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2021年4月の2件の記事

2021年4月13日 (火)

ミッドウェーの「運命の5分間」の後先き・・・タスクフォース索敵行 インターミッションの巻

公開校正校閲中です
今回の分析と考察はさほど難しい方法でもなく
既に公表されている文献を見逃しているかもしれません
ご知見があればご教示ください
キネマ航空CEO
ほぼ校了2021.04.22 24:00(予定)

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利根四号機の航跡を海図に移すべく資料としてミッドウェー海戦 戦史叢書 43 と記録 ミッドウェー会戦 の戦闘詳報から主に位置に関係する情報と信文を時系列にスプレッドシートに抜き書きしている。

ところが当キネマ航空CEOには何かに熱中をし始めると関連する他のことに興味が湧いてくる悪い癖がある。

困ったモンダと当CEO当人も自覚しているのだが・・・今回のレジュメ

まだ戦闘が継続している最中(さなか)の信文に現れた二つの司令部の上級将校たちに生じた職位階級心理の推理憶測でもあります。

その一方で全体を通すと負け戦「とは言え」なのか、「だからこそ」なのか、日本のマン・マシン システムに内包する情報の処理と運用の能力、関係記録や資料収集の限界を示している現在へ続く報道を含めた「追求の限界」に行き着く日本型組織の性向のようでもあります。

特に偵察機の信文は同一文のほかに同じ文体で類語に置き換えられた同内容の中継報告が無電や発光信号で艦隊内を飛び交っている。

受信した時刻から大幅に遅れて新情報に更新されないまま部隊旗艦から聯合艦隊旗艦に向けて発信されている例もある。

理由として水上偵察機(以下 水偵)とその機が所属する艦(戦艦、巡洋艦、水上機母艦や基地)の間で暗号化や略号符号化したモールス信号による信文で交信されており所属艦が解読した平文を目視信号で送った報告なのか、あるいは暗号のままの信文を司令部が乗る部隊や艦隊の旗艦に無電で転送されてそれぞれで解読しているのか、がはっきりしない。

偵察機が受けた命令とその復命の規則は以前に紹介した偵察員教範に則り所属部隊の最高指揮官(機動部隊旗艦赤城に座乗する第一機動部隊司令長官)に宛て発信されている。

しかし空母の艦体構造から送信受信のアンテナ設置位置が低く、戦闘行動中は航空機の離発艦に備えて舷側外側へ水平に倒しており通信機能はさらに劣っているので水偵が所属する第八戦隊司令部(旗艦利根)の解読文が機動部隊司令長官南雲中将(旗艦赤城)宛に報告されていると考えられる。

加えて赤城は対空戦闘の早い時期に空中線(アンテナ)にダメージを受けている。

さて本筋のテーマに直接の関係はないが作戦遂行の分担で分れた部隊となる複数の艦隊旗艦とその艦隊を構成している戦隊旗艦あるいは他の別動部隊旗艦すなわち司令部間で交信した情報と発した命令を抽出した時系列表にして考察をした。

各時系列表の下に枠で囲んだ要約に目を通してから表に戻っての通読を希望いたします。

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まずミッドウェーからの航空攻撃の真っ只中に機動部隊から発信された信文から・・・

0700 1AF司令長官ヨリGF 2F 6F司令長官、2Sd司令官(ソノ他)ヘ無電(◯八◯◯) 
   「タナ三三七五、◯三三◯AF空襲 ◯四一五以後敵陸上機多数来襲我ニ被害ナシ ◯四二八敵空母一隻巡洋艦七駆逐艦五地点トシリ一二四ニ発見針路南西速力二◯節 我今ヨリ之ヲ撃滅シタル後AFヲ反復攻撃セントス ◯七◯◯當隊ノ位置地点へエアΦΦ針路三◯度速力二四節」

始めにAFミッドウェー島(又は基地)を指す暗号名で1AFについては後述。

連合艦隊(GF)司令長官山本大将(海兵32期)が目論んだ敵艦隊を誘引し待ち伏せする作戦の開始の報告であったが全ては手遅れで敵の先制攻撃を受ける羽目になっていた。信文宛先にある時間の◯八◯◯は信文内容の予告時刻なのか信文到達時刻なのかどちらもあるようで明確ではない。

なお1AF機動部隊(KdB)南雲司令長官が司令長官を兼務する第一航空艦隊を指し、同じく司令官として座乘する赤城・加賀第一航空戦隊(1Sf)と山口司令官が座乘する飛龍・蒼龍第二航空戦隊(2Sf)で編成されている。

KdB司令長官である南雲中将は山本GF司令長官の作戦意図を実行すべく1AFの役職名で出した命令である。

同時に二兎を追う作戦の中で直属上官のGF長官のさらに上位にいる軍令部総長永野大将(海兵28期)が奉直する「大海令第十八號」の本旨を担うKdBの航空部隊へ課せられた任務の忠実な実行者であることを明らかにしている。

ちなみに2F攻略部隊(上陸部隊船団護衛陸地砲撃)、6F先遣部隊(潜水母艦潜水戦隊)、2Sd攻略部隊の中の護衛隊である第二水雷戦隊(軽巡洋艦駆逐艦隊)を指している。

地点の暗号「トシリ一二四」は敵位置、「へエアΦΦ」は味方(機動部隊)位置である。これが今回のキーワードとなる。

先ずは0800を待たず機動部隊の旗艦赤城が受けた至近弾一発、直撃弾二発の被弾から始めます。

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0726 機動部隊(以下KdB)旗艦赤城被弾
0746 赤城 長官以下司令部職員艦橋退去移乗開始
0750 第八戦隊(同8S)司令官ヨリGF司令長官、第二艦隊(同2F)司令長官ニ無電
   「タナ四〇、敵陸上攻撃機及艦上攻撃機ノ攻撃ヲ受ケ加賀・蒼龍・赤城大火災ヲ生ズ 飛龍ヲシテ敵空母ヲ攻撃セシメ機動部隊ハ一応北方ニ避退兵力ヲ集結セントス我ガ地点トウン五五
8S司令官ヨリ第二航空戦隊(2Sf)司令官ニ無電
   「敵空母ヲ攻撃セヨ」
2Sf(第二航空戦隊旗艦飛龍)司令官ヨリ8S司令官ヘ発光信号(0758)
   「全機今ヨリ発進敵空母ヲ殲滅セントス」
0754 飛龍第一次攻撃隊発進(8S筑摩記録)
0757
飛龍全機発艦終了(同上)
0758
 飛龍ヨリ利根へ旗旒信号(あるいは手旗信号)
   「全機今ヨリ発進敵空母ヲ殲滅セントス」(進撃開始の報告)

赤城の通信手段が発光、旗旒、手旗等の目視信号しかなくなりKdB司令長官南雲中将(海兵36期)の赤城退去により指揮系統が途絶となった機動部隊の反撃命令は巷間の書物あるいは映画などで知られる2Sf司令官山口少将(海兵40期)の独断ではなく8S司令官阿部少将(海兵39期)によって出されている。

この部分は見方によれば記録作成時に作られた指揮統率の秩序を優先するストーリーともとれるが間髪を入れない山口少将の応答は独断専行があった可能性は残るけれども検証のしようもない。

ふたりは階位同列の少将であるが海軍兵学校卒業年次の差による指揮権継承の順位(次席制度)があるようだ。同期の場合は卒業年次()ごとの席次(ハンモックナンバー)が関係する(むしろ、して配属される)のかもしれない。

例えば駆逐艦より巡洋艦、更には戦艦といった具合に。ではKdBに配属されている戦艦の艦長のキャリアは ? については後で出てきます。

余談ながら年次による順位は戦後の官僚人事制度にも持ち込されており優秀な人材が政務次官となると同期とそれ以前の入省者は辞職(実際は天下り)する仕来りがある。収賄と忖度に染まらねば平時では年功序列で治(納)まるが乱世、大乱世となると組織は不幸なことになる。(閑話休題)

さて0750KbB次席司令官として阿部少将が発信した指揮権の代行あるいは継承と取れる電文が当CEOの頭に混乱を引き起こすのだがその前にKdB司令部のドタバタを少し続ける。飛龍第一次攻撃隊の進撃開始の30分後から・・・

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0828 8S司令官ヨリ赤城へ無電
   「貴艦通信可能ナルヤ」(赤城応答ナシ)
0830 第十戦隊(10S)司令官ヨリ8S司令官(と)榛名艦長ヘ無電
   「タナ一七九、長官 長良ニ移乗セラレタリ」
KdB司令長官ヨリGF2F司令長官 第二水雷戦隊(2Sd)司令官へ無電
   「タナ二八九、〇七三〇頃敵ノ爆撃ヲ受ケ赤城加賀蒼龍相當ノ損害ヲ受ケ作戦行動不能 本職長良ニ移乗敵ヲ攻撃シタル後全軍ヲ率ヒ北方ヘ避退セントス 位置「ヘイアΦΦ」
0843 8S司令官よりKdB司令長官ヘ発光信号
   「今ヨリ8S 3S 10Sノ一部ヲ以テ敵ヲ攻撃シタシ」
KdB司令長官ヨリ8S司令官ヘ発光信号
   「待テ」
発信元、発信方法 不明 
   「長官 長良ニ将旗ヲ移揚セラル」 (長良KdB旗艦となる)
0850 KdB司令長官ヨリGF司令長官2F司令長官ニ無電
   「長良機密第一番電 〇七三〇頃敵ノ爆撃ヲ受ケ赤城加賀蒼龍相當ノ損害ヲ受ク 火災・作戦行動不能 本職長良ニ移乗敵ヲ攻撃シタル後全軍ヲ率ヘ北方ヘ避退セントス 位置ヘイアΦΦal(0830)」
0853 KdB司令長官ヨリ(KdB)司令官ヘ無電
   「今ヨリ攻撃ニ行ク集レ」
0856 KdB司令長官ヨリ(KdB)司令官ヘ無電
   「敵ニ向フ集レ」
0859 KdB司令長官ヨリ(KdB)司令官ヘ無電
   「部隊集結敵攻撃ニ向フ10S 3S 3S順針路一七〇度一二節〇八三〇」
0900 8S司令官ヨリGF司令長官 2F司令長官ニ無電
   「敵陸攻及艦攻ノ攻撃ヲ受ケ赤城加賀蒼龍大火災ヲ生ズ 飛龍ヲシテ敵空母ヲ攻撃セシメ機動部隊ハ一応北方ニ避退兵力ヲ集結セントス我ガ地点トウン五五 〇七五〇
2F司令長官ヨリGF司令長官 1AF司令長官 攻略部隊司令長官 8S司令官ヘ無電
   「タナ三、攻略部隊支隊〇九〇〇ノ位置地点ミユクΦΦ針路五〇度速力二八節味方機動部隊ニ向フ」

ここまでは、KdB司令部赤城を退去してその46分間後から始まる8S司令部からKdBの指揮権を回収する過程である。

KdB司令部が赤城からの待避に使った駆逐艦野分から移乗した軽巡洋艦長良第十戦隊(10S)旗艦で司令官は木村少将(海兵40期)であった。

KdB司令部は移乗先に常識的には主砲四基を前部甲板に集中し後部甲板に水偵を六機まで搭載して運用できる航空巡洋艦として通信能力にも優れている第八戦隊(8S)旗艦利根を選ばなかった。あるいは選べなかった理由があるはずだがここまでとする。

083010S司令官はKdB内の8S司令官と榛名艦長に長官移乗を無電で連絡している。なお戦艦榛名霧島攻略部隊である第二艦隊(2F)に所属する戦艦4隻からなる第三戦隊(3S)第二小隊として派遣されてKdBの指揮下にある二隻で司令部は座乗せず榛名艦長が上席であった。

同じ0830KdB司令部はGF2Fの司令長官と隷下の第二水雷戦隊(2Sd)に宛てた長良への移乗の通達と長良が傍受した8S司令官による0750発信文から「我ガ地点トウン五五」を「(一字空白)位置ヘイアΦΦ」に変えてKdB司令部命令として発信をした。

8S司令官はKdB司令部の長良に移乗後直ちにKdB司令長官に宛てて8S3S10Sの一部を割いて水上決戦の意見具申を行っている。

KdB司令部はこの意見を「待テ」と却下するのだが10S旗艦長良に中将旗が掲げられると0850にはKdB司令長官名でGF司令長官と2F司令長官に「長良機密第一番電」として0830の信文と同じ信文を「 位置ヘイアΦΦal(0830)」に再度変えて指揮権を確立したあと、矢継ぎ早に海上決戦による反撃命令を出し始める。

KdB司令長官は0853から3分おきに「今ヨリ攻撃ニ行ク集レ」、「敵ニ向フ集レ」、0859「部隊集結敵攻撃ニ向フ10S 8S 3S順針路一七〇度一二節〇八三〇」と0830時に発信した位置を基準とする進撃開始をKdB司令官へ向けて下命する。

ただし「針路一七〇度」ほぼ南であり敵の方向ではない。集結針路で隊列を組み終わって北北東に向けて一斉回頭するのか?

いっぽう0900には8S司令官から0750時発信の信文をそのまま「我ガ位置トウン五五」でGF司令長官、2F司令長官に宛てて割り込みの再送をする。・・・本文に発信時間の〇七五〇があるこの信文自体が他の艦から艦への転送とも考えられるのではあるが。

同じ0900には攻略部隊を護衛する2F司令長官がGF司令長官、1AF司令長官、攻略部隊、 8S司令官に宛てて機動部隊に会合する命令の報告を発信した。

ここではKdB司令長官ではなく1AF司令長官とし、8S司令官をKdB司令長官代行としているようだ。

さて次の時系列表はKdB内部に水上決戦に向けて目視信号を多用した命令と復命の頻繁な交信から始まる。

以下かなり長いが、GF司令長官から各部隊に向けたミッドウェー・アリューシャン作戦の攻撃計画の変更と攻略作戦の一時延期命令の示達から始まり、2Sf司令官からKdB司令長官、8S司令官に宛てた飛龍の第一次攻撃隊戦果「敵空母一(大火災)」の吉報報告が入るまでの1時間10分であります。

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0901 KdB司令官ヨリ8S司令官ヘ発光信号
   「敵位置針路知セ」
同 KdB司令長官ヨリ8S司令官ヘ発光信号
   「極力北方ニ避退セヨ敵ハ〇八一〇、七〇度九〇浬ニアリ」
0910 8S司令官ヨリ筑摩ヘ発光信号 
   「零式即時待機トナセ」・・・(筑摩四号機即時待機)
0912 8S司令官より8Sヘ手旗信号
   「二座水偵二機第一待機トナセ」
KdB司令長官ヨリ8Sヘ手旗信号
   「対潜警戒機ヲ揚収セヨ」
0915 KdB司令長官ヨリKdB各司令官ヘ無電
   「昼戦ヲ以テ敵ヲ攻撃セントス集レ」
8S司令官より8Sヘ手旗信号
   「第十戦隊ノ後ニ入ル如ク行動ス」
0916 8S司令官より8Sヘ無電
   「魚雷戦用意」
0917 KdB司令長官ヨリ8Sヘ発光信号
   「対潜警戒機ヲ揚収セヨ」
0920 筑摩ヨリKdB司令長官 8S司令官ヘ無電
   「本艦対潜哨戒機揚収終リ」
KdB司令長官ヨリ8S3Sヘ発光信号
   「今ヨリ敵ヲ攻撃ス集レ」
GF司令長官ヨリGF各長官、各司令官へ無電
   「GF機密第二九四番GF電令策第一五五号 各部隊ハ左ニヨリ行動AF方面ノ敵ヲ攻撃スベシ 一、主隊〇九〇〇ノ位置フトム一五針路一二〇度速力二〇節 二、AF攻略部隊ハ一部ヲシテ輸送船団ヲ一時北西方ニ避退セシムベシ 第二機動部隊ハ速カニ第一機動部隊ト合同スベシ 三潜戦五潜戦ハ丙散開線ニ就ケ」
0925 KdB司令官ヨリKdBヘ発光信号
   「昼戦ヲ以テ敵ヲ攻撃セントス」
   「間モナク会敵ヲ予期ス」
0927 2F司令長官ヨリGFKdB司令長官 8S司令官ヘ無電
   「攻略部隊支隊〇九〇〇ノ位置地点ミユクΦΦ針路五〇度速力二八節味方機動部隊ニ向フ」
0930 8S司令官ヨリ筑摩五号機ヘ無電
   「タナ一七、今ヨリ敵攻撃ニ向フ針路零度」
 KdB司令長官ヨリKdBヘ発光信号
   「展開方向北西」
 長良ヨリ8S手旗信号
   「警戒方法ヲ知セ」
1000 KdB司令長官ヨリKdBヘ発光信号
   「速力二四節トナセ」
   「支援部隊水偵ヲ以テ零度ヨリ九〇度一五〇浬ヲ索敵セヨ」
1003 8S司令官ヨリ筑摩五号機ヘ無電
   「今ヨリ敵攻撃ニ向フ針路零度(〇九三〇)」
1008 KdB司令長官ヨリ8Sヘ無電
   「支援部隊水偵ヲ以テ零度ヨリ九〇度一五〇浬ヲ索敵セヨ」
1009 利根一号機ノ外即時待機
1010 8S司令官ヨリKdB司令長官へ発光信号
   「タナ三、敵ノ位置〇八二五 基点(ミ)ノ三五三度一三〇浬針路一三五度速力二四節 及ビ二度二六〇浬 動静同ジ」
8S司令官ヨリKdB司令長官へ発光信号
   「〇八三〇赤城通信不能ト認メ当時ノ状況ヲGF司令及2F司令ヘ通報シ当時三〇度トナリシタメ一応北方ニ避退スト電報セリ」
KdB長官ヨリ8S司令官 筑摩艦長 3Sヘ発光信号
   「支援部隊水偵ヲ以テ〇度ヨリ九〇度一五〇浬ヲ捜索セヨ」
GF司令長官ヨリGF各司令長官、司令官ヘ無電
   「GF機密第二九五番GF電令策第一五六号 一、敵艦隊攻撃法C法 二、攻略部隊ハ一部ノ兵力ヲ以テ今夜AF陸上航空基地砲撃破壊スベシ AF AOノ攻略ヲ一時延期ス」
2Sf司令官ヨリKdB司令長官 8S司令官へ発光信号
   「攻撃隊報告〇九四〇味方ヨリノ方位八〇度九〇浬大巡五空母一(大火災)攻撃隊ノ報告確実」

0901KdB司令部は0810筑摩五号機の報告に基づく情報を部隊内に無電で通達し零式水偵を待機させ対潜警戒機の収容を命令し0915には部隊内に昼戦を行う宣言をした。

09168S司令官は早くも「魚雷戦用意」を第八戦隊に命令。0920KdB司令長官は攻撃に向かう第八第三戦隊に集結を命令した同時刻にGF司令長官より太平洋に広がった四つの部隊にミッドウェー付近の敵を攻撃する命令であるGF機密第二九四番GF電令策第一五五号が発令された。

0925KdB司令長官は発光信号で「昼戦ヲ以テ敵ヲ攻撃セントス」、「間モナク会敵ヲ予期ス」と部隊を鼓舞する。

そのなか09272F司令長官は0900に発信した同文の宛先1AF司令長官をKdB司令長官に変更してGFKdBの司令長官、8S司令官に宛てて再信している。

続いて10108S司令官はKdB司令長官に宛てて0900に発信したGF2Fの司令長官宛の信文については長良が旗艦になったことは8S司令官は承知していなかったと弁明もしくは釈明を行なっている。

2Fの信文は自主的に宛先の職位を上位に訂正した忖度による訂正とも思える。その一方で8Sの信文からはKdB司令部から「避退」の文言にイチャモンがついたように思える。

8S司令官が言及した「三◯度」は北緯三◯度のことだが、むしろ前段の0828に「赤城通信不能ト認メ」たことなどについて記録に残していない発光信号によってKdB司令部から8S司令部へ何らかの叱責があったことを窺わせる。

ただ0848の「長官 長良ニ将旗ヲ移揚セラル」と公式に長良KdB旗艦となった記録の発信元、発信方法は不明である

0901KdBから8Sへ送った敵位置報告命令の復命なのかどうか8Sは弁明文送信の直前の10100825現在の敵位置を報告している。

一方のKdB側は先の暗号化された位置を敵位置とすると、0830には時点不明の位置をGFに向けて発信をしており0901には8Sに向けて0810現在の位置を示達している。

CEOの疑問は0750から始まる8S司令官発の信文にある「機動部隊」は敵か味方かの疑問であります。

暗号で交信された海図上の暗号位置では8Sの「トウン五五」とKdBの「  位置ヘイアΦΦ」、「  位置ヘイアΦΦal(0830)」があり後二つは敵位置として筑摩五号機の報告に結びつけられているのだろうが、前の一つ8Sの信文は「我ガ地点トウン五五」であり、後二つのほぼ同一のKdB信文の場合は文中の「空白一字敵と味方使い分けて」敵位置としているのか我ガ位置としているのか、加えて「避退」が追及される理由は何なのか、であります。

冒頭の07001AF(ひいてはKdB)の信文では明確に地点の暗号「トシリ一二四」は敵位置、「へエアΦΦ」は味方(機動部隊)の位置と指定していた。

しかし「トシリ」→「トウン」、「ヘエア」→「ヘイア」の文字の並びからは07508Sが使った「我ガ位置トウン五五」は「敵の位置」のはずで、KdBが書き替えた「(一字空白) 位置「ヘイアΦΦ」」は味方の位置とする方が妥当と考えられる。

文字の並び → 例えば、西から東へ「」→「」と縦に分割された区画を指すとすると単純には8S司令部が時間差のある二通で同じ信文に拘る最初の「我ガ位置」は「敵位置」の間違いであったとするのが妥当と考えられる。

強いていえば避退予定位置なのかもしれない。しかし敵に接近する行動を「避退」としたのは文章としては疑問が出てくる。

もちろん信文には暗号の作成と解読での誤訳や誤読の可能性、時間経過と共に彼我の位置が現実に入れ替わる可能性はある。

またKdBより西にいる2Fの位置が「ミユクΦΦ」であらわされているように暗号表と海図の照合位置は「西」から「」への「イロハ(説)でも逆順から西でも、いやからからでも、さらには「アイウエオだって考えられる。

あるいは情報の秘匿性からはもとからランダム配置の可能性はある。更には三文字の先頭の符号は「」は機動部隊「」は敵部隊などの識別名を表している可能性もある。

8Sが最初の0750の信文に拘るのはむしろ07001AF電のほうが間違っているのかもしれない・・・というメビウスの輪にも陥る。 

またネガティブ用語の「避退」については暗号の解読であろうが判然としない。不甲斐ない戦闘指揮で多少の負い目があるKdBは婉曲に8S信文の矛盾を突いたのかもしれない。

ここまででは「我ガ地点」が「敵地点位置」だとすると文意としてはつながるのだが8Sはその点には明確には答えていない、と言うよりもこれ以上の公開された記録はない。

以上は、記録 ミッドウェー海戦から抽出し考察を加えた。

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以下に校閲による追記として2021/04/14に起稿開始した。

戦史叢書 43 ミッドウェー海戦による位置暗号の解読から、

07001AF司令官発の信文
地点トシリ一二四」トシリ三四」ヘエアΦΦ」ヘエア〇〇」となっており
トシリ三四」は、「北緯32度05分西経176度38分」
ヘエア〇〇」は、「北緯30度00分西経179度00分」

以降に出てくる地点では
07508S司令官発の信文
地点「トウン五五」は、「北緯30度10分西経179度10分を中心とする半径10浬圏」
8Sはこれを「我ガ地点」としている。

0830KdB司令長官発の信文
味方位置とされた地点「ヘイア〇〇」は、「北緯30度10分西経179度40分」なので40分西に移動している。
なお、「」によれば「この位置は「一航艦戦闘詳報」の合戦図その他から見てかなりの誤差がある」としている。
「ヘイア◯◯al」については何かの補足であろうが内容不明。

「トシリ三四」は彼我の相対関係から敵位置の認識と特定できる。別の視点から「ヘエ」→「ヘイ」は北上、「トシ」→「トウ」は南下をした艦隊同士の航空戦でほぼ同じ緯度になっての応酬とすればKdBの信文「ヘイア〇〇」は味方位置の認識となる。

これは裏を返せば8Sの「トウン五五」の位置、特に経度にかなりの誤差もしくは誤りがある可能性を含んでいる。

8SKdBも、なぜ1AF作成の0700の彼我の位置を併記する文例を踏襲しなかったのか。

どちらの仮定でも接近戦で敵位置は「我ガ位置」と同じ座標の矩形か円の中に入るとして明示しなかったとすれば、敵位置の詳細は別の信文から追加補足することになる推測は成り立つが・・・思考上は作戦完了までの部隊間の位置暗号を精査して「ト」「へ」東西説と合わせて南北説も考慮する必要は残る。

KdB司令部8S司令部はなぜ「我ガ位置」に拘ったのか、そして信文が正しく暗号化されて正しく送信され、正しく受信して正しく解読されていたのか・・・。

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さて、ここまでの時間には利根四号機に加え蒼龍二式艦偵筑摩五号機が敵に接触を始めて位置の情報が集まってきている。

07508S司令官電の信文は利根四号機の報告の再検討による修正か筑摩五号機の情報による更新かの問いが浮上する。

最後に各索敵機の報告と受けた命令を抽出し、KdBGFとの主要な電文を挿入してみる。冒頭の0700の信文を挿入する位置に注目をしてお読みください。

     利根四号機 零式水偵 
0428
KdB司令長官
   「タナ三、敵ラシキモノ一〇隻見ユミッドウェーヨリノ方位一〇度二四〇海里針路一〇五度速力二〇以上」
0447 KdB
司令長官ヨリ
   「タナ一、艦種確メ接触セヨ」
0458
KdB司令長官
   「タナ五、〇四五五敵針路八〇度速力二〇節(〇四五八)」
0500 
KdB司令長官ヨリ
   「艦種シラセ(〇五〇〇)」
0509
KdB司令官
   「敵ノ兵力ハCx5 dx5ナリ」
0511
KdB司令長官
   「敵兵力ハ巡洋艦五隻駆逐艦五隻ナリ(〇五〇九)」
0520
KdB司令長官
   「敵ハ其ノ後方ニ空母ラシキモノ一隻ヲ伴フ」
0530 宛 KdB司令長官
   「タナ八、更ニ敵巡洋艦ラシキモノ二隻見ユ ミッドウェーヨリノ方位八度二五〇海里敵針一五〇度速力二〇節(〇五三〇)」
0534赤城
   「タナ九、我今ヨリ皈途ニ就ク」
0545
赤城
   「更ニ敵巡洋艦ラシキモノ二隻見ユ ミッドウェーヨリノ方位八度二五〇海里敵針一五〇度速力二〇節」
0548
赤城
   「我今ヨリ皈途ニツク」
0550 宛 KdB司令長官
   「更ニ敵巡洋艦ラシキモノ二隻見ユ ミッドウェーヨリノ方位八度二二〇海里敵針一五〇度速力二〇節」
 宛 赤城
   「我今ヨリ皈途ニツク(〇五四〇)」
0554
KdB司令長官ヨリ
   「方位測定用電波輻射セヨ」
0555
8S司令官ヨリ
   「皈投待テ」
 宛 KdB司令長官(0601)
   「令達報告敵攻撃機十機貴方ニ向フ(〇五五五)」
 8S司令官ヨリ
   「タナ二、筑摩四号機来ル迄接触セヨ長波ヲ輻射セヨ」
(参考挿入) KdB司令長官ヨリ KdBヘ発光信号(0613)
   「タナ一◯、収容終ラバ一旦北ニ迎ヘ敵機動部隊ヲ捕捉撃滅セントス」
(参考挿入) KdB司令長官ヨリ GF司令長官 2F司令長官ヘ無電(0630)
   「タナ三三六 午前五時敵空母一巡洋艦五駆逐艦五ヲAF十度二四浬ニ認メコレニ向フ」
0605 8S司令官ヨリ
   「筑摩機来ル迄接触セヨ長波ヲ輻射セヨ」
 宛 KdB司令長官
   「右攻撃機一〇見ユ貴方ニ向フ(〇五五五)」
(参考挿入) KdB司令長官ヨリ KdBヘ発光信号
   「揚(容)終レバ一旦北ニ迎フ敵機動部隊ヲ捕捉撃滅セントス」
0607 
利根ヨリ
   「筑摩四(号機)来タル迄接触セヨ長波輻射セヨ(〇五五五)」
0624
(参考挿入) 1AF司令官ヨリ GF司令長官へ
   「(〇五〇〇)敵航空母艦一巡洋艦五駆逐艦五ミッドウェーノ一〇度二四〇浬ニ認メ此ニ向フ(〇六〇〇)」
0629.5利根
   「我燃料不足接触ヲ止メ皈投ス」
0630
(参考挿入) KdB司令長官ヨリ GF司令長官ヘ無電
   「〇五〇〇敵航空母艦一巡洋艦五駆逐艦五AFノ一〇度二四〇浬ニ認ム此ニ向フ」
8S司令官(0640)
   「タナ一〇 我燃料不足接触ヲ止メ皈投ニ就ク」
0635
8S司令官ヨリ
   「〇七〇〇マデ待テ」
06378S 司令官
   「燃料不足接触ヲ止メ皈投ス(〇六三七)」
0638
(参考挿入) 筑摩ヨリ 8S司令官ヘ発光信号
   「〇六三八索敵機発艦」
 宛 利根 
   「我出来ズ」
0639
8S司令官ヨリ
   「〇七〇〇マデ待テ」(〇六三〇)
0641
利根 
   「我出来ズ」
0658
8S司令官ヨリ 8S飛行中各機へ
   「〇六三〇我レ出発点ヨリノ方位一三七度八六浬針路北寄リ速力二四節」

     蒼龍二式艦偵 
0700
KdB司令長官
   「タナ一 敵ヲ見ズ我レ ミッドウェー島ヨリノ方位二〇度距離二九〇海里」
0726(参考挿入) 機動部隊旗艦赤城被弾
0750(参考挿入) 8S司令官ヨリ GF司令長官、第二艦隊(2F)司令長官ニ無電
   「タナ40、敵陸上攻撃機及艦上攻撃機ノ攻撃ヲ受ケ加賀・蒼龍・赤城大火災ヲ生ズ 飛龍ヲシテ敵空母ヲ攻撃セシメ機動部隊ハ一応北方ニ避退兵力ヲ集結セントス我ガ地点トウン五五
0810
KdB司令長官
   「タナニ 敵航空部隊見ユ地点ミッドウェー島ヨリノ方位四度一五〇浬」
   (0837 再送)
0830(参考挿入) 10S司令官ヨリ 8S司令官(と)榛名艦長ヘ無電
   「タナ一七九、長官 長良ニ移乗セラレタリ」
0845
KdB司令長官
   「接触ヲ止ム(〇八四五)」
0917 無電
   「敵ニ接触ス(〇九一七)」
以降無線機故障のため飛龍着艦まで報告なし、第一次攻撃隊と同時刻に飛龍に着艦した。下記の1100 2Sf発の信文内容には二式艦偵の報告も含まれている。

     筑摩五号機 零式水偵 最初の情報から1100頃迄の交信
0726(参考挿入) 機動部隊旗艦赤城被弾
0745 宛 0818KdB司令長官
   「タナ一 更ニ敵巡洋艦五隻駆逐艦五隻見ユ 基点ヨリノ方位一〇度 一三〇浬 針路二七五度 速力二四節(〇七四五)」
   (「タナ一」は最初の報告を指すのだが「更ニ・・・」は前文を受けての接続詞。「タナ一」内での欠落か、先行した報告があるのか、全容は不明)
   (0755、「更ニ」より同文、0808 宛先を「司令長官」にして再送)
0747(参考挿入) KdB司令長官ヨリ GF司令長官ヘ無電
   「〇五〇〇敵空母一隻巡洋艦五隻駆逐艦五隻ヲ「ミッドウェー島」ノ一〇度二四〇浬ニ認ム之ニ向フ〇六〇〇」
0750(参考挿入) 8S司令官ヨリ GF司令長官、第二艦隊(2F)司令長官ニ無電
   「タナ40、敵陸上攻撃機及艦上攻撃機ノ攻撃ヲ受ケ加賀・蒼龍・赤城大火災ヲ生ズ 飛龍ヲシテ敵空母ヲ攻撃セシメ機動部隊ハ一応北方ニ避退兵力ヲ集結セントス我ガ地点トウン五五(〇七五〇)」
(参考挿入) 8S司令官ヨリ 2Sf司令官ニ発光信号
   「敵空母ヲ攻撃セヨ」
0755 宛 KdB司令長官
   「更ニ敵巡洋艦五隻駆逐艦五隻見ユ 基点ヨリノ方位一〇度 一三〇浬 針路二七五度 速力二四節(〇七四五)」
0758(参考挿入) 飛龍ヨリ 利根へ旗旒信号又ハ手旗旗溜信号
   「全機今ヨリ発進敵空母ヲ撃滅セントス」
0800 8S司令官ヨリ
   「敵空母ノ位置知セ攻撃隊ヲ誘導セヨ」
同 8S司令官ヨリ(0810)
   「タナ一五、敵空母ノ位置知セ攻撃隊ヲ誘導セヨ」
0808 宛 司令長官 
   「更ニ敵cx5 dx5見ユ 我ヨリノ方位一〇度 一三〇浬敵針二七五度速力二四節(〇七四五)」
0810 
KdB司令長官
   「タナ四、敵ハ見方ヨリノ方位七〇度、九〇浬ニアリ(〇八一〇)」
   (公開された資料ではタナ二、タナ三は不明。同様の例は公開されている他機の記録でも見られる)
0816 
宛 司令長官
   「付近天候晴雲量五雲高一〇〇〇-八〇〇風向八五度風速五米視界三〇浬」
0828 宛 KdB司令長官
   「敵ハ見方ヨリノ方位七〇度距離九〇浬ニアリ(〇八一〇)」
0830(参考挿入)2Sf司令官ヨリ 8S司令官ニ無電
   「タナ一二九、水偵ヲ以テ敵空母ニ対スル接触持続方取計ワレ度(〇八三〇)」
(参考挿入) 10S司令官ヨリ 8S司令官 榛名艦長ヘ無電
   「タナ一七九、長官 長良ニ移乗セラレタリ」
0832 
飛龍爆撃隊
   「無線誘導ヲナス」
0840(参考挿入) 飛龍爆撃隊
   「敵航空部隊ハ空母三隻ヲ基幹トシ駆逐艦二二隻ヲ伴フ(〇八四〇)」
0841 宛 飛龍爆撃隊
   「敵ハ見方ヨリノ方位七〇度距離九〇浬ニアリ」
0901(参考挿入) KdB司令長官ヨリ 8S司令官ヘ発光信号
   「極力北方ニ避退セヨ敵ハ〇八一〇、七〇度九〇浬ニアリ」(筑摩五号機発信より51'遅れ)
0917
8S司令長官
   「我レ敵機ノ追撃ヲ受ケ接触ヲ失セリ(〇九〇五)」
0920 
8S司令官(0940)
   「タナ七、基点ヨリノ方位一五度距離一三〇浬大巡ラシキモノ二隻見ユ 敵空母ラシキモノ一隻駆逐艦一隻見ユ針路北方速力二〇節(〇九二〇)」
0930 8S司令官ヨリ (1030)
   「タナ一七、今ヨリ敵攻撃ニ向フ針路零度(〇九三〇)」
1003 8S司令官ヨリ (1030)
   「今ヨリ敵攻撃ニ向フ針路零度(〇九三〇)」
1010(参考挿入)8S司令官ヨリ KdB司令長官へ発光信号
   「タナ三、敵ノ位置〇八二五 基点(ミ)ノ三五三度一三〇浬針路一三五度速力二四節 及ビ二度二六〇浬 動静同ジ」
(参考挿入) 2Sf司令官ヨリ
 KdB司令長官 8S司令官ヘ発行信号
   「攻撃隊報告〇九四〇味方ヨリノ方位八〇度九〇浬大巡五空母一(大火災)攻撃隊ノ報告確実」
1014  KdB
   「敵針二〇度速力二四節我敵ヨリノ方位二六五度三〇浬接触中(一〇〇五)」
1018(参考挿入) 8S司令官ヨリ 飛龍へ手旗信号
   「筑摩五号機無線誘導ヲナス」
1020  8S司令官(1028)
   「敵大巡四隻ハ分離シ二七二八度ニ向フ速力二四節(一〇二〇)」
1030
(参考挿入) 8S司令官ヨリ KdB司令長官ヘ発行信号
   「敵空母一大巡ニノ位置九〇度方向一二〇浬針路〇度速力二〇節」
1040
8S司令官
   「タナ一九、敵兵力位置改メテ知せ(一〇四〇)」
同 
8S司令官(1046)
   「タナ一一、基点ヨリノ方位二〇度距離一六〇浬針路二七〇度速力二四節(一〇四〇)」
1045  8S司令官(1050)
   「タナ一二、敵ハ針路九〇度変針ス(一〇四五)」
(参考挿入) 2Sf司令官ヨリ KdBヘ(1105)無電
   「タナ一三一、航空機ヨリノ報告ニ依レバ〇九四〇敵ノ位置味方ヨリノ方位八五度距離九〇浬、大巡五大型空母一(大火災)(一〇四五)」
1100
(参考挿入) 2Sf司令官ヨリ KdBヘ(1135)無電
   「タナ一三二、艦爆ノ報告ニヨレバ敵空母ハ概ネ南北ニ約一〇浬ノ間隔ニテ三隻アリ」
   (先の2020/12/08の記事に記載の「航空偵察教範」の航空学生・講義「三 実施 (ハ) fc搭乗員ガ、比較的正確ナル敵情ヲ携スコトアリ。fc隊ニモ敵情報告ヲ提出セヒ(シ)ムルヲ可トス 補注) fc 戦闘機」とあるように水上偵察機による報告より全容をつかんだ報告が飛龍攻撃隊機の観察で得られている。これは水上偵察機という運動性能や速度性能に劣る機材の問題を明らかにしている)

筑摩五号機1045の報告を最後に消息を断った。

記録通りに読めば8S司令官発0750の信文の敵位置は空母を含むことなどから利根四号機の報告を解読し直したようにとれる。

8Sの旗艦として母艦となる筑摩を統率する利根艦橋において0745筑摩五号機発の信文解読時間を含め五分後の0750に発信した8S司令長官の信文に反映させることも可能と思われる。

空母の有無については司令部の状況判断や信文の「・・・更に」の前節の存在もしくは先行する信文の存在も考えられそうである。

結論から言えば信文解読を行ったのは旗艦の利根か、母艦の筑摩か、の疑問は残る。

込み入った敵情報告を受けたKdB司令部むしろ後方の敵信傍聴などのオシント情報が集まるGF司令部の稚拙な情報判断が問われるのであるがその背景を含め「驕りと不運」で括られる大所高所の「勝てたのに」の分析が数多く公表されている。

しかし当CEOがこだわるのはもっと些末な交信の背景であります。

公式戦史と言える戦史叢書ミッドウェー海戦でも曖昧にされ、後世の軍事評論家や著述家はなぜ指摘しないのか、交戦中はよくあることとして、戦史作成時を含めそれぞれに戦死した下級将兵への追悼に隠した海軍と言うシステムにかなりの忖度が働いているとも感じられる。

作戦詳報の中から個別に抽出した情報の羅列から垣間見えるのはまだ戦闘が継続している最中(さなか)の信文に現れた1AFと8Sの二つの司令部の上級将校たちに生じた職位階級心理の推理憶測でもあります。

もちろん両司令部はここで上げた事例とは別のそれぞれの任務を果たしていたのだが、それぞれの根拠となるそれぞれの情報判断にも同様の蹉跌があった。

その一方で全体を通すと負け戦「とは言え」なのか、「だからこそなのか、日本のマン・マシン システムに内包する情報の処理と運用の能力、関係記録や資料収集の限界を示している現在へ続く報道を含めた「追求の限界」に行き着く日本型組織の性向のようでもあります。

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07508S信文「トウン五五」0745筑摩五号機信文「基点ヨリノ方位一〇度 一三〇浬」の関係の検証と筑摩五号機の暗号を解読したのは利根の通信班だったのか筑摩だったのか可能性を含め次回より本筋に戻ります。

利根四号機の敵情報告の信文は利根の通信班による暗号解読と考えられる。その利根艦橋8S司令部には「暗号と海図の関係」に致命的な認識の齟齬があった可能性もある。

 

2021年4月 1日 (木)

ミッドウェーの「運命の5分間」の後先き・・・タスクフォース索敵行 弐の巻の補足

On the 1st of April のリリースだけど真面目に書いています。
公開校正校閲中です。ご知見をお寄せください。 キネマ航空CEO

今回は米国のアーカイブにある機密資料“The Battle of Midway - Strategic and Tactical Analysis” のマイクロフィルム複写の画像はひずみが大きく利根四号機の航跡検証に用いるには適さないため機密解除後に出版された書籍に添付された復元図がメルカトル図法によることを検証しその証明をしておきます。

まず、前回の 原図 と比較ください。下の 復元図 (以下Bates図)もほぼ同等の大きさに拡大できます。

S_bates_diagram_c_bw
以下、ミッドウェーの「運命の5分間」の後先き・・・数学的背景編 1 海図と座標の巻 でくどくどと説明した理屈を実務に展開する補足となります。ただ、理屈といっても簡易的な手法であることは上のリンクで示したとおりです。

メルカトル図法の特徴は(一応は完全)球体とした地球上に天文学的に決めた赤道大円を横軸にして赤道に直角な大円を縦軸にした平面直角座標で表す地図であります。

大円とはその球体の最大周が描く円のこと。一つの中心から同じ半径で描かれる完全球体であれば球体の中心を通る断面の円周に当るので無数の大円がある。

メルカトル図の縦軸(経線)は赤道を直角に横切る360の大円を無理やり連続した平面に直したもの。したがい経線間の寸法はどこをとっても赤道上の寸法(であって直接的な距離ではない)に等しい。

すなわち経線間の円弧の距離(に相当する寸法)は緯度が極点に近づくほど拡大され極点すなわち北緯と南緯90度の極点では点を線に拡大することになる。

メルカトル図の最大の利点は方位を正しく表すことができる図法である。そのためには経線間寸法の拡大率に合わせて緯線間の寸法も同じ拡大率で伸ばす必要がある。すなわちメルカトル図法の両極の点は無限遠のかなたに存在しなければ数学的な整合を取れないため地図として表せる南緯と北緯には限界がある。

さてこの図法は同じ数値の、たとえば10度間隔の緯度線と経度線で囲まれた矩形は赤道付近では正方形に近く緯度が高くなれば次第に縦長の長方形になる。長方形の縦と横の辺の長さの比をアスペクト比(縦横比)と呼びます。正方形のアスペクト比は 1:1 であります。

 下表はプリントしたBates図の中央部から各10度で囲まれた矩形の辺を測ったデータからアスペクト比を計算しています。

 k はあるべきアスペクト比(前々回の表を参照) 本来 1 : k 書くべきだが k で表示
 k' は測定値によるアスペクト比
 (Equiv. deg) その矩形内で kk' の値と等しい1度矩形のアスペクト比が等しい緯度
 k'/k はあるべきアスペクト比に対するバラツキ
 e = k'/k - 1 は誤差

Verifikation-of-mercator-projection

以上よりBates図の経緯度が示すアスペクト比のバラツキはほぼ 1 となっておりメルカトル図が使用されているとしてよい。

この図では東経170‐180度区間のほうがメルカトル図法に近いと言える。原因となった経線間の寸法(Pitch)差はオリジナル図でも見られる。日付変更線あるいは東経と西経の境である180度にまつわるメルカトル図法に固有の問題とも思えるが今回は深追いしません。

さて、A3サイズにプリントした海図の読み取りと書き込みの問題を除けばこの範囲の中で作図する作業での系統的な誤差は2.5%程度と思われる。

残るのは電子データをプリントする時に生じている変形や湿度による紙の伸縮などいくつもあるが使った図面のアスペクト比を測定記録しておくに留める。

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いよいよ次回からBates図上に先回の時間表の数値や距離をプロットしてみるのだが、その前にメルカトル図で距離を測るにはどうするのかから始めることになる。

続く

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