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2014年4月の5件の記事

2014年4月26日 (土)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その3の続きの続き)

予定していた項目が、残っていますがキネマ航空フライト011便増便の本業に戻りますので、再開は梅雨明けのころになります。
それまで当キネマ航空にて就航中のフライトをお楽しみください。

右下は、先回、先々回と同じオスプレイのボルテックス・リング・ステートのテスト結果の図です。左クリックで拡大できます。

Vrs_v22緑色の線thrust fluctuations を 「推力の変動、バラつき」と訳しましたが、その現象は、シングル・ローター機では発生しないのか、と思い、“thrust fluctuations + helicoptor” で検索してみたところ学術書では普通に扱われています。

にも関わらず、シングル・ローター機のチャートには記載されないようです。

どうやら、シングル・ローター機では、発生してもボルテックス・リング・ステートの入り口として固定翼機のスティック・シェイカーのような警報として扱われているのかもしれません。

では、タンデム・ローターは? と“thrust fluctuations + chinook ch47” で検索してもヒットしませんが “thrust fluctuations + osprey v22” では、こちらの サイト でFH1100-Pilot 氏がオスプレイの事故で「推力の変動」を提起しています。

このスレッドでディスカッションやコントリビューションがしばらく続きますが、直接の事故原因としては相手にされていないようです。当CEOのブログもここから抜け出している、とはいえないかもしれないが・・・

さて実験結果では、「機体の非対称な挙動」 と「左右の推力の変動」の、「いずれもなし」は、のプロットで示され、「どちらもあり」は、で示されている。これらのプロットは、「横転の発生」を示す赤いラインの内側にも存在している。

以前に当ブログシーレンジャーのH-V線図の作成過程で示したように,、ボルテックス・リング・ステート域に入れば必ず墜落するということでもないので、オスプレイにおいても直接の事故原因にはならないのかもしれません。

しかし、オスプレイでは「左右の)推力の変動」が「機体の非対称な挙動」つまり「ロール」につながることは十分に考えられます。

では、サイド・バイ・サイド・ローター機のオスプレイでは提起され、シングル・ローター機やタンデム・ローター機のチヌークでは問題とされてないのはなぜか?

シングル・ローター機の場合、機体はローター・ディスク(回転面)の下にぶら下がっているのでパイロットにしてみれば、「非対称な挙動」というより「揺れ」、「推力の変動」は「振動」として捉えられており、パイロットの対応法は限られているので問題視されていない、と思われます。

チヌークでは「機体の非対称な挙動」は「ピッチング」となるのだろうが、チヌークでボルテックス・リング・ステートから事故になった例は多くはないようだ。いっぽう制御システムに関連した事故の記録やギヤ・ボックスの破損による前後ローターの同調を喪失した事故もあるようだ。

さて、ここからボルテックス・リング・ステートとはすこし離れるが、オスプレイチヌークには二つの大きな相違がある。

一つは、見たままの二つのローターの配置である。

ヘリコの場合、極低速およびホバリングでは風に正対していることが必須とされる。これに対しての危険な方位を示すチャートもある。

Wind_bearing_v22vtollowspeed

上図はオスプレイの垂直離着陸における低速時に適用されるチャートである。外周の数字は機首方向から時計回りに風向を角度で示して、風に正対することがいかに重要であるかを示している。

オスプレイのマークを中心にした同心円はノットで示した地上風速と思われる。全方位に動けるのは風速30ノット(15.4m/秒)以下となっている。その範囲の中にも灰色で抜かれた避ける方向と風速がある。

この状態で風向が 30°以上偏(かたよ)ると危険な状態になることは理解できると思えます。

付け加えると、ヘリコもオスプレイも、向かい風のホバリングでは、ローターは前進状態になっており、追い風では後進している。斜めの風にはその方向に同じ速度で飛んでおり、風に流され押し返されて地上からでは停止して見えるに過ぎない。

たとえば、30ノットの追い風でホバリングしている状態で突然風速が20ノットに落ちるとオスプレイ(もちろんヘリコも)は風速20ノットの追い風の中を10ノットで“AVOID”ゾーンに後退していることになります。

つまりは、パイロットの風に対する対応時間と機体の反応時間というマン・マシン・システムの問題になります。これがコンピュータで制御できているのかどうかは分からないといったほうが正確と思えます。

パイロットが風の方向と速度(偏流)を知るための初歩的なメカニズムとしては一対のピトー管(対気)速度計を回転させて、その両方の差分の大小からその機体に対する相対的な風の方向と速度の測定ができます。

でも、オスプレイではどうなっているのか・・・どんな装置がどこにあるのか、写真を見ながら探しているのですが・・・

さて、強風下で風下に向かうためには風上に向かって上昇しながら速度を上げてから相対風を 30°以上の偏角で受けるような横滑りしないように 180°のU 字旋回をおこなう必要がある。(ホバリングのままで向きを変えるなどもってのほか)

ちなみに風速15mというのはごく弱い台風なみの風速であるが、現実にパイロットが遭遇する風は時間軸での緩急強弱を伴っている。

この図で前方の避けるべき二つの方向は、風により流されたローターの翼端渦がテール・ユニット(水平・垂直尾翼)にかかり方向安定を乱すため、後方からの風は、ローターの差動による方向安定より影響の大きいテール・ユニットの風見安定効果が逆に働くためと思われる。

シングル・ローター機の場合でも、この風の強さと受ける方位によってはメイン・ローターの翼端渦が流されてテール・ローターにかかりボルテックス・リング状態になり方向安定を失う場合、や風そのものがテール・ローターの推力に影響してフット・バーによる舵の逆利きなどで風見安定さえも失う場合があるようだ。

チヌークの同様の図はまだ見つけてないが、オスプレイのような 制限風速はあっても左右の “AVOID” のゾーンはないかもしれない。少なくとも後部ローターが前部ローターより高い位置にあるため追い風のホバリングなどは持ってのほかと考えられる(Wikipediaでは要出典と書かれるだろうな・・・)

タンデム・ローターの場合、側面から見るチヌークはローターの回転面は上下差(後部が高い)があり、ローターの駆動軸は上開き(V字)で平行ではない。

上面からは前後のローター回転面は重なっているが機械的な同期がとられて、いっぽうのブレードは他方のブレードの中間位置を通ってお互いのブレードがぶつかることはない。

いっぽう、前から見たヘリコ・モードのオスプレイの左右のローター駆動軸もV 字型なのかもしれないが、目に見えるほどではない。(固定翼機でもエンジンの取り付け角を変える例は多い)

オスプレイのローターの回転面は重なっていないが機械的な回転同期はとられている。

また、横から見た場合の左右のローター回転面のチルト(傾斜)角は機械的な同期ではなくコンピュータ制御の同期である。(だから飛んではならないほど危険という説は、多くの条件を付けた上での推理というより憶測になる)

これらのローター配置や機体の形態による差異の考察についてはもう少し資料を集めて項を改めます。

二つ目は、ローター・ヘッドとローターそのものの機械的構造の違いである。こちらはもっと重要と考えられる。

L3_5まず、オスプレイのローター・ヘッドの構造。(以前に掲載したキャプチャーと同じ)

フラッピング・ヒンジは一体で動くテータリング式と呼ぶ、古いと言えば古い、新しいと言えば新しい形式です。(注記参照)

またラギング・ヒンジはなく、ブレードは短く、剛体といえる構成です。

オスプレイのローター・ヘッドの詳細な構造図は公開されていないようです。

ご参考までに、米海兵隊の公式サイトのオスプレイのローター・システムのメインテナンス請負会社決定の記事に15枚の写真があります。VMM-266 (Rein.) conducts MV-22B maintenance です。

いっぽうのチヌークは、

Chinook_rotor_head_1 Chinook_rotor_head_2

極めて古典的な内から外に向かってブレードごとに独立して動くフラッピング、フェザーリング、ラギングの三つのヒンジを持ったローター・ヘッドに長くしなやかなローター・ブレードが取り付けられています。

オスプレイの「(左右の推力の変動」から「機体の非対称な挙動」を比較対象(ベンチマーク)とされるチヌークをからめて、空力により発生すると考えられる要因を比較考察すると次のようになる。

                 オスプレイ        チヌーク  理由と影響の差
   -------------------------------------------------------------
  ローター直径         小         大     要求仕様
  ローター回転数       速い        遅い   ブレード先端速度制限
  ブレード先端速度         ほぼ同じ       機速合成後の物理的要件
  ローター吹き降ろし速度   速い        遅い    機体重量/ローター直径の比
  -------------------------------------------------------------
  ローター・ヘッド自由度    連動1独立1    独立3  自立安定性
  ブレード重量         軽         重    直径を含むオートローテーション
  ブレード剛性         剛         柔    空力緩衝性

上段の四項目は与えられた要求性能で必然的に決まる。下の三項目はその要求仕様から導かれた工学上の現行の解である。機械としての柔軟性はチヌークのほうが優れている。

チヌークのツイン・ロータの駆動技術とシングル・ローター機で改良してきたリジッド・ローター・ヘッドの技術を組み合わせてチルト・ローターに発展させたたオスプレイはブレードの自由度や剛性の面では、シングル・ローター機とも、チヌークとも、大きく異なる。

オスプレイがテータリング・ローター・ヘッドを採用したのは固定翼機モードでヘッドを固定するため、また剛性の高いブレードも固定翼機のプロペラ機能のため、である。

この工学上の解答をベル・ボーイング・グループはプロップ・ローター・システムと命名し、コンピュータで制御をしている。

しかし、機械システムとしてオスプレイチヌークのように半永続性を持つ技術かどうかには、まだ結論は出ていない。

いまは、軍用もしくは官用としてのコスト・パフォーマンスにようやく引っかかる程度なので民間機用には程遠い、とは言えそうである。(技術完成度のたかいチヌークにおいても同様である)

飛行機にしても自動車にしても、いや自転車にしても、発明されてから100年という月日をかけた改善、改良、そして生産数と運用時間の総計をもってして安全な乗り物とされているが事故はなくならない。オスプレイの生産機数をおいておや・・・である。

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YouTubeにあった推力の非対称によるオスプレイの事故の映像を二つにリンクを付けました。

1.Osprey Crash

開発段階の事故であり、これだけで危険とは言いがたい。人為的なミスということだがフライ・バイ・ワイヤーでいう PIO すなわちパイロットがコンピュターの制御ループの中にいたのかどうかは不明。

最終段階ではテータリング式ローター・ヘッドの欠点であるマスト・バンピングを起こしていたと考えられる。マスト・バンピングとはローターの傾きより機体の傾き(またはその逆)のほうが大きくなってローター・ヘッドが支柱(マスト:正確にはローター駆動軸)に機械的に接触してしまうこと。マストが折れることもある。

2.Marana MV-22 incident. 3D animtion. 

こちらは何度も登場した降下率の図にあるのプロットで示された中のひとつであるマラナ(Marana)の事故を3Dアニメーションで説明している。合わせてボルテックス・リング・ステートの説明もある。

ロールによる墜落の原因は降下率が 2000ft / 分を越える急速下降によりボルテックス・リング・ステートに陥ったパイロット・ミスとされている。

ただ、マン・(コンピュータ・エイデッド)マシン・システムのなかのヒューマン・エラーの判定はむつかしい。というよりコンピュータのプログラムから外れたことをやるとすべて人間のミスとされて・・・だから安全とするへんな根拠の論調もある。

いずれにせよ空中に停止または低速で移動するのは簡単で安全とはいえない。固定翼機が比較的安全なのは速度エネルギーをもって離着陸するからともいえる。オーバー・ランなんてのもあるけどね・・・

ボルテックス・リング・ステートもしくはセトリング・ウィズ・パワーはヘリコにとっても、オスプレイにとってはそれ以上に恐ろしい現象、であることは間違いない・・・と結んで、この項は、これにてお仕舞。

まだ以下のような数項目が、残っているがキネマ航空のフライト増便の本業に戻りますので、再開は梅雨明けのころになります。

形態と気象や地形の問題

エンジンの系譜

オートローテーションの日米の解釈の差異

遷移モードの問題

などはしばらくお休みします。

注記)
テータリング式のフラッピング・ヒンジは簡潔な構造でメインテナンスが簡単であり、信頼性はベル社のシングル・ローター機やロビンソンのシリーズで確立している。

ここでの指摘はタンデムやサイド・バイ・サイドのヘッドとして採用した場合の実績である。

ベル社はHSL-1 対潜哨戒ヘリコプター (1953) でテータリング式のローター・ヘッドを採用したが就役後の稼働期間は短かった。

わが、新明和 PS-1 対潜哨戒飛行艇 は着水してソナーを海中に降ろすのだが、ベル HSL-1 は、自動ホバリング装置でソナーを降ろして哨戒海域に長時間とどまるというヘリコプターを拡販する革新的アイデア。

ただ、星形の大馬力エンジンの騒音と振動が激しくて、肝心のソナーの音を聞くことができなかったとさ・・・航空機の開発にはこんな話が多い。岡部ださく氏と岡部いさく氏が両立することが飛行機の楽しさでもある。(閑話休題)

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新規就航のフライトのご案内は近いうちにご案内いたします。乞う、ご期待! ご搭乗!

2014年4月20日 (日)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その3の続き)

公開校正およびレイアウト調整中です。

先回と同じオスプレイのボルテックス・リング・ステートのテスト結果です。左クリックで拡大できます。

Vrs_v22

さて、先回の残りの NATOPS Limit から始めましょう。

何にこの制限を使うのか、といえば機体を下降させるときにボルテックス・リング・ステートに陥らないように降下率と水平速度の関係を変化させながら操縦する指標として・・・です。

・・・といっても、いざその時に指を舐めながらめくるチャートでは無く、身体や感覚に埋め込むための習得訓練時にたたき込まれます。

いっぽう単なる航空機ファンとしては、普通のヘリコが減速しながら下降する着陸時の降下角と比較してオスプレイの設計仕様を決めた根拠の想像に使えます。

上空から見たヘリコの着陸経路は、基本的には固定翼機のそれと同じです。

まず固定翼機の場合で見ていくと目視着陸を前提に滑走路を一辺の一部とする長方形のトラフィック・パターンがあります。(日本語では(飛行)場周(回)経路です。長方形といっても各コーナーを直角に折れ曲がるような旋回をするわけではありません・・・念のために)

トラフィック・パターン」は目視飛行における飛行場周辺の交通管制上のルールですが、小型機にとっては周辺の風などの影響を確認する時間といった意味もありそうです。

離陸する滑走路は風上に向かっています。この方向が「アップウィンド・レグ」。レグは幾何学上の区切りのある直線『辺』とか航海用語として『行(航)程』を指している。

言うまでもなく滑走路が常に風上に向かっていることはない。主たる風向で「アップウィンド・レグ」に選ばれる。横風になると着地直前まで機首を風上側に少し振って機速と風速が合成された進入経路を滑走路に向けて直進させる。

ヘリコも同じパターンに乗るが、救急ヘリコを見ていると他のトラフィックがないヘリポートなどでは着陸点を中心に円を描いた周回後に風下の方向から風に向かい進入する場合が多いようだ。

さて、周回ですから右(時計)回りと左(反時計)回りがあります。通常では(固定翼機の機長が滑走路を目視しやすい)左側へ90度旋回すると「クロスウィンド・レグ」。(ちなみにヘリコの機長席はロシアを除き右側が多い)

そこから旋回するごとに「ダウンウィンド・レグ」、「ベース・レグ」、そして最後に旋回して滑走路に向かうと着陸する場合は「ファイナル・アプローチ)」と呼び、上空を通過する場合は「アップウィンド・レグ」にもどります。なお、右旋回でも呼び名は変わりません。

いずれにせよ、低速で飛ぶ飛行機にとって、風が重要なことを示しているようです。

着陸時に、このトラフィック・パターンにのるには、・・・
斜めに「ダウンウィンド・レグ」に入る「45°エントリー」、
直進で「ベース・レグ」にのる「ダイレクト・ベース」、
直接に「ファイナル・アプローチ」にのる「ストレート・イン
・・・があります。
(離陸にも同様にトラフィック・パターンから脱する方法がありますが、それは省略)

固定翼機のファイナル・アプローチにおける進入角度は となっています
念のため進入角度は飛行機の重心の経路であり機体の前後の傾斜(ピッチ)角ではありません。
 

さて、ヘリコには多くの着陸進入方法があります。以下の着陸進入状況はトラフィック・パターン上では、ベース・レグから 90°の旋回をし終ったところ、あるいは、ストレート・インのまま、ファイナル・アプローチに乗ったところから始まります。

・普通進入(Normal Approach)
 文字通り普通に使われる進入方法です。直接地面に降りるのではなく、着陸点(たとえば○にHのマーク)上の 4 乃至 5 フィート( 1.2 から 1.5 メートル)上空でホバリングできるように、速度はサイクリック・ピッチ・レバーで、降下率はコレクティブ・ピッチ・レバーで、と二つの操作を組み合わせて降下角を調節しながら行われます。ラダーペダルを使った横風進入の場合はホバリング時に風に正対するように向きを変えて着陸します。

 このときの進入角度は機種により から 12°で行われます。固定翼機より急角度ですね。

・急角度進入(Steep Approach)               
 着陸点の手前に普通進入だと障害になる地形や樹木、建物などがある場合に障害物の上端から 50 フィート( 15 メートル)の高度までは普通進入の要領で降下し・・・

 この高度50フィートの位置は固定翼機の性能の一つである着陸距離の始点となるところで、ここから機体が停止したところまでがその機の着陸距離となる。ヘリコもこれを援用もしくは準拠したと思われる。

 ・・・で、そこから 15°から 20°の急角度降下に移り、普通進入より低速かつ降下速度を抑えてボルテックス・リングに陥らぬように飛行し、ホバリング高度に向かい以降の操作に入る。

・緩角度進入(Shallow Approach)
 車輪のついたヘリコの滑走着陸(Running Landing)で使われることが多い。

 ホバリングをしないで固定翼機のように接地を行うため、降下角は普通進入より浅く進入角度は程度で接地時の衝撃を和らげます。横風着陸の場合は着地と同時に機首を滑走路の方向に向けます。 
このときは地面効果のほかに機速による揚力も使っています。「キネマ航空CEO プロペラの勉強をする」を参照。

・高速進入/急停止着陸(Hi Speed Approach/Quik Stop Landing)
 巡航速度並みの高速で緩角度進入と同じく 程度の緩降下で進入するが着陸点の手前で機首(すなわちローターも)をあげて抵抗で減速しながらそのまま水平に移動して着陸点の手前で機首を水平に戻しホバリング高度まで下降して風上に向きを変えて着陸する。

以上は空港、ヘリ・ポートなどで行われる。なかでも下の二つは機速を早めることで強い横風の場合の着陸対応法の一つでもあります。そのほかには・・・

・不整地着陸(Strange Field Landing)
 ビルや樹木など障害物に囲まれた場所、山頂やビルの屋上などのプラットフォーム、傾斜面、谷間や堤防の蔭、などなどトラフィック・パターン外の着陸。(普通にヘリコプターならできるとされている着陸ですが特殊な操縦技能に分類されます)

・オートローテーション着陸(Autorotation Landing)
 緊急時の着陸で、最終段階では、高速進入/急停止着陸、もしくは、緩角度進入の要領で着陸する。

余談ながら、加藤寛一郎氏の「飛行の神髄 (1993) 講談社」 には螺旋急降下着陸(Helical Diving Landing ?) という荒業が出てくる。

・・・などがある。離陸にも同様の条件下での方式がありますが省略します。

すべての着陸において、パイロットにはボルテックス・リング・ステートのチャート(速度と降下率)と H-V 線図(高度と速度)の二つに許容された範囲での操縦が要求される。

その陰に示されているのは、低速で飛ぶヘリコの操縦には風(強さと方向とその変化)への対応が人間に任されているということです。
(これは固定翼機でも同じですが離着陸速度が大きいことがヘリコとの最大の相違点です。)

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以上よりオスプレイのボルテックス・リング・ステートの実験結果のチャートにあるNATOPSによる降下角 12°の制限は一般的に行われるヘリコプターの着陸方式の条件を満たしているようです。

オスプレイがボルテックス・リング・ステートに陥る前に「軽度の乱気流」のある範囲に接する降下角度は シー・レンジャーベル206)と同じ 30°です。

いっぽう、オスプレイにはNATOPS」の制限と「軽度の乱気流」の境界との間にある緑色の線があります。「推力変動(を感じ始める)境界線」ですが、これは急角度進入着陸の最終降下角度約 20°に接しています。

しかし、シー・レンジャーにはありません。なぜ、何ゆえ?!

NATOPS」の制限の水平部分と緑の線については、長くなったのでまた次回にということで・・・(その3の続きの続き)に突入のこころだー

2014年4月 8日 (火)

キネマ航空CEOの春2014「しなんばた」コンサート(その2)

(承前 その1 と同時公開)

「しなんばた」に戻り、当CEO のお目当てである「翁草(おきなぐさ)」を撮影する。撮影者に合わせて多少ボケているの選んだ。写真は真を写すのではなく、フォトグラフ(光の絵)である・・・という、なんちゃって!写真である。

14aomeate 元はといえば、もう一人の T さんのブログである。

その一文によると、どうもわが似姿に通じる命名に思えてくる・・・しかも全身に毒があるというのも気に入った。

枯れて「良い人」になってはつまらない。

それにしても、「翁(おきな)」があれば「媼(おうな)」もあるはずで、どんな草でどんな毒があるのか、ご自身は「自家中毒を起こすぐらいの毒がある」と自負されている、愛妻家の T さんのお話をゆっくりと聞きたいものだ。

空は晴れているが大きな雲が西から東に流れて、時折り太陽を隠す。濃い色の雲が近づくと雨とも言えぬ水氷りの粒を風が運んでくる。

今回より食事は、食中毒などのリスク回避と同時に本来の参加者であるスタッフ、特に女性の方々のコンサート参加を図ってのこと。

14ashokujiスタッフも加わり献立のプランと試食を重ねて、調理と菓子は地元の業者に依頼し、ほとんどの食材はボランティアの持ち寄りと地元産で賄われた。

見ての通り、お米はむしろ惣菜である。トレイ(去年までは葉蘭の皿だった)の向きを勝手に変えて撮影してみた。魚(あまごの甘露煮)の向きが反対なのは撮影者の責任である。

味音痴、音も音痴の当CEOに語る資格はないがブラッシュ・アップは必要だろう。ただ特定のイベントに向けての素朴な味は捨てがたい。

稲荷に挟まれた、菜の花の透けて見える薄い大根(蕪?)の漬物を工夫すれば昔の味と違うかもしれぬがなかなかの味になりそうに思える。地産地消の試みとしてまた訪れる楽しみが増えた。

今回のコンサートには音響に詳しいスタッフが付いたようで昭和の歌謡曲が邪魔にならぬ程度に流され、当CEOは東屋で昼喰(ちゅうじき)を取ったが別のスタッフによる「蘇州夜曲」など二胡の生演奏付という贅沢さであった。

食後のコンサートでは、いつもの女子高校生弦楽カルテットから始まるのだが内二人がクラブ活動で負傷のためバイオリンとビオラのデュオでの登場。サウンド・ミキサーを務める作務衣のご老体も「なかなかの音を出している」と褒(ほ)めておられる。

オーディエンスより先に「アンコールはいかが?」と勧めたり、そのあとに再度のアンコールを求められると慌(あわ)てたりと、ほほえましい。

メインの琴四重奏、今回は春野で就農した若いご夫婦の奥方のご母堂とその仲間(JI-ON 慈音から)がお隣の愛知県から出向いて、演奏される。

14concert1そのためもあってか、司会者は進行を娘さんに任せてしまった。

演奏が始まるころには、一段と強さを増した突風が時折りおそい始める。

(立っているのが娘さん。手前の前側がご母堂。風に飛ばされそうな楽譜を心配そうに見ていたが、

14concert_2

ついに前に出て楽譜を抑えることになる)

コンサートは、かなり複雑な選曲と構成のようで、調弦の合い間に農家の苦労や楽しみを語る娘さんは、一児の母でもある。

琴も嗜(たしな)むようで、母娘の二重奏ではじまり、母の琴に合わせて娘が歌うのか、娘に合わせて母が弾くのか、尋常小学唱歌「ふるさと」の独唱で終わる構成になった。

想夫恋(そうぶれん)ならぬ想母恋(そうもれん)か・・・最後に予定されていた参加者全員の合唱は中止された。

『青』の季節の強い風を「青嵐(せいらん)」と書き「あおあらし」と読む。その風が運んだ雨粒のせいかも知れぬが、そっと席を外していた合唱の指揮をするはずだった
マエストロ・セニョールの粋なはからいにも思われる。

こうしてコンサートは終わり、スタッフには撤収の労働が待つ・・・当CEO も簡単で軽そうな音響ケーブルの取り外しを手伝って失礼する。

余談

立ち話で、もう一人のほうのTさんに、「消費税 春野の町が 遠くなり」と献呈したが苦笑しておられた。季語もなく直截にすぎるので次のように改訂したい。

「平成24年春」を頭に付けて
「弥生ふつか 春野は遠く なりにけり」

消費税増も必要とは思うが、負の影響は中山間地にもっとも強くあらわれることになる。それに対する立法や行政の施策は欠(とぼ)しいままのようだ。

訪れることが力になるならば・・・併設された地元特産物の売店は盛況だった。

キネマ航空CEOの春2014「しなんばた」コンサート(その1)

古来より中国では四季を四つの色に託すようである。その中で日本で定着した言葉は『青春』と『白秋』のふたつとなる。

このふたつの季節に「しなんばた」という山間(やまあい)にあるオープンガーデンでコンサートが開かれ、当CEOは毎年、毎回、これに参加するのが楽しみになっている。

今年は少し早く行ってみた。

14abutai 昨日からの寒気のなかで組み上げられた舞台である。

この春は琴の演奏会となる。後ろ舞台となる桜の花を引き立たせるのは格子のついた引板戸である。

左端の一枚に掛けられた一頭(ひとかしら)のひょっとこ面と一輪の椿の投げ入れが微(かす)かな華やかさを醸す舞台となる。

当CEOは写真もあまり得意ではない。したがって傍観者的な構図こだわっている。今回は800x600を掲載しているので左クリックで拡大できます。

さて、コンサートは長蔵寺応援団というボランティアで運営されており、その中の T さんに庭内の草木のはなしを聞く。今回は「二人静」を覚えて帰ろう。

14amusasabiT さんも移住組のお一人であり、その里山生活の一部を見せていただくため、車で少しくはなれた山腹まで急斜面を登りお話を聞く。

「しなんばた」も見渡せる眺めのいい山肌に地主さんの許可を得て桜の群落の形成をはじめている。

満開の桜の下もいいが、当CEO は遠くの山に見える一樹、一群の桜で春を感じるほうが好きである。 T さんはそれをご存じなのか。

そのTさんの視線の先にあるのは巣箱である。巣箱は呼びたい鳥種に合わせて出入り口の穴の径が決められる。しかしTさんの当初のもくろみははずれて、今はムササビの棲み処となっている。雌雄は分からぬが一瞬、顔を見せてくれた。

初夏から夏の子育てには直射日光があたり、子育てには開けすぎている感もあるが、毎年いるそうなのでそのうちに叶うだろう。双眼鏡を傍においての山仕事も急がぬ暮らしの秘訣の一つのようだ。

反対に目をやると晴れてはいるが、点在する雲のひとつから白い幕が平地に向かい地表近くにまで垂れている。

T さんにはもう一つのアンビションがあるようだ。それは、入り組んだ多くの山主を説得してまわり、いずれ林道沿いに杉の密集木の間伐をおこなって蝶の食草の道を育てることだ。

すでに一部分を購入して、実際に初めている。案内されたその場所では日差しが入り(タチツボ?)スミレの群落が形成されつつある。

T さんが採用している間伐方法も、当CEOは初めて知った。これでサイクルを縮めた林業の一角を担えないかと夢想する。

食事の時間が近づくと急に冷え込んできた。坂道を下り帰途につくとフロント・グラスを打つ疎(まば)らな雨粒にみぞれが混じり、風も少し吹いているようだ。

風や雨足が重(しげ)くなると T さんの仕事も増える・・・(その2へ続く)

2014年4月 2日 (水)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える (その3) 

公開校正およびレイアウト調整中です。

初出時のオスプレイのエンジンについての考察は削除して項を改めます。2014/04/09
これにて『オスプレイはヘリコプターとは異なる航空機ではないか?』・・・との疑問に答えられるかもしれません。

それでは、キネマ航空ならではのオスプレイの試験飛行に同乗する疑似体験へのご招待です。

今回は、オスプレイの急速下降飛行に同乗します。と言っても下の図を見るだけですが・・・

Vrs_v22

この飛行に相当するオスプレイのボルテックス・リングステートに関するチャートの原型というか試験結果があります。

画面を左クリックで拡大してください。

これの元図では降下角度を示す直線がありませんでした。

このため当CEOが先々回の計算式で降下角を計算して追加してあります。

この図で目新しいところでは降下速度が800feet/min(=4.1m/秒)辺りから横に延びる「赤っぽい折れ線(NATOPS limit)が見えます。

これは、NATOPSThe Naval Air Training and Operating Procedures Standardization (米国)海軍航空訓練及び運用手順の標準化) により作成された機種ごとに設けられている 制限ラインです。海軍航空・・・とありますがこの標準化は海兵隊にも適用されます。

ただし、この線がオスプレイのものかどうかは定かではありませんが、水平速度40ノット(約 74 km/h)以上の約12度のラインは通常のヘリコの着陸進入角度でもあります。

えっ?!、垂直着陸のできるヘリコに侵入角度があるのかって? ありますとも!真下の見えないヘリコで高空からホバリングの姿勢のままピンポイントの垂直着陸なんて至難の業です・・・風だって吹いてますから。(閑話休題)

下方の「黄色(asymmetries :非対称性)」と「赤(roll-off :横転)」の曲線はそれぞれ『軽い乱気流』と『厳しい乱気流』に相当します。

しかし、「セトリング・ウィズ・パワー(settling with power :動力による沈降)」ではなく「roll-off :(横転)」と直截に記しています。また、(autorotative boundery ):オート・ローテーション限界線の記載はありません。

その上にある「緑色(thrust fluctuations :推力の変動または、ばらつき)」の線は、左右のローター推力に『ばらつき』が生じて、パイロットが機体の挙動が安定しないことを感じはじめるラインのようです。

シングル・ローターのTH-57 のチャートには記載がありませんでしたが、発生しないのか、発生していても影響はない、とされているのか、おそらくは 2 ローター・ヘリコ特有の問題と思われます。

たぶん、オスプレイではヘリコより高速で吹き降ろされる下降流と周囲の気流の影響が均等ではなく、横に離れたローターのブレードに作用する実質的な迎え角に差がでていると考えられます。

図中にプロットされた記号は、・・・
中抜きの緑の小輪()は、「非対称性」も「推力のばらつき」もなし。
緑の塗りつぶし小輪()は、「非対称性」なし。「推力のばらつき」発生。
中抜きの赤の小輪()は「推力のばらつき」発生。

赤の塗りつぶし小三角()は、「横転」発生事故の  12件なのか?  マラナ空軍基地での事故は水平23ノット(42.6Km/h=11.8m/s)、垂直2,000フィート/分(610m/min=10.2m/s)の降下角約40度のあたりにあります
赤の塗りつぶし極小ひし形()の詳細は、不明(多分、訓練手順外での横転)。
・・・です。

図中のコメントは、・・・
NATOPSによる限界赤線の間は「現行の飛行制限により安全に対する余裕の確認ができている」
NATOPSによる限界緑線の間は「静的な境界は熟知されており;驚くものではない」
緑線黄線の間は「動的な機動が境界に影響を与えることはない」
黄線赤線の間は「効果的で状況に応じた回復テクニックが必要」
・・・です。

さて、下図は、既出のTH-57 シーレンジャーベル 206 ジェットレンジャーⅢ ベース)、シングル・エンジン、2ブレードのシングル・ローターのヘリコのボルテックス・リングのチャートです。

Vrs_th57

このチャートのシーレンジャーの重量は3000lbs(1360.1Kg)で最大離陸重量の94%に相当しています。

いっぽうのオスプレイのチャートでは具体的な数値は不明ですが以下の考察は双方とも最大離陸重量で計算した値を使ってはなしを進めます。

オスプレイのチャートの黄色の線がこちらのチャートの『LIGHT TURBULENCE :軽い乱気流』の境界線、赤い線が『SEVERE TURBULENCE :厳しい乱気流』のそれに当たるようです。

この限界に接する降下角はどちらのチャートでも約30度です。ただしその指標となる限界速度は違います。

                     オスプレイ    シーレンジャー
水平速度 kt(m/s)             43 (22.1)             14 (7.2)
降下速度 ft/min(m/s)     1750 (8.9)             722 (3.7)
垂直降下速度                2000 (10.1)           1075 (5.46)
         ft/min(m/s)
ちなみに国内最速のエレベータ(横浜ランドマーク・タワーの展望台直通)の最大下降速度は12.5m/sとなります。
ランドマーク・タワーの高さは 296 m あり、この間のはじめと終わりをゆっくりと加減速して体にかかる G を制御していますがオスプレイの場合はそんな悠長なことはしていないはず。                                   

大ざっぱにまとめればオスプレイシーレンジャーの1.86倍の急速垂直降下ができるということになります。

その理由は高速の吹き降ろしのためと思われます。ところが吹き降ろし速度の比は2.66倍ですので降下速度の比には合っていません。・・・が、無関係ではなさそうです。

さて、画期的な技術革新が可能になると固定翼機でも、もちろん垂直降下はできないので降下角をこれまでより大きくした運行手順を前提に設計に盛り込まれます。よく挙げられる例ではボーイング727は、着陸降下時にこれまでのレシプロ機とは格段に大きい降下率を採用しています。これによるヒューマン・ファクターに起因すると推定される事故を繰り返しましたがパイロットの訓練により克服されビジネスでも成功しました。

そういった意味では民間用途のオスプレイでもヘリコの操縦とは違った訓練を必要とする、そのいっぽうでは軍用機としてこの特性を駆使した飛行技術が求められる、航空機のようです。

長くなったので、『緑色の推力変動ラインや『NATOPSについての考察は「セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その3の続き)」につづくのココロだー

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