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2014年4月26日 (土)

キネマ航空CEO セトリング・ウィズ・パワーについて考える。(その3の続きの続き)

予定していた項目が、残っていますがキネマ航空フライト011便増便の本業に戻りますので、再開は梅雨明けのころになります。
それまで当キネマ航空にて就航中のフライトをお楽しみください。

右下は、先回、先々回と同じオスプレイのボルテックス・リング・ステートのテスト結果の図です。左クリックで拡大できます。

Vrs_v22緑色の線thrust fluctuations を 「推力の変動、バラつき」と訳しましたが、その現象は、シングル・ローター機では発生しないのか、と思い、“thrust fluctuations + helicoptor” で検索してみたところ学術書では普通に扱われています。

にも関わらず、シングル・ローター機のチャートには記載されないようです。

どうやら、シングル・ローター機では、発生してもボルテックス・リング・ステートの入り口として固定翼機のスティック・シェイカーのような警報として扱われているのかもしれません。

では、タンデム・ローターは? と“thrust fluctuations + chinook ch47” で検索してもヒットしませんが “thrust fluctuations + osprey v22” では、こちらの サイト でFH1100-Pilot 氏がオスプレイの事故で「推力の変動」を提起しています。

このスレッドでディスカッションやコントリビューションがしばらく続きますが、直接の事故原因としては相手にされていないようです。当CEOのブログもここから抜け出している、とはいえないかもしれないが・・・

さて実験結果では、「機体の非対称な挙動」 と「左右の推力の変動」の、「いずれもなし」は、のプロットで示され、「どちらもあり」は、で示されている。これらのプロットは、「横転の発生」を示す赤いラインの内側にも存在している。

以前に当ブログシーレンジャーのH-V線図の作成過程で示したように,、ボルテックス・リング・ステート域に入れば必ず墜落するということでもないので、オスプレイにおいても直接の事故原因にはならないのかもしれません。

しかし、オスプレイでは「左右の)推力の変動」が「機体の非対称な挙動」つまり「ロール」につながることは十分に考えられます。

では、サイド・バイ・サイド・ローター機のオスプレイでは提起され、シングル・ローター機やタンデム・ローター機のチヌークでは問題とされてないのはなぜか?

シングル・ローター機の場合、機体はローター・ディスク(回転面)の下にぶら下がっているのでパイロットにしてみれば、「非対称な挙動」というより「揺れ」、「推力の変動」は「振動」として捉えられており、パイロットの対応法は限られているので問題視されていない、と思われます。

チヌークでは「機体の非対称な挙動」は「ピッチング」となるのだろうが、チヌークでボルテックス・リング・ステートから事故になった例は多くはないようだ。いっぽう制御システムに関連した事故の記録やギヤ・ボックスの破損による前後ローターの同調を喪失した事故もあるようだ。

さて、ここからボルテックス・リング・ステートとはすこし離れるが、オスプレイチヌークには二つの大きな相違がある。

一つは、見たままの二つのローターの配置である。

ヘリコの場合、極低速およびホバリングでは風に正対していることが必須とされる。これに対しての危険な方位を示すチャートもある。

Wind_bearing_v22vtollowspeed

上図はオスプレイの垂直離着陸における低速時に適用されるチャートである。外周の数字は機首方向から時計回りに風向を角度で示して、風に正対することがいかに重要であるかを示している。

オスプレイのマークを中心にした同心円はノットで示した地上風速と思われる。全方位に動けるのは風速30ノット(15.4m/秒)以下となっている。その範囲の中にも灰色で抜かれた避ける方向と風速がある。

この状態で風向が 30°以上偏(かたよ)ると危険な状態になることは理解できると思えます。

付け加えると、ヘリコもオスプレイも、向かい風のホバリングでは、ローターは前進状態になっており、追い風では後進している。斜めの風にはその方向に同じ速度で飛んでおり、風に流され押し返されて地上からでは停止して見えるに過ぎない。

たとえば、30ノットの追い風でホバリングしている状態で突然風速が20ノットに落ちるとオスプレイ(もちろんヘリコも)は風速20ノットの追い風の中を10ノットで“AVOID”ゾーンに後退していることになります。

つまりは、パイロットの風に対する対応時間と機体の反応時間というマン・マシン・システムの問題になります。これがコンピュータで制御できているのかどうかは分からないといったほうが正確と思えます。

パイロットが風の方向と速度(偏流)を知るための初歩的なメカニズムとしては一対のピトー管(対気)速度計を回転させて、その両方の差分の大小からその機体に対する相対的な風の方向と速度の測定ができます。

でも、オスプレイではどうなっているのか・・・どんな装置がどこにあるのか、写真を見ながら探しているのですが・・・

さて、強風下で風下に向かうためには風上に向かって上昇しながら速度を上げてから相対風を 30°以上の偏角で受けるような横滑りしないように 180°のU 字旋回をおこなう必要がある。(ホバリングのままで向きを変えるなどもってのほか)

ちなみに風速15mというのはごく弱い台風なみの風速であるが、現実にパイロットが遭遇する風は時間軸での緩急強弱を伴っている。

この図で前方の避けるべき二つの方向は、風により流されたローターの翼端渦がテール・ユニット(水平・垂直尾翼)にかかり方向安定を乱すため、後方からの風は、ローターの差動による方向安定より影響の大きいテール・ユニットの風見安定効果が逆に働くためと思われる。

シングル・ローター機の場合でも、この風の強さと受ける方位によってはメイン・ローターの翼端渦が流されてテール・ローターにかかりボルテックス・リング状態になり方向安定を失う場合、や風そのものがテール・ローターの推力に影響してフット・バーによる舵の逆利きなどで風見安定さえも失う場合があるようだ。

チヌークの同様の図はまだ見つけてないが、オスプレイのような 制限風速はあっても左右の “AVOID” のゾーンはないかもしれない。少なくとも後部ローターが前部ローターより高い位置にあるため追い風のホバリングなどは持ってのほかと考えられる(Wikipediaでは要出典と書かれるだろうな・・・)

タンデム・ローターの場合、側面から見るチヌークはローターの回転面は上下差(後部が高い)があり、ローターの駆動軸は上開き(V字)で平行ではない。

上面からは前後のローター回転面は重なっているが機械的な同期がとられて、いっぽうのブレードは他方のブレードの中間位置を通ってお互いのブレードがぶつかることはない。

いっぽう、前から見たヘリコ・モードのオスプレイの左右のローター駆動軸もV 字型なのかもしれないが、目に見えるほどではない。(固定翼機でもエンジンの取り付け角を変える例は多い)

オスプレイのローターの回転面は重なっていないが機械的な回転同期はとられている。

また、横から見た場合の左右のローター回転面のチルト(傾斜)角は機械的な同期ではなくコンピュータ制御の同期である。(だから飛んではならないほど危険という説は、多くの条件を付けた上での推理というより憶測になる)

これらのローター配置や機体の形態による差異の考察についてはもう少し資料を集めて項を改めます。

二つ目は、ローター・ヘッドとローターそのものの機械的構造の違いである。こちらはもっと重要と考えられる。

L3_5まず、オスプレイのローター・ヘッドの構造。(以前に掲載したキャプチャーと同じ)

フラッピング・ヒンジは一体で動くテータリング式と呼ぶ、古いと言えば古い、新しいと言えば新しい形式です。(注記参照)

またラギング・ヒンジはなく、ブレードは短く、剛体といえる構成です。

オスプレイのローター・ヘッドの詳細な構造図は公開されていないようです。

ご参考までに、米海兵隊の公式サイトのオスプレイのローター・システムのメインテナンス請負会社決定の記事に15枚の写真があります。VMM-266 (Rein.) conducts MV-22B maintenance です。

いっぽうのチヌークは、

Chinook_rotor_head_1 Chinook_rotor_head_2

極めて古典的な内から外に向かってブレードごとに独立して動くフラッピング、フェザーリング、ラギングの三つのヒンジを持ったローター・ヘッドに長くしなやかなローター・ブレードが取り付けられています。

オスプレイの「(左右の推力の変動」から「機体の非対称な挙動」を比較対象(ベンチマーク)とされるチヌークをからめて、空力により発生すると考えられる要因を比較考察すると次のようになる。

                 オスプレイ        チヌーク  理由と影響の差
   -------------------------------------------------------------
  ローター直径         小         大     要求仕様
  ローター回転数       速い        遅い   ブレード先端速度制限
  ブレード先端速度         ほぼ同じ       機速合成後の物理的要件
  ローター吹き降ろし速度   速い        遅い    機体重量/ローター直径の比
  -------------------------------------------------------------
  ローター・ヘッド自由度    連動1独立1    独立3  自立安定性
  ブレード重量         軽         重    直径を含むオートローテーション
  ブレード剛性         剛         柔    空力緩衝性

上段の四項目は与えられた要求性能で必然的に決まる。下の三項目はその要求仕様から導かれた工学上の現行の解である。機械としての柔軟性はチヌークのほうが優れている。

チヌークのツイン・ロータの駆動技術とシングル・ローター機で改良してきたリジッド・ローター・ヘッドの技術を組み合わせてチルト・ローターに発展させたたオスプレイはブレードの自由度や剛性の面では、シングル・ローター機とも、チヌークとも、大きく異なる。

オスプレイがテータリング・ローター・ヘッドを採用したのは固定翼機モードでヘッドを固定するため、また剛性の高いブレードも固定翼機のプロペラ機能のため、である。

この工学上の解答をベル・ボーイング・グループはプロップ・ローター・システムと命名し、コンピュータで制御をしている。

しかし、機械システムとしてオスプレイチヌークのように半永続性を持つ技術かどうかには、まだ結論は出ていない。

いまは、軍用もしくは官用としてのコスト・パフォーマンスにようやく引っかかる程度なので民間機用には程遠い、とは言えそうである。(技術完成度のたかいチヌークにおいても同様である)

飛行機にしても自動車にしても、いや自転車にしても、発明されてから100年という月日をかけた改善、改良、そして生産数と運用時間の総計をもってして安全な乗り物とされているが事故はなくならない。オスプレイの生産機数をおいておや・・・である。

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YouTubeにあった推力の非対称によるオスプレイの事故の映像を二つにリンクを付けました。

1.Osprey Crash

開発段階の事故であり、これだけで危険とは言いがたい。人為的なミスということだがフライ・バイ・ワイヤーでいう PIO すなわちパイロットがコンピュターの制御ループの中にいたのかどうかは不明。

最終段階ではテータリング式ローター・ヘッドの欠点であるマスト・バンピングを起こしていたと考えられる。マスト・バンピングとはローターの傾きより機体の傾き(またはその逆)のほうが大きくなってローター・ヘッドが支柱(マスト:正確にはローター駆動軸)に機械的に接触してしまうこと。マストが折れることもある。

2.Marana MV-22 incident. 3D animtion. 

こちらは何度も登場した降下率の図にあるのプロットで示された中のひとつであるマラナ(Marana)の事故を3Dアニメーションで説明している。合わせてボルテックス・リング・ステートの説明もある。

ロールによる墜落の原因は降下率が 2000ft / 分を越える急速下降によりボルテックス・リング・ステートに陥ったパイロット・ミスとされている。

ただ、マン・(コンピュータ・エイデッド)マシン・システムのなかのヒューマン・エラーの判定はむつかしい。というよりコンピュータのプログラムから外れたことをやるとすべて人間のミスとされて・・・だから安全とするへんな根拠の論調もある。

いずれにせよ空中に停止または低速で移動するのは簡単で安全とはいえない。固定翼機が比較的安全なのは速度エネルギーをもって離着陸するからともいえる。オーバー・ランなんてのもあるけどね・・・

ボルテックス・リング・ステートもしくはセトリング・ウィズ・パワーはヘリコにとっても、オスプレイにとってはそれ以上に恐ろしい現象、であることは間違いない・・・と結んで、この項は、これにてお仕舞。

まだ以下のような数項目が、残っているがキネマ航空のフライト増便の本業に戻りますので、再開は梅雨明けのころになります。

形態と気象や地形の問題

エンジンの系譜

オートローテーションの日米の解釈の差異

遷移モードの問題

などはしばらくお休みします。

注記)
テータリング式のフラッピング・ヒンジは簡潔な構造でメインテナンスが簡単であり、信頼性はベル社のシングル・ローター機やロビンソンのシリーズで確立している。

ここでの指摘はタンデムやサイド・バイ・サイドのヘッドとして採用した場合の実績である。

ベル社はHSL-1 対潜哨戒ヘリコプター (1953) でテータリング式のローター・ヘッドを採用したが就役後の稼働期間は短かった。

わが、新明和 PS-1 対潜哨戒飛行艇 は着水してソナーを海中に降ろすのだが、ベル HSL-1 は、自動ホバリング装置でソナーを降ろして哨戒海域に長時間とどまるというヘリコプターを拡販する革新的アイデア。

ただ、星形の大馬力エンジンの騒音と振動が激しくて、肝心のソナーの音を聞くことができなかったとさ・・・航空機の開発にはこんな話が多い。岡部ださく氏と岡部いさく氏が両立することが飛行機の楽しさでもある。(閑話休題)

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新規就航のフライトのご案内は近いうちにご案内いたします。乞う、ご期待! ご搭乗!

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