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2014年10月の3件の記事

2014年10月23日 (木)

キネマ航空CEO オスプレイとチヌークのエンジンを比較する

チヌークの観察に入る前に、オスプレイで使ったエンジンの馬力などのスペックは正しいのか、をチヌークと併記して比較検証をしてみます。 

オスプレイの場合はメーカーのロールス・ロイスのサイトにはたいしたデータがなく、駆動系のスケルトン図に添えられていたデータを採用し、チヌークではメーカーのサイトのデータを使用しました。

とりあえずは以下の表のようになります。

オスプレイの軸馬力(Shaft Horsepower )と離昇(Takeoff )馬力は、チヌークでは中間(Intermediate )最大馬力と最大(Maximum )馬力に相当しているようです。

オスプレイのツー・エンジン・オペレーションで使われた 5,223 hp は、チヌークの連続最大(Max. Continuous )馬力に当たり、シングル・エンジン・オペレーションの遷移モードで使われる 6,838 hp はチヌークでは不測時対応(Contingency )出力に相当するようです。

ただし比較するといっても、高度や温度、湿度などの空気密度に関係する諸条件が異なっているので絶対値の比較にはなりません。

また、連続出力を越えた出力には運転時間の制限が必要ですがオスプレイでも同じ条件で設定されているのかどうかも、はっきりしていません。

結論から言えばここに示したデータにも、(メーカーの測定方法や公表方法に加えて、時期の差、受け取ったメディア側の数値の丸めや背景の省略、等々で)いろんな数値があり、どれが正しいのかは、わからない・・・が正解のようです。

Engine for OSPREY for CHINOOK
Exterior View Ae_1107c T55l714
Type Rolls-Royce
T-406
Haneywell
T55-L-714A
Specifications
Contingency 5,069 shp (2 min) SL,59 F
4,000 shp 4,000 ft/95 F
Takeoff 6,380 shp (SL,103 F)
Maximum 4,867 shp (10 min) SL,59 F
3,750 shp 4,000 ft/95 F
Shaft Horsepower 6,150 shp
Intermediate 4,527 shp SL,59 F
3,350 shp 4,000 ft/95 F
Max. Continuous 4,168 shp SL,59 F
3,000 shp 4,000 ft/95 F
OEI 3,584 shp (SL, 90 F)
One Engine Inoperative Cruise (20k, 0.55 Mn)
Length 77.1 in (1,958 mm) 47.1 in (1,196.3 mm)*
Width 28.8 in (732 mm) 24.25 in (615.9 mm) Dia.
Height 34.9 in (886 mm)
Weight 971 lbs/440 kg (dry) 830 lb/377 kg*
*w/o tailpipe
Max Turbine Temp 2,200 F
Power Turbine Speed
15,000 rpm (V-22 hover)
12,750 rpm (V-22 cruise)
(N1) 18,720 rpm
(N2) 15,333 rpm
Attitudes
Pitch +110, -90
Roll 55
Applications Osprey CH-47 Chinook
Bell 309

写真の状態は、実装時に必要なテール・パイプ(軍用では必須のIR サプレッサー赤外線減衰排気管)や前方のコンプレッサーの吸気口の前にある遠心式防塵フィルターは付いていません。これらは性能測定時にも装着されてないと思われます。

写真では左側(エンジン前方)にある円筒状の部分は回転しません。オスプレイではプロップ・ローター・ギヤボックスに連結する支柱、チヌークではエンジン・ギヤボックスの台座です。駆動(出力)軸は中央の穴の奥にあります。

用語を補足すると SL (Sea Level)は海面高度、shp (Shaft Horsepower) は軸馬力、OEI は単発運行不能(One Engine Inoperative )馬力。F は温度の単位で華氏(Fahrenheit)表示。

OEI は双発以上の機体が単発で飛行する場合、飛行を維持できなくなる馬力らしい。オスプレイの場合、(たぶん定格)軸出力の60%に相当するようだ。

ただし、付随する数値の単位がよく分からない。0.55Mn(ノーチカルマイル ? )は許容飛行距離で1km程度か・・・20kが ft 単位の高度とすると6,000mとなり・・・降下角80.5度のオートローテーションではない飛行状態で緊急着陸できる出力・・・となるが・・・(この解釈は今のところ閑話どころか当てずっぽ、です)

チヌークのパワー・タービン・スピードの(N1) はコンプレッサー・タービン、(N2) はパワー・タービンの回転数です。左側のオスプレイの表記とは関係ありません。ターボシャフト・エンジンの排気側タービンは分離されている2軸構成ですので一つのエンジンに二つの回転スピードがあります。(ターボファン・エンジンのN1、N2 の関係は後日出てきます)

オスプレイも同じですが N1 はわかりませんでした。出力回転数は、巡航(クルーズ)時にはホバーリング時の82%まで低めています。

言いかえれれば機速に合成されるローターの回転数も82%低下しており、ブレード先端の合成対気速度も低くなりますから、パワーレバー全開時より高速で飛行できることになります。プロップローター径の大きさからすると固定翼機モードでも同様と考えられます。

オスプレイらしいスペックは姿勢(Attitudes)の項目で、ヘリコ・モードで20°弱の機首上げ、固定翼機モードで90°の機首下げ、どちらのモードか判らないが左右のロールでは55°の傾斜での運転を保証するようです。

これらは、自動車では一部のエンジンで採用されているドライ・サンプ方式と呼ばれる潤滑オイルの回収と循環配分の構造に関係しています。ただし実機で加速度がかかった状態での試験によるものか、どれくらいの時間を耐えうるのかなどは、ここではわかりません。

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オスプレイのエンジンはアリソン・エンジン社で開発されました。その時の呼称はAE 1107C-リバティでした。

1995年には会社ごとロールス・ロイス社に買収されて公式名称も変更されていますが社内名称はAE 1107Cが使われているようです。

GM から始まるアリソンの社名は消えました。GM・アリソン時代のレシプロ・エンジンでは液冷V12気筒の V-1710 がロッキード P-38 などに採用されていました。

いっぽうのチヌークのエンジンはライカミング社のT55-L-7シリーズからはじまります。テキストロン・ライカミングを経てライカミング部門はアライドシグナル社に売却され、そのアライドシグナル社はハネウェルと合併したうえで、企業規模は小さいが軍民の市場に通りの良いハネウェルと名前を替えたのでハネウェル・エアロスペース社になりました。

現在のハネウェル社はコングロマリットで、軍民にまたがる多角企業となりエンジン部門はその一部門です。エンジン部門の歴史だけでも実際はシグナル・オイル時代のギャレット・タービン・エンジン社の買収も絡んでもっと複雑です。

アライド社は化学品や染料、シグナル社は石油会社で創業しました。その源流のなかにアメリカの中小の航空エンジン・メーカーの二社が組み込まれていった歴史であります。

ハネウェルは石油産業向けのプロセス制御機器やシステムで創業しました。タービンの開発そのものには直接の関係はなかったようですが行きがかりでエンジンにその名を冠することになりました。

あ ! ハネウェル製となったライカミングの空冷水平対向4気筒、6気筒の軽飛行機用エンジンでは昔の名前ででているのかなあ・・・ライバルのコンチネンタルはテレダイン・コンチネンタルになっているけど・・・中国政府系企業の傘下になっています。

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さて、簡単にまとめれば以上のように公表されたスペックは、比較するにもあてにならないと言うことになります。でも企業の変遷の歴史は面白い。

コングロマリットといえば日本では三菱といわれますが、企業のダイナミックさ、ではアメリカには及びませんね。

さて、チヌークの観察にはどの値を採用すべきか・・・それが問題だー!

2014年10月 8日 (水)

キネマ航空CEO シングル・エンジン・オペレーションのオスプレイの駆動系を観察する

さて、いよいよ片肺飛行です。といっても固定翼機のプロペラと違ってヘリコではすべてのローターが翼ですから回転し続けなければ揚力はつくれず、舵も利きません。ヘリコ・モードのオスプレイも同じです。

今回は、チヌークとは決定的に異なるスラスト・ベクター機としてのオスプレイの駆動系の設計意図について観察します。

1eng前回の ツー・エンジン・オペレーション と同じような図ですが、#2(右) ENGINE の回転数は 0 rpm 、つまりエンジンは停止しています。

各部位の略号は、その 前回 に記憶していただいたので省略して細部を見ていきます。

PRGB のギヤ・レシオは自動車のトランスミッションと違って、変えようがない。PRTR を効率よく使う回転数も変わらない・・・ので ENGINE の回転数はツー・エンジン・オペレーションと変わらない。したがい PMDS ICDS の回転数もそれぞれに同じである。

ジェット・エンジンは基本的に回転数は一定で、負荷に応じて燃やす燃料の量を変えて出力(hp)を調整している。出力を下げるため燃料を少なくする場合は最大回転数のパーセントで回転数を管理する)

オスプレイも、シングル・エンジン・オペレーションでは、同じ回転数のままで ENGINE 出力を、 6,200 hp として、定格出力 5,223 hp118.7 %977 hp )の連続緊急出力にしている。

では、この緊急出力はどう伝わるのか・・・書き直した下の図に移ります。赤い字の #2 (右) ENGINE が駆動系から切り離されて、動力の流れを示す矢印が#2 (右) PRTR に流れています。

Single_engine_operation_rev1b
この図のスプラグ・クラッチの位置については 前々回の機能説明 に沿った説明用です。本当にこの位置にあるのかどうかは不明です。詳細は次回に。

#1 (左) PRTR への出力と PMDS への出力を合計すると 6,038 hp で、 #1 PRGB の効率は 0.97 となる。ツー・ローター・オペレーションで計算した値より 1 %ほどよい効率となっている。

同様に計算した #2 (右) PRGB の効率は 0.96 となっている。この値はツー・エンジン・オペレーションの効率と同じである。

#1 (左)と異なるが、このあたりは計算誤差(たとえば kw から hp などの換算時)として 0.96 に統一しても問題はないだろう。

左右のローターの消費動力は同じなので左の PMDS #1 の出力と右の PMDS #2 の入力差の 947 hpTAGB #1, 2 / ICDS x 2 /MWGB の効率損失と各 ACC の消費動力となる。

MWGB への入力は、前回のツー・エンジン・オペレーションでは左右の ENGINE からの合計で、0.96 x 2 x 511- A ) hp だった。

今回のシングル・エンジン・オペレーションでは、 MWGB の入力は、喪失した側の PRTR に向かう動力から分岐される。

したがい、この図から MWGB への入力を計算すると、{ 0.96 x ( 3,550 - A ) - (2,603 + A ) / 0.96 } hp となる。

式中、 0.96 は、仮のTAGB の伝達効率、 A は、TAGB に付属する ACC の消費動力。(詳しくは一番下から二番目の章立てを読んでね)

二つエンジン・オペレーションでの式を計算して(かなり大胆に)丸めて並べると、 ( 981 - 2 x A ) hp( 697 - 2 x A ) hp になる。 両式の差は、284 hp で、シングル・エンジン・オペレーションのほうが小さい。

シングル・エンジン・オペレーションでは、 MWBG に直接入力される APU の出力 300 hp で補完されて (997 - 2 x A ) で不足分がカバーされる・・・と考えられる。

また、シングル・エンジン・オペレーションの遷移モードでは PMDS4,350 hp の出力が伝達されている。これにローターの出力を加えると 6,838 hp となり、連続緊急出力よりさらに 800 hp 多くなっている。

PRGB の効率 0.96 を使ってエンジン出力に戻すと 7,050 hp となる。この値は定格出力135 %となり短時間緊急出力として運用するようだが、どのように使われるのかよく分からないが・・・

その状況を、元の図から得られる情報だけで考えると、シングル・エンジン・オペレーションで、左右のナセルを固定翼機モードから回転翼機モードへティルトさせる動力を作るため MWGB に連結された ACC が一時的に必要とする入力を確保するためのようだ。

短時間緊急出力時MWGB 入力を計算すると、{ 0.96 x ( 4,350 - A ) - (2,603 + A ) / 0.96 } hp 、の計算結果を丸めて ( 1,465 - 2 x A ) hp となる。

この値はツー・エンジン・オペレーション時に APU の出力 300 hp を加算した場合の (1,281 - 2 x A ) hp と等価と考えられる。

(短時間といっても、何しろジャイロ効果で動こうとしない PRTR を無理やり起こし、かつ反力による機体のピッチ挙動<固定翼機モードへは上げ、ヘリコ・モードへは下げ>を抑えながらだから・・・それなりの時間はかかるけど・・さらにつけ加えればティルトによるトルク反力は水平尾翼の揚力の制御で釣合わされる。つまり低速では行えない。)

試乗記(全てではないけれど)を読んでもはっきりしないが、ツー・エンジン・オペレーションで最大積載状態の離陸をする場合は、始動時のまま APU の運転を続けている可能性がある。

いっぽう、軽積載の離陸や燃料消費後に機体重量が軽くなった状況での着陸であれば APU を使わなくても ENGINE(s) の余力でナセルをチルトできるのでは・・・と考えられる・・・)

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これらから、ツー・エンジン・オペレーションのオスプレイの固定翼機モードの飛行では APU を使用していない・・・

しかし、エンジン一基の出力を失ったシングル・エンジン・オペレーションで、同じ状況の飛行をする場合には APU を作動させている。

その理由は高高度飛行時に必要な MWGB から駆動される機内環境機器に必要な動力を得るためと考えられる。したがい、低高度では、 APU は必要ない・・・と思われる。

135 % の短時間緊急出力を使うシングル・エンジン・オペレーションでの遷移飛行は、着陸進入降下時に固定翼モードから回転翼モードへの転換をおこなって、緩角度進入(Shallow Approach)による接地をおこなうためと考えられる。

すなわち、最悪でも PRTR のブレード先端が地面(願わくば滑走路)に接触しないような、ある角度(不明)以上の遷移モード、あるいは回転翼機モードにまでナセルをティルト・アップするためと考えられる。

同時に、遷移モードではフラップ(正確にはフラッペロン)を適切な角度に下げてキャンバを増やした主翼にプロペラ後流を当て、揚力を向上させる、固定翼機でいうバック・サイトでの揚力、を確保する。(バック・サイト : 高揚力装置と大動力に頼って低速側でおこなう飛行域。新明和 US-1、US-2 の離着水時に行われている)

・・・と同時に傾斜したローターとして得られる推力の上向き分力を揚力として使うためと考えられる。

いい換えると、オスプレイは、翼面荷重がどうのといわれるが基本的にヘリコ・モードより固定翼機モードのほうが効率よく飛行できる。

遷移モードの飛行制限速度の範囲は機体重量により 148-222 km/h となっている。シングル・エンジン・オペレーションでもこの速度は出せる。

類似の固定翼機と比べると速い着陸速度になるが遷移モードでの滑走着陸のほうが選ばれると考えられる。

いずれにせよオスプレイAPU はスラスト・ベクタリング機の緊急時のシステムに組み込まれており、遷移モードにおいての対応は固定翼機の緊急着陸と同じ扱いと思われる。これらの作動がコンピュータ制御で行われるのかどうかは定かではない

さて、回転翼機モードでの緊急時の状況もこれらの数字から推定は可能だがそれは別の機会に。

ちなみに、シングル・エンジン・オペレーションで使われる二つの緊急時出力(定格の 120 %135 % )をツー・エンジン・オペレーションに適用すると、それぞれ ( 2,819 - 2 x A ) hp ( 4,355 - 2 x A ) hp になり MWGB 入力とすると過大すぎる。

この場合は、 PRTR 側に供給されて軍用機として(時間制限のある)機動に使われる可能性が高い。
(ただしヘリコプターの離着陸を観察していればわかるが、オスプレイといえども低速の VTOLでは軍事的に有効な力まかせの機動といえるような効果は出せないと考えられる)

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さて、 TAGB で駆動される ACC の消費馬力 A hp は、あらゆる飛行モードでいつも同じ値とは考えられない。参考資料もなく、変数 A のままにしておきます。

TAGB の効率も PRGB で算出した 0.96 を使ったが実際は効率の悪い傘歯車を使っており、もっと低い(0.9 前後 ? の)はず・・・です。

しかし、 ACC の消費馬力 A hp など未知数のままので、便宜上 PRGB と同じ値にしました。(効率は 1 としてもよかったのだけど、どんな機械にも損失があることを示しておきたかった・・・混乱させたなら、ゴメンナサイ)

APU の出力から推測すると、 始動時には、揚力を発生させないブレードのピッチで PRTR が一定速度の回転(空転)をしていると仮定すれば・・・

オスプレイ一機の MWGB 分を含めたすべての ACC の駆動馬力と PRGB を含むすべてのギヤボックスの発熱に相当する損失馬力の合計は最大で 300 hp と考えられる。

二つのエンジンが停止すれば、これがオートローテーションに入るべき PRTR にかかる抵抗になるはずなんだけど・・・

ACC から供給される操縦に必要な動力は搭載している蓄電池や蓄圧機でカバーできるかもしれないし・・・
二つの ENGINE 出力を失っても APU は生きている可能性が高いと思われ・・・
不用不急の発電機、油圧、空気圧のポンプなどの ACC は回路を切断または調整されて抵抗を最小限にした空回り状態にすると考えられ・・・

つまり、 300 hp がそのまま PRTR の回転抵抗になるとは考えにくい。

と、なれば APU は、 PRTR の回転を続けさせる補助動力にもなる・・・
そうなれば、セミ-オートローテーションができる・・・可能性も残されている。

もちろん、これらのマシン・サイドのシステムの作動がコンピュータ制御で行われるのかどうかは定かではない。

ただ、オート・ローテーションを継続させがたい形状の PRTR ではあるが、それで騒がれた割には、そうなる前にカバーする手順は設計的にはいろいろと考えられているようだ・・・が、専門誌も新聞も技術的な調査報道はしていない。(あるようだと、ご面倒ながらコメントで知見をご教示ください)

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次回は、チヌークの、ツーも、シングルも、オペレーション全部ひっくるめて観察してオスプレイの疑問点を振り返るのココロだー! 

でも資料があるかな ? なければ寄せ集めからの独断だ !

2014年10月 2日 (木)

キネマ航空CEO ツー・エンジン・オペレーション時のオスプレイの駆動系を観察する

ICDS の馬力と MWGB の入力の計算式を見直しました・・・2014.10.03

(承前)
・・・ではどんな具合にオスプレイの動力が機体の中をめぐっているのか?
(いつもにも増して長くなりますが、末尾にクイズが二問あります。最後まで読んでね ! )

2engWEBではUS パテントの図面に、誰かが回転数と伝達馬力を書き込んでくれている。

お行儀悪いがそのまま使わせていただくことにする。ただし、もう少し見やすい(はずの)ブロック図に書きなおして下方に置いてあります。

観察する前に、まず、短縮記号のおさらいをしておきます。

ENGINE : (短縮されてないけど)エンジンです/
PRTRProprotor プロップローター/固定翼機のプロペラとヘリコプターのローターの合成語。
PRGBProprotor Gear Box プロップローター・ギヤボックス/ENGINE の出力を PRTR の回転数やTAGBの入力回転数にまで減速する歯車箱
PMDSPylon Mounted Drive Shaft パイロン・マウンテッド・ドライブシャフト/支柱(Pyron)の中を通って PRGB から TAGB へ動力を伝えるシャフト。
TAGBTilt-Axis Gear Box  ティルト・アクシス・ギヤボックス/PRGB から PMDS へ分岐された動力をさらに減速して主翼の方向に変える歯車箱。 PRTR を傾ける(ティルトする)中心軸となる
ICDS Interconnecting Drive Shaft インターコネクティング・ドライブシャフト/ 相互接続用駆動軸。図では Segmented drive shaft が使われている。こちらだと、分割式駆動軸
MWGBMid Wing Gear Box ミッドウィング・ギヤボックス/翼の中央でICDSを通って左右のエンジンからくる動力をACCを駆動する回転数にまで減速させる歯車箱。もう一つは、ICDSを連結する機能、いい換えればローターの回転を同期させる機能の一部
APUAuxiliary Power Unit オグジリアリイ・パワー・ユニット/補助動力装置。オスプレイでは MWGB に接続している。詳細は、後ほど MWGB といっしょに・・・

さて、書き直した図です。エンジン二基で運用しておりますから #2 (右)エンジン側は機軸に対して対称なので省略しています。2_engine_operations_rev1まず、Gear Ratio(ギヤレシオ)は、ギヤボックスの入力回転数÷出力回転数の比( i = n in / nout )で表わされます。

hp はヤード・ポンド法により英馬力を示します。また、ps(日本ではPSと表記)はキログラム・メートル法による仏馬力です。
ps = 2π x (n / 60 )x T / 75 で計算され n : 毎分回転数(1/sec)、T : トルク(kgfm)です。これを英馬力にするには hp≒ps/0.986 となります。

hpps より1.4 %大きくなりますが実質では同じです。 pshp に整合するように係数がきめられました。 ps は 10進法ですので仏馬力のほうに合理性があります。

仏馬力 ps の単位に注目すると[ kgfm/sec ]ですから 1 秒間に、何 kgf の重量を 1m 動かせるか、または 1 kgf の重量を 何 m 動かせるか、を表しますので『仕事量』と呼びます。

いずれにせよ hp (仕事量)はギヤボックスの効率を 1 ( =100%つまり損失ゼロ) とすると前後の仕事量は不変で入力馬力も出力馬力も同じです。
(ギヤボックスを通ったエンジンの出力は、回転数はギヤ比 i で割り、トルクはギヤ比 i を掛けて ps = 2π x { (n / i ) / 60 x i T / 75 } とになります。)

現実のギヤボックスでは熱に変わる損失が T (トルク)に現れ、出力側の ps (仕事量)は減少します。出力馬力÷入力馬力の比を効率 と呼び η= Tout / Tin = ps out / ps in = hp out / hp in となります。

さて、お気づきでしょうか? PRGB から PRTR への最大出力は 4,570 hp PMDS へは 511hp で、合計 5,081 hp です。エンジンの出力は 5,223 hp ですから差引 142 hp PRGB 内で熱に代わっているようです。入出力の比から PRGB の効率は 0.96 程度となります。(良すぎるように思えますけどね)

PMDS TAGB につながり、軸の向きを90度変えて ICDS に出力を伝えます。 TAGB もギヤボックスですから効率があるはずですが明確ではありません。

さて、ENGINE から TAGB まではティルトするナセル(エンジン覆い)内にあります。 ENGINE 本体はコンプレッサーが吸入する空気を分流して冷却します。

いっぽう、同じナセル内にある 「ナントカ GB 」 とつくギヤボックスは発熱した潤滑油を循環させて冷却するためのオイル・ポンプとオイル・クーラーそのクーラーに空気を送るか吸い出すクーリング・ファンなどが必要です。

これらのポンプやファンを駆動する動力は TAGB に付属する ACC (アクセサリー:補機)を通して取り出します。 TAGB も効率を 0.96 と仮定し、 ACC による動力消費分を A hp と仮定すると ICDS を通って 0.96 x 511- A ) hp MWGB に伝わります。

正確にいうと MWGB には右のエンジンからも同様に伝えられており、倍の 0.96 x 2 x 511- A ) hp MWGB の入力となります。(現実では ICDS などのジョイントでも損失があるのですが無視します)

MWGBには次の図のような ACC が付属しています。 ACC は、発電機 2、空気圧縮機 1 、作動油圧ポンプ 1 、潤滑系オイル・ポンプ 1 、オイル・クーラーのファン 1 で構成されています。

Us5054716s1
さらに MWGB には、入力軸である ICDS につながるローター・ポジショニング・ユニット(電気もしくは油圧モーター)とローター・ブレーキが付いています。

これは同期された左右の PRTR ブレードの先端が作る正三角形の決められた一辺が、格納時に ブレードの折り畳み機構が所定の位置になるように、またブレードを展開した駐機時に地面に平行になるように回転と係止(停止と固定)をする機構のようです。

そして、 APU としてハミルトン・サンドストランド製 T-62T-46-2 APU ターボシャフト・エンジンが接続されています。

APU にはオートマチック・スターター、オートマチック・クラッチ(機械的なスプラグ・クラッチは別にあるはず・・・)、その他もろもろのメカニズム を制御する全自動電子制御装置を装備されています。

オスプレイに装着した状態では不明ですが標準状態の軸出力は吸気温度や高度によって変わります。 300 hp から 225 hp 、回転数は 12,000 rpm 、限界実用高度は 5,334 m となっています。

コックピットに座って、(あなたの自動車の始動マナーと違い、マニュアルのコール・アウトでチェックをしながら)エンジン起動ボタンを押すと、まず APU が起動し、安定した回転をはじめたら電子制御クラッチを作動させ MWGB ICDS PRGB を経由してPRTR を回しはじめます。
APU を起動するにはそれ用の ACC も必要ですがここでは省略。)

しかし、APU の動力はエンジンと PRGB の間にある(はずの)スプラグ・クラッチのために直接 ENGINE を駆動して起動させることはできません。

MWGBACC は、ICDS を経由して停止状態からはじまる起動状態の ENGINETAGB  TAGB などに付属する ACC に代わって電力、油圧、空気圧を供給する ENGINE の始動装置として働きます。
(押し掛けできないオートマ車ではジャンプ・コードで隣の車のバッテリーから電力を供給してスターターを回すようなものです・・・親切で用心深いあなたは自分の車のエンジンを掛けてからコードをつないで上げるでしょ・・・閑話の押し売り)

MWGB のギヤ・レシオは不明だが、PRTRICDS には機械的につながっており、 APU の定格回転数と ICDS の回転数と整合させるとすると APU から ICDS 見たギアレシオは 1.825  ぐらいか・・・逆に ICDS から APU 見れば、逆数の 0.5479 の増速となる。ACC に対するギヤレシオは分かりません)

では、この APU はシングル・エンジン・オペレーション時にはどのように働くのか ?
賢明な読者は APU の出力とエンジンから伝わる MWGBACC への入力が違いすぎることに気がついたはず・・・ですが、すべて次回のこころだー。

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なお、 MWGBAPU の解釈はパテントの図を参考にしており、実際とは異なるかもしれません・・・念のため !

構造的に右エンジンは右ローターだけを駆動するわけではありません 。
実際の動力はICDS を通して(操縦などの人為もあれば風などの自然条件によって変わる)左右のローターの負荷の変動に合わせて、左右のエンジンが相互に動力を融通しあっています。(本文の説明では MWGBACC を駆動するだけの説明になっています。しかし融通される動力が大きくはないことも事実です)

ここで問題。二つ以上のエンジンの出力を合成して一つまたは二つのプロペラを回しているヘリコはたくさんあります。

では、固定翼機の名前を挙げられますか ? ヒント ! ダブル・マンバなんて聞いたことありませんか ? ・・・まだ、まだありますよ・・・成功したとは言えませんが・・・。

さらに一つのエンジンで二つのプロペラ(一軸二重反転式は除く)を回す有名な機体は ? ヒント ! プロペラは互いに逆方向に回転しています。

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