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2016年2月の2件の記事

2016年2月29日 (月)

キネマ航空CEO MRJが採用したP&Wのギヤード・ターボファン・ジェットを読み解くの巻

一応はMRJのカテゴリーで書いているのでプラット&ホイットニーP&W)のギヤード・ターボファン・エンジンの話を・・・

P&W ではギヤード・ターボファンを ピュアパワー とブランド化して呼び、6つのファミリーがそれぞれ推力によって細分化されて合計すると16型式に分けられ、航空機メーカーはこの中から機体に応じて選択することになる。

三菱 MRJ 90 に使われるエンジンは PW 1217G です。二軸(ツー・スプール)仕様で、ファン直径 56 インチ(1.42m) 、バイパス比 9:1 と、ここまでは公表されていますが・・・

図は、上記のファミリィの総称であるピュアパワー・エンジン PW 1000G シリーズのカットアウェイです。エンジンのスプール(軸)の構成は 1 - G - 3 - 8 - 2 - 3 となっています。

構成を示す数字は、軸と一緒に回転する動翼の段数で左より (ファン)-(ギヤ・ボックス)-(低圧段圧縮機)-(高圧段圧縮機)-(高圧段タービン)-(低圧段タービン) の順です。
ストレートに流れる軸流式なので各段の構造を示す付加記号は省略しています。説明図では以上の構成を明確にするために各動翼の後ろにあるべきエンジン筐体に取り付けられている静翼は描かれていません。

Pw1000g_cut_away_dwg

MRJ 90 で採用した PW 1217G1 - G - 2 - 8 - 2 - 3 で、このPW 1217GPW 1715Gエンブラエル E-Jets E2 175MRJ 70 相当)のみ低圧段圧縮機は 2 段です。

今のところ(詳細は後述)、その他のシリーズはすべて 3 段の低圧段圧縮機を採用し、
ファン径は、
PW 1500G シリーズ(ボンバルディア C シリーズ)と
PW 1900G シリーズ(エンブラエル E-Jets 190/195 )は 73 インチ(1.85m)、
PW 1100G シリーズ(エアバス A320neo シリーズ)と
PW 1400G シリーズ(イルクート MC-21)は 81 インチ(2.06m)、
と変えています。

併せてバイパス比は 12:1 (PW 1100G シリーズは 12.5:1)と大きくなり、当然ながらターボジェット・エンジン部分(コア・エンジン)も変わり、航空機メーカーでシリーズ化された機体の最大離陸重量に合わせたスラスト出力を提供できるエンジン型式を揃えて細分化されています。

ちなみに PW****G の番号部分は上一桁がピュアパワーシリーズを示し二桁目は機体メーカーの発注順のようです。
エンブラエルは 7 と 9 を持っており、別の理由もあるかもしれません)

また、下二桁で静止推力をキロ・ポンド単位で表しています。数字は 15、17、19、21、22、23、24、27、28、31、33、35 と並んでいます。こうしてみると日本の重工業がジェット・エンジン・メーカーとして世界を相手にビジネスを展開するのは不可能に近いことが垣間見えてきますね。
(視点を変えれば三大エンジン・メーカーが商品分野によりアライアンスを組む時代では部品メーカーのほうが有利で重要ともいえます)

・・・で、三菱 MRJ 90 のエンジンとなった PW 1217G は、ピュアパワーエアバスPW 11**G)に続いて二番目に 発注し、静止推力は 17,000lb を選んだことになります。
また、 MRJ 70 には 15,000lb の PW 1215G を予約しています。これは七番目にピュアパワーの発注をしたエンブラエル E-jets E2 175 用の PW 1715G と基本構造は同じとなります。

なお、肝心なスプール回転数では別資料より、現行の PW 1100G シリーズでは、ファン回転数は 3,500 rpm 、低圧段タービン軸 N1 = 15,000 rpm 、高圧段回転軸 N2 = 18,000 - 20,000 rpm とあります。

これよりギヤ・ボックスの減速比は 4.3 前後と推定できますが、その資料には「航空技術者の推定であり引用は控えよ。公式発表に合わせて訂正をする」と注記されています。

ギヤ比については、後日の検証と調査で 2.8230 と 3.0625 の二種類が判明しました。ギヤ比はファンの直径に直接関係するので、もう一種類の存在が考えられます。
当ブログの『 MRJ 』のカテゴリーを通覧ください。

MRJ 90 に採用された PW 1217G の回転数などは今のところわかりませんが、おそらく同等と思われます。

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さて、PW 1000G の詳細については日本語のウィキペディアのサイトにもありますがメンテナンスはされていないようです。

このため 当ページからのリンク は英語サイトです。さすがだな ! と思うのは仕様性能表にはソート機能がつけられており、いろんな比較ができます。

例えば 三菱 MRJ 90 は、出力の低いほうから二番目の PW **17G を選択しています。その一段上の PW **19G の場合、燃費では-12% から -14~-15% へ、騒音は -15dB から -20dB へと性能のマージンが向上している。

これが低圧段圧縮機の段数が 1 段多いことに起因する性能差なのかどうかは定かではありませんが、バイパス比(9:1 と 12:1 )の差を含めてその間に線引きはできます。
いずれにせよ製造コスト/販売プライスに関係する差であることは間違いありません。製品をそのまま小さくしても組み立てにかかる人工が目方と同じ割合で小さくなることはない。価格が安かったり販売数が少ない商品では部品点数を少なくすることが優先課題となります。

もちろん同じ出力のターボファン・エンジンとの比較マージンですから一概には言えませんが、航空会社(キャリヤー)からは絶対値と同時に経験からの相対値の比較でも評価されると考えられます。

19,000lbクラスを採用しているのはボンバルデア CS-100 の 114 - 144 席、エンブラエル E-jets E2 190 の 108 - 133 席の機体となっています。

最小の PW **15G を分け合う三菱 MRJ 70 は 76 席、エンブラエル E-Jets E2 175 は 80 - 90 席。 ちなみにただ一社だけで PW **17G を採用している三菱 MRJ 90 は88 席です。

これらのエンジンの選定には座席数の決定から始まる機体の仕様が大きくかかわっています。

客室のシート幅や前後のピッチ、中央通路の幅に高さなどの乗客のアメニティと胴体断面積など機体にかかわる空気抵抗や運航重量からくる巡航速度を含めた経済性との「バランス」というより「トレードオフ」の結果への評価が機体メーカーの信用性を含めた航空機ビジネスであります。この辺りは「キネマ航空CEO MRJ の胴体を考える」を参照してください。

三菱 MRJ はエンジンの選択から見ても最先端を狙った尖ったコンセプトとも言えず、既存のメーカーが手持ちのカードから選んだ正攻法の隙間を狙ったニッチの商品と言えそうです。

ニッチと言うことで輸入貿易の閉鎖性を問われない限りにおいて、アイロニーを込めて YS-11 と同様に、国内での成功はほぼ約束されているといえます。どこの国にとってもそれが国産であり、そこから始まるのではありますが・・・

いっぽうでは、「(当CEOに言わせれば「尖んがりすぎた」)ゼロ戦を創ったメーカーの、」を枕詞とした 3K (高いほうのKですよ)がらみのメディアや航空雑誌で喧伝している性能と機能と日本人のマニアだけに通じる過去の誇示が輸出市場の評価基準ではないよ、と断言をしておきましょう。

なお現在、 PW 1000G シリーズを採用した型式認証済の機体は

PW 1127Gエアバス A320neo でルフトハンザから 2016/1/25 より就航
PW 1519Gボンバルディア CS100 でスイスグローバルエアラインから 2016/第二四半期に就航予定
PW 1521Gボンバルディア CS300 でエアバルテックから 2016/後半に就航予定

です。

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さて(オスプレイは食傷気味になっているので)、次回は・・・シンプルなターボ・ジェット・エンジンの発展型であるターボファンにターボプロップより高速で回るギヤ・ボックスをつける意味があるのか・・・(そりゃあるから作っているんだろうけど)について考えるの巻・・・

実績のあるギヤード・ターボファン・ジェット・エンジンの、元はと言えばライカミング製のハネウェル ALF 502 、LF 507ギャレット・エアリサーチからアライド・シグナルを経由したハネウェル TFE731 などと一緒に・・・ハードルの上げすぎかなあ・・・

でも GE ホンダ エアロスペース HF120 ターボファン・ジェットと比較するのも面白そうだし・・・

この回でやってみました。
キネマ航空CEO 『GTF のまとめにかかる』の巻(その 2) 2018/07/20

2016年2月19日 (金)

キネマ航空 CEO ターボファン・ジェットにたどり着く

承前

ターボプロップもターボファンもギヤード・ターボファンも起源は意外と古く、ターボ・ジェットとほぼ同時期に設計されている。

1940年代、戦時中のイギリスではホイットルが率いるパワージェッツ社の試作したターボファン・ジェット LR.1 は試験の直前に政府から中止命令をくらう。アイデアだけではロールス・ロイス社の息のかかった A.A.グリフィス博士の CR.1 はバイパス比 7 というAFT(アフト:後部)・ファンの構想をすでに立てていた。

ドイツは機体メーカーのハインケル社が HeS 8 をベースにギヤード・ファン・ジェットの Hes 10 の試作を完成させたが航空省の意向でエンジン自体の開発も製造も禁止された。航空省は気乗りしていないダイムラー・ベンツにターボジェットの HeS 11 をベースにターボファンやターボ・プロップの研究をさせたが設計が完了した年に戦争は終わった。

ターボプロップ・エンジンでは1940年前後にかけて試作から試運転まで行ったのはハンガリー人の機械技師ゲオルギー・ヤンドラシークによって設計されたヤンドラシーク Cs-1 だった。当時のハンガリーはナチス・ドイツの支配下にあってドイツの機体やエンジンを生産するために中止させられる憂き目にあっている。

つまり、同じころにターボジェットの開発に並行して、人間の使う範囲では、ジェット・エンジンで膨張した軽い質量の噴流を狭い面積から噴出させるよりも、冷たい(重い)空気を大量に送り出す動力源として使ったほうが効率が良いと考えられてはいたが、・・・

それと同時に(早く飛ぶほうが重要な)戦争遂行には際物技術としてパトロン(国家)からは開発の差し止めをくらっていた。

何ごとにつけても創世記の歴史はややこしいので同じ著者が書いた次の二冊を参考書として上げておきます。

英国人らしい言い回しと章立てなので通史としての理解は一読しただけではまずできない。何度も繰り返して読まねばならないが図や写真が豊富に掲載されています。

別冊航空情報 ジェット&ガスタービン・エンジン その技術と変遷 酣橙社 1997
ビル・ガンストン著 高井  岩男 監修・訳
  「現在開発中の最新技術」といわれるギヤード・ファンもフロント/アフトのアンダクテッド・ファンもプロップ・ファンもスキュード・ファンも機械構造としてはガンストンの原著が出版された1994年のはるか以前に考えられており、延々と開発が続けられていること、進捗は金属、非金属の新材料の開発とコンピュータによる数値計算と実物の実験結果との整合性の検証に時間がかかっていることがよくわかる。

世界の航空エンジン ② ガスタービン編 グランプリ出版 1996
ビル・ガンストン著 見森 昭 訳
  原著の出版は1995年。アルファベット順でエンジン・メーカー別に企業の沿革と技術史が記述されている。巻末の索引にはエンジン型式名も同様にまとめられており、上記の副読本として必須の参考書。なお翻訳では原著を分冊しており ① レシプロ編 があります。

  当CEO の私見ではどちらも日本がかかわる項目では訳者がかなり加筆もしくは改変をしているようで原著者のニュアンスとは違うような気もするが・・・いずれにせよ日本の類書の原典であります。


さて・・・現在の、

ターボプロップで最大最強のエンジンはロシアのツポレフ Tu-95 爆撃機や派生機種のTu-114 旅客機に使われる系列で四翅/四翅のオートフェザーリング可能な定速コントラ・プロペラ AV-60N (直径 5.6m )を 750 rpm で回しているクズネツォフ NK-12 となる。タービン駆動軸の構成は一軸(シングル・スプール)です。

また、アントノフ An-22 輸送機は同じエンジンでコントラ・プロペラ AV-90 (直径 6.2m)を採用している。

タービン回転数は正規出力時 11,836 ehp / 8,300rpm、離昇出力時 14,975shp/12,000rpm 乾燥重量 2900kg である。
ehp : equivalent horse power 余剰ジェット推力を含めて高度や速度など飛行条件に合わせて shp : 軸馬力に換算した等価馬力のこと

減速ギヤ比は 11 となり、離昇時のタービン回転数から計算するプロペラ回転数は1,090rpm となってしまうのだが・・・この辺りはあとで検証・・・??

キネマ航空CEO GTF はターボ・ファン・ジェットかダクテッド・ターボ・プロップか、を考えるの巻(その 2 )「プロペラで出せる最大速度の推定とその検証」 2017.07.11 で検証をやってみました !!

-搭載時性能-
最高速度 Tu-114: 870km/h (@8,000m) Tu-95: 920km/h Tu-142: 925km/h An-22: 740km/h
巡行速度 Tu-114: 770km/h Tu-142: 711km/h

実用上昇限度 Tu-114: 12,000m
なお、Tu-142
Tu-95: から派生した洋上哨戒機

これに対する・・・

ターボファンではエアバス A380 に使われる三軸(スリー・スプール)構成のトレント900系では 24 枚のファン直径は 2.95 m (116 in )、バイパス比 8.7-8.5 最大推力 344–357 kN 、乾燥重量 6246 kg となっている。
別資料から(多分)公称 N1 (ロープレッシャー・タービン=フロント・ファン・ブレード)回転数 3,000rpm、N2(ミディアムプレッシャー・タービン)回転数 7,500rpm ? 、N3 (ハイプレッシャー・タービン)回転数 12,500 rpm 。

もう一つの選択肢で二軸(ツー・スプール)構成のエンジンアライアンス EA GP7000 ファン直径2.95m116in)、バイパス比 8.8 もほぼ同等だが公称推力が 363 kN 、乾燥重量 6,712 ㎏ と若干大きい。
同じく別資料から、こちらは最大 N1 回転数 2,738(2,467) rpm 同 N2 回転数 13,060(10,998) rpm ( )内は100%で運転時の公称値。

-搭載時性能-
最大運航速度(巡航高度にて): 945km/h (Mach 0.89)
最大設計速度(巡航高度での降下時点): 1,020km/h (Mach 0.96)
巡行速度: Mach 0.85 (903km/h)
巡航高度: 13,137m

おまけで・・・

最強のレシプロ・エンジンはボーイングB-50 爆撃機 モデル 377 ストラトクルーザー 旅客輸送機などで使われたプラット&ホイットニー ワスプ・メイジャー R-4360 系列でありました。当オフィスの コラムても取り上げております。お立ち寄りください。

最大馬力は 3,800hp とされるが実質では 3,500hp 辺りが公称馬力のようだ。回転数は 3,990-4,300rpm 、出力軸減速機の減速比は 2.667 だった。プロペラ回転数は 1,496-1,612rpm となる。

これに組み合わされたのはハミルトン・スタンダード社の 鋼製溶接中空ブレード四翅、フル・フェザーリング可能な油圧式定速プロペラで、その 直径 は 5.18m(17ft) ? ・・・
リンクは B-29 のプロペラの写真。その直径は 5.05m(16ft 7in)。  B-50 は17フィートとしているが数値を丸めたのかブレードを新造したのか詳細は不明だが、エンジンの換装でプロペラ軸線は B-29 より高くなっており直径の 5インチ増は可能なのでこちらを採用した。

-搭載時性能-(ストラトクルーザー // B-50
最大速度: 604km/h(7,620m) // 634km/h
巡行速度: 547km/h(7,620m) // 393km/h
巡航高度: 7,620m // 9,159m
実用上昇限度: 9,755m // 11,247m


レシプロ・エンジンで同じエンジン、同じ機体メーカーの姉妹機種である B-50 爆撃機モデル 377 旅客機 の最大速度や実用上昇限度が違うのは何となくわかるが、巡航速度が大きく違うのはなぜか、とか・・・

ターボプロップでは An-22 の最高速度が Tu-114 より劣るのはプロペラの直径の増加や胴体の太さによる差と推定していいのかな、とか・・・

レシプロの B-50 とターボプロップの Tu-144 の速度差は馬力出力のせいかもしれぬがプロペラ先端の周速からはどうなんだろう、とか・・・

では Tu-142A380 の最高速度がほとんど同じなのはおかしかないか、とか・・・

などと考えながら、MRJ のギヤードファン・ジェットについて考えるのだが、エンジンの格からは牛刀割鶏(鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いんや)になりそうな気もしてきたな。

その前に「乞う、次回ご期待」

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