTO(Short TakeOff)すなわち短距離滑走離陸によって可能となる、ということです。つまり、固定翼機の主翼と同様に滑走してローターにかかる風速を使って揚力に変えることで成立します。

これに関しては別の見方もあります。それは次回に。

ただ、飛行によって燃料を消費したあとの着陸はVL(Vertical Landing)ができ、帰投時にはVTOのできるVTOL(Vertical TakeOff Landing)機になっています。

もちろん、大型のヘリコもこれに近い運用をしているようですがカタログ値がVTOLの条件を満たしてヘリコプターと定義していると思われる範ちゅうにあるはずです。いずれにせよ オスプレイはこれまでのヘリコプターではない、ことは間違いない。

結論としてオスプレイは、○(まる)に H のヘリポートではなく、「滑走路があり、複雑な整備や速やかな補給が可能な陸上飛行場」をベースにする前提に設計されているといえます。

はたして、ビルの屋上から運行する高速商用モビリティ機になれるのかどうか?
はたまた、異様に大きい吹き降ろし速度は救難機として適しているのかどうか?

航空雑誌や思い入れの強い航空機ファンの描くオスプレイ像はいささかあやしいとも思えてきます・・・これらは、先延ばしした拡張ヘリコ特性比較表から裏付けられるはずですが・・・それは、いずれまた、の予定ということで。

ただティルト・ローター・システムを、あたまから否定する理由にはならない。数回前のヘリコの開発を振り返った歴史のように新しい概念の航空機が確立するには時間がかかることは間違いない。特にオスプレイには競争相手(ライバルもしくはコンペティターの参入)がないから、なおさらに、といえそうです。

ちなみに、シングル・ローターのシーレンジャーの必要推力/出力比が 0.72 なのはテール・ローターを駆動する部分を差っ引いていないためで、実質はシーナイトチヌークの 0.8 前後と考えられます。

2014年3月23日 (日)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その2)

セトリング・ウイズ・パワーかボルテックス・リング・ステートに入らないようにするためにパイロットは次のようなチャートで座学教育を受けます。

Voltex_ring_state

正式には何と呼ぶチャートか分かりません。

機体を水平にして降下していく場合の使用制限範囲と危険区域を示しています。

縦軸に降下率(垂直速度 VV)、横軸が水平速度 VH です。操縦する人間にとっては降下していく角度によって二つのスピードを直観することになります。

そこで垂直速度 VV(feet/min)と水平速度 VH (nm/h) の単位をどちらかにそろえて tan β = VV/VH として降下角度βを求められます。ちなみに機速は V = √(VV2 + VH2 ) となります。

垂直と水平の速度が同じ斜め( VV/ VH = 1 )の線が降下角45度になり、横軸( VV=0 )が0度、縦軸( VH=0 )は90度です。

図中の大きくうねった破線はオートローテーションに移行できる限界を示します。

その上半分はオートローテーションに移ることができて正常に飛行できる範囲、下半分は風車状態すなわち飛行中に減速したり、オートローテーションの最終段階でフレアを駆ける場合に使われる範囲を示します。

そして正常に飛行できる範囲のなかに薄い色で示される『軽い乱気流と推力変動』と濃い色の『厳しい乱気流と推力変動』が存在する範囲を示します。

すなわち自分が作った自分に必要な揚力となっている下降流のなかに入ってしまいボルテックス・リング・ステートに陥る危険のあるゾーンです。

しかし、この図では縦、横軸の数値を見て分かるように実際の単位ではありません。おそらく概念教育用のチャートと思われます。その教えたい要点は、・・・

まずオートローテーションへの移行が可能な降下角(図では20度弱)があり、30度強の角度のままで(機体)速度を上げるとボルテックス・リングの端をかすめ、65度の降下角度ではその真ん中に飛び込みます。

(念のため・・・固定翼機でイメージするような前傾姿勢の降下ではなく、機体は水平状態での斜め下降です。)

そこを速やかに通り抜ければ何とかなりそうな図ではありますが、その前に渦が巻き起こす乱気流のなかではセトリング・ウィズ・パワーに陥って急速な沈降を続けてしまい、よほどの技量か運がなければ脱出はできないようです。

このチャートでは縦軸、横軸の無次元化された単位では下降角度しかわかりません。
では具体的にはどうか、となると搭乗する機種毎の水平対気速度か下降速度が入ったチャートが必要になります。

本来なら、ボーイング CH-47 チヌーク のチャートがほしいところですが、見当たらないので下図で代用します。

TH-57 シーレンジャーベル 206 ジェットレンジャーⅢ の米海軍、海兵隊仕様)、シングル・エンジン、2ブレードのシングル・ローターのヘリコのチャートです。

Vrs_th57

ボルテックス・リング・ステートへの入り口は、

降下角でいえば先ほどの例と同じように30度強以上で急速な下降をおこなった場合と言えます。

こちらのチャートでは降下速度で722feet/分(3.67m/秒)以上、水平速度は14ノット(26km/時=7.20m/秒)以下の下降をした場合と読み取ることができます。

ただし、ヘリコの特性である垂直方向への下降には1,075ft/分(5.5m/秒)となって1.5倍の余裕ができるようです。

さて、このチャートにはオートローテーションに移行できる限界は示されていません。

おそらく、高度-速度線図(H-V ダイアグラム)で教育されるのでしょう。

ちなみに、派生機種のベル206 L-4 ロングレンジャー のH-V ダイアグラムは下図の左のようになります。

ぼけ気味ですが例によって画像の左クリックで鮮明な拡大ポップアップができます。 

Bell_206l4_hv_diagram

ではこのチャートはどのように検証されたのか?の図を右に並べてみました。右の図は自動化されたオートローテーションの実験結果から作成されています。

中抜きのプロットは安全に着陸、塗りつぶしは墜落、を示します。このほかに機体の重量による差も記されています。
○●は軽積載、□■は中、△▲は重積載荷重時、を示します。

こうした危険な実験は、十分に安全をとったある高度を地表と設定して行って評価判定しており、実際に墜落させたのではありません。

こうしてみると制限された範囲でも安全に着陸できるケースもあるようです。基本的にヘリコの安全はパイロットの技量と感で守られている部分が多いようです。

デッドマンズ・カーブと呼ばれる運行指針の作成目的は平均的なパイロットが守っておれば危険な事態に対応できる範囲を示していると考えられます。

その意味では速度が遅く目標になりやすい軍用ヘリコの機動訓練は民間とは異なる面もあると考えられます。

------------------------------------------------------------------

さて、オートローテーションとボルテックス・リング・ステートは本質的に違いますが脱出の基本は前傾姿勢による急降下を使って行う操縦なので、高度を必要とすることは同じようです。

この場合、CH-47 チヌーク のようなタンデム・ローター機は横にスライドすることになります。なぜなら前傾姿勢で直進すると前部ローターの下降流のなかに後部ローターが飛び込むことになります。

では、サイド・バイ・サイド・ローター機のオスプレイではどうなるのでしょう。

次回はいよいよオスプレイボルテックス・リング・ステートの試験飛行に同乗してみましょう。

2014年3月21日 (金)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その1の補足)

図面差し替えの報告とお詫び

セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その1)で、セトリング・ウィズ・パワーに至るまでの迎え角の変化を示す図に差し替えました。

元の図において次のような指摘をいただきました。

「『NORMAL OPERATION』として提示された最初の図は、固定翼機が下降気流の中で遭遇する翼の場合の説明なら認められるが、 回転翼機のホバリングにおいては先行するブレードによって生じる『吹き降ろし』が常に後続するブレードに影響するためこの図は不正確である」
「概念的な説明としてはいいが、ヘリコプターを理解しようとする人には誤解を与えかねない」

ご指摘の通りなので『吹き降ろし』を加味した図に差し替えました。以下に翼型の吹き降ろしについて補足いたします。

吹き降ろし(Blow Down)は先行するローター・ブレードが翼型に沿って下方にカーブして流れる空気流を指します。この流れがあるため揚力が生まれます。

5_blow_down ホバリングの場合、や垂直下降の場合には、この下方に向かう流れの中に後続するローター・ブレードがあります。この吹き降ろしの流速が及ぼす影響を下図に示します。

6_1st_picture ローター・ブレードの回転速度に先の『吹き降ろし』の速度が加わってブレードの迎え角は本来ブレードの回転面との間になす角度より小さくなっています。

『吹き降ろし』はベクトルであり「速度」と「方向」があります。
これにはブレードの半径に比例する回転速度のほかに翼型、ねじり下げ角、ブレードのアスペクト比が関係しており定量的に解くことは市井の航空ファンにはむつかしい。

この図では赤い矢印がその影響です。ただし、図で示した速度の大小はあくまで説明用です。

参考までに、固定翼機の場合は主翼に対する水平尾翼の関係に相当します。

ヘリコの場合、このままローターが作り出す下降流のなかに入るとさらに迎え角は小さくなります。

セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その1)の図面を、この図を基準にした図面に差し替えて多少の文言の変更を行いました。

2014年3月 9日 (日)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その1)

2014/03/21 ボルテックス・リングに陥るまでの迎え角についての図面を差し替えました。詳細につきましては同日リリースの『キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その1の補足)』をご参照ください。

2014/03/25 このページの下方の数行を赤字にて修正と加筆を行いました。

航空機が空中で遭遇する、とくに離着陸時の低速飛行においては致命的なダメージを与えかねないウィンド・シェアやウィンド・ガストは自然が空を飛ぶものに与える試練である。

Us1a

動力回転翼機はその試練を自ら作り出すことになる。

左の写真は海上自衛隊の広報サイトから借用した救難飛行艇 川崎 US-1A の離水です。

何となく理解できている、プロペラ後方に機体の速度より早い空気流(プロペラ後流)が筒状に流れていることが、プロペラの先端から翼端渦と呼ばれる渦が放出されて、らせん状に空気流を包みながら流れていることで可視化されています。

肉眼では一瞬であろうが、写真はプロペラが回転することで生じる負圧が空気の湿度や温度などの条件で発生させる水蒸気を画像に固定してみせてくれる。もちろん、この渦やプロペラ後流は目に見えなくても存在している。

ちなみに US-1A の低速時に現れる「左傾左旋」の性向は、このよじれたプロペラ後流による。US-2 ではエンジンの取り付け角度を変えることで打ち消している。(閑話休題)

V22_with_vapor

さて、水蒸気の『らせん』は、オスプレイにも発生するようである。画像検索エンジンで『rotor vapor trail 』を検索するとヘリコに発生する例もヒットする。

つまり、この現象はヘリコにもついてまわる。

したがい、大雑把にまとめると動力回転翼機では自らが作るローターの下降流のなかに機体を降下させたり、編隊を組む僚機の下降流の中に飛び込む場合が考えられる。

これはセトリング・ウィズ・パワーSettling with Power : 動力による沈降)とかボルテックス・リング・ステートVoltex Ring State : 輪状渦状態)と呼ばれる現象または状態に陥る危険を示している。(訳語は当CEO独断です。)

セトリング・ウィズ・パワーの始まりから説明した図は(どこかにあるのだろうけど)見かけないので当CEOが3枚+1の図を作成してみました。すべて正しいかどうかは詳しい専門家のコメントに任せますが、キネマは虚実の皮膜を描くから面白いのであります。

1_hovering__2

・ ホバリングおよび緩降下の状態では・・・

図中、オスプレイのイラストは必要ありませんが、カテゴリーがそうなので主役を張っています。

これはすべてのヘリコのメインローターでのお話です。

原理はまったく異なるけれど、でんじろう先生が広めた 空気砲 をイメージしておくのもよい。周囲が静止した空気の中に空気の流れができ、(『らせん』ではありませんが)周囲の空気を巻き込む渦の輪が見えるところでは同じです。

さて、ローターは下降流をつくります。その下降流はローターの翼端にできる翼端渦を、らせん状に曳きながら下方に向かい進んでいきます。

同時に下降流はらせん状の渦に多少のエネルギーを供給しながら下方に送り、機体を支えています。

2_hirate_decent_2

・ 高速垂直降下では・・・

パイロットの基本操作としてはコレクティブ・ピッチ・レバーでローター・ブレードの迎え角を小さくして下降流を少なくすることでローター(機体)は自分の作った、らせん状になっている渦の輪の間隔を圧縮しながら降下をしていきます。

さて、渦には強制渦と自由渦があります。ローター・ブレードの先端で作られた負圧で作られるのが強制渦です。

その強制渦に周囲の空気が巻き込まれて作られるのが自由渦です。

写真に映るのは強制渦とその近傍と考えられます。実際は白い蒸気の見えなくなった部分にも渦は存在しています。

このイラストも実際には下になるほど自由渦として太くしたほうがいいのかもしれません。

自然界の低気圧や台風では、中央のわずかな部分が強制渦ですが周囲のほとんどは自由渦です。ローターに発生する渦は局部的に発生するつむじ風か積乱雲に吸い上げられる竜巻に相当するかもしれません。

さて、同じ方向にまわる台風などの自然界の渦は接近しても合体することはありません。
(映画「パーフェクト・ストーム」(2000)でも合体していなかった・・・ヘリコ映画でもあるがほとんどがCGなのが残念 ・・・閑話休題)

では、「ヘリコの場合のように強制的に接近させれた渦がどうなるのか?」については知見が見当たりません。

ヘリコのパイロットがこのような状態に陥った場合、「渦は合体してより大きなエネルギーを持った渦になる」としたほうがはなしは簡単ですが、ここでは「合体しない」として、はなしを進めます。

で、機体の降下速度に下方に向かう渦の回転速度も加わり、迎え角が減りローターの揚力は小さくなります。(後ほど図解)

さらに機体の高度が下がると密接したいくつかの渦を通過することになります。このときローターに対する迎え角となる渦の接線速度は急激に変化してローターはバタバタと暴れ始めます。

(このときの操縦はサイクリック・ピッチ・レバーが利くあいだに機体を前傾し急降下で下降流の渦のそとに脱出する操作が基本です)

しかし、ここでパイロットはコレクティブ・ピッチ・レバーでブレードのピッチを上げ上昇しようとした、とします。

3_voltex_ring_state

・ ボルテックス・リングに入っちゃった・・・確かに動力沈降だな・・・

このときのブレードの『はたらき』については別図で概観します。

結果的にピッチを上げて得られた揚力と同時に、その揚力に比例して生ずる翼端渦はブレードに対する下降流となってしまい、ピッチ上げで増やした迎え角を減殺して揚力自体を減少させます。

いくらエンジンの出力を上げても高度を維持することには使われず(Settling with Power)、ドーナッツ型の渦(Voltex Ring)を再生産するだけとなります。

この状態では、元の下降流や、らせん渦輪とは切り離されています。

ローターの内側にもボルテックス・リングがあります。これはブレードの内側の周速が遅く筒抜けなっていることによるものです。これはオスプレイのようにカフスによってスピナーにつながっているブレードでも同じです。

次にローター・ブレードの翼型から見ていきましょう。図の翼型はヘリコ、ましてやオスプレイの翼型でもありません。

説明に使う揚力(Lift)や抗力(Drag)は特定の翼型を使用してはいません。あくまで迎え角(Attak Angle)が増えれば揚力が増え、最上図の迎え角が最大揚抗比を示すとして作図してあります。

図を見るときの基礎知識として『迎え角』とは翼型の前後を結んだ直線(翼弦)と風がくる方向とがなす角度であります。そして揚力は風がくる方向と直角、抗力は風と同じ方向に向かっています。(つまり揚力は翼弦に対して直角にはたらくのではない)

したがい、迎え角は翼が機体に取り付けられた角度とは同じこともあるが本質的に違います。揚力とか抗力という言葉は、翼型の性能を定義し易くするための便法です。

このため翼に対する揚力と抗力は、機体の前進速度に上昇または下降の風速との合成によって迎え角の変化に相当して変わり、機体に対する揚力と抗力はさらに大きく変わります。

以下、うまく説明できていればいいが・・・

41_airofoil_in_voltex_ring ・ 正常なホバリング状態
NORMAL OPERATION

ローターの周速が流速となって適正な迎え角を持って翼型に向かっている。

ここでピッチ(機体に対する迎え角)を小さくして揚力を抑えて機体が降下を始める。

・ 下降流の影響を受け始める
Into DOWN WASH

降下速度を大きくしすぎて下降流のなかに入る。

下降流とブレードの周速の合成流速によって流速に対する翼型の迎え角が減少し(図では 0 度)揚力は減りさらに下降を始める。

下降速度が速くなれば迎え角は負の側となりやがては負の揚力(下向きの力)になる。

ほっておけば重力ばかりではなくローターの力でどんどん下方に加速することになる。

そこで慌てて・・・

・ (誤った)修正行動
CORRECTIVE ACTION

パイロットはその直前にコレクティブ・ピッチ・レバーを引いて迎え角を増加させて揚力は増えるが、同時に増えた揚力(翼型上下の圧力差)で翼端渦を強化させてローターの回転面に『らせん』状ではなく『リング』状の渦の輪を作ってしまう。(なんだかホラー小説か映画みたい・・・閑話休題)

合わせて抗力も増加してエンジンの出力は渦の輪を太く強化させることで消費させられる

・ ボルテックス・リング内に陥る
VOLTEX RING State

ボルテックス・リングの下降流が大きくなり合成流速による迎え角も減少し(図では 0 度)揚力も減る。

同じ 0 度の迎え角でも機体に対する迎え角が大きいため実質的な揚力はさらに小さくなる

つまり、エンジンは快調でローターも渦の中で回ってはいるが、機体は降下より速い速度で沈降をつづけることになる。

この状態でエンジンの出力を絞り、コレクティブ・ピッチ・レバー押す(戻す)とブレードは負の迎え角となる場合もあります。図の説明を延長するとボルテックス・リングからストンと抜け出せそうです。

次回のヘリコの降下角選定チャートに示すように垂直降下(水平速度ゼロ)の場合の危険域は薄いので十分に高度がある場合はセトリング・ウィズ・パワーからの脱出手順になります。

しかし、抜け出すときに機体やブレードの姿勢が水平のままとは限りません。脱出はこれに続く機首下げの急降下によるオートローテーションに似た回復操作の技量があれば、に加えて、運がよければ、の世界のようです。

---------------------------

そうならない為にパイロットが認識しておくべき搭乗機の挙動性能がある・・・・は、次回(その2)のこころだー!

「・・・で、接近したけど合体しないローター端の渦はどうなったのか!! 」ですって?
多分ボルテックス・リングができるときにその渦に呑み込まれちゃったのでしょう。

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